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- BER(ばー)
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(Bit Error Rate) 日本語では「ビット誤り率」、「符号誤り率」、「ビットエラーレート」などの表記がされる。デジタルデータを送るときに、送信装置から伝送路、受信装置を含めた、データ伝送の品質評価で、最も使われる指標。受信側が受け取った全データに対する誤ったデータの比率(誤ったビット数を受信した総ビット数で割った%)。送信時は1だったのに受信時は0になった(またはその反対)という現象が、何らかの原因(外来ノイズの影響や、装置の誤動作など)で起こる。具体的な数値としては10-9乗(10億ビットあたり1ビット)のように、非常に小さな値。デジタルデータは1ビットでも違うと正確に送受信ができないので、このBERを指標にして、誤り修正の対策を行い、間違いのない正確なデータを伝送するようにしている。ビット誤りはゼロにできないので、BERの評価は重要である。 BERはデジタル伝送の指標だが、ジッタは、デジタルに限らずアナログも含めた信号の品質評価に使われる。発音が似た用語のMER(マー)はテレビ・オーディオ測定器の測定項目だが、BERは多くの通信計測器に使われていて、頻繁に現れることばである。通信計測器の基礎用語といえる。
- BER測(ばーそく)
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「BER(Bit Error Rate、バー)の測定器」(または「BER測定」)の略称。BERはデジタル伝送の重要な評価項目のため、このような呼称をする技術者がいた。別称:「ビット誤り率測定器」、「誤り率測定器」、「ビットエラーレート測定器」、「エラーレート測定器」。BERTS(バーツ)は最もよく使われたBER側である。
- BERTS(ばーつ)
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(Bit Error Rate Test Set) BERT(BER測定)を、PPG(パルス・パターンジェネレータ)とED(Error Detector、エラー検出器)の組み合わせで行う測定器。ビット誤り率測定器の1種だが、1980年代には送信部と受信部がセットになったベンチトップのモデルがアンリツ、安藤電気、キーサイト・テクノロジーなどの伝送・交換装置用測定器のメーカから発売され、通信速度(bps)が高速の製品は1千万円の高額製品だった。通信計測器の中で、1製品で1カテゴリー(機種群)になっていた。アンリツのMP1761(PPG)とMP1762(ED)などがあった。 技術革新によって小型化され、現在では1筐体、ポータブルになっているので、あまりBERTSという表現はされなくなった。
- BERT(ばーと)
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(Bit Error Rate Test) BERの測定。誤り率試験のこと。日本語では「誤り率測定」、「ビット誤り率測定」、「エラーレート測定」などだが、BERT(バート)という表現も大変よく使われる。BERT(BER測定)に使われる代表的な測定器がBERTS(Bit Error Rate Test Set、バーツ)、誤り率測定器(ビットエラー測定器)である。ただし、最近はBERTSとはいわなくなった。2000年頃までNのBER測定は信号発生器(PPG:Pulse Pattern Generator)と検出器(デテクタ)の2台構成だったのでBERTS(BERTのSet)だったが、現在は1筐体にPPGとデテクタが収まっている。そのため「BERTはBit Error Rate Testerの略で、BER測定器のこと」、という説明になった。BER測定を略したBER測も2000年以前には見かけたが、最近は聞かなくなった。計測器の呼称(略称)は日進月歩である。 BERやBERTは通信計測器では大変よく使われることばで、たとえばキーサイト・テクノロジーの81250A/ParBERT(パラバート)、N4962A/シリアルBERT、テクトロニクスのBSX320/BERTScope(バートスコープ)、(形名/品名)などがある。 BERTの世界的なトップベンダーは日本のアンリツである。高周波の老舗キーサイト・テクノロジーも最先端モデルを発売し続けていて、この2社が世界的なブランドとなっている。
- バートウェーブ(ばーとうぇーぶ)
