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- 疑似呼(ぎじこ)
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(call simulator/traffic generator) 計測器としての「疑似呼」は交換機の試験機。交換機にたくさんの電話機がつながったとき(発呼や着呼)、交換機が正常に動作するかを試験する。多くの電話機(呼)の代わりをして交換機に負荷をかける測定器。反対に電話機などの端末の試験機は疑似交換機。日本の疑似呼メーカは電話機などの情報通信装置メーカだったアンリツ。コールシミュレータの品名でEF104などの製品があった。通常、アンリツの計測器の形名はMS2830 スペアナ、MG3703 信号発生器、のように頭がMではじまる。これは計測器事業部門の製品であることを示すMeasure(計測)に由来すると思われる。コールシミュレータは電話機をつくっていた事業部門の製品で、MでなくEで形名がはじまる。電話機や情報通信装置を手掛けてきたので呼制御の技術があり、疑似呼を製品化できたと思われる。同様にNTTに通信計測器を納入してきた安藤電気や、電話機を納入してきた岩崎通信機には疑似呼はない。呼制御などの疑似呼の基礎技術は、後のデジタル無線通信時代のアンリツのシグナリングテスタ(呼接続試験機)につながったといえる。 以下のような解説がある。「疑似呼発生器(traffic trials generator):携帯電話の利用者が一時的に集中する状況を模擬するために、集中負荷疑似呼を発生させ、実際にフィールドで発生する状況に即した無線基地局装置の疑似呼試験を行う」。この解説ではtraffic trials generator(情報量・試練・発生器)なる英語が使われているが、コールシミュレータ(call simulator)またはトラフックジェネレータ(traffic generator)が擬似呼の別名では使われる。固定電話の時代は交換機の試験に疑似呼が活躍したが、携帯電話の時代になると、アンリツは「シングナリングテスタ」という看板製品をつくった。 2025年現在、ネット検索しても疑似呼の情報はみつからない。アンリツHPにも疑似呼の資料はない。NTTドコモの技術誌には「試験呼」という用語の解説がある(NTT DOCOMO Technical Journal Vol.22 No.3 36ページ)が、最近は疑似呼という表記はほとんどみられなくなった。現在ではコールシミュレータも生産中止のため、その古い品名である疑似呼はすでに死語といえるかもしれない。 疑似呼を英訳するとpseudo callだが、この意味は「いつわりの呼」、「偽の呼」で、正しい英語にならない。疑は「うたがう」という意味がある漢字である。
- 擬似交換機(ぎじこうかんき)
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(network emulator、exchange simulator) 有線通信測定器の1種。電話機などの端末の性能試験に使われる、交換機の代わりをする測定器のこと。別名、ネットワーク エミュレータ(network emulator)、ネットワーク シミュレータ(network simulator)、回線シミュレータ。 インターネットが普及する2000年代まで、電話機などの端末同士をつなぐのは交換機が担った。そのため、アナログの電話回線の代わりをする(通信回線と同じ機能を持ち、動作をする物)をアナログ擬似交換機、ISDNなどのデジタル回線の代わりをする物をデジタル擬似交換機と呼んだ。NTTが新しい通信サービスを開始するとき、それに対応した電話機などの、新しい機能を持つ端末を開発・試験するために擬似交換機が必要になる。1988年にNTTが「INSネット64」、「INSネット1500」というISDNサービスを開始する際は、そのサービスに対応するDSU(Digital Service Unit、ディーエスユー)やTA(Terminal Adapter、ターミナルアダプタ)などの端末機器が発売されたが、それら端末の開発・試験にはISDNに対応した擬似交換機が使われた。ISDNは2000年頃まで契約者数が増えたので、ISDN擬似交換機は複数メーカが発売した。 アナログ擬似交換器の老舗はアドシステムズで、X-4000シリーズ(X-4008 アナログ交換シミュレータなど)が有名。アナログ通信時代の通信計測器をラインアップしていた株式会社ニシヤマもEXCEL9204などを販売。三和無線測器研究所はAX267。これらはすべて生産終了(ニシヤマは2023年11月現在、EXCEL-N000シリーズを販売している)。現在は「松本無線パーツ株式会社岩国」が@約4万円で、電話回線疑似交換機(Network Simulator)TK-7598Wモジュラー縦置きタイプ、TK-7598WHモジュラー横置きタイプの2モデルを販売している。同社ホームページには「電話網のシミュレーションを行うための疑似交換機(ネットワークシミュレーター)で、各種電話機やFAX(ファックス)等の電話端末装置を、加入者回線に接続することなく試験やデモンストレーションができる。