計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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CDMA(しーでぃーえむえー)

Code Division Multiple Access の略。和訳すると「符号分割多元接続」だが、CDMAという表記や表現の方が良く使われる。携帯電話などの無線通信に使われる方式の一つ。NTTが2001年に商用開始した3G(第3世代通信)サービス(デジタル無線方式)の名称はW-CDMA(Wideband CDMA)という。

GPS(じーぴーえす)

(Global Positioning System)人工衛星を利用して自分が地球上のどこにいるのかを正確に割り出すシステム。

GPS受信機(じーぴーえすじゅしんき)

GPS衛星の信号を受信する機器。

GPS信号発生器(じーぴーえすしんごうはっせいき)

GPS信号を発生する測定器。GPSはGlobal Positioning Systemの略(直訳:全地球測位システム)。測定器としては株式会社計測技術研究所・目黒電波測器事業部(旧株式会社目黒電波測器、2016年に計測技研に合併)のGNSS(※)疑似信号発生器などがあり、GPS製品の検査に活用されている。※GNSS:(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)。GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称。

J-PHONE(じぇいふぉん)

2000年頃にあった携帯電話の通信事業者(キャリア)のブランド名で、当時はNTTドコモ、auに次ぐ第3の携帯電話キャリアだった。JRの路線沿いに敷設した光ファイバで全国ネットワークを構築していた日本テレコムは、傘下のデジタルホン、デジタルツーカーで1990年代に携帯電話に参入し、デジタル1.5GHz帯でサービスを行った。2000年頃にJ-PHONEと名乗ったが、紆余曲折の後、現在のソフトバンクの携帯電話事業になっている。 携帯電話(2G)サービスを展開していたデジタルホン3社とデジタルツーカー6社が、1999年10月に全国統一ブランドのJ-PHONEとなった(会社名もこの頃に変更している※)。携帯電話(端末)の表示部の上部には「J-PHONE」と大きく印刷されていた。1994年サービス開始以来、大きな加入者数獲得ができなかったが、2000年11月開始のカメラ付き端末「写メール」が大ヒットし2003年5月には1000万人を突破した。2002年11月に(当時の)世界最大の携帯電話会社Vodafone(ボーダフォン、英国)が資本参加し、国際ローミングサービスも開始した。2003年10月にブランドと会社名をVodafoneへ変更(つまり、J-PHONEは1999年から2003年の4年間にだけ存在した)。2006年3月に英ボーダフォンはボーダフォン日本法人をソフトバンクに譲渡すると発表。現在のNTTドコモ、auに並ぶ、ソフトバンクの携帯電話ブランド、SoftBankが誕生した。 (※)「東京デジタルホン」や「J-PHONE」は 1997年と1998年に商標登録されている。J-PHONEはJ-フォンやJフォンとも表記された。東京デジタルホンなどの会社名は1999年にJ-フォンになった(例えば東京デジタルホンはJ-フォン東京)。その後、会社名はVodafone、日本法人はボーダフォンになった。一般的にブランド名と会社名は同じ場合と違う場合がある(違っていても、時期によって同じだったケースもある)。1999年10月にデジタルツーカー各社は「J-フォン」を冠した商号(会社名)に変更した、といわれている。1993年に建設された神奈川県横浜市の鉄塔(基地局)の銘板には「株式会社東京デジタルホン」とある。鉄塔の他の箇所には「J-フォン東日本(株)」という表記もある。デジタルホンは1994年にサービス開始した携帯電話の通信事業者だが、1997年から呼称をJ-PHONEへ移行し、社名も1999年10月にJ-フォン〇〇になったと思われる。つまり会社名はJ-フォンでブランド名がJ-PHONEである。2000年10月にJ-フォン東京はJ-フォン北海道、J-フォン東北と合併してJ-フォン東日本になった、という記録もある。携帯電話端末にはJ-PHONEとあるので明確だが、会社はなくなっているので、J-フォンがどの期間にどんな会社名で存在したのか、よくわからない。Jフォンという(「-」がない)表記はJ-PHONEを日本語読み(カタカナ表記)しようとして、Jフォンと表現したと思われる。 今では当たり前の、携帯電話にカメラが標準装備している走りは、J-PHONE(Jフォン)の写メールである。同様にNTTドコモが1999年に始めたiモード(携帯電話でのネットワーク接続サービス、アイモード)も一時代をつくった。現在のスマホの第一の機能は(電話ではなく)ネット検索やSNS(Social Networking Service:Facebook、LINEなどのような、Web上でのネットワーク構築)である。 写メールとは、カメラ付き携帯電話で撮影した画像を携帯電話の電子メールに添付してやり取りすることができるサービスのことで、俗語の「写メ(しゃめ)」は流行語となった。2000年11月発売のJフォンのカメラ内蔵・カラー端末のモデル名は「J-SH04」。このSHはシャープ製を意味する。当時の携帯電話端末メーカはNTTドコモに納品するNEC、パナソニック(松下通信工業)など、mova(ムーバ)以来の、いわゆる電電ファミリーがトップメーカで、シャープは携帯電話では後塵を拝していた。キャリアの巨人、NTTドコモに採用されなかったシャープが、携帯電話に写真機能を付けることを思いつき、キャリアとしても後発で伸び悩んでいたJフォンでヒットさせる成功物語が、NHKの人気番組、プロジェクトXで紹介されている。 日本では1990年代に携帯電話サービス(アナログ方式)が始まり、1995年にはガラケーの初号機であるmovaが発売され、2001年にはデジタル化(W-CDMA)されている。1990年代から2000年代は日本の家電各社はこぞって携帯電話に参入し、市場を牽引する大きな規模になった。そんな2000年にシャープがJフォンでヒットするモデルをつくった話は、格好のサクセスストーリである。三洋電機もNTTドコモ以外でシェアを伸ばしている。ただし、2010年代には日本の携帯電話はiOSに駆逐され、現在は国産の純粋な携帯電話メーカはなくなった(アップルのiPhoneの台頭)。シャープも台湾企業に買収され、中華資本となった(国産メーカではなくなった)。三洋電機は会社自体が解体して、なくなってしまった。 携帯電話は最先端の技術を詰め込んだ、日進月歩の超小型の通信機器であり、コンピュータである。研究開発から設計、検査、保守まで、高額な計測器が使われる(ほとんど数百万円/台。1千万円以上のモデルも珍しくはない)。アンリツ、キーサイト・テクノロジーなどの移動体通信用計測器メーカと、その計測器(数百億円)を商材として保有する計測器レンタル会社は、日本市場で大きな売上とその消失という激変を1990年代から2000年代に経験した。携帯電話用の特殊な高額計測器が不良資産となり、計測器レンタルのビジネスや、レンタル事業そのものから撤退する一因となったレンタル会社は1社だけではない(当時7社あった計測器を取り扱うレンタル会社は、現在は3社となった)。平家物語ではないが、栄華と没落は一体(栄枯盛衰)である。J-PHONEはなくなったが、NTTドコモ、KDDI(au)と競うSoftBankに引き継がれた。

