計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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PCM(ぴーしーえむ)

(Pulse Code Modulation) パルス符号変調。アナログ信号をデジタル信号に変換するパルス変調の1種で、音楽を記録しているCDに採用されている。アナログ信号をデジタル化する手法として使われる。信号をサンプリング(標本化)して、振幅の大きさを量子化ビット数に対応するパルスに変換する。量子化ビット数(quantization bit rate、サンプリングビット数)とは「アナログ信号をデジタル信号に変換するときに、信号の振幅の大きさを何段階で表すかを示した値」。8ビットで256段階(2の8乗は256)、16ビットで65,536段階の精度になる。ビット数が大きいほど元のアナログ信号を忠実に再現する。PCMは大容量のデータを効率よく伝送でき、雑音も少ないので、電話網やインターネットなどの通信方式でも広く利用されている。 PCM方式の通信は、標本化→量子化→符号化の手順で行われる。量子化されたデータを符号化(coding)する。データの受信側では複合化によってデータを復元する。符号化と複合化をするデバイスをコーデック(CODEC:COder/DECorder)という。PCMコーデックのデバイスや装置を評価する測定器がPCMコーデックアナライザで、アンリツや安藤電気が1980年代につくっていた(現在は生産中止)。伝送交換の装置としてPCM方式の装置が導入されていた時代の話である。 富士通などの通信装置メーカは、1960年代に「PCM-24デジタル伝送装置」を電電公社(現NTT)に納品している。1950年代から音声(アナログ信号)を伝送装置でPCMによってデジタルに変換して伝送することが研究され、1960年代にPCM装置が導入されてアナログだった電話回線はデジタル化された。装置は年々改良され、通信網の長距離化、データ通信網の構築が進んだ。またこの技術が後にCD-ROMの信号処理など、コンシューマ製品に広く採用された。つまり、基幹通信網の伝送方式がCDの記録方式の元になっている。 PCM伝送装置の開発・評価用の計測器をアンリツと安藤電気はつくり、電電公社や通信装置メーカに販売した。1970~1980年代の安藤電気の計測器の技術部には電電公社向けの製品をつくる部隊があり、社内組織図では「PCM関連測定器を担当」と明記されていた。同社にはAP-9850 デジタルトランスミッションアナライザなど、形名の2文字目がPの製品があるが、PCM関連測定器が多い。

PBX(ぴーびーえっくす)

(Private Branch Exchange)企業内に設置される交換機。公衆電話回線がNTTやKDDなどキャリアの電話局内に設置された交換機によって回線がつながっていた時代に、1つの企業や、オフィスビル内にPBXが設置されることが多かった。企業内やビル内で内線のように短縮番号でダイヤルできた。外線につなぐときは「0」や「9」など特定の決まった数字を押すとダイヤルできた。IPネットワークが普及して交換機がなくなってくるとPBXも流行らなくなった。

PPG(ぴーぴーじー)

(Pulse Pattern Generator)パルスパターン発生器の略記。デジタル通信をしている伝送路やシステムの評価をするBERT(Bit Error Rate Test、ビット誤り率試験、バート)はPPGとED(Error Detector、エラー検出器)の組み合わせて構成される。以前はPPGとEDは別筐体だったが、最近はモジュール化されて1台でBERTができるモデルが多い(たとえばアンリツMP1900Aシグナル クオリティ アナライザなど)。

光伝送装置(ひかりでんそうそうち)

(optical transmission equipment) 光通信でデータ伝送を行う装置(システム)のこと。すでに基幹ネットワークでは光ファイバを使って伝送速度40Gbpsの高速通信と数100kmの長距離伝送が実用化されている。2000年頃までには複数経路の光海底ケーブルで主要な先進国(EU、米国、日本など)はつながっていた。海底には光ファイバと中継器(光アンプ)などが敷設され、陸上の陸揚げ局には光伝送装置がある。NECや富士通は世界的な光伝送装置ベンダーである。富士通製品は北米に導入実績が多い。 参考用語:WDM、Open APN

光モデム(ひかりもでむ)

