計測関連用語集

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ネットワークマスタ プロ(ねっとわーくますたぷろ)

(network master pro) アンリツのOTN/SDH/SONET関連測定器(OTN、SDH/SONET、PDH/DSnインタフェースを持つネットワーク装置やデバイスの評価測定器、古くは1990年代の SDH/SONETアナライザなど)の現役モデルMT1000A、MT1040Aの名称(品名)。 MT1000Aは通信速度1.5M~100Gbps(bit/s)に対応し、名称のサブタイトルに「イーサネット/CPRI/OTDRテスタ」とある。MT1040Aは10M~400Gbpsに対応し「400Gテスタ」と表記されている(2023年同社ホームページより)。本体はメインフレームで、測定モジュールを実装して各種の通信方式に対応するモジュール式計測器である。10GマルチレートモジュールMU100010Aを使うと、1.5M~10Gbpsの通信ネットワークの開通・保守に必要な機能・性能になる。つまりフィールドでの使用を想定していて、OTDRモジュールもある。ネットワークマスタ プロは、さまざまなネットワークの開通保守に対応するアンリツのプラットフォームの名称といえる。MT1040Aは400Gイーサネット(400GbE)の物理レイヤを測定する小型(B5サイズ)の測定器で、同社は「業界最小サイズ」とPRしている。400Gイーサネットはデータセンタ内の通信で導入が進んでいる。 NTT(旧電電公社)は日本の基幹通信網を整備してきたが、時代と共に新しい伝送交換の装置が開発・導入されてきた。NTTは研究・開発を行い、実際の機器の設計・製造は電電ファミリー各社が行って、NTTに納品した。伝送交換の通信機器は日本電気、富士通、沖電気、日立製作所(いわゆる「NFOH」と呼称される交換4社)がつくり、装置を試験する計測器はアンリツや安藤電気などが設計・製造した。たとえばITU-Tが規定した世界的な共通規格「SDH/SONET」に対応する伝送装置(1990年から導入開始された新同期網)を試験するのがSDH/SONETアナライザである。インターネットが普及しネットワークのキー装置としてルータが登場し、交換機が主要な通信装置でなくなるまで、アンリツと安藤電気は伝送/交換装置用測定器をつくり続けた(形名はアンリツがMPxxxxA、安藤電気はAP-xxxxが多い。x:数字4文字)。 アンリツの1990年代のSONET/SDH/PDH/ATMアナライザMP1570Aは、小型・可搬型、モジュール式で、当時の多くの通信規格に対応したヒット製品だった。後継品はネットワークパフォーマンステスタMP1590A/Bで、その後継がMT1000A、MT1040Aになる。1990年頃の「SDH/SONETアナライザ」が、IPの普及によって、規格名称を品名にすることがなくなり「ネットワークパフォーマンステスタ」、「ネットワークマスタ プロ」と変遷したことがわかる。また、従来この分野の測定器(伝送/交換装置用測定器)は形名の頭がMPだったが、アンリツの現役モデルはBERTしかなくなった(MP1900AとMP2110A。2033年11月現在)。 形名MTは同社のtester(テスタ)を意味し、ワンボックステスのような総合試験器である。その意味では通信計測器の主力(大きな売上を占めた)伝送/交換装置用測定器はほとんど縮小し、ギガビットAN(GbE)などの高速通信規格に対応する総合評価ツールが有線通信の主力測定器になったといえる。ただし、SDH/SONETは装置としては現役なので、同社のネットワークマスタ プロの機種群(カテゴリー)のタイトルは「OTN/SDH/SONET関連測定器」である。通信網や通信規格の変遷(歴史)を知らないと、通信計測器の品名から何の測定器(どのカテゴリー)か、正しく理解することはできない。通信計測器は知識のある人達だけのニッチな村社会である。

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