シグナリングテスタ(しぐなりんぐてすた)

(signaling tester) 携帯電話の音声通話・コンテンツダウンロード・TV電話などの、端末のアプリケーション機能試験を行う測定器。疑似基地局や基地局シミュレータ(エミュレータ)ともいわれる。アンリツ製品の品名に多い。 アンリツのラインアップは形名MD84xxAシリーズ(xx:数字)。2018年2月19日に、検証課題解決により4Gから5Gへのスムーズな移行に貢献する、として5Gシステム開発用テスタの新製品MT8000Aをプレスリリースした。 今後の同社のシグナリングテスタはMDではなくMTが増えるのかもしれない。同社が電電ファミリーとして、基幹通信網の新しい伝送交換装置に対応した計測器を次々と発売していた時の形名はMPxxxxAだったが、現在の後継モデルはMTになっている(MT1040Aネットワークマスタ プロなど)。従来はMT8820A ラジオコミュニケーションアナライザなど、移動体通信向けの総合試験器(信号発生器やスペクトラムアナライザなどの単機能ではなく、複数の測定器の機能を持った複合測定器。1台ですべて測定できるのでワンボックステスタの通称もある)をテスタの意味で形名の2文字目をTとしていたが、最近の同社の新製品はMTが増えた。 アンリツの競合であるキーサイト・テクノロジーのシグナリングテスタは「基地局テストソリューション」などの名称で、シグナリングテスタという品名のモデルはない(以下の参考記事が詳しい)。 2004年9月発行の電子計測器&システム[ガイドブック]2005(電波新聞社発行)は、機種群(カテゴリー)ごとの各計測器メーカの製品を掲載している。RF測定器の章の技術解説の冒頭は、アンリツが無線機テスタについて書いている。同社の無線機テスタとして次のモデルが掲載されている。 MD1623B シグナリングテスタ(PDCに対応) MD8480B シグナリングテスタ(W-CDMAに対応) MS555B ラジオコミュニケーションアナライザ MS8608A ディジタル移動無線送信機テスタ(W-CDMA、PDC、PHSなどに対応) MT8820C ラジオコミュニケーションアナライザ(W-CDMA、PDC、PHSなどに対応) MT8860A ワイヤレスLANテスタ(無線LANに対応) 現在では、無線機テスタ(同社の品名は「ラジオコミュニケーションアナライザ」が多い)とシグナリングテスタは別カテゴリーの製品となっているが、この資料では送信機テスタも含めてすべて「無線機テスタ」として掲載されている。 MD1623B シグナリングテスタはアナログ方式の携帯電話(日本の規格名はPDC)に対応したモデルで、開発時の機能試験だけでなく、生産ラインの最終工程での接続試験にも使われた。端末を制御するシーケンス中の各種パラメータを任意に定義できる呼制御機能が優れていた。アンリツは電話機をNTTに納品する実績がある電話機メーカでもあり、コールシミュレータ(疑似呼)を開発した国内唯一の計測器メーカである。その要素技術がシグナリングテスタにつながっている。 1990年代には国内に多くの携帯電話メーカがあり、端末や基地局のソフトウェア開発で何十台ものMD1623Bを使用した。MD1623Bは数百万円する高額なモデルなので、メーカは計測器レンタル各社をフル活用して開発納期を厳守した。当時のシグナリングテスタはソフトウェア開発・デバッグに欠かせないICEのようなツールだった。計測器レンタル会社が保有するMD1623Bは稼ぎ頭だったが、プロトコルアナライザやロジックアナライザのような純粋なデジタル計測器ではなくアナログの測定項目があるので校正が必須で、ランニングコストは大きかった。

