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- ISDN(あいえすでぃーえぬ)
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(Integrated Services Digital Network) 電話、FAX、データ通信を統合して扱うデジタル通信網で、NTTが1988年からサービスを開始した。日本語では「統合デジタル通信網」と呼ばれる。直訳すると「Integrated Services(統合サービス) Digital Network(デジタル通信網)」。音声(アナログ)とデータ(デジタル)をデジタル方式で伝送する通信技術。それまでのアナログ回線では、1本の電話線で1つの通話しかできなかったが、ISDNでは1本の電話線で複数の通話や高速なデータ通信を同時に行える。2つの形式(BRI:Basic Rate Interface、PRI:Primary Rate Interface)がある。ISDNはアナログ方式の固定電話網からデジタル方式への移行を促進するために開発されたといえる。 人の声を送る電話網から始まった通信回線は、データや画像なども扱うようになっていた。1980年代までは、音声は電話網、データ通信はデータ通信網で行われ、通信方式もアナログだった(コンピュータなどのデジタルデータはモデムによって変復調され、アナログで送られた)。デジタル技術の進歩で、デジタル化した音声・データ・画像を同一伝送路(アナログの電話回線である加入者線)で通信するISDNが実用化した。 1972年にISDNの基本概念がCCITT(国際電信電話諮問委員会。現ITU-T、電気通信標準化部門総会)で発表され、1977年からITU(国際電気通信連合)で検討され、1988年に本勧告が承認される。日本では日本電信電話公社(現NTT)が1970年代から独自の研究を行い、高度情報通信システム(INS:Information Network System)と呼んだ。1984年に東京都の三鷹市と武蔵野市で実用化試験を行い(Yインタフェース)、1988年4月に「INSネット64」(通信速度64kbpsで、当時の56kbpsモデムより高速)、「INSネット1500」(最大通信速度1.5Mbps)と呼ばれるISDNサービスが商用開始する(Iインタフェース)。商用開始に合わせIインタフェースを装備する擬似交換機やプロトコルアナライザなどの、ISDN端末を評価する計測器が登場する。 従来のアナログの電話機などをISDNで利用するための変換器(ターミナルアダプタ)が1996年には低価格になり、個人や中小企業のISDN加入が進み、2000年の年末に契約数は1,000万回線を超えた。ただし2021年度末には160万回線まで減少し、1999年のNTT再編で「INSネット」サービスを継承したNTT東日本・西日本は、2024年にはISDNを終了する予定(光回線やIP網への変更が提案されている)。
- ISDNプロトコルアナライザ(あいえすでぃーえぬぷろとこるあならいざ)
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(ISDN protocol analyzer) 日本電信電話公社(現NTT)は1988年に世界初でISDNサービスを運用開始した。各計測器メーカはこれに対応する製品を商品化した。まず、ISDN端末の開発のためにISDN対応の擬似交換機がリリースされた。1988年以前にNTTアドンバンステクノロジとアドシステムズが、1990年代に安藤電気や岩崎通信機がリリースした。次に需要があるのがプロトコルアナライザ(プロアナ)で、アンリツはEF201A/B、EF211Aという2モデルを、アドバンテストはD5110シリーズ(D5111~D5115)のISDNプロアナを発売した(この2社のリリースが早かった)。当時普及したPHSの基地局にはISDNの規格(Iインタフェース)が採用されていて、ISDNプロアナはその試験に重宝された。アドバンテストは当時、スペクトラムアナライザや光通信測定器を数多くラインアップして、アンリツや安藤電気に並ぶ、多くの通信測定器のモデルを開発していた。D5111は同社の初めてのプロアナで、アンリツと1990年代に競合した。 RS-232Cプロアナではキーサイト・テクノロジーと伍して、国内シェアNo.1の名門 安藤電気は同時期にISDNプロアナを発売していない。同社はISDNから他社プロアナにシェアを奪われたといえる。同社の名器、AE-5105にはオプションでISDN機能があったが、EF201/211やD5110シリーズのように「ISDNプロアナ」と銘打ったモデルはリリースしていない。2Mbps(最高6Mbps)までのスピードに対応した高速WANプロアナとして2000年頃にリリースされたAE5135は当然ISDNにも対応しているが、アンリツやアドバンテストのISDNプロアナよりだいぶ後発で、ISDNの旬の時期を逃した(ISDN回線の建設・保守用のハンドヘルドのISDNテスタAE5301は1996年頃に発売されている)。
