計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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コアネットワーク(こあねっとわーく)

(core network) 通信回線の中で、基幹通信網のことを指す。通信網の中枢で大容量の回線の部分のこと。背骨の意味でbackbone(バックボーン)とも呼ばれる。コアネットワークは光ファイバや光伝送装置によって運用されている。通信容量(トラフィック)を増加させるときにコアネットワークの仕様が話題になる。コアネットワークの先につながる各ユーザに近い回線網をアクセス網や、足回りと呼ぶ。アクセス網を光ファイバにして高速にしたのがPON(Passive Optical Network、ポンと呼称)である。 この用語は、2010年以降に使われるようになったと記憶している。それ以前は基幹通信網とか、基幹回線などの表現がされていた。通信網の一番最速で通信容量が大きい箇所(通信網の最大速度など、仕様を決定している回線)のことである。2000年以降にWDMなどの光伝送技術が導入されて、現在のコアネットワークは光ファイバと光伝送装置によるOTNになっている。

交換(こうかん)

電話をつなぐ仕組みや装置のこと。主にNTTが設備している固定電話機をつなぐ仕組みのこと。中心の装置である交換機を指していることもある。

高速デジタル(こうそくでじたる)

(high speed digital) 「高速デジタル信号」、「高速デジタル伝送」、「高速デジタル信号伝送」などの略記。NTT東/西日本とNTTコミュニケーションズが提供する64k~6Mビット/秒のデジタル信号を伝送する専用回線を「高速デジタル専用線」、この回線の使用プランの名称を「高速デジタル伝送サービス」という。 オシロスコープ(オシロ)のトップベンダであるテクトロニクスはオシロの解説書などで「高速デジタル信号の解析には広帯域オシロスコープを使い」などの表現がある。キーサイト・テクノロジーが2023年に開催したKeysight World(プライベートショー)の2日目のタイトルは「高速デジタル 光電融合トラック」で、高速デジタルに該当する展示コーナは「PCI Expressのプロトコル試験」、「Rx試験 ケーブル試験」、「Tx試験 電源ノイズ評価」、「送信波形評価」、「BER特性評価」、「高分解能TDR測定環境」などがあった。展示された計測器は高速オシロスコープ(周波数帯域33G~110GHz)、サンプリングオシロスコープ、BERT(PAM4/64G baud)、AWG(256G S/s)などである。すべて高速デジタル信号の評価に関係するモデルである。 このように、大手計測器メーカのキーワードに「高速デジタル」は頻繁に使われる用語である。 高速デジタル信号とは具体的な数値で、何bpsの信号速度を指すのか、は説明が難しい(時代とともに、現在のホットな最先端の高速デジタルの仕様が話題となる)。高周波とは何Hz以上の周波数を指すのかを示すのが困難(説明者や内容によって「高周波」と表現している周波数の値が異なる)ことと似ている。技術用語は、あるレベル以上の知識がある人たちで共有され、理解されているので、まったくの素人に説明することが難しい。

コーデック(こーでっく)

(CODEC) COder/DECorder(コーダー/デコーダー)の略語。データのエンコード(符号化)とデコード(複号・復元)をする部品・装置。音声・動画を圧縮して伝送するときに使われる。アンリツや安藤電気という通信計測器メーカにコーデックアナライザなどの名称のコーデック評価用の測定器があったが、現在は生産中止である。モデム(変復調器)がモジュレーション(変調)とデモジュレーション(復調)の合成語なのに似たネーミング。参考用語:モデムテスタ

コーデックアナライザ(こーでっくあならいざ)

データの符号化・復元をするコーデックを評価する測定器として、アンリツの MS369B PCMコーデック アナライザがあった。同業の通信計測器メーカの安藤電気にも似た製品があったが、両社とも現在は生産中止。映像関連の製品として、株式会社ニコンシステムのHEVC/H.265コーデックアナライザー265CA1(HEVC/H.265の規格に準拠したデータを効率的に解析)が販売されている。

コールシミュレータ(こーるしみゅれーた)

(call simulator) アンリツの疑似呼 の品名。他社の擬似交換機でも同じ品名があるが、コールシミュレータといえば、アンリツの疑似呼のこと。交換機に多くの呼を与えて試験する測定器。 形名はEF104A、EF111A、EF202A、EF203A、EF204A、EF401Aなどがあったが、交換機の衰退とともにすべて製造中止となった。 同社には似た形名でEF201A、EF201B、EF211Aがあるが、これらはプロトコルアナライザでコールシミュレータではない。EF201AとEF202A/Bは1文字違いで大変間違いやすい。

呼制御(こせいぎょ)

(Call Control)電話の発信、着信の際、通話を始めるための準備と通話が終わった後処理を制御する仕組み。IP電話などで呼制御をするために、SIP(Session Initiation Protocol)やH.323などの呼制御プロトコルが使われる。呼制御は(インターネット、IP網などの)IT用語といえる。ただし呼制御は「シグナリング」ともいわれる。現在主流の携帯電話はデジタル方式の無線で行われ、その呼制御の試験器として「シグナリングテスタ」がある。つまり、電話機の用語であった呼制御はインターネット時代のIT用語であり、デジタル無線通信用計測器「シグナリングテスタ」の用語でもある。機種例として、アンリツW-CDMAシグナリングテスタMD8480Aは、メーカ発売時の価格は約3千万円/台という大変に高額な製品だった。

コンプライアンステスト(こんぷらいあんすてすと)

(compliance test) 規格に適合しているかチェックするための認証試験のこと。規格の要件に適合しているか確認するための試験なので、規格認証試験や規格適合試験、認証試験、規格試験などの呼称があるが、コンプライアンステストという表現が良く使われる。近年、デジタル通信は伝送速度の高速化、信号の低電圧化(省エネ)が進み、日々、多くの規格が誕生している。高速な電気信号は品質が悪いと誤動作の原因となるため、規格で定められた複数の試験項目により、適合性を判断する必要がある。各規格によって規格作成機関があるように、規格の認証試験をする機関がある。 たとえばアリオン株式会社はコンプライアンステストの会社として有名。30年以上の歴史があり(日本法人は2002年設立)、電子機器の包括的なテスト、設計品質の検証、技術コンサルティングなどを行っている(同社ブランドの計測器もあり、以下の計測器情報を参照)。 PCI Express(PCIe)やHDMI、100BASE-T1など、高速デジタルに注力している計測器メーカがコンプライアンステストの評価機材(具体的な計測器)を提案している。キーサイト・テクノロジーやテクトロニクスが毎年開催する自社イベント(Keysight Worldやテクトロニクス・イノベーション・フォーラム)には、これらメーカの機材を使い事業をするコンプライアンステストの会社としてアリオンも出展していることが多い。アンリツも2023年のテクトロニクスのイベントには機材提供と説明員派遣をしている。 コンプライアンスは法令順守など、企業の倫理規定、行動規範として使用される用語だが、complianceを翻訳すると、「追従」、「応諾」である。「認証」の英語はcertification(サーティフィケーション)なので、コンプライアンステストは単に認証だけではない範疇の用語といえる。「コンプライアンス・テスト」という表記もある。

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