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(BERTWave) アンリツのMP2100シリーズ、MP2110シリーズの品名。BERT(バート)にオシロスコープ機能を盛り込んだ製品で、アイパターンとBERの両方の測定が1台でできる。 デジタル伝送の品質評価は、オシロスコープで時間波形を表示してアイパターンを確認することと、BERT(パルス・パターン・ジェネレータと検出器の組み合わせによるビット誤り率測定)の2つで行われる。PCI Express (PCIe)のような高速データ通信ではオシロスコープ(アイパターン測定)とBERT(BER測)が規格試験(コンプライアンステスト)で規定されている(以下のテクトロニクス記事に例がある)。アンリツはBERTの世界No.1ベンダである。 BERTのトップメーカである同社が、「BERTでアイパターン測定もできたら1台で済む」、と開発したのが「オシロ機能のあるBERT」のBERTWave(バートウェーブ)である。初号器のMP2100Aは大画面にアイパターンを表示して、製品の外観は最近主流の大画面オシロスコープのよう(オシロスコープのように操作部はなく、コネクタと表示部しかない)。MP2100シリーズは、MP2100B、MP2101AバートウェーブPE、MP2102AバートウェーブSSなどがあったが、2017年に後継のMP2110Aが発売された。MP2100よりも小型で、外部のモニタに表示させるため、本体に表示部はない(外観はコネクタが並ぶ箱)。2019年3月には「4チャンネルのサンプリングオシロスコープを搭載できるオプション」を発売、2021年7月にはサンプリングオシロスコープの機能を強化し、PAM4の評価に必要な機能を追加するシグナルプロセッシングソフトウェア(オプション098)を開発した。業界ニュースとして「MP2110AサンプリングオシロスコープのPAM4評価機能を強化」と報じたメディアもあった(MP2110AをBERTではなくオシロ、と表現している!)。 BERTは1990年代まではPPGとED(Error Detector、エラー検出器)の2筐体で、サイズも大きなベンチトップで、もっぱらBERTS(バーツ、Bit Error Rate Test Sets)と呼ばれたが、技術革新によってPPGとEDは小型になり、モジュール化され1筐体で可搬型になった。当時のアイパターン測定はリアルタイムオシロスコープよりも帯域が広いサンプリングオシロスコープで行われた(キーサイト・テクノロジーのDCAなど)。ところが2000年代後半からリアルタイムオシロスコープの周波数帯域が広くなり、2010年代には数10GHzモデルが登場する(広帯域オシロスコープと呼称)。アイパターン測定はGHz帯域のリアルタイムオシロスコープで行われるようになり、サンプリングオシロの需要は減少した。 キーサイト・テクノロジーは2018年に周波数帯域110GHzの世界最速のオシロスコープを発表する(以下のキーサイト・ワールド 2018が詳しい)。同社はアンリツに次ぐBERTメーカである。2023年の自社イベントでは「64Gbaud(ボー)を超えるPAM4信号のBER測定は、同社の広帯域オシロスコープを使い、取得した波形から誤り率を算出する方法で120Gbaudまで対応できる」と提案した。送受信で64Gbaud超のPAM4をリアルタイムに評価できるBERTはまだ存在しない(アンリツも実現できていない)ので、オシロスコープがBERTの代わりになる(以下のKeysight World 2023年の記事が詳しい)。アンリツのBERTWaveと全く逆のアプローチである。 2000年代以降に広帯域なリアルタイムオシロスコープが登場し、BERTもラインアップするキーサイト・テクノロジーはオシロスコープでBER測定するソリューションを提案した。BERTメーカのアンリツはBERTにサンプリングオシロスコープ機能を搭載して、BERTでアイパターン測定ができるモデルBERTWaveを開発した。いまやBERTとオシロスコープが競合する時代となった。 広帯域オシロスコープでキーサイトと競っているテクトロニクスはBERTをラインアップしていない。2023年のテクトロニクス・イノベーション・フォーラムでは、BERTやオシロスコープとは全く違う手法によるPCIeの評価手法を提案している。リンク・トレーニングによるマージン・テスタTMT4である(以下の記事が詳しい)。高速デジタル通信の品質評価のアプローチは、3社ともに特長がでている。
- パターンジェネレータ(ぱたーんじぇねれーた)