(optical modem)モデムはデジタル信号を変調してアナログ回線で送り、受信側で復調して元のデジタル信号にする装置だが、回線(伝送路)をレーザーなどの光通信で行う機器を光モデムと呼称している例がある。たとえば、S製作所の海洋機器である水中光無線通信装置は、レーザーや可視光によって水中で通信をする。この製品は「水中で無線通信できる“光モデム”」と紹介されている。光モデムの定義ははっきりしない。光ファイバ通信で使われるO/E変換器やE/O変換器は電気も光もデジタルなので、「デジタルデータの電気信号をアナログの光信号に変換する」ということで、光モデムと呼称しているのかもしれない。 インターネットで光モデムを検索するとNTTなどのキャリアの「“フレッツ光”のサービスで使う、光回線の終端装置(ONU)はモデム、ルーターと何が違うか」や「“auひかり”のモデムとは」などの記事がたくさんヒットする。つまり「光回線のモデム」の説明が出てきて、「光モデム」の説明はない。著名なエレクトロニクス雑誌が何の脚注もなく「光モデムの新製品」などの記述をしているので、「光モデム」はエレキの技術者にとってすでに常識(基本用語)なのだと推測されるが、その正確な定義を筆者は見たことがない。ECサイトに「NTT光モデムの中古品」と題してONUが掲載されている例もある。ただし、「光モデムとはONUのことである」という解説ではなく、「ONUはモデムではない」と両者の違いを説明する例がネットに溢れている。 グレイテクノスの光測定器で、「RS-232C光モデム」RS2000/RS2001という製品がある。外観はコネクタの付いたケーブルで、RS-232Cの25ピンD-SubコネクタとF07光コネクタがついている。RS-232C(電気信号)を光信号に変換する機能があり、「ノイズに影響されない光ファイバを使用するコンバータ」と説明されているので、ケーブルは光ファイバと思われる。この製品はRS-232C(デジタル信号)を光信号に変換するが、光信号がアナログかデジタルかは仕様に記載がない。モデムというからには変調されてアナログ信号で光通信すると思われるが、単にノイズの影響を受けないために光に変換するならデジタルのままの方が簡単かつ安価ではないか?という疑問がある。その場合、品名は「RS-232C光変換器」や「RS-232C E/Oコンバータ」である。この製品の用途(アプリケーション)について、メーカHPには説明はないので、概要がよくわからない。

ビット誤り率(びっとあやまりりつ)

デジタルデータを伝送・復調した際に、送ったデータの中での誤りデータの比率のこと。別名:ビットエラーレート(Bit Error Rate)。

ビットエラー測定器(びっとえらーそくていき)

BER(Bit Error Rate、バー)の測定器。ビットエラーレート測定器を略した呼称。別名:「ビット誤り率測器」、「誤り率測定器」、「BER測」など。

ピンク電話(ぴんくでんわ)

