計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

5

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

mova(むーば)

1991年にNTTドコモが開始したPDCサービスと、それに対応する端末(携帯電話機)の名称。発売時の機種は4モデルあり、おのおの特徴的な形状をしていた。その後のガラケーの主流になる折り畳み式は日本電気が製造した。ほかに富士通と三菱電機、松下通信工業(後のパナソニック モバイルコミュニケーションズ)がつくった。 当時はアナログの無線方式の2Gの時代で、世界中の無線通信の方式が統一されていなかった。movaは現在のスマホにつながる小型の携帯電話機の走りである。3G時代の2001年にNTTドコモはFOMA(フォーマ)を発売するなど、同社(キャリア)のサービス(携帯電話などの機器を含む)の名称は英字4文字が続いた。 1993年3月に第2世代デジタル方式サービスが開始され、対応する携帯電話を「デジタル・ムーバ」と呼んだ。アナログ方式サービスは1999年3月まで続き(つまり従来のmovaは1999年3月まで継続し)、2001年10月に第3世代デジタル方式の新サービス、FOMAに対応する携帯電話が発売されている。 NTTドコモのサイトで、「歴史展示スクエア」の「ムーバ(アナログ)」と題したページには、「mova」の名称は英語の“movable(動かせる、移動する)“の 最初の4文字m・o・v・aから採ったもので、超小型携帯電話の大きな特長である携帯しやすい、すなわち“移動しやすい“を表現したものです、とある。また、4機種 「ムーバN、ムーバD、ムーバP、ムーバF」と表記された携帯電話の画像が掲載されている。Nは日本電気(NEC)、Dは三菱電機(三菱のロゴ、ダイヤから)、Pは松下電器(パナソニック)、Fは富士通を示している。携帯電話の機種名はこのようにメーカの略称を英文字で示すことが多い。また、このページの表記で分かるように、movaとムーバの両方の表記が混在している(使い分けの基準は不明)。

無線機テスタ(むせんきてすた)

(transceiver tester、radio tester) 無線通信測定器の1種(1カテゴリー名)。アンリツのMS555が有名なので、無線機テスタというとアンリツの品名ともいえる(同社が無線測定器の代表メーカであることを伺わせる)。アナログ無線通信時代(2000年頃まで)に、無線機の総合試験機として重宝された。SG(信号発生器)にPM(RFパワーメータ、高周波パワーメータ)やSA(スペクトラムアナライザ、スペアナ)機能などを付加し、送信と受信の両方を1台で測定できる。後のデジタル無線通信時代の携帯電話評価用のワンボックステスタの源流。 国産では日本無線(JRC)の計測器部門もラインアップがあった。安藤電気はラジオコミュニケーションアナライザの品名で無線機テスタ製品があった。海外のマルコーニ(旧AEROFLEX、現在はVIAVIの傘下)製品は菊水電子工業が現在でも取り扱っている。ローデ・シュワルツはアドバンテストの外販営業部門が販売していた(この部署が独立して現在の日本法人、ローデ・シュワルツ・ジャパンとなった)。 アンリツの形名がMSであることから、同社はスペアナの1種と位置付けていたと推定されるが、その後のデジタル通信時代にはMT8801ラジオコミュニケーションアナライザがある(ワンボックステスタのテスタからTをとったと推定。また品名も無線機テスタではない)。また同時期に スペアナをベースにしたMS8608デジタル移動無線送信機テスタという製品もある。これは「送信機テスタ」というスペアナの1種で、ワンボックステスタ(T)と送信機テスタ(S)の2系統の製品でユーザニーズに応えていた。 2000年代中期には無線機テスタの種類は次の4つといわれた。1.RFコンフォーマンステストシステム、2.シグナリングテスタ+プロトコルテストシステム、3.デジタル無線機テスタ、4.サービステスタ。この分類は(現在からみれば)大変広義の解釈である。無線機テスタとはアナログ方式の無線機の総合試験機で、デジタル時代になるとワンボックステスタとよばれ上記3と4がデジタル無線の無線機テスタといえる(4は保守用途に特化した小型のモデル)。シグナリングテスタ(呼接続試験機)は現在では別カテゴリーとして確立している。2000年代は携帯電話のデジタル方式が始まった黎明期で、その当時の解説といえる。 トランシーバなどの無線機(端末)を試験するには、信号発生器からスペアナ、パワーメータなどの各種のRF基本測定器が必要で、各試験によって測定器をつなぎ変えていた。そこで、無線機の評価に必須な機能だけを合体させた総合試験機をつくり、無線機とは1回だけつなぐことで試験を効率化した。これを無線機テスタと命名したのは自然である。なので英訳したら「無線機(transceiver、トランシーバ)のtester」である。1980年代に登場し、1990年代に爆発的に普及した携帯電話(ガラケー)は送信と受信をするアナログの無線機の1種である。無線機テスタは携帯電話(端末)に必須の測定器となった。 1990年頃のアナログ無線通信時代のキーサイト・テクノロジーの無線機テスタ、8923の品名は「Test Set」である。つまり、無線機テスタ(Transceiver Tester)とは日本の計測器メーカが命名した名称で、海外メーカのモデル名の翻訳ではない、と筆者は思う。無線機テスタと同等の品名にラジオコミュニケーションアナライザ(無線通信の解析器、という意味)という名称も使われた(ローデ&シュワルツのCMU200の品名は「Universal Radio Communication Tester」だった)。その後、デジタル無線の時代になると、「すべての試験ができるように、1箱(ワンボックス)に収まった試験器」という意味のワンボックステスタが、国内・海外メーカ共通の名称になった。 アンリツMS555が有名だが、これが「無線機テスタ」の元祖(はじめて世に出た無線機テスタ)かどうかは不明である。

