計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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パラレル(ぱられる)

(parallel) 並列、平行、並行、同時進行、などの意味がある。 信号線が複数本(並列している)通信方式をparallel communication(パラレル通信)と呼ぶ。複数の信号線はバスといい、パラレル通信の信号線はデータバスなどの呼称がある。信号線が1本(送受信が別の場合は2本)の通信方式はシリアル通信という。seriarlは「順次」という意味で、1ビットずつ順次伝送する。 横につなぐparallel connectionは「並列接続」で、抵抗を並列接続すると抵抗値は加算されて大きくなる。計測用電源を並列接続すると出力電流が加算されて大きくなる(並列接続できるモデルであることと、接続可能な台数はモデルによるので確認が必要、できないものも多い)。接続方法でパラレルと対になるのはシリーズ(series)で、直列(または系列)という意味。電源を直列接続(series connection)すると出力電圧が加算されて大きくなる(直列接続可能なモデルに限る)。 通信方式ではパラレルとシリアル、接続方式ではパラレルとシリーズが対になることばである。

パラレル通信(ぱられるつうしん)

(parallel communication) 複数本の信号線で伝送する方式。「パラレル伝送」や「パラレルインタフェース」などとも呼ばれる。コンピュータ関連のバスによく使われる。規格の例は、ISA、ATAPI(アタピー)、SCSI(スカジー)、PCIなど。セントニクスに代表されるように、1980年代にはパラレル伝送が多かったが、2000年頃からの情報家電製品への高速シリアル通信の普及によって、現在はパラレルよりシリアルの通信方式が流行りである。 技術の進歩によって伝送速度が速くなり、複数本のデータバスでなく1本の通信線でも十分に高速な伝送が可能になったことが背景にある。パラレル通信方式は複数本の通信線が必要なので高価だが、昔はそうしないとデータをたくさん送ることができなかった。伝送速度を速くするより、通信線を複数本にすることで、全体としての伝送速度を速くしていた。ただしクロックを送る制御線は、すべての通信線と同期させる必要があり技術的に高額になる。 CPUなどのデータバスはパラレル通信だが、2つのバスをつなぐとき(たとえばあるCPUが稼働しているプリント基板から、違うCPUのプリント基板にデータを送るなど)、パラレルからシリアルに変換して高速シリアル通信し、受信側では反対にシリアルからパラレルに戻すやり方が主流になっている。これをSerDes(サーデス)やシリアライザと呼ぶ。このようなインタフェース変換の手法が使えるのも、シリアル通信が高速にできるようになったためである。 parallelは並列、平行、並行などの意味。

半二重(はんにじゅう)

(half duplex) 通信回線が1つで、送信用と受信用を切り替えて会話すること。たとえばトランシーバ は2人の間で会話する時、片方が送信者でもう片方が受信者になり、自分が話したいときはボタンを押して送信者となる。送信と受信の2回線があると全二重(full duplex)という。 半二重の例はRS-485。シリアル通信の規格RS-232C (全二重)よりも高速、長距離のデータ伝送ができるように改善したのがRS-485(2線式)で、半二重。ただし4線式のRS-485もあり、こちらは全二重。 通信規格によって半二重と全二重があり、用途によって使い分けられている。

PCI(ぴーしーあい)

(Peripheral Component Interconnect) パソコン内部の各パーツ間を結ぶバス(データ伝送路)の規格。現在はPCI Expressが規格として導入されている。インテルが規格作成を主導している。 計測器情報:PCIeバスアナライザ関連の製品例

PCIアナライザ(ぴーしーあいあならいざ)