特殊簡易公衆電話の通称。店舗内に設置される公衆電話で、電話機の色がピンク色であるため「ピンク電話」と呼称される。昭和の時代の喫茶店などの飲食店に多く設置されていた。貨幣やプリペイドカード(テレフォンカード)でかけられる一般の公衆電話(緑色や灰色)はNTTの管理であるが、ピンク電話は電話を設置している施設が管理するため、正確には公衆電話ではない。飲食店が家庭用の電話を店舗の業務用に兼用し、かつ店舗に入店した顧客が硬貨を投入したら発信できる機能を持っている。つまり受信は通常の固定電話で、発信は公衆電話になる。NTT東日本のホームページには「ピンク電話」というタイトルのページがあるが、掲載されているのはナンバーディスプレイ対応のCUBE型インテリアホンで、今どきのプッシュボタン型で(普及しているピンク電話は丸い穴の並んだダイヤル式でボタン型ではない)、色はピンクではない。 携帯電話の普及によって、固定電話機の加入者数は減り、公衆電話の設置個所も激減したが、震災や携帯電話回線のトラブル時には、携帯電話はつながらなくなり、固定電話が重要になる。NTTのピンク電話は、家庭の黒電話と同じく、加入者の資産ではなくNTTからの貸与である。そのため今でも古い店舗にはダイヤル式のピンク電話が現役で働いている。新しいピンク電話の加入契約は少ないと思われるが、前述のようにNTT東日本がまだ契約の案内を掲載しているので現行のサービスである。(2022年8月現在) NTTの電話機は電電ファミリーの各社が納品してきた。ダイヤル式の黒い固定電話(いまでもNTTから一般家庭に多く貸与されている)は岩崎通信機(岩通)、プリペイドカード(テレカ)が使える灰色の公衆電話はアンリツがつくっている。岩通のホームページでは「1951年に4号自動電話機(黒電話)を電気通信省に納品、1963年に600型電話(同じく黒電話)を日本電信電話公社(現NTT)に納入」とある。アンリツのホームページの沿革にも「1953年、料金後納式の4号式公衆電話機の量産化を開始」とある。ピンク電話のメーカは不明。(2023年5月) 電話機用の測定器としては安藤電気のテレフォンユニットテスタ(AE9302B/AE9303B)などがある。ISDNサービスを使うには電話機をISDN端末につなげば良いが、端末の試験にはISDN疑似交換機を使う(岩通や安藤電気がつくっていた。AE7311など)。多くの電話機から交換機に電話がかかり回線が混雑した状態をつくる(交換機に呼を与えて負荷試験をする)のが疑似呼(ぎじこ)で、たくさんの電話機の代わりをする測定器である。別名、コールシミュレータという(電話の負荷試験機ということだと、英語ではcall generator、「呼の発生器」の方が適切かもしれない)。電話機と交換機はインターネットの普及によってデータ端末(今のスマホも含む)とルータになり、疑似呼は過去の製品になったが、アンリツの看板製品、EFシリーズ(EF104A、EF111A、EF202A、EF203A、EF204A、EF401Aなど)があった。つまり、岩通やアンリツは電話機と電話機(や交換機)の試験器の両方をつくるメーカだった。いまや電話機は無線機器(携帯電話)が主流になり、擬似交換機や疑似呼という有線通信の測定器(伝送交換装置用測定器)は生産を終了している。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

輻輳(ふくそう)

(convergence)ネットワーク設備で通信が混雑した状態。輻輳が起きると電話などがかかりにくくなり、通信障害となる。KDDIが運営するauでは、2022年7月に大規模な通信障害が起き、完全復旧宣言は約86時間後という異例の事態となった。原因の1つは輻輳であった。2022年9月4日には楽天モバイルでも昼の約2.5時間にわたり約130万回線で音声やデータ通信がつながりにくい状態になり、総務省は「電気通信法上の重大な事故に該当する」と発表した。楽天モバイルは原因を輻輳と報告している。 電気機器に不具合が起きると、計測器は障害の起きている機器や部位を特定するために、障害の切り分けに使用される。ただし、輻輳はそのメカニズムがか必ずしも明確ではなく、計測器によって原因究明や復旧をすることは困難と思われる。保守や運用維持のために計測器は必須で、必ず常備されているが、輻輳の対応に活躍しているという話は聞かない。通信装置はほとんどコンピュータである。コンピュータは不具合が起きると、故障した部位や、怪しいと思われる箇所をユニットごと(たとえばプリント基板など)交換して、正常な動作に戻す。通信機器の不具合も解決が困難になっていると推測される。 日本の通信インフラの脆弱性が露呈している。今後、サイバー攻撃などで通信インフラが遮断されることはおおいに想定される。2022年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻では、ロシアはウクライナの基幹通信網を麻痺させたが、ウクライナの情報システム管理当局は個人のスマホやSNSを使った情報伝達の仕組みを準備していて、国民に正確な情報が伝わり、また戦地の状況もリアルタイムに共有されたという。このような有事に対する事前の備えが、数日でウクライナを占領できるとしたロシアの思惑を挫き、戦闘の決着を開戦当初の予想とは違う展開にしている。中国による台湾有事には同じことが日本に起こらないという保証はまったくない。日本の社会インフラは通信だけでなく水道や電力もサイバー攻撃に弱いことがすでに報じられているが、具体的な対策はこれから始まろうとしている(2022年9月)。通信網を不通にして、国民に情報が伝わらなくして戦争を有利に展開する手法が、現実的に使われるようになっただけでなく、(有事ではない)平時でも認知戦による攻撃が日常化している。

