計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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NA(えぬえー)

高周波回路網(ネットワーク)の伝送特性(通過や反射など)を測定する計測器であるネットワークアナライザ(Network Analyzer)の略記。DUTを「入出力を持つブラックボックス」として、入出力の関係(Sパラメータ)によって、DUTの特性を評価する。キーサイト・テクノロジーが世界的に高シェア。同業の無線通信(高周波、RF)計測器メーカであるローデ&シュワルツとアンリツもラインアップしている。最近はUSBタイプのNAも出現し、テクトロニクスもラインアップがある。

MWE(えむだぶりゅいー)

(Microwave Workshop&Exhibition) 電子情報通信学会 APMC国内委員会が主催する、マイクロ波技術の学術、産業、教育に関する国内最大級のイベント。MWEと略記されることが多い。パシフィコ横浜の展示ホール/アネックスホールで開催され、マイクロウェーブワークショップ(マイクロ波工学の初学者を対象にした基礎・入門講座、一流研究者が先端技術の発表を行う特別セッションなど)とマイクロウェーブ展 (Microwave Exhibition)で構成される。 展示会には主要なRFの計測器メーカが出展する(キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツ、森田テックなど)。計測器としてはスペクトラムアナライザ、デジタル信号発生器、ネットワークアナライザ、RFパワーメータなどが出展する。無線給電や5G、6Gなどの最新の無線通信方式も技術展示される。当サイトでは2回、展示会を取材している。 MWEのHPによると、古くは1990年に池袋サンシャインシティで開催された記録がある。コロナ禍で2020年~2022年はオンライン開催(リアルな展示会などは中止)となった。

カップラ(かっぷら)

(coupler) マイクロ波で、信号と信号を結合させる機器。日本語では方向性結合器だが、マイクロ波の機器(部品)としては「カップラ」や「カプラ」という表現がされ、カップラはすでに日本語といえる。 キーサイト・テクノロジー、アンリツなどがつくっている。 高周波の通信の1種である光通信で、信号を結合させる機器を光カプラやフォトカプラ と呼称する。

可変アッテネータ(かへんあってねーた)

(variable attenuator) 減衰量を可変できる抵抗器のこと。別名、可変抵抗減衰器やステップアッテネータとも呼ばれる。RFではアッテネータ、低周波では減衰器という品名が多い傾向があるが、明確な定義はない。

可変抵抗減衰器(かへんていこうげんすいき)

減衰量を可変できる抵抗器 。可変アッテネータやステップアッテネータとも呼ばれる。「減衰」を略して「可変抵抗器」と呼称されることも多い。

キャリブレーションキット(きゃりぶれーしょんきっと)

ネットワークアナライザで使用するアクセサリ。(=校正キット)

群遅延(ぐんちえん)

(Group delay) 基本波と高調波からなる波形が回路素子を通過するときの遅延特性。群遅延というのは、「電気長L [m]の被測定物を周波数f [Hz]の信号が通過するのに、どれだけ時間がかかるか」を意味しており、位相θ[rad]を周波数f[Hz]で微分することにより求めることができる。

検波器(けんぱき)

(Detector) 被変調波から、元の音声信号などの信号を取り出す(復調する)回路素子あるいは電子回路。ダイオード素子が使われることが多いため、「ダイオード検波器」とも呼ばれる。スカラネットワークアナライザと一緒に使用するアクセサリ。(=ディテクタ)

高周波アッテネータ(こうしゅうはあってねーた)

(RF Attenuator) 高周波信号レベルを適切なレベルまで減衰させるコンポーネントあるいは電子機器。高周波(Radio Frequency)、アッテネータ(Attenuator)から "RF ATT"と略表記されることもある。 この信号レベルを減衰させる量を「減衰量」と呼び、通常デシベル(dB)という単位を用いて表す。例えば 10 dBのアッテネータは、信号レベルを10分の1に減衰させる。アッテネータは、通常通過する信号の周波数に影響されない無誘導抵抗体で構成されていて、抵抗減衰器とも呼ばれる。

校正キット(こうせいきっと)

ネットワークアナライザで使用するアクセサリ。(=キャリブレーションキット)

5線測定(ごせんそくてい)

LCRメータなどのインピーダンス測定器で採用されている5端子法(5端子測定法)を「5線測定」や「5線測定方式」と表現している場合がある。たとえば三和電気計器のモデルLCR700など。 参考記事: LCRメータの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・試料との接続方法を図解。 計測器情報:LCR700・・計測器の主な仕様と製品カタログ

5端子法(ごたんしほう)

(five-terminal method) 低い抵抗値を測定する時に有効な4端子法に、さらにシールドを施してDUTの電位をグランドに等しくしたものが5端子法(4本の測定線と、測定器のFG端子につなぐ5本めの線がある)。高いインピーダンスの測定時に5端子法は有効である。この接続法は1Ω~10MΩまでの幅広いインピーダンス測定に対応できる。ただし電流ケーブルと電圧ケーブルの間の相互誘導の影響は少し残る。電磁誘導の影響を抑えた手法に4端子対法がある。5端子法を「シールデッド4端子法」(シールドされた4端子法)と表現している文献もある。 インピーダンス測定をするLCRメータなどは5端子法に対応している。三和電気計器株式会社のハンディLCRメータ(LCR700)のカタログには「5線測定方式(4端子ソケット+ガードライン)」と書かれている。ここでは5端子法を「5線測定」、5本目の線を「ガードライン」と表現している。