PCIバスアナライザの略称。さらに略称:PCIバスアナ、PCIアナ。PCI(peripheral component interconnect)とはその名のとおり、PC内部の部品間をつないでいるバス規格のこと。従来のISA(イーサ)バスにかわり標準規格として普及した。規格の作成はインテルが主導するPCI SIG(Special Interest Group)によって策定される。PCIのプロトコルを確認・検証する解析器がPCIバスアナライザ。PCI規格は時代とともに次々と新しい規格が生まれ、いくつもの種類(規格名、バージョン)がある(「PCI Express 3.0」や「PCI Express Gen5」など)。 新しい規格に対応した、新しいPCIバスアナライザが次々と登場する。アナライザのハードウェア自体を新規購入していたらユーザはたまったものではないので、計測器メーカもソフトウェアのアップグレードで新しい規格になるべく対応し、対応しきれなくなると新しいモデル(ハードウェア)を発売している。そのため、PCIバスアナライザを購入したユーザは保守契約(ソフトウェアのアップグレード契約)をメーカから推奨される。CPUの王者インテルの戦略によって登場するPCの伝送規格に各半導体、部品、装置メーカは追従するために、最新のPCIバスアナライザが活用されている。 高速のプロトコルアナライザは現在はバスアナライザが主流だが、世界的に主要計測器メーカではなくバスアナ専業メーカがつくっている。日本のNo.1メーカだった安藤電気は撤退、キーサイト・テクノロジーは一時期ロジックアナライザでバスアナライザ機能をPRしていたが、今はしていない。バスアナライザは海外メーカが主力で、以前は老舗の東陽テクニカが多く取り扱っていたが現在は減ってしまった。PCIに限らずバスアナライザはM&Aなどによって、現在はテレダイン(旧レクロイ)が多くのラインアップを揃えている。ただし、海外メーカはM&Aが激しく、規格が普及しきるとアナライザの需要は激減するので、バスアナライザが現在の状態で続くかどうかはわからない。ソフトウェアシミュレーションなどによって測定器(ハードウェア)需要が激減することもある。 参考用語:バスアナライザ 計測器情報:PCIeバスアナライザ関連の製品例

PCI Express(ぴーしーあいえくすぷれす)

(Peripheral Component Interconnect Express) 従来のPCIバスに代わるパソコン向けシリアル通信規格。2005年からパソコンのビデオカード用I/Fとして普及が始まった。現在のIT機器のグラフィックス・カードやSSDに採用されている高帯域バスである。1伝送路(レーン)の伝送速度は片方向2.5Gbpsでレーンの数により×1~×32の製品がある。2000年代以降に発売された広帯域オシロスコープ(いわゆる高速オシロ)にはPCI Expressの評価用ソフトウェアオプションが各社から発売されていた。規格のアップグレードがあるため、PCIアナライザなどのバスアナライザ(プロトコルアナライザ)も活躍している。 PCIeやPCI-Eなどの略記をされる。 計測器情報:PCIeバスアナライザ関連の製品例

PCIバスアナライザ(ぴーしーあいばすあならいざ)

PCIバス上に流れる通信データを解析する測定器。略称:PCIアナライザ。現在の規格はPCI Express(PCIe)になっている。テレダイン・レクロイはOaKGate社の販売店として、PCIeのプロトコルアナライザ(バスアナライザ、テストツール)、PCIe Gen5に対応したSSDの「適合性テストソリューション」、3Uラックマウントテスト装置「OakGate R300」、デスクトップテスト装置「OakGate DE200」を2022年7月にニュースリリースした。PCIeの規格はマイクロプロセッサ(CPU)の進化とともに応用分野が広がり、このように新しいPCIバスアナライザが発表されている。 計測器情報:PCIeバスアナライザ関連の製品例

PC接続型簡易測定器(ぴーしーせつぞくがたかんいそくていき)

スタンドアロンではなくPCにつないで操作するタイプの測定器(PC制御型)は以前からあった。外観は箱で、表示部や操作部はほとんどない。小型のものはPCのI/Fコネクタに直接、箱(計測器本体)を接続してまるで計測器の一部のような製品もあった。特にオンラインモニタ(プロトコルアナライザ)はデジタル通信をするコンピュータとの親和性が高いので、PCにつなぐ小型の簡易製品があった。日本データシステムはポケオシ、ポケロジの名称でオシロスコープやロジックアナライザ製品を販売した(現在はハギワラソリューションズが事業を継承)。ロジアナが時代を感じさせるが、以前はPCのI/Fの性能もあり、これらのPC接続型小型計測器は本格的な計測器とは認知されていなかった。海外では英国のPico Technology(ピコテクノロジー)が1991年設立のPC型オシロスコープメーカとして老舗。 USBが広く普及したことによって、現在はUSBインタフェースを使ったPC接続型のモデルが大手計測器メーカからも発売されている。そのため、従来の(I/FがUSB以前の)PC接続型簡易測定器はほとんど見かけなくなった。現在はUSB接続型PC制御測定器が計測器の1カテゴリーとして確立しつつある。

FireWire(ふぁいやーわいやー)