PON(ぽん)

(Passive Optical Network) NTTが2000年頃に提唱したFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)を実現する方式(通信規格)の1つ。NTTが考案した。光信号の分岐・合流によって、1本の光ファイバで複数の加入者に光回線サービスを提供する。次の3つで構成される。OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局側に設置された終端装置。光信号の送受信を行う。SPL(光スプリッタ):光信号を合分波するために設置された機器。ONU(Optical Nertwork Unit):加入者(家庭の個人などの利用者)側の光回線終端装置。光信号と電気信号の変換を行う。インターネットを利用した画像検索、対戦型ゲームなど大容量の高速通信の普及によってアクセス網は光ファイバの敷設が進んだ。NTTやソフトバンクの光通信サービス(フレッツ光など)のユーザが増えたので、ネット検索ではONUや光モデムということばが数多くでてくる。

MER(まー)

(Modulation Error Rate) 変調誤り率。TV関連測定器の測定項目にある。

モデム(もでむ)

(modem) MOdulation(変調)&DEModulation(復調)を略記した言葉。直訳すると「変復調装置」だが、すでに「モデム」は日本語となっている。日本全国に張り巡らされた電話回線はアナログの通信網として整備された。1980年代にデジタル式の電話機ができるまで一般の電話機(いわゆる家庭にあるダイヤル式の黒電話)はアナログ信号で伝送していた。PCはもちろんデジタル信号なので、PCと電話回線の仲介をモデムが行った。PCのデジタル信号を変調して電話回線で送信し、受信側では電話回線の信号をモデムが復調してデジタルデータをPCに渡した。モデムは遠隔地のPC同士でデータ通信したり、PCと電話回線を使ってインターネットに接続するために欠かせない装置だった。モデムにはモジュラージャックのコネクタ(RJ11)があり、モジュラーケーブルで物理的には電話回線と接続し、やり方はダイヤルアップ接続で使用された。2000年ころからADSLなどの新しい方式のデジタル通信が始まり、インターネットの普及とともに、ダイヤルアップ接続やモデムは使われなくなっていった。現在はルータやハブがネットワーク接続の主要な機器になったが、Wi-Fiのルータなどをいまでもモデムと呼ぶことがある。 モデムの試験をする測定器をモデムテスタという。

モデムテスタ(もでむてすた)

(modem tester) モデム(modem)は MOdulation&DEModulationの略で、変復調装置。デジタルデータを変調して回線で送り、受信側では反対に復調して元のデータにする。モデムの評価を行う測定器がモデムテスタ。公衆回線がまだアナログの電話回線が主流の時代は、デジタルデータを遠隔地に届けたり、コンピュータ間を通信するのにモデムが必須だった。そのため進化する各種のモデムに対応するモデムテスタが重宝された。電話のメタル回線は健在だが、デジタル通信、IP通信、光通信が主流になり、モデムの減少とともにモデムテスタの需要もなくなった。 計測器メーカとしてはプロトコルアナライザなどのデータ通信の測定器を多くラインアップしていた安藤電気や、通信装置&通信計測器のメーカである大井電気がつくっていた。 計測器情報:モデムテスタの製品例

横浜画像通信テクノステーション(よこはまがぞうつうしんてくのすてーしょん)