シグナルジェネレータ(しぐなるじぇねれーた)

(signal generator) 信号発生器の別名。ファンクションジェネレータなどの汎用的な信号発生器をつくるテクトロニクスや、オシロスコープだけでなくスペクトラムアナライザや 信号発生器にラインアップを広げているGood Will Instrument (GW Instek)に、シグナルジェネレータやシグナル・ジェネレータという表記がでてくる。また、リーダー電子などのテレビ・オーディオ測定器にもシグナルジェネレータというモデルがある。 無線通信用の計測器メーカであるキーサイト・テクノロジー、アンリツ、ローデ・シュワルツには、「シグナルジェネレータ」という品名のモデルは無い(2023年10月)。無線通信ではRF信号発生器やベクトル信号発生器などの名称が品名になっている(キーサイト・テクノロジーは以前はシグナルジェネレータという品名のモデルがあった)。 なので、現在では無線通信以外のオーディオ、TV/ラジオ放送の信号発生器や(高周波ではない低周波の)信号発生器(FGなど)をシグナルジェネレータと呼称しているといえる。2000年代以前のアナログ無線通信が主流の時代は、オーディオ周波数(可聴周波数)やアナログのテレビ・ラジオ放送の周波数に対応した信号源は信号発生器ではなく発振器(低周波発振器やRC発振器)と呼ばれることが多かった。信号発生器と発振器の厳密な違いは難しい。

ZigBee(じぐびー)

家電向けの短距離無線通信規格の一つ。Bluetoothと同種の技術で、Bluetoothよりも低速で伝送距離も短いが、代わりに省電力で低コストという利点がある。

6G(しっくすじー)

(6th Generation Mobile Communication System) 日本語にすると「第6世代移動通信システム」。日本では公共無線通信に5G が2020年から商用化された。6Gは5Gの次の規格。5Gの主要技術は中国企業が先行し、基地局ではHuawei(ファーウェー)のシェアが高い。欧米は研究開発で後れを取った。5Gは軍事技術に直結するため、アメリカのトランプ前大統領はHuawei製品の未採用とともに、6Gで巻き返すことを宣言している。2021年4月の菅首相とバイデン大統領との直接面談でも、6Gなどを念頭に先端技術分野である半導体などで日米が提携・協力することが発表されている。日本のNTTも光通信技術であるIOWN (アイオン)の開発で6Gの規格策定に先行する意欲を表明している。NTTはIOWNについて2020年6月にNECと資本提携、2021年4月には富士通と開発で業務提携を発表している。

周波数シフト・キーイング(しゅうはすうしふときーいんぐ)

(Frequency Shift Keying)デジタル変調の一種で、周波数偏移変調とも呼ばれる。搬送波が2 つの周波数(中心周波数とオフセット周波数)間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。略記である「FSK」という表記が一番多く使われている。

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

信号源(しんごうげん)

(signal source) 電源(power source / power supply)が電力を発生する電力発生器であるので、信号の発生器を信号源と呼称する。計測器では信号発生器や発振器などの製品名が多く使われるが、それらを総称して信号源やジェネレータと表現している。信号源やジェネレータは計測器の品名に使われることもあるが、製品の名称としては信号発生器が一番多い。RFなどの高周波の信号源の世界的なブランドであるキーサイト・テクノロジーのホームページでは、このカテゴリー(機種群)のタイトルは「信号発生器と信号源」である(2023年10月)。

振幅シフト・キーイング(しんぷくしふときーいんぐ)

(Amplitude Shift Keying)デジタル変調の一種で、振幅偏移変調とも呼ばれる。デジタル変調信号により、出力周波数が2 つの振幅間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説」より)。略記である「ASK」という表記が一番多く使われている。

振幅変調(しんぷくへんちょう)

(Amplitude Modulation) 一般に,搬送波の信号は下式のようにあらわせる。ここでA: 振幅,ω: 角速度(=2πf ,f: 周波数),θ: 位相 である。この搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて振幅(A)の大きさを変化させるのが振幅変調である。振幅変調(Amplitude Modulation)の頭文字をとって "AM"と略表記される。

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