計測関連用語集

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車載Ethernet(しゃさいいーさねっと)

(automotive ethernet) イーサネット(Ethernet)を、自動車の車載ネットワークに使えるように考案された通信技術。今後の車載ネットワークのプロトコルとして期待される高速通信の規格。最大1Mビット/秒のCANに対して、車載Ethernet規格の100Base-T1では100Mビット/秒でのデータ伝送が行われる。PCなどで普及している100Base-TXとは各種仕様が異なる。日産自動車が2019年9月に発売した新型セダン「スカイライン」では、車載Ethernetを採用したことが明らかになっている。 車載Ethernetに特化して機器開発しているのはドイツのTechnica Engineering(T社)である。競合はCANアナライザで有名なVECTOR(V社、ベクター、本社:ドイツ)とIntrepid Control Systems(I社、イントリピッド・コントロール・システムズ、本社:米国)。V社、I社はCANやFLEXRAY(フレックスレイ)などもやっていて車載Ethernet専業ではない。V社は早くから車載Ethernet製品を始めたが、T社はもっと早くてパイオニアである。I社製品は何でもできるというコンセプトでT社のメディア・コンバータ、ネットワーク・タップ、スイッチが合わさったような製品。2社とも最終的にできることは同じだが、T社の方が老舗なので技術的に1歩先行している。 車載Ethernet製品のシェアはV社がNo.1と推定(2022年現在)。Canalyzerのブランド力は強い。CANユーザはV社ユーザで、原則V社を購入する。CANと車載Ethernetは違う規格だが用途が似ている。CANは1Mbpsで、これが足りないから高速にするために100Mの車載Ethernetが導入されようとしている。ユーザはECUを担当している部署でCANユーザである。 イーサネットの世界では負荷試験が必須で、自動車Tier1(ティアワン)は必ずテスト装置を設備している。車載Ethernetも同じ。いまではSpirent(スパイレント)社のTestCenter (テストセンタ)が高シェア。IP負荷試験装置で一世を風靡したスパイレントは健在で、同社のネットワークパフォーマンステスターは今でも健在である。

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

ShowNet(しょーねっと)

通信ネットワークの展示会、Interop(インターロップ)で構築される大きなインターネット環境。出展者の製品2600台以上が接続され、出展者はShowNet上で実際的なデモなどを行う、実稼働ネットワーク。

シリアル(しりある)

(serial)seriarlは「連続」、「一続き」、「順次」という意味。シリアル伝送(serial transmission)、シリアル通信(serial communication)、シリアルインタフェースなどは、通信方式の規格として良く使われる用語。計測器には「シリアルバス」や「シリアルデータ」、「シリアルトリガ」などのことば(用語)がある。 似た言葉でシリーズ(series)は直列、系列の意味。series connectionは直列接続。○○シリーズというと同じ○○系列ということ。計測器にも多くのシリーズ名がある。 技術用語ではなく一般にシリアルというと、麦、とうもろこし、米などを焼いて加工した食品のこと。コーンフレークやオートミールなどが健康食品としてはやりである。

シリアルATA(しりあるえーてぃーえー)

Serial Advanced Technology Attachment の略 (読み方:しりあるえーてぃーえー、しりあるあーた)。パソコンとハードディスクなどの記憶装置を接続するIDE(ATA)規格の拡張仕様の一つ。パラレルからシリアルになり高速転送(1.5Gbps)が可能になった。2005年から普及が始まり、パソコン以外での家電への応用が実用化されている。

シリアル通信(しりあるつうしん)

(serial communication) データを送受信するための伝送路(信号線)を1本(または2本。TxとRx)使用して、データを1ビットずつ送受信する通信方式。少ない信号線で接続するため、構造がパラレル通信より簡易で、線材や装置のコストが抑えられる点がメリット。規格の代表例はRS-232C、RS-422A、RS-485などのEIA(Electronic Industries Association:米国電子工業会)が策定した通信規格がある。 現在のシリアル通信には低速のI2C(アイスクウェアシー)から、LVDS、PCI Express、USB、Ethernet(イーサネット)、HDMIなどの高速シリアル通信まで多くの規格がある。技術の進歩によって伝送速度が速くなり、複数本の信号線(パラレル通信)でなく1本の通信線でも十分に高速な伝送が可能になったことが背景にある。パラレル通信方式は複数本の通信線が必要なので高価だが、昔はそうしないとデータをたくさん送ることができなかった。伝送速度を速くするより、通信線を複数本にすることで、全体としての伝送速度を速くしていた。 CPUなどのデータバスはパラレル通信だが、2つのバスをつなぐとき、パラレルからシリアルに変換して高速シリアル通信して、受信側でシリアルからパラレルに戻す、SerDes(サーデス)やシリアライザと呼ぶ手法がある。このようなインタフェース変換の手法が使えるのも、シリアル通信が高速にできるようになったためである。 serialは「連続」、「一続き」、「順次」という意味。

シングルエンド(しんぐるえんど)

電気信号の伝送方式には大きくシングルエンドと差動がある。信号線が1本で、グランドとの電位差によって信号を伝送しているのがシングルエンド。single-ended signalling(最後まで1本で伝送する方式)が語源と推測される。2本の信号線を使い、1本にはプラスの信号を、もう1本にはマイナスの信号を送り、差分で1か0を表現するのが「差動(ディファレンシャル、differential)」である。シングルエンド方式は電線が1本で簡易だがノイズの影響を受けやすく、長距離、高速通信には向かない。差動はオシロスコープ(オシロ)のプローブの品名に大変よくでてくる。 オシロなどではシングルエンドと呼ばれるが、有線通信の分野では(たとえばプロトコルアナライザの解説などでは)不平衡と呼ばれる。2本での伝送は平衡と呼んでいる(1本には伝送したい信号を、もう1本にはその信号の逆位相信号を送ると、信号が平衡関係にあるため)。たとえばシリアル通信の代表的な規格であるRS-232Cは不平衡。 シングルエンド(single end)=不平衡(unbalance)で、両方は全く同じことを違う表現をしている。シングルエンドは、「ある電圧を基準として、それより電圧が高いか低いかで1と0を表現する」伝送方式とも説明されている。「(2本の)差動」と「シングル(1本で)エンド(最後まで伝送)」という表現がシングルエンドと差動の語源である。見方を変えると「(2本の線が)平衡(している)」、「(1本なので平衡していない、つまり)不平衡」という表現になる。 計測器は機種群(カテゴリー)ごとにその測定原理があり、それに沿った解釈や用語がある。そのため、全く同じ現象を別のことばで表現していることがある。オシロやプローブは差動やシングルエンド、有線通信では平衡、不平衡、と説明される。計測の初心者からは「どちらか1つに統一してくれ」という声が聞こえてきそうである。それ以前に、差動とシングルエンドが対になる用語であることを、その名称から推測することはほぼ無理である。

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