計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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FireWire(ふぁいやーわいやー)

IEEE1394規格の愛称。オーディオ・ビデオ関連のストレージ用の規格として、SCSI(スカジー)の後継としてAppleはFireWire(ファイヤーワイヤー)のコードネームで新しい規格を設計した。後にソニー、IBMなどと共同で1995年にIEEE1394の名称で標準化された。つまりIEEE1394が正式な規格の名称。ソニーはIEEE1394をi.Link(アイリンク)の商標で同社製品に搭載している。1990年代後半のIEEE1394普及期にはIEEE1394用のプロトコルアナライザが重宝された。新しい通信規格の黎明期には必ずプロトコルアナライザが必要だが、その製品需要は長くはない。IEEE1394プロトコルアナライザは現在はほぼ生産中止。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

不平衡(ふへいこう)

(unbalence) 電気信号の伝送方式には不平衡と平衡(balence)の2種類がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのが不平衡。2本の信号線を使い、1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号のマイナスの大きさ(逆位相)の信号を送ると、信号が平衡関係にあるため、平衡と呼ばれる。不平衡は電線が1本で簡易だがノイズの影響を受けやすく、長距離、高速通信には向かない。たとえばシリアル通信の代表であるRS-232C規格は不平衡。 プロトコルアナライザなどの有線通信の分野では不平衡というが、別名、シングルエンドとも呼ばれる。オシロスコープ(オシロ)のプローブなどでは1本伝送を「シングルエンド」、2本の場合を「差動」伝送と呼んでいる。不平衡(unbalance)=シングルエンド(single end)で、両方は全く同じことを違う表現をしている。 シングルエンドはsingle-ended signalling(最後まで1本で伝送する方式)が語源と推測される。シングルエンドは、「ある電圧を基準として、それより電圧が高いか低いかで1と0を表現する」伝送方式とも説明されている。対して差動(differential signalling)は「2本の信号線を使い、2信号の差分によってデータを表現する」伝送方式である。「(2本の)差動」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現がシングルエンドと差動の語源である。見方を変えると「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現になる。 計測器が機種群(カテゴリー)ごとに、測定原理による解釈で用語を命名している例である。有線通信の伝送方式の「不平衡」と、オシロのプローブの「シングルエンド」が同じ「1本伝送」のことを、違う用語にしているのは初心者には難しい話である。

Bluetooth(ぶるーとぅーす)

近距離無線通信の規格のひとつ。 PCやスマートフォンなどの情報機器やオーディオ機器にインタフェースとして普及した。最近は可搬型の計測器にも機能が搭載されるようになった。大変普及したため、携帯機器で重要な低消費電力の規格、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy、BLE)が登場し、さらに普及が進んでいる。 無線規格は通信距離と伝送速度によっていくつかの規格があり、用途によって使い分けられる。Blutoothとほぼ通信距離が同じで伝送速度が遅い下位規格に ZigBee(ジグビー)がある。伝送速度がほぼ同じで通信距離が長い(上位)規格に、国産のWi-SUNがあり、Wi-SUN FANはIoTに活用されつつある。Blutoothとほぼ通信距離が同じで伝送速度を上げたのがUWB(超広帯域無線通信)である。UWBの伝送速度は480Mbpsで、無線LANの代名詞であるWi-Fi(600Mbps)より少し遅いが、使用周波数(キャリア)はWi-Fi(2.4GHz/5GHz)より高い4GHz帯と8~10GHz帯を使用する。 Bluetoothの名称は規格を開発したスウェーデンのエリクソン社の技術者がつけた。ノルウェーとデンマークを交渉により無血統合したデンマーク王の歯が青かったことに由来して「青い歯(blule tooth)」。「乱立する無線通信規格を統合したい」という願いを込めた。(Wikipediaより)

Bluetoothアナライザ(ぶるーとぅーすあならいざ)

(bluetooth analyzer) Bluetoothは無線の通信規格のため、無線(RF)の測定器と、プロトコルの測定器の2種類がある。代表的なモデルを紹介すると以下。 1. RF関連 アンリツ ・MT8852B Bluetooth テストセット ・MT8870A ユニバーサルワイヤレステストセット 2. プロトコル関係 テレダイン・レクロイ ・ComProbe Sodera LE Wideband Bluetooth Low Energy Protocol Analyzer ・ComProbe Sodera Wideband Bluetooth Protocol Analyzer ただし国内販売の代理店は、オシロスコープなどを販売するテレダイン・ジャパンではなく、コーンズテクノロジー株式会社が取り扱っている。 ELLISYS(日本総代理店 ガイロジック株式会社) BEX400-STD-EDR Bluetoothエクスプローラ400プロトコルアナライザなど。 参考情報:商流のお問合せの事例

Bluetoothプロトコルアナライザ(ぶるーとぅーすぷろとこるあならいざ)

(bluetooth protocol analyzer) Bluetoothでデジタル通信を行っている機器間に設置し、プロトコル(機器間で定められた通信方式)の検査や通信障害の解析を行う測定器。略称:Bluetoothアナライザ。 BLE(ブルートゥースローエナジー)などの新しい規格もあり、Bluetoothプロトコルアナライザは現在でも現役モデルである。

プロアナ(ぷろあな)

プロトコルアナライザ(protocol analyzer)の略称。スペクトラムアナライザをスペアナ、ロジックアナライザをロジアナと呼称(略称)するのと同じ。 参考用語:オンラインモニタ

BroadR-Reach(ぶろーだーりーち)