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(pattern generator) パルス波形とパルスパターン波形を作成して出力できる信号発生器。一般にパルスジェネレータは単純なパルス列(方形波)を1~2ch出力するが、より複雑なロジック・パターン(パルスパターン)を出力する特殊なパルス発生器をパターンジェネレータと呼ぶ。代表例はBERT(ビットエラーレート試験)に使う信号発生器であるPPG(パルスパターンジェネレータ)がある。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「パターンジェネレータ:ロジック信号発生器の一種で、多数のチャンネルのデジタル・パターンを生成する」とある。ロジックアナライザ(ロジアナ)の機能(オプション)にはパターンジェネレータ(任意のロジック・パターンを多chで出力する)があり、ロジック回路の論理機能試験に使われる。 このようにロジアナ(テクトロニクスやキーサイト・テクノロジー)や、伝送路の品質評価に使うPPGなどの通信の測定器(アンリツやキーサイト・テクノロジーなど)にパターンジェネレータは使われている。パターンジェネレータをデータジェネレータと呼ぶメーカもある。また前述のテクトロニクスの用語解説でわかるように、同社はロジック信号発生器という呼称を好んで使っているが、キーサイト・テクノロジーやアンリツはパターンジェネレータやパルスパターン発生器のような表現が多い(「ロジック信号発生器」なる表現はしていない)。 また上記のテクトロニクスの説明では「パターンジェネレータは多ch」といっているが、通常、パターンジェネレータは1ch(または2ch)で、多チャンネルの場合はparBERT(パラバート、キーサイト・テクノロジーの多chのBERT、パラレルバート)などの製品になる。テクトロニクスの解説はロジアナについての解説で、一般的なパターンジェネレータは、アンリツやキーサイト・テクノロジーなど、BERTをラインアップするメーカのモデルを指していることが多い。メーカによって解説が異なる好例といえる。 TV信号には国別に違う方式があり(NTSCやPAL、ISDB-Tなどの規格)、それらのパターンの発生器をパターンジェネレータと呼称している。このようにロジアナや通信計測器、テレビ・映像測定器で使われる用語だが、それ以外の測定器にも使われているケースもある。
- PAM4(ぱむふぉー)
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(Pulse Amplitude Modulation 4-level) 翻訳すると「4値パルス振幅変調」。代表的なデジタル通信のNRZ信号などは、0と1の2値で伝送している(PAM2)。400 Gbpsのような高速通信では00~11の4値で伝送する手法が主流となる。超高速伝送が研究され、PAM4という信号方式が規定されるようになった。近年規格化された車載Ethernetの100BASE-T1は、EMC対策としてPAM3を採用している。このように従来の0/1だった信号方式は、ギガビットクラスの高速伝送では3値、4値の方式になっている。
- パラレル(ぱられる)
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(parallel) 並列、平行、並行、同時進行、などの意味がある。 信号線が複数本(並列している)通信方式をparallel communication(パラレル通信)と呼ぶ。複数の信号線はバスといい、パラレル通信の信号線はデータバスなどの呼称がある。信号線が1本(送受信が別の場合は2本)の通信方式はシリアル通信という。seriarlは「順次」という意味で、1ビットずつ順次伝送する。 横につなぐparallel connectionは「並列接続」で、抵抗を並列接続すると抵抗値は加算されて大きくなる。計測用電源を並列接続すると出力電流が加算されて大きくなる(並列接続できるモデルであることと、接続可能な台数はモデルによるので確認が必要、できないものも多い)。接続方法でパラレルと対になるのはシリーズ(series)で、直列(または系列)という意味。電源を直列接続(series connection)すると出力電圧が加算されて大きくなる(直列接続可能なモデルに限る)。 通信方式ではパラレルとシリアル、接続方式ではパラレルとシリーズが対になることばである。
- パラレル通信(ぱられるつうしん)