正式な会社名は「株式会社横浜画像通信テクノステーション」(略記:YTSC)。住所は神奈川県横浜市神奈川区新浦島町1-1-32 ニューステージ横浜1階。品質マネジメントシステムISO 9002の認証をJSA(日本規格協会)で取得していた(2001年現在)。「高度画像通信の研究開発を支援する」として1994年頃に設立した。 計測器レンタルとして通信計測器に特化した品ぞろえを行った(アンリツからの出向者など、人的な支援があった)。1990年頃に普及したISDNに対応したアドバンテストのD5111R、D5112AなどのISDNプロトコルアナライザなども揃えていた。1990年代から2000年代にかけては携帯電話のデジタル化や光海底ケーブルの新設など、通信インフラの拡充があり、高額な通信計測器のレンタルは大きな売上が見込めるビジネスだった。 会社は2006年9月30日に解散した様子で、いまとなっては概要不明である。毎年、総務省が発行する通信白書(「情報通信に関する現状報告」、略記:情報通信白書)の平成8年版には「通信・放送機構の出資により設立された(株)横浜画像通信テクノステーションは、NHKと共同で平成7年にMPEG-2確認実験を行い、MPEG国際標準化会合へ寄与文書を提出した」旨の記述がある(平成6年版の通信白書にも横浜画像通信テクノステーションのMPEGに関する記述がある)。また、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)の決算書類には「平成17年度までは横浜画像通信テクノステーションを連結対象としていた」旨の記述がある。同社は単に「アンリツがつくった計測器レンタル会社」という訳ではないようである。 同社の設立背景がどうだったかはさておき、1995年頃の同社は「アンリツからの人的支援があり、アンリツを中心とした通信計測器をラインアップする」、「通信計測器に特化したレンタル会社」だったのは事実である。約10年間、通信計測器専用レンタル会社として存在し、消えた、(いまとなっては)幻の計測器レンタル会社である。

レイヤ(れいや)

(layer)日本語訳は「階層」。主にプロトコル関連で使われる用語。インターネットなどの通信ネットワークは通信規約を階層ごとに規定している。各ハードウェアやソフトウェアは役割を担う階層(レイヤ)が規定されている。たとえばIPパケットを扱うルータなどの機器と、光伝送を行う伝送装置はレイヤが異なるのが普通である。たとえばケーブルテスタとプロトコルアナライザは評価(測定する)レイヤが違う。

レイヤ1(れいやわん)

通信機能を階層構造に分割した「OSI(Open Systems Interconnection)参照モデル」は第1階層(物理層)〜第7階層(アプリケーション層)の7階層で規定される。第1階層をレイヤ1(ワン)と呼ぶ。「レイヤ1計測器」はケーブルテスタ、OTDR、IDテスタなどで、通信線路(銅線や光ファイバ)の接続状態や物理特性(導通、損失、反射などの物理的な数値)を測定する。第2階層(データリンク層)・第3階層(ネットワーク層)は「プロトコルアナライザ(プロアナ)」、「オンラインモニタ」で評価される。計測器の品名からはレイヤ1テスタかプロアナかは判別しずらい例も多い。たとえば「ケーブルテスタ」という名称で、プロアナの機能があるモデルもある。計測器は品名(名称)からは機種群や機能が特定できず、他社の同等品を探し当てることが素人には難しい。ユーザの仕様に合った計測器の機種を選定する作業は、広範な計測器の知識がある専門職の仕事である。

レシーバ(れしーば)

(receiver)有線・無線通信で受信機や受信部品のこと。受信データはRx( Received data 小文字のxはデータの意味)と略記される。レシーバ(受信機)をRxと記述している例もある。

レベル計(れべるけい)

(level meter) 2つの意味がある。 1.通信回線内の信号の電圧レベルを測定する測定器。1980年頃まで電電ファミリーの アンリツや安藤電気 がラインアップしていた。アナログの伝送路の評価に使われる。選択レベル計は、現在の「広い変調帯域幅をもつデジタル通信」で活躍するスペクトラムアナライザ(スペアナ)のように、アナログ通信時代には使われた測定器なので、スペアナの1種と解説している文献もある(以下の参考記事)。アンリツの選択レベル計ではセレモなどがあったが、すべて生産中止である。通信工事用途の計測器をラインアップしている大井電気はレベル計をつくっている。 2.液体の高さ(液面のレベル)を測定する、計装の機器(工業計器、プロセス用途の計器類)である レベルセンサには静電容量式レベル計などがある。いくつかの方式によって名称が違うので、一括りにして「レベル計」と表記(呼称)している。 レベル計というと、(アナログの)通信測定器と、工場やプラントで使われる工業計器の2つがある。以前なら通信測定器のレベル計の方が圧倒的に市場規模が大きかったので、「レベル計といえば通信だ」と断言できたが、今は生産額が激減している。そのため現在では工業計器のレベル計のことを指しているという説明もできる。

レベルテストセット(れべるてすとせっと)

安藤電気の電話機用測定器、形名AE-9310の品名。テレフォンユニットテスタAE-9302/9303と併用されることもあった。