- IEEE1394(あいとりぷるいーいちさんきゅうよん)
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オーディオ・ビデオ機器のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleが設計したFireWire(ファイヤ-ワイヤー)が、1995年にソニー、IBMなどと共同でIEEE 1394-1995として標準化され、IEEE1394と呼称されている。IEEE1394(4ピン)、IEEE1394(6ピン)、IEEE1394bなどがある。SCSIと同じ数珠繋ぎ(デイジーチェイン)やスター型の接続、ツリー接続ができる。最大転送速度800Mbps。 IEEE1394はデジタルビデオカメラの外部出力端子(DV端子)に採用されているほか、ソニーは「i.Link(アイリンク)」の名称で自社製品に採用している。つまり、IEEE1394、i.Limk、DV端子、FireWireはすべて同じ規格である。 新しい通信規格の黎明期には、その規格を採用する機器の開発・検証のためにプロトコルアナライザ(プロアナ)が必須となる。1990年代に横河電機は、計測器部門であるT&M事業部にコミュニケーション部門を新設し、通信計測器に参入した。3G向けの信号発生器を自社開発し、海外製フェージングシミュレータを取り扱った。CATVなどの有線通信にも積極的で、IEEE1394のプロアナは海外製品の転売から初めて、自社モデルも開発した。2000年代までのIEEE1394の普及期には横河電機のIEEE1394プロアナは代表機種だった。その後、横河電機は2010年頃にこれら通信計測器からすべて撤退している。通信から撤退はしたが、後継会社である横河計測には(安藤電気から継承した)光通信測定器があり、光スペクトラムアナライザなど世界No.1の光測定器をラインアップしている。 参考用語:IEEE(あいとりぷるいー) 計測器情報:IEEE1394プロアナの製品の例
- IPアドレス(あいぴーあどれす)
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(Internet Protocol address)IPプロトコルで使用するための32ビットのアドレス情報。IPプロトコルで通信するノードは、世界中で単一のこのIPアドレスを割り当てておかなければならない。(株式会社Sohwa&Sophia Technologiesの用語集より)
- i.Link(あいりんく)
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IEEE1394規格のソニーの商標。オーディオ・ビデオ関連のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleが設計したFireWire(ファイヤーワイヤー)が、1995年にソニー、IBMなどと共同でIEEE 1394として標準化された。ソニーは1995年以前から、自社のビデオカメラ製品などに搭載したIEEE 1394端子をi.Linkの商標で発売していたため、現在もIEEE1394ではなくi.Linkと呼んでいる。計測器としては1990年代後半のIEEE1394普及期に、横河電機(現横河計測)はIEEE1394用のプロトコルアナライザをラインアップしていた。新しい通信規格の黎明期には必ずプロトコルアナライザが必要だが、その製品需要は長くはない。ATMアナライザ、ISDNプロアナなどとともにIEEE1394プロトコルアナライザも現在はほぼ生産中止。
- Interop(いんたーろっぷ)
