計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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ROADM(ろーだむ)

(reconfigurable optical add/drop multiplexer)光伝送装置の1種。日本語に翻訳すると「再構成可能な、光信号を追加/削除できる多重装置」。通信事業者のコアネットワークに設置されていて、光信号を縦横無尽に分岐・挿入できる装置。光スイッチ、合分波器やトランシーバ(O/E変換器とE/O変換器を含む)で構成されている。すでに2000年代から各ベンダー(国産ではNECや富士通など)が製品化し、ネットワークに導入されている。 WDMの普及によってOADM(光アド/ドロップマルチプレクサ)が光伝送装置の主要な機能となった。さらにReconfigurable(再構成可能)とは、装置内の波長選択スイッチによって、波長レイヤでWDMシステムからトラフィックをリモートで切り替える機能が追加された。 現在、ROADMの各機能は分離され、コアネットワークではなくアクセス網(PONなど)に配備されようとしている。従来、光伝送装置の代表であるROADMは各ベンダーが1社で装置をつくる(垂直統合型モデル)だったが、機能が分離するとともに仕様がオープン化し、マルチベンダーが光伝送装置を提供することになる。 2015年に米国AT&Tや富士通が中心となりOpen ROADM MSMという団体ができ、2021年のOFC(Optical Fiber Communication Conference & Exhibition、世界的な光通信の展示会)には複数企業がOpen ROADM製品を出展した。富士通はすでにROADMからWDM機能を分離した装置を製品化している。Open ROADMはNTTのIOWN構想の実現にも寄与する。

ロケータ(ろけーた)

(locator) ケーブル障害位置測定器の内、銅線などの電気の信号ケーブルの測定器を指す。正式にはケーブルフォールトロケーター(cable fault locator )。「ケーブルの欠陥の位置(fault location)を特定するもの」という意味。略してフォールトロケータやロケータと呼ばれる。原理はTDR(Time Domain Reflectometry、時間領域の反射法)で、光ファイバケーブルのときはOTDRや光パルス試験器と呼ばれる。 ロケータは、有線通信計測器の大手、安藤電気が1980年代につくっていた。テクトロニクスも同時期にラインアップがあった(以下の計測器情報が詳しい。2024年現在、Tektronix 1503 Cable Fault Locatorが海外の中古計測器販売サイトに掲載されている)。現在では国内メーカを含む大手・中堅の計測器メーカはロケータをつくっていない。欧米や日本などの先進国では有線通信の主力は光ファイバで、銅線ケーブルの障害位置検出はほとんど需要がなくなり、大手計測器メーカがつくるカテゴリーではなくなった。小型の現場測定器や電気工具の海外メーカがロケータをつくっている。ケーブルの埋設位置や水漏れ箇所を検知する検査機器をつくる株式会社グッドマンはロケータも取り扱っている。計測器のTDR(ロケータ)といえば、現在はグッドマンである。 絶縁抵抗計をラインアップする英国のMEGGER社(※)は「ケーブル用故障点標定装置」として、ロケータを複数モデルつくっている。国内の販売はマルチ計測器で、同社ホームページにはMEGGERのメガーを中心に掲載されているが、ハンドヘルドのケーブル障害位置測定器(ロケータ)も3モデル取り扱っている(2024年現在)。MEGGER以外にも海外メーカがアタッシュケース型のロケータをつくっていて、輸入商社が取り扱っている(計測器のメジャーな商社は取り扱っていない)。主要な計測器メーカ(海外、国内)がほぼ撤退したので市場の需要は少なくとも国内にはないが、海外メーカで現役モデルがあるのは、発展途上国向けかもしれない。 ローデ・シュワルツには「RF干渉ロケーター」というモデルがあるが、本稿のロケータとは別の製品である。 (※) MEGGER社は2010年頃に保護リレー試験器がラインアップにあり、関西電力などに計測器を納入する株式会社近計システムが販売店をしていた時期がある。現在のMEGGER社には保護リレー試験器はないようである。 ADAS(エーダス)などの自動車用語として、「ロケータ:センシングした情報から位置を特定する機構やアルゴリズム」という解説がある。加速度センサやGPSセンサ、カメラとマーカなどを使って、走行している自動車の位置を検出する技術が盛んである。塗料の世界的なトップ企業である日本ペイント株式会社は、特殊な塗料で道路にマーカを塗布し、GPSを補完する自動運転の手法を実証実験している(2024年)。

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