米国の通信インフラ用半導体のファブレス大手であるBroadcom(ブロードコム)社が車載Ethernet 用に開発したデータ伝送技術の名称(ドイツの自動車メーカBMWとBroadcomが仕様を決めた)。現在の車載Ethernet100/1000BASE-T1などの基礎になっている。 当時のBMWの担当部署はスピンアウトしてTechnica Engineering社になった。同社は車載Ethernetに特化して製品開発しているパイオニアで、2008年にBroadR-Reachの研究・評価を始めてから、2010年に世界初のBroadR-Reach(100BASE-T1)と標準イーサネットのコンバータの販売を開始し、2011年には100BASE-T1のL2スイッチの販売を始めている。技術力や知見があり、毎年製品を開発・発売して売上を伸ばしている。 Technica Engineering社製品は日本ではガイロジック株式会社が販売している。同社は2002年にAmerican Arium(アメリカン・エイリアム)社のICE(エミュレータ)の日本代理店として創業し、その後はBluetoothのプロトコルアナライザなどを取り扱っている、先新のデジタル系計測器の商社である。最近は売上の約半分を車載関連製品が占めているという。 参考記事(会員専用):【展示会レポート】人とくるまのテクノロジー展 2022 横浜 ・・ガイロジック株式会社が取り扱っている車載Ethernet製品を取材。

プロトコル(ぷろとこる)

(protocol) 複数のデバイスやコンピュータシステムが互いに通信するための規約のこと。日本語では「通信規約」。規格を策定する標準化の団体(たとえばIEEEなど)が多くのプロトコルを規定している。 コンピュータや通信インフラの進歩によって、遠隔地のコンピュータ同士がデータ通信を行うことが日常的になった。新しいプロトコルが開発されると、その試験にはプロトコルアナライザが活躍する。1970年代から2000年代頃までは、多くのデータ通信規格がつくられ、それぞれを検証するプロトコルアナライザは、通信計測器の花形だった。LANが広く普及した2000年代以降は、ソフトウェアによるプロトコル検証が主流になり、計測器(ハードウェア)は減少した(無線LANなどの特殊なバスアナライザは今でも現役)。 元来、プロトコルとは「共有されている手順」のことで、人間同士のやりとり(コニュニケーションのルール、考え方、儀典)だった。西洋の社交場に着ていく服装などの規定はプロトコルだった。人ではなく物に広がったのが、ここでいう通信プロトコルである。

プロトコルアナライザ(ぷろとこるあならいざ)

(protocol analyzer) プロトコルを解析する機器やプログラムのこと。コンピュータや電機機器など、通信する装置間に流れているデータを解析するハードウェア(計測器)やソフトウェア(プログラム)。データ通信の測定器(解析機器)。略称:プロアナ。 LANやインターネットなど様々なプロトコルに対応したモデルがある。データ通信の主流が公衆回線(モデムを使ったアナログ通信)だった時代からLANが発達したため、従来のプロアナをWANアナライザ(Wide Area Network、ワン。LANのLocalに対比させた「LANではない」という造語)と呼称した。用途によってLANアナライザ、バスアナライザなどが登場した。2000年以降はWANアナライザは比較的低速のハンドヘルドのオンラインモニタが、LANアナライザはPC上で動くソフトウェアが主流となった。計測器ハードウェアとしてはギガビットLANなどに対応した高速LAN用アナライザやシリアル通信のバス解析に特化したシリアルバスのアナライザがある。(WANという表現は2020年現在、ほとんど死語となっている) 2000年以前にはプロアナは通信計測器の1カテゴリー(機種群)として確立していた。計測器メーカやIT企業が多彩なモデルをつくり、デジタル系の計測器の代表だった。ICE(マイコン開発支援装置)やロジックアナライザと併用されることも多かった。ただし通信規格に対応するため、規格の流行に計測器は左右される。新しい通信方式(通信規格、プロトコル)が策定されて、規格の普及時には高機能な解析機能があるプロアナは必須だが、規格の普及に伴いニーズは解析よりもモニタになり、場合によっては計測器自体が不要になる。規格によって残るモデルと廃止になり消えていくモデルがある(プロアナは寿命が短い、現役期間が短命なモデルが多い)。 現在のプロアナは、低速のRS-232Cなどのラインモニタ(安価なハンドヘルドモデル)と、特定の通信規格や最先端の高速通信用の高額モデル(バスアナライザを含む)に2極化している。市場規模(売上)は2000年以前よりも縮小していると推測される(※)。また大手計測器メーカはほぼ撤退し、現在のプロアナ、バスアナはIT機器メーカ(ベンチャー企業)がつくっている。 (※)1980年代のRS-232C、1990年代のLANやISDNなどの対応したプロアナはキーサイト・テクノロジー、安藤電気、ビッツ、ラインアイ、アドバンテスト、sniffer(東陽テクニカ)などが多くのモデルを販売していたが、2020年代にプロアナをラインアップするのはラインアイ(低速のラインモニタ)と東陽テクニカ(高速のアナライザ)の2社で、他はすべて撤退した(キーサイト・テクノロジーは表示部のないボードや箱型のPCI Expressバスアナライザが少しある)。計測器メーカではない海外のIT機器メーカがバスアナライザをつくっているが、計測器としてのプロアナは計測器メーカの主要機種群ではなくなった。「電気計測器の中期見通し(JEMIMA、2022年12月)では、光通信測定器、ネットワーク負荷試験機、SDH/SONETアナライザなどの有線通信測定器の中にプロアナは含まて、単独の機種群としての統計データ(売上実績や今後の予想)は示されていない(単独では示せない額になったと思われる)。

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