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インターネットテクノロジーの国内最大のイベント。ネットワークにつながるモノのInteroperability(相互接続性)を検証する場として、日本では1994年から毎年開催されている。 幕張メッセで2024年6月5日~7日に開催されたInterop 2024には光伝送の関連メーカ(通信キャリア、光部品、伝送装置、計測器メーカなど)が出展した(会場の約35%の空間はデジタルサイネージ)。 計測器メーカとしてはViaviソリューションズ(OTN関連の光伝送の通信計測器、光パワーメータなど)、メインテクノロジー(VeEXの現場測定器の光測定器、OPMや数値表示の簡易OTDRなど)、原田産業(EXFOの販売店、ただしEXFO製品は展示していない)、東陽テクニカ(Spirentの負荷試験機など)、キーサイト・テクノロジー(IXIAの負荷試験機など)、データコントロールズ(製造ライン向けの負荷試験機など)。独立行政法人 情報処理通信機構(IPA)のブースでは、通信機器を使ったデモをしていたが、負荷試験機はTestCenter(スパイレント)ではなくIXIAが使われていた。データコントロールズはメディアコンバータなどの通信機器のメーカだが、生産向けの負荷試験機(30万円~100万円代)もラインアップし、SpilentやIXIAのようなR&D向けの高額・高性能モデルとは違う市場で実績を出している。 このようにInteropは計測器としては光測定器と光伝送測定器、負荷試験機が出展される展示会である。海外の通信計測器がメインでアンリツやラインアイなどの国産計測器メーカは出展していない(2024年の実績)。EXFOの出展ブースはないが、Shownetで原田産業の関連会社として計測器を提供している。つまり、ViaviとEXFO、VeEXのOTN測定器、光測定器と、Spirent(東陽テクニカ)、IXIA(キーサイト・テクノロジー)の負荷試験機が競う展示会といえる。アンリツのOTN測定器、光測定器やラインアイのRS-232C系プロトコルアナライザ(オンラインモニタ)は、少なくとも2024年には出展していない。 Interopではメディア(プレス)に対してプレゼンテーションや会場ツアーを行っている。プレスルームのテーブル席は(2024年には)20席程度で、部屋は広くはないが、冷蔵庫には各種飲料が並び、ホットコーヒーやお菓子の無料提供がされ、プレスに対するサービスが充実している。最近は大規模な展示会でもプレスルームに無料の飲食物の提供がない場合が多いが、Interopは報道機関を巻き込んだ華やかな大型イベントである。 旧電設工業展のJECA FAIRは毎年5月頃に東京ビッグサイトで開催される大きなイベントで、来場者も多く賑わっているが、プレスルームはなく、会場は撮影禁止である。つまり報道機関に取材してもらうことを拒絶している。そのためほとんどメディアでは取り上げられないが、それでも来場者は多い。2024年は5/29~31に東ホールで開催されたが、同時期に西ホール(4F)で開催のワイヤレス展よりも出展社が多い。 InteropとJECA FAIRはプレス(報道機関)に対するスタンスが180度違っている。
- ISDN測定器(あいえすでぃーえぬそくていき)
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(ISDN measuring instrument) 1988年にNTTがサービスを開始したISDN(Integrated Services Digital Network、統合デジタル通信網)に対応した、有線通信計測器には以下の種類がある。 1. 擬似交換機、2. ハンディテスタ(回線の開通工事など、屋外で使用する可搬型モデル)、3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器)、4. プロトコルアナライザ、5. コールシミュレータ(擬似呼)。 番号順に主なメーカとモデル名称(品名)、モデル番号(形名)を述べる。 1. ISDN擬似交換機 アドシステムズ:ISDN疑似交換機(PRI / BRI) J-9144A、J-9124Aなど。 安藤電気:AE-7300シリーズ(ISDNネットワークシミュレータ AE7311、ISDNシミュレーションBOX AE7303、各種モジュール AE79xx) 大井電気:ISDN多回線アナライザ TMP-9701 NTTエレクトロニクス株式会社(1997年頃の会社名、現NTTイノベーティブデバイス株式会社):ネットワークエミュレータ NE3000AE 2. ハンドヘルドのテスタ(ISDN端末の接続試験など、ISDN回線の開通時に使用する現場測定器) 安藤電気:ISDNテスタ AE5301 アドバンテスト:ISDNバス配線チェッカー D5612 大井電気:ISDN回線試験器 DNT-302B アンリツ:ISDN擬似端末 EQ612A(端末ではなく交換機、の発着信試験を行う。