固定アッテネータ(こていあってねーた)

減衰量が固定の減衰器。(=固定減衰器)

固定抵抗減衰器(こていていこうげんすいき)

減衰量が固定の減衰器。(=固定アッテネータ)

サーキュレータ(さーきゅれーた)

高周波電力を1方向にだけ通す電子部品。

雑音指数測定器(ざつおんしすうそくていき)

(noise figure meter)信号に含まれるノイズの大きさを測定する機器。ノイズフィギュアメータとも呼ばれる。

雑音レベル計(ざつおんれべるけい)

電話回線・放送回線の雑音レベルを測定する機器。

治具(じぐ)

(jig)計測器の用語としては「測定対象物を固定したり、測定器に接続するためのアクセサリ」のこと。LCRメータ、インピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザ、半導体テスタなど、回路素子や半導体などの電気特性を計測する分野で使われる。具体的な品名はテストフィクスチャやテストリード、テストピンなど様々。jig(英語)が語源。元の意味は「木工で切削加工をするときに工作物を固定したり、位置決めをする器具」のこと。「治具」は当て字。「ジグ」や「冶具」という表記も見かける。冶金(やきん:鉱石を採取して、金属を精製する)という熟語が示すように「冶」は溶かすという意味なので、「冶具」は誤りと思われるが、使用されている例を多く見かける(理由は不明)。

シグナルソースアナライザ(しぐなるそーすあならいざ)

(signal source analyzer) 水晶発振器やPLLなどの信号源の特性を評価する測定器で、主に位相雑音(側波帯雑音)を正確に測定できる。RFなどの無線通信分野や、高周波の計測器メーカがつくっている。キーサイト・テクノロジー(キーサイト)とローデ・シュワルツ(R&S)、Wavecrest(ウェーブクレスト)がラインアップしている。キーサイトはE505xシリーズが現役モデル。R&Sの品名は「位相雑音アナライザ/VCOテスタ」(FSWP26、FSWP8など)。英語表記を略記したSSAが計測器メーカ資料に使われている。メーカ価格は約1千万円のため高額測定器である。 「3つのドメイン(周波数、振幅、時間)を1台で解析」とPRしているメーカもある。従来はフェイズノイズアナライザ(位相雑音測定器)、スペクトラムアナライザ(スペアナ)、オシロスコープ(オシロ)、タイムインターバルアナライザなどの複数の測定器が必要だった信号源評価を1台に集約した複合計測器である。携帯電話を含む無線機の総合評価測定器である無線機テスタ(ワンボックステスタ)の信号源版といえる。振幅ノイズ以外に、ジッタスペクトラムやPLLの2次、3次伝達関数(transfer function)が測定できる。時間領域では発振波形の立ち上がり時間(オシロの機能)やタイムインターバルも確認できる。 位相雑音の測定はスペアナでもできる。キーサイトとR&Sはスペアナの要素技術を使いSSAをラインアップしている。2社のSSAはPLL法を使っている。もう1社のWavecrestはオシロスコープ法を採用している。同社はSignal Integrity Analyzer(シグナルインテグリティアナライザ)のSIAシリーズを1990年代からラインアップし、PCI Express(PCIe)などの高速通信規格のジッタ解析に使われた。つまり、高速デジタルが勃興する時代にジッタ解析ができるオシロをつくった(2000年代後半以降はリアルタイムオシロスコープの周波数帯域が数10GHzまで伸び、広帯域オシロスコープが普及したので、SIAの優位性は薄れた)。同社のSSAはSIAをベースにしている。2013年頃にTriple Domain(3軸、3つの領域)と銘打ってSSA-20、SSA-50、SSA-150などをPRしている。 アンリツはMS2840A(スペアナ/シグナルアナライザ)の位相雑音測定機能をPRしている。「無線機の基準発振部の位相雑音評価に高価なSSA(専用器)ではなくMS2840A(汎用器)を流用して使えば、SSAの1/3程度の価格で位相雑音評価が行える」、と主張している。 SSAは「信号源(signal source)の評価機器・解析器(analyzer)」という命名だが、品名から機能がイメージしにくい(最近のスペアナはシグナルアナライザを品名にしているモデルが多く、SSAと似た名称である)。その点、ローデ・シュワルツの品名は「発振回路の代表であるVCO(Voltage Controlled Oscillator)のテスタ」というわかりやすいネーミングである。SSAという名称には「位相雑音やVCOだけの測定ではなく、信号源の総合的な評価ができるアナライザ」、というメーカの主張が伺える。 テクトロニクスのリアルタイムスペクトラムアナライザであるRSA3000Aに信