IEEE1394規格の愛称。オーディオ・ビデオ関連のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleはFireWire(ファイヤーワイヤー)のコードネームで新しい規格を設計した。後にソニー、IBMなどと共同で1995年にIEEE1394の名称で標準化された。つまりIEEE1394が正式な規格の名称。ソニーはIEEE1394をi.Link(アイリンク)の商標で同社製品に搭載している。1990年代後半のIEEE1394普及期にはIEEE1394用のプロトコルアナライザが重宝された。新しい通信規格の黎明期には必ずプロトコルアナライザが必要だが、その製品需要は長くはない。IEEE1394プロトコルアナライザは現在はほぼ生産中止。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

不平衡(ふへいこう)

(unbalence) 電気信号の伝送方式には不平衡と平衡(balence)の2種類がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのが不平衡。2本の信号線を使い、1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号のマイナスの大きさ(逆位相)の信号を送ると、信号が平衡関係にあるため、平衡と呼ばれる。不平衡は電線が1本で簡易だがノイズの影響を受けやすく、長距離、高速通信には向かない。たとえばシリアル通信の代表であるRS-232C規格は不平衡。 プロトコルアナライザなどの有線通信の分野では不平衡というが、別名、シングルエンドとも呼ばれる。オシロスコープ(オシロ)のプローブなどでは1本伝送を「シングルエンド」、2本の場合を「差動」伝送と呼んでいる。不平衡(unbalance)=シングルエンド(single end)で、両方は全く同じことを違う表現をしている。 シングルエンドはsingle-ended signalling(最後まで1本で伝送する方式)が語源と推測される。シングルエンドは、「ある電圧を基準として、それより電圧が高いか低いかで1と0を表現する」伝送方式とも説明されている。対して差動(differential signalling)は「2本の信号線を使い、2信号の差分によってデータを表現する」伝送方式である。「(2本の)差動」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現がシングルエンドと差動の語源である。見方を変えると「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現になる。 計測器が機種群(カテゴリー)ごとに、測定原理による解釈で用語を命名している例である。有線通信の伝送方式の「不平衡」と、オシロのプローブの「シングルエンド」が同じ「1本伝送」のことを、違う用語にしているのは初心者には難しい話である。

Bluetooth(ぶるーとぅーす)

近距離無線通信の規格のひとつ。 PCやスマートフォンなどの情報機器やオーディオ機器にインタフェースとして普及した。最近は可搬型の計測器にも機能が搭載されるようになった。大変普及したため、携帯機器で重要な低消費電力の規格、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy、BLE)が登場し、さらに普及が進んでいる。 無線規格は通信距離と伝送速度によっていくつかの規格があり、用途によって使い分けられる。Blutoothとほぼ通信距離が同じで伝送速度が遅い下位規格に ZigBee(ジグビー)がある。伝送速度がほぼ同じで通信距離が長い(上位)規格に、国産のWi-SUNがあり、Wi-SUN FANはIoTに活用されつつある。Blutoothとほぼ通信距離が同じで伝送速度を上げたのがUWB(超広帯域無線通信)である。UWBの伝送速度は480Mbpsで、無線LANの代名詞であるWi-Fi(600Mbps)より少し遅いが、使用周波数(キャリア)はWi-Fi(2.4GHz/5GHz)より高い4GHz帯と8~10GHz帯を使用する。 Bluetoothの名称は規格を開発したスウェーデンのエリクソン社の技術者がつけた。ノルウェーとデンマークを交渉により無血統合したデンマーク王の歯が青かったことに由来して「青い歯(blule tooth)」。「乱立する無線通信規格を統合したい」という願いを込めた。(Wikipediaより)

Bluetoothアナライザ(ぶるーとぅーすあならいざ)

(bluetooth analyzer) Bluetoothは無線の通信規格のため、無線(RF)の測定器と、プロトコルの測定器の2種類がある。代表的なモデルを紹介すると以下。 1. RF関連 アンリツ ・MT8852B Bluetooth テストセット ・MT8870A ユニバーサルワイヤレステストセット 2. プロトコル関係 テレダイン・レクロイ ・ComProbe Sodera LE Wideband Bluetooth Low Energy Protocol Analyzer ・ComProbe Sodera Wideband Bluetooth Protocol Analyzer ただし国内販売の代理店は、オシロスコープなどを販売するテレダイン・ジャパンではなく、コーンズテクノロジー株式会社が取り扱っている。 ELLISYS(日本総代理店 ガイロジック株式会社) BEX400-STD-EDR Bluetoothエクスプローラ400プロトコルアナライザなど。 参考情報:商流のお問合せの事例