障害発生時には障害解析に使用。) 3. レイヤ1テスタ(Iインタフェース試験器) 安藤電気:Iインタフェーステスタ AP-9503 アンリツ:ISDNベーシックインタフェース試験器 MP5201B アドバンテスト:ISDNテスタ D5312B 4. ISDNプロトコルアナライザ アンリツ:ISDNプロトコルアナライザ EF201/211 アドバンテスト:ISDNプロトコル・アナライザ D5110シリーズ 安藤電気:データコニュニケーションアナライザ AE-5105i(モニタのみ ※1) キーサイト・テクノロジー(当時はhpやYHP):Advisor(※2)用T1プライマリレートISDNモジュール J4649A、ISDN BRI S/TおよびUインターフェイスモジュール J2905B、プロトコルアナライザ 4954i(モニタのみ) 5. コールシミュレータ(疑似呼) アンリツ:ISDNコールシミュレータ EF202/203/204 ISDNに限らずコールシミュレータは国産ではアンリツ1社しかつくっていない(※3)。 (※1) 安藤電気には「ISDNプロアナ」と銘打ったモデルがない。2000年代にAE5131(256kbps)、AE5135(2Mbps)という、前身のAE-5105(72kbps)より高速のモデルを発売しISDNも対応したが、他社より発売がかなり遅く、ISDNの旬の時期を逃している。反対に独立系で通信系の資本(NTTや日本電気など)が入っていないアドバンテストが時代の要請にマッチするタイミングでISDNプロアナを開発したことは、同社のマーケテイングと要素技術の力を示している。2010年頃に同社はそれまでの計測器からすべて撤退したが、その後、持っている要素技術を使いテラヘルツ波などの新規計測器に参入している。アンリツのISDNプロアナは形名の頭がMでないことでわかる通り、電話機や擬似呼を開発した情報機器の事業部門の製品で、計測器事業部門はつくっていない。同社が、無線機や電話機をつくれる要素技術を持つ計測器メーカであることがわかる。アンリツは、高速通信の品質評価をするBERT(ビット誤り率測定器、バート)や移動体通信の呼制御を行う疑似基地局(基地局シミュレータ、シグナリングテスタ)では、キーサイト・テクノロジーと競っている世界トップベンダである。 (※2) Advisor(アドバイザー)とは、1990年代後半にJ2300などの形名でラップトップ型計測器が登場し、ATMやLAN、ISDNなどの各種インタフェースに対応した、2000年頃のキーサイト・テクノロジーのデータ通信計測器の通称(愛称)。本体とモジュールの構成によって名称が変わり、形名などの実態が良くわからない(現在はすべて生産終了し、断片的な資料しか残っていない)。形名が似ていてLAN AdvisorやInternet Advisorと称するモデルもあった。往年のプロアナ495xシリーズまでは従来の数字形名だが、4953A以降の1990年代の同社のデータ通信計測器はM&Aでラインアップが増え、シリーズや形名に継続性(一貫性やシリーズの明確さ)がなくなる。Jシリーズは4953A以降のプロアナの形名として登場し、2000年頃の同社のプロアナはネットワークアドバイザと称していた。2003年頃には Network Analyzer J6800シリーズというプロアナもあった(プロアナなのにネットワークアナライザ(NA)とは、NAの世界的なトップベンダの同社がこのような品名の製品を発売するとは、「にわかには信じられない、目と耳を疑う、驚きの命名」である。2000年頃の同社の「プロアナのラインアップの複雑さ」を象徴している)。 (※3) アンリツと並ぶ電電ファミリーで、多くの電話機用測定器をつくった安藤電気は擬似呼の製品化ができなかった、という話を筆者は1980年代に同社の古参営業マンから聞いた。安藤電気に擬似呼がないために電話関連の評価試験器の案件(引合い)が自社だけでクローズできず、どうしてもアンリツに知られてしまう。優秀な営業マンの彼は、海外のコールシミュレータで品質の良いモデルが取り扱えないかを気にかけて調べていたが、なかなかアンリツ同等の良い物がなかった。国産でオンリーワン製品を開発したアンリツの技術力を物語るエピソードである。
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