計測関連用語集

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コアネットワーク(こあねっとわーく)

(core network) 通信回線の中で、基幹通信網のことを指す。通信網の中枢で大容量の回線の部分のこと。背骨の意味でbackbone(バックボーン)とも呼ばれる。コアネットワークは光ファイバや光伝送装置によって運用されている。通信容量(トラフィック)を増加させるときにコアネットワークの仕様が話題になる。コアネットワークの先につながる各ユーザに近い回線網をアクセス網や、足回りと呼ぶ。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。 この用語は、2010年以降に使われるようになったと記憶している。それ以前は基幹通信網とか、基幹回線などの表現がされていた。通信網の一番最速で通信容量が大きい箇所(通信網の最大速度など、仕様を決定している回線)のことである。2000年以降にWDMなどの光伝送技術が導入されて、現在のコアネットワークは光ファイバと光伝送装置によるOTNになっている。

光源(こうげん)

(light source) 光を発生するもの。光通信測定器としては安定化光源と波長可変光源がある。光・色の測定器では白色光源、ハロゲンランプなどがある。 光通信測定器と光・色の測定器を合わせて光測定器と呼称する。ただし光通信測定器メーカは自社製品を「光測定器」と呼んでいることが多い。そのため当サイトのカテゴリーでは光通信測定器を光測定器と表記している。 参考記事:光スペクトラムアナライザの基礎と概要 (第3回)・・光通信用の光源を中心に一覧にしている(図39)。

光電子増倍管(こうでんしぞうばいかん)

(photomultiplier tube)光電効果を利用した高感度な光センサ。微小な光を光電効果によって増幅して、電気に変換する光検出器。陰極が光電面である真空管。日本では浜松ホトニクスが有名で、1959年の開発以来、主力製品として作り続けている。

光電融合(こうでんゆうごう)

(photoelectric fusion) 光回路と電気回路を融合させた技術や、光と電気が融合した複合デバイスの総称。 電気でなく光で処理を行う光半導体(光集積回路)の実用化を進めているNTTは、2019年に次世代ネットワーク構想、オール・フォトニクス・ネットワークのIOWN(アイオン)を発表した。NTT研究所の光電融合部門は2023年8月にNTTエレクトロニクスと統合され、NTTとは別会社のNTTイノベーティブデバイス株式会社となった。「研究所で基礎技術を培ってきた光電融合を事業として実用化するため」と発表されている。 IOWNグローバルフォーラムには世界中の先端企業が参画している。インテルなどの米国企業は、シリコンフォトニクスといって、従来のシリコンベースの半導体で光電融合(光半導体)を実現することに注力している。光を使うことで、電気を使う部位が減ると省エネ、小型化が実現する。米国、中国を筆頭に世界中の企業が次世代の半導体として研究している。光半導体のような半導体チップだけでなく、プリント基板に光を通すことも視野にある(電気の配線が光に置き換わる)。シリコンなどの光導波路の実現には材料の研究開発も必要で、日本の優秀な材料メーカには期待がかかる(半導体の材料では世界トップの企業群がある国産メーカがインテルなどに供給しているかは、ほとんど報道されないので現在は不明である)。 キーサイト・テクノロジーは、光部品の評価に注力して光測定器をラインアップしてきた(※)。光電融合の関連製品としては、光ファイバの調芯ステージ(測定用の治具)を含めた、光測定ソリューションを提案している。光導波路の偏波依存性損失(PDL:polarization dependent loss)などを偏波アナライザや波長可変光源などを組み合わせて評価するシステムをラインアップしている(以下の参考記事が詳しい)。 アンリツはマイクロウェーブ展2023(11月30日~12月2日)で、「光電融合デバイスのミリ波特性評価」と題してOpto-Electronic Network Analyzer ME7848Aを展示した。110GHzのO/E変換器とE/O変換器を使い、光デバイスを評価する(システムの構成は以下)。 ME7838AX 70kHz~125GHz VNA、MN4775A 110GHz E/O Converter、MN4765B O/E Calibrator、MPIプローバシステム。(proberは半導体デバイスと測定器をつなぐプローブ装置。DUTの治具) 同社は無線測定器のトップベンダだが、BERT(ビット誤り率測定器、バート)などの高速光通信の信号品質を評価する測定器も世界No.1である。上記のシステムは、光デバイスをO/EとE/Oによってネットワークアナライザで評価する。光測定器ではなく電気ドメインで評価するアプローチである。 (※) キーサイト・テクノロジーのホームページの「製品・サービス」ページでは、「photonic tests and measurements」(フォトニック試験および測定製品)と題したページの下に「optical component test」(光学部品試験製品)が掲載されている(2024年4月現在)。同社は2000年頃には光通信測定器の世界No.1メーカだった(No.2は安藤電気)。光パワーメータ、光源から、光スペクトラムアナライザ、OTDR、光信号のアナライザ(DCA)、偏光(偏波)測定器まで、ほとんどの光測定器をカバーしていた。競合のアンリツや安藤電気は、光部品の中でも光ファイバを評価する光測定器(OTDRやOLTS)に注力したが、同社とアドバンテスト(遅れて光測定器に参入したが、2010年頃にはほとんどの製品を生産終了)は長尺の光ファイバではなく一般的な光デバイス(数mm程度の短尺)の評価に使う偏波スクランブラをつくっていた。 光海底ケーブルバブルによって同社は光スペアナやOTDRなどの光測定器の主力製品を生産終了し、光測定器のラインアップは激減したが、光パワーメータ、光源、偏波関連測定器はつくり続け、光デバイスの評価ソリューションを堅持している。高周波で材料を評価するネットワークアナライザも同社は世界トップである。