ナンバーディスプレイ対応。」とある(2024年5月現在)。 1988年に日本でISDNが開始されるまでは、擬似交換機はアナログの電話回線用が大半だったと筆者は推測する。ISDNが始まってISDN擬似交換機が計測器として各メーカから発売され、擬似交換機の主流はデジタルになったが、現在は主要な計測器メーカは擬似交換機をつくっていない。工場・防災・監視システムメーカの株式会社ハウは、アナログ電話回線用と「ISNネット64」用の疑似交換機をラインアップしている。有線電気通信機器メーカの甲賀電子株式会社はISDN擬似交換機を複数モデルつくっている。 emulateは「倣う」なので、「まねをする、代わりの動作をする」ものをemulator(エミュレータ)という(エミュレータの代表にICEがある)。simulation(シミュレーション)も「見せかけ、ふり、擬態」などの意味で、「模擬実験」の計測器をシミュレータと呼んでいることが多い。交換機の代わりをする擬似交換機はネットワーク エミュレータ(やシミュレータ)と呼ばれる。ネットワーク(通信回線)の代わりをする擬似通信網(擬似通信回線)という意味である。交換機は英語でexchangeなので、擬似交換機を単純に英訳するとpseudo exchangeになるが、計測器の擬似交換機は英語ではnetwork emulator(またはexchange simulator)が適切と筆者は思う。 ネットワーク機器に多くのアクセス(トラフィック、情報量)を与えて動作を評価する測定器を、負荷を与えるということで日本語では「負荷試験機」と呼ぶが、英語表記はtraffic generator(トラフィック発生器)で、負荷の英語であるloadではない。交換機に多くの電話機からアクセス(呼、call)が集中した際に正常な動作ができるか確認する測定器を疑似呼(ぎじこ、英語ではcall simulator、コールシミュレータ)という。多くの電話機が交換機につながろうとしてアクセスする(呼の負荷をかける)、多くの電話機(呼)の代わりをするのが疑似呼である。負荷試験機や疑似呼は通信回線にある機器(ネットワーク機器)に多くの機器からアクセスがある状況をつくり(トラフィックの負荷をかけて)評価し、擬似交換機は(交換機などのネットワーク機器ではなく)ネットワークにつながる端末(電話機など)を評価する測定器である。ただし、2000年代以降は交換機があまり新設されず、擬似交換機でなくネットワークシミュレータといういい方が増えている。また、負荷試験機をネットワークシミュレータと呼称するメーカもあり、品名からは両者の判別がつきにくくなっている。 余談だが、上記メーカはほとんど「擬似」交換機と表記しているが。「疑似」交換機という記載も散見する。日本語としては擬似のほうが疑似よりも多いという解説がある。LISN(擬似電源回路網)、擬似音声発生器など、計測器も「疑似」より「擬似」が多い。ただし呼制御の測定器は「疑似呼」である。計測の技術用語は、微小と微少、擬似と疑似のように、メーカによって表現が違い、統一されていない。計測器はニッチな製品で、計測器業界は村社会のため素人が理解しにくい所以である。
- 擬似ランダム・ビット・ストリーム(ぎじらんだむびっとすとりーむ)
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高速シリアル通信の波形評価では、ランダムな信号がテストパターンとして使われる。別名:擬似ランダム信号。 テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説では「擬似ランダム・ビット・ストリーム(PRBS):ランダムに繰り返される数字の列から構成される1 組のシーケンス。乱数のように見えるが、実際は予測可能な数学的パターンに従う。デジタル・システムでランダム・ノイズを作成するために使用される。」とある。略記:PRBS:Pseudo Random Bit Stream(or Sequence)。
- Cat(きゃっと)
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(Category) LANケーブルの種類の名称。対応する規格や通信速度を規定している。たとえばCat5(カテゴリ5)は100BASE-T、100Mbpsなので社内LANに多く使われている(※)。ケーブルテスタの仕様には、対応するカテゴリが記載されている。表記は「CAT」や「カテゴリー」もある。読み方は「キャット」と「カテゴリ」の両方がある。以下の測定カテゴリ(※※)と表記や読み方(発音)がほぼ同じなので注意が必要。 LANケーブルのCatには、Cat5、Cat5e、Cat6、Cat6A、Cat7、Cat7A、Cat8などがあり、数字が大きいほど高速通信に対応し、価格も高額である。LANケーブルには「Cat.5」や「CAT.6」などの印字がされていて、種類が判別できる。家庭でインターネットにつなぐのはCat5eかCat6、動画視聴やオンラインゲームはより高速に対応したCat6AかCat7が適している。 (※) Cat5は1991年に認証されて、ツイストペアのケーブルとして企業内でLANとともに普及したが、1999年に拡張版のCat5eができ、現在の主流はこちら。