無線給電(むせんきゅうでん)

(wireless power supply、Wireless Power Transmission) 電力は通常、ケーブルで供給されるが、無線によってそれを行う技術のこと。小型の携帯電気機器(スマートフォンなど)ですでに実用化されている。自動車の電動化(EV車)に伴い、各種の研究(方式や使用する周波数)が行われている。たとえば共振方式ではコイルに高周波で大電力を流すことが模索されている。 別名:非接触給電、ワイヤレス給電。Wireless Power Transmissionを略してWPTと記載している文献もある。 2030年代には世界市場の規模は1兆5000億円といわれる。信号の伝送は無線化が進んだが、電力の伝送だけはケーブルによる有線通信である。そのため、メディアではパワーエレクトロニクス最後のフロンティアなどとも書かれて取り上げられている。2021年度に総務省は無線給電に使用可能な周波数帯域の拡大のために、電波法の改正を検討している。

無線LAN(むせんらん)

(wireless LAN) 無線通信によってデータの送受信をするLAN。別名、ワイヤレスLAN。Ethernet規格の一部である「IEEE 802.11b」で規定されたが、2000年代に無線LANの1種であるWi-FIが普及したため、現在ではWi-Fiは無線LANと同義。無線LANよりもWi-Fiの方が良く使われることばになった。たとえば、多くの家庭にはWi-Fiルータがあり、PCなどの情報機器と無線通信している。Wi-Fiルータは光ファイバやCATVなどの通信網でネットワーク(インターネットなど)につながっている。 LANは1980年代に銅線ケーブルを使い、建物内(限定された狭い範囲内)でネットワークを構築したのが始まり。1990年代の企業内へのOAパソコンの普及、インターネットの拡大によって、LANは企業内に広まった。その後、無線方式のLANが登場し、従来のLANは有線LANと呼ばれるようになった。従来のLANは設計開発や検証時にLANプロトコルアナライザを使用したので、LANアナライザというとプロトコルアナライザを指すことが多かったが、無線LANは無線の評価があり、無線機テスタのような「無線を使用する機器の、無線の総合評価」をする無線LANアナライザもある。そのため無線LANアナライザの範囲は広く、計測器の名称からはプロアナか無線機テスタか判別しにくい場合が多い。「無線LANテスタ」という呼称もあり、無線機テスタで無線LANに対応したモデルが各社から発売されている。LANケーブルメータ(ケーブルテスタ)は有線LANであることが名称から想像できる。 無線LANは2010年代に多くの電子機器に広がったため、無線通信測定器の雄、アンリツは「無線LANに詳しくない技術者でも使える」をコンセプトに、無線LANテスタMT8862A(品名はワイヤレスコネクティビティテストセット)を2017年3月に発売している。同社の形名でMTは無線機テスタ、ワンボックステスタを示している(2文字目のTはtesterからの命名といわれている)。つまり、MT8862Aは無線LAN用の無線機テスタである。 ハンドヘルドの無線LANテスタ、AirCheck G2はWi-Fiなどの接続試験ができるので電気工事会社で重宝されている。

無線LANアナライザ(むせんらんあならいざ)

(wireless LAN analyzer) 無線LANプロトコルアナライザの略称。LANプロトコルアナライザはLAN用のプロトコルアナライザ。有線だったLANが「IEEE 802.11」という規格で無線になった。「無線LAN」や「ワイヤレスLAN」と呼ばれる。この規格に準拠した無線LAN機器メーカの団体がWi-Fi(ワイファイ)という規格をつくった。そのため無線LANとWi-Fiは現在では同じことである。無線LANプロトコルアナライザはIEEE 802.11用のプロトコルアナライザといえる。Wi-Fiアナライザと呼んでいるメーカもある。 「プロトコル」が略されて「無線LAN(またはWi-Fi)アナライザ」という場合、スペクトラムアナライザなどのRFの測定器を指していることがあるので注意が必要。何の項目を測定するかの確認が大事である。Wi-Fiが広く一般家庭に普及したため、品名などの名称が「無線LANテスタ」と呼ばれる製品群も増えている。たとえばNetAlly(旧NETSCOUT)のAirCheck G2やアンリツのMT8862Aなどがある。

  • 1