コヒーレンス(こひーれんす)

(coherence) 2つの信号の位相の相関の度合いをコヒーレンスと呼んでいる。 通常、コヒーレンスやコヒーレントはFFTアナライザや、レーザー光などの光通信測定器で使われる用語だが、無線測定器(RF)の代表であるスペクトラムアナライザのオプションに、ローデ・シュワルツには「コヒーレンスユニット」なる製品があった。

コヒーレント(こひーれんと)

(coherent) 日本語では「可干渉」、「干渉的」。波の干渉についての特性を示すことば。レーザーの光はコヒーレントの代表である。干渉とは、複数の波が重なるとき、波が打ち消し合ったり強め合ったりすること。2つの波の位相や振幅に一定の関係があると、干渉を鮮明に観測することができる。 コヒーレントの正確な説明は難しい。説明の例、「強度の等しい二つの波が重なり干渉するとき、干渉縞(じま)の強度の極小値がゼロだと、二つの波はコヒーレントである」。 2つの波の位相の揃い具合、干渉縞の鮮明さをコヒーレンス(coherence)という。光のコヒーレンスを説明すると、レーザー光は非常にコヒーレンスの高い光である。そこで「レーザー光はコヒーレントである」と表現される。自然にある太陽光や、従来の光源(電球、蛍光灯)の光はコヒーレンスが低いので「インコヒーレント(コヒーレントでないという意味)に近い光である」と説明される。完全なコヒーレントやインコヒーレントは無くて、干渉性が高いとコヒーレント、低いとインコヒーレントと表現される。この指標によって多くの事象を実験などで確認できるため、物理学の重要なことばだが、平明に説明することは大変難しい。 FFTアナライザでは、関連度関数をコヒーレンス関数と呼んでいる。ここでいう「コヒーレンス」は入力と出力の「関連性」という意味である。他にもコヒーレントアウトプットパワーなどの用語がある。また、FFTアナライザにはコヒーレンスブランク機能がある。

COMNEXT(こむねくすと)