Bluetoothプロトコルアナライザ(ぶるーとぅーすぷろとこるあならいざ)

(bluetooth protocol analyzer) Bluetoothでデジタル通信を行っている機器間に設置し、プロトコル(機器間で定められた通信方式)の検査や通信障害の解析を行う測定器。略称:Bluetoothアナライザ。 BLE(ブルートゥースローエナジー)などの新しい規格もあり、Bluetoothプロトコルアナライザは現在でも現役モデルである。

プロアナ(ぷろあな)

プロトコルアナライザ(protocol analyzer)の略称。スペクトラムアナライザをスペアナ、ロジックアナライザをロジアナと呼称(略称)するのと同じ。 参考用語:オンラインモニタ

BroadR-Reach(ぶろーだーりーち)

米国の通信インフラ用半導体のファブレス大手であるBroadcom(ブロードコム)社が車載Ethernet 用に開発したデータ伝送技術の名称(ドイツの自動車メーカBMWとBroadcomが仕様を決めた)。現在の車載Ethernet100/1000BASE-T1などの基礎になっている。 当時のBMWの担当部署はスピンアウトしてTechnica Engineering社になった。同社は車載Ethernetに特化して製品開発しているパイオニアで、2008年にBroadR-Reachの研究・評価を始めてから、2010年に世界初のBroadR-Reach(100BASE-T1)と標準イーサネットのコンバータの販売を開始し、2011年には100BASE-T1のL2スイッチの販売を始めている。技術力や知見があり、毎年製品を開発・発売して売上を伸ばしている。 Technica Engineering社製品は日本ではガイロジック株式会社が販売している。同社は2002年にAmerican Arium(アメリカン・エイリアム)社のICE(エミュレータ)の日本代理店として創業し、その後はBluetoothのプロトコルアナライザなどを取り扱っている、先新のデジタル系計測器の商社である。最近は売上の約半分を車載関連製品が占めているという。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜 ・・ガイロジック株式会社が取り扱っている車載Ethernet製品を取材。

プロトコル(ぷろとこる)

(protocol) 複数のデバイスやコンピュータシステムが互いに通信するための規約のこと。日本語では「通信規約」。規格を策定する標準化の団体(たとえばIEEEなど)が多くのプロトコルを規定している。 コンピュータや通信インフラの進歩によって、遠隔地のコンピュータ同士がデータ通信を行うことが日常的になった。新しいプロトコルが開発されると、その試験にはプロトコルアナライザが活躍する。1970年代から2000年代頃までは、多くのデータ通信規格がつくられ、それぞれを検証するプロトコルアナライザは、通信計測器の花形だった。LANが広く普及した2000年代以降は、ソフトウェアによるプロトコル検証が主流になり、計測器(ハードウェア)は減少した(無線LANなどの特殊なバスアナライザは今でも現役)。 元来、プロトコルとは「共有されている手順」のことで、人間同士のやりとり(コニュニケーションのルール、考え方、儀典)だった。西洋の社交場に着ていく服装などの規定はプロトコルだった。人ではなく物に広がったのが、ここでいう通信プロトコルである。

プロトコルアナライザ(ぷろとこるあならいざ)