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(parallel communication) 複数本の信号線で伝送する方式。「パラレル伝送」や「パラレルインタフェース」などとも呼ばれる。コンピュータ関連のバスによく使われる。規格の例は、ISA、ATAPI(アタピー)、SCSI(スカジー)、PCIなど。セントニクスに代表されるように、1980年代にはパラレル伝送が多かったが、2000年頃からの情報家電製品への高速シリアル通信の普及によって、現在はパラレルよりシリアルの通信方式が流行りである。 技術の進歩によって伝送速度が速くなり、複数本のデータバスでなく1本の通信線でも十分に高速な伝送が可能になったことが背景にある。パラレル通信方式は複数本の通信線が必要なので高価だが、昔はそうしないとデータをたくさん送ることができなかった。伝送速度を速くするより、通信線を複数本にすることで、全体としての伝送速度を速くしていた。ただしクロックを送る制御線は、すべての通信線と同期させる必要があり技術的に高額になる。 CPUなどのデータバスはパラレル通信だが、2つのバスをつなぐとき(たとえばあるCPUが稼働しているプリント基板から、違うCPUのプリント基板にデータを送るなど)、パラレルからシリアルに変換して高速シリアル通信し、受信側では反対にシリアルからパラレルに戻すやり方が主流になっている。これをSerDes(サーデス)やシリアライザと呼ぶ。このようなインタフェース変換の手法が使えるのも、シリアル通信が高速にできるようになったためである。 parallelは並列、平行、並行などの意味。
- パルスパターン(ぱるすぱたーん)
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(pulse pattern) デジタル信号はhigh/low(1/0)の組み合わせの特殊な方形波で、意味のあるデータを2進数にして伝送する。1と0がランダムに続く信号をパルス列やパルスパターンと呼ぶ。デジタル伝送の送信機器~伝送路~受信機器までのシステム全体の品質評価をする指標にBER(ビット誤り率)がある。この測定は任意のパルス列(パルスパターン)を出力できる特殊なパルス発生器であるPPG(パルスパターンジェネレータ)と、ED(エラーでテクタ)の組み合わせで行う(現在はPPGとEDが1筐体に収まった製品が多い)。
- パルス・パターン・ジェネレータ(ぱるすぱたーんじぇねれーた)
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(Pulse Pattern Generator)通常はPPGと略記される、パルスパターン発生器。エラー検出器(ED:Error Detector)との組み合わせでビット誤り率試験(BERT:Bit Error Rate Test、バート)を行う。光通信などのデジタル通信の伝送品質の評価に使われるため、パルス列のパターンを作成し、高速に正確に出力できるパルスジェネレータ(PG)の1種。テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「ロジック信号発生器の一種で、少数の出力チャンネルから方形波またはパルスの列を、通常は非常に高周波で生成できる。パルス・ジェネレータとも呼ばれる。」とある。PPGはPGの1種だが、両者の区別は、BERTの時はPPGと呼ぶなど特別なアプリケーション時にPPGという表現が使われている。
- 反射(はんしゃ)
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(reflection) 電磁波が伝送路を伝わるとき、媒体が違う面や、特性インピーダンスが異なる箇所では少し反射されて、信号源側に戻る現象が起こる。高周波の基本理論の1つ。 一般的に反射は電気回路に悪影響を及ぼすので、なるべく反射が小さな値になるように、反射が起こりにくいようにしている。MHzオーダで使用するオシロスコープでも反射は起こっている。GHzオーダの無線通信や、もっと波長が短い光ファイバ通信では、反射は重要な評価項目になっている。キーサイト・テクノロジー のネットワークアナライザ関連の製品に、伝送特性や反射特性の測定器として「伝送/反射テスト・セット 41952A/B」や「伝送/反射テストキット 35676B、8502A」などがあった(生産終了)。 逆に反射を応用した測定手法がTDR(Time Domain Reflectometry、時間領域反射法)である。サンプリングオシロスコープによる伝送線路のインピーダンス測定や、光ファイバの破断点検出(OTDR)に応用されている。最近ではOFDR(Optical Frequency Domain Reflectometry、光周波数領域反射測定法)によるひずみ測定器が開発されるなど、反射を応用した測定手法は多い(以下の参考記事が詳しい)。
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