光通信技術を主に、5Gや6Gの通信技術や材料、ローカル5G、エッジAI・IoTソリューション、映像伝送などの複数のWorldで構成される、次世代通信技術・ソリューションに特化した展示会。RXジャパン株式会社主催で、2023年から始まった。2025年の展示会サブタイトルは「第3回次世代通信技術&ソリューション展」。 2024年6月26日(水)から28(金)に東京ビッグサイトの南展示棟で開催された第2回展示会は、光通信WORLD(旧FOE:Fiber Optics EXPO)に国内外のほとんどの有線通信の計測器メーカが出展した。会場の出展社面積の約45%が光通信WORLDなので、一時期、消滅状態だった光通信の展示会が2023年からCOMNEXTとして復活した(旧「通信・放送Week」が名称変更した)。NEXT generation COMmunication technology & solutions expo(次世代通信技術&ソリューション展)から取って展示会名にしているようである。 2024年出展の計測器メーカは、国産ではアンリツ、santec(サンテック)、横河計測、SYCATUS(シカタス)、シナジーオプトシステムズ、海外はViavi Solutions、キーサイト・テクノロジー、VeEX(ヴィーエックス、日本法人はメインテクノロジー株式会社)である。商社はハイテック(Luna、santecなど)、三喜(ミキ)、セブンシックス(コヒーレント社)、サンインスツルメント(EXFO)、日本レーザー。古河電気工業やフジクラは融着器を出展(古河電工はグループ会社の簡易OTDRを展示)。 2024年5月開催のInterop(インターロップ)と同じく、COMNEXT 2024も「400G/800G(※)の光通信」がホットなキーワードになっている。光トランシーバ(光トランスポンダ)はSiPhx(サイフィックス)と中国InnoLight(イノライト)が古河・フジクラ同等かそれ以上の広いブースで出展した。SiPhxはViaviとアンリツ、キーサイト・テクノロジー(旧IXIA、イクシア)の計測器に自社トランスポンダを装着して展示、InnoLightはEXFO、Spirent Communications(スパイレント)社のTestCenter(負荷試験機)を展示。光伝送のネットワーク試験器(OTN/SDH/SONET関連測定器)の主要ベンダがViavi、アンリツ、EXFOの3社であることを感じさせる。Viaviブースには販売店の伯東の営業もいたが、EXFOは単独ブースでは出展していない。キーサイト・テクノロジーはデータコム製品からはすでにほぼ撤退済みなので、PG/PPGやDCA-X(サンプリングオシロスコープ)を展示、横河計測は光スペクトラムアナライザや光波長計を展示(同じくデータコムからは撤退済み)。現場測定器としてはVeEXがOTDRからデータコムまで豊富なラインアップ。三喜は自社ブランド(MIKI)で工事会社向けのハンディテスタ(光源+OPM)を2024年3月にリリース。精工技研やNTTアドバンストテクノロジ(NTT AT)は光コネクタの端面研磨機や形状測定器を展示。 NECや住友電工は出展していない(富士通は古河より狭いブースで出展)。「Innolightが中国パビリオンではなく独立で大きなブースを構えたことは、光トランシーバは(三菱電機などもつくっているが)データセンタ向けなどの大量生産が国産の電機・半導体メーカではできないことを象徴している」(60歳代の光計測器エンジニア談)。つまり光伝送のキーデバイスである光トランスポンダは欧米と中国が生産の主体で、国産メーカはほとんど存在感がない。2000年頃の光海底ケーブル時代のメインプレーヤだった国産メーカのNECや住友電工は、光伝送の展示会であるCONMEXT 2024に出展していない。 5G/6Gコーナ(無線コーナ)には、森田テックやキャンドックスシステムズがアンテナカプラや暗箱を展示。商社の原田産業は無線通信機器を展示(EXFO製品は展示していない)。恒温槽の国内トップ、エスペックは「基地局の試験向け」と題して、暗箱仕様の環境試験器を展示。中国製のサーモストリーム(急速に温度を変化させてデバイスの評価をする環境試験器の1種)を出展する商社もあった(アールエムテック株式会社)。 (※) 400Gとは400GbE(400G bit Ethernet、つまり超高速のギガビットLANの1種)の略記である。データ伝送の高速化が進む米国や中国のデータセンタでは400G/800Gが普及している。さらに高速の1.6T(800Gの2倍の1.6テラ)も視野にあり、2025年のInteropではキーサイト・テクノロジーとViaviが1.6Tのアナライザをパネル展示している。 2025年は無線の出展社が前年より減った。光通信の計測器は前年とほぼ同じだが、EXFOはサンインスツルメントと共同出展(同社が会社名を掲げての出展は珍しい)。1.6TアナライザをPR。光貿易は従来からのフランス製の光測定器を前面に並べる。中国で2013年から光測定器を始めたDeviserが出展。展示の光スペアナはAQ-63xxと同等性能とのこと。オプトゲートも光技術を使ったソリューションを展示。InnolightはTeraHop(テラホップ)で出展。米中摩擦で中国国内はInnoligt、海外はTeraHopをブランドに変更。古河電工は富士通から買収した光トランシーバを展示。NECも光トランシーバを出展。富士通と住電は未出展。三菱電機もいない。「ネットワーク設備・配線施工WORLD」に緑屋電気が計測器を展示。ローカル5G WORLDに原田産業がEXFOを展示。

コリメータ(こりめーた)

(collimator) 光線を平行に集束させる機構。光源から放射される多方向のビームを平行な光線に揃える装置。そのほか、レンズの焦点距離・光軸などを測定する機器を指していることもある。 参考用語:オートコリメータ

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