(protocol analyzer) プロトコルを解析する機器やプログラムのこと。コンピュータや電機機器など、通信する装置間に流れているデータを解析するハードウェア(計測器)やソフトウェア(プログラム)。データ通信の測定器(解析機器)。略称:プロアナ。 LANやインターネットなど様々なプロトコルに対応したモデルがある。データ通信の主流が公衆回線(モデムを使ったアナログ通信)だった時代からLANが発達したため、従来のプロアナをWANアナライザ(Wide Area Network、ワン。LANのLocalに対比させた「LANではない」という造語)と呼称した。用途によってLANアナライザ、バスアナライザなどが登場した。2000年以降はWANアナライザは比較的低速のハンドヘルドのオンラインモニタが、LANアナライザはPC上で動くソフトウェアが主流となった。計測器ハードウェアとしてはギガビットLANなどに対応した高速LAN用アナライザやシリアル通信のバス解析に特化したシリアルバスのアナライザがある。(WANという表現は2020年現在、ほとんど死語となっている) 2000年以前にはプロアナは通信計測器の1カテゴリー(機種群)として確立していた。計測器メーカやIT企業が多彩なモデルをつくり、デジタル系の計測器の代表だった。ICE(マイコン開発支援装置)やロジックアナライザと併用されることも多かった。ただし通信規格に対応するため、規格の流行に計測器は左右される。新しい通信方式(通信規格、プロトコル)が策定されて、規格の普及時には高機能な解析機能があるプロアナは必須だが、規格の普及に伴いニーズは解析よりもモニタになり、場合によっては計測器自体が不要になる。規格によって残るモデルと廃止になり消えていくモデルがある(プロアナは寿命が短い、現役期間が短命なモデルが多い)。 現在のプロアナは、低速のRS-232Cなどのラインモニタ(安価なハンドヘルドモデル)と、特定の通信規格や最先端の高速通信用の高額モデル(バスアナライザを含む)に2極化している。市場規模(売上)は2000年以前よりも縮小していると推測される(※)。また大手計測器メーカはほぼ撤退し、現在のプロアナ、バスアナはIT機器メーカ(ベンチャー企業)がつくっている。 (※)1980年代のRS-232C、1990年代のLANやISDNなどの対応したプロアナはキーサイト・テクノロジー、安藤電気、ビッツ、ラインアイ、アドバンテスト、sniffer(東陽テクニカ)などが多くのモデルを販売していたが、2020年代にプロアナをラインアップするのはラインアイ(低速のラインモニタ)と東陽テクニカ(高速のアナライザ)の2社で、他はすべて撤退した(キーサイト・テクノロジーは表示部のないボードや箱型のPCI Expressバスアナライザが少しある)。計測器メーカではない海外のIT機器メーカがバスアナライザをつくっているが、計測器としてのプロアナは計測器メーカの主要機種群ではなくなった。「電気計測器の中期見通し(JEMIMA、2022年12月)では、光通信測定器、ネットワーク負荷試験機、SDH/SONETアナライザなどの有線通信測定器の中にプロアナは含まて、単独の機種群としての統計データ(売上実績や今後の予想)は示されていない(単独では示せない額になったと思われる)。

平衡(へいこう)

(balence) 電気信号の伝送方式には大きく平衡と不平衡(unbalence)がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのが不平衡。2本の信号線を使い、1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号のマイナスの大きさ(逆位相)信号を送ると、信号が平衡関係にあるため、平衡と呼ばれる。データ伝送では「対の信号線を使い、その電位差で信号を表す」伝送方式といわれる。2本の電線はどちらも接地されない(信号がグランドレベルに左右されない)ため、不平衡に比べて平衡は耐ノイズ性能が高く、長距離、高速通信に向いている。具体的にはシリアル通信 のRS-422、RS-485、LVDSなどの規格。 プロトコルアナライザなどの有線通信分野では平衡というが、別名、差動とも呼ばれる。オシロスコープのプローブなどでは1本伝送を「シングルエンド(single-ended signalling、最後まで1本で伝送する)」、2本の場合を「差動」伝送と呼んでいる。平衡(balance)=差動(differential )で、両方は全く同じことを違う表現をしている。「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現が、見方を変えると「(2本の)差動」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現になる。平衡、不平衡ならまだわかりやすいが、シングルエンドと差動は素人には理解しにくい。計測の世界は、(原理を知っている)知識のある限られた人々のニッチな世界(ツウな業界)である。 平衡(=差動)は不平衡(=シングルエンド)に比べて2本の電線が必要だが、技術の進歩によって従来より低い電圧での伝送が可能になり、LVDSのような従来より低電圧の差動伝送方式が普及している。

PON(ぽん)

(Passive Optical Network) NTTが2000年頃に提唱したFTTH(Fiber To The Home、家まで光ファイバを届かせる)を実現する方式(通信規格)の1つ。NTTが考案した。光信号の分岐・合流によって、1本の光ファイバで複数の加入者に光回線サービスを提供する。次の3つで構成される。OLT(Optical Line Terminal):通信事業者の局側に設置された終端装置。光信号の送受信を行う。SPL(光スプリッタ):光信号を合分波するために設置された機器。ONU(Optical Nertwork Unit):加入者(家庭の個人などの利用者)側の光回線終端装置。光信号と電気信号の変換を行う。インターネットを利用した画像検索、対戦型ゲームなど大容量の高速通信の普及によってアクセス網は光ファイバの敷設が進んだ。NTTやソフトバンクの光通信サービス(フレッツ光など)のユーザが増えたので、ネット検索ではONUや光モデムということばが数多くでてくる。