両規格ともコネクタはRJ-45。Cat5はイーサネットの10BASAE-T、100BASE-TXに対応し、最大通信速度100Mbps(いまとなっては低速となった)。Cat5eは光回線などのギガビットLANに対応したケーブルで、1000BASE-Tが使える。性能を向上させ、クロストーク(ケーブル間の干渉、隣の通信の漏洩)が起きにくい。 Cat6も2つの規格名がある。Cat6は米国のEIA(米国電子工業会)とTIA(米国通信工業会)が定めた規格。コネクタはRJ-45で、10BASE-T・100BASE-TX・1000BASE-T/TXに対応し、下位規格と上位互換がある。Cat6Aは、ANSI(米国国家規格協会、アンシー)が定めた規格で、コネクタは同じくRJ-45だが、伝送速度は10倍速い10Gbps(伝送帯域もCAT6の250MHzに対して2倍の500MHz)。オンラインゲームなどの高速な動画を楽しむのにCAT6Aは向いているが、シールドなどでCAT6よりもケーブルが太いので施工には苦労する。 (※※) 配電系統から宅内への電線の設置場所によって、測定カテゴリ(CAT)がIEC 61010で規定されていて、CAT Ⅱ、CAT Ⅲ、CAT Ⅳの3分類があり、DMMなどの電圧測定機には、このCAT表示がされている。LANケーブルのCatの数字は5以上、測定カテゴリのCATはローマ数字のⅡ~Ⅳなので、通常は混同されないが、Catの表記と読み方は同じである。多くの普及しているLANケーブルよりも低速のCat4(4M~16MpbsのUTP)、Cat3(4Mbpsのトークンリングなど)もあるので注意。
- CAP-T試験器(きゃっぷてぃーしけんき)
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NTTのCAP NET(キャップネット)に対応した試験器。アンリツと安藤電気(現横河計測)がつくっていたが、現在は生産中止。アンリツのMD1302Aは前面パネルの表記は日本語で、一般民需品(標準のカタログ品)とNTT向け製品の中間のような位置づけである。安藤電気のモデルはAE-5104やAE-1420と同サイズの可搬型の筐体だった。
- QoS(きゅーおーえす)
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(Quality of Service) 一般的には利用者に提供される「サービス品質」のことだが、特に通信(ネットワーク)の世界で使われることば。ネットワーク(通信回線網)で提供されるサービス品質として出てくることが多い。ルータや伝送装置などのネットワーク機器にはQoSが実装されている。ある特定の通信を優先して伝送させたり、帯域幅を確保するなど、そのネットワークの中で重要度(優先度)が高いパケットが確実に伝達される(届く)ようにサービス品質が規定されている。 QoSの良否を定量的に判定する尺度をQoSパラメータと呼ぶ。QoSとQoSパラメータには一定の関係があるが、その関係は単純ではない。たとえば野球選手の質(良い選手か悪い選手か)はQoSで、QoSパラメータには「打力:打率3割以上」、や「走力:6秒以内/50m」などがある。QoSパラメータのことをQoSと呼んでいる場合もある。 QoSは提供者側(プロダクト目線)のサービス品質だが、似たことばにQoE(Quality of Experience、ユーザ体感品質)がある。 テクトロニクスは、放送事業者が番組のQoS監視に使う、PQM3000型プログラムQoSモニタという計測器を2000年頃に販売していた(同社のビデオ事業部は2019年にTelestream社に売却され、PQM3000を含むテレビ・オーディオ測定器から撤退している)。
- 共通線信号No.7(きょうつうせんしんごうなんばーせぶん)
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(Common Channel Signaling System No.7) 公衆交換電話網で電話機同士を接続したり、ネットワークを制御したりするシグナリングの規格。国連のITU-Tや米国のANSI(アンシー)などが規定していて、1980年代に世界中で導入が進んだ国際規格。Signaling System No.7を略したSS No.7やSS #7、SS7などの表記がされる。共通線信号方式は1975年に開発が始まり、SS7は7番目(Ver7)の規格。音声用通信路とは別に共通線信号路があり、SS7の信号が送受信される。 2000年代になるとインターネット(IP網)の普及によって、それまでの電話交換網は使用率が落ち、日本(NTT)では交換機の更新もされなくなった。VoIP(Voice over Internet Protocol)が進み、交換電話網で使われるSS7の測定器も使われなくなった。1990年代まではSS7用のプロトコルアナライザや、SS7に対応した伝送/交換装置用測定器が現役で活躍していた。たとえば国産のエイブルコミュニケーションは1990年代前半に「SS7テストシステム DXV-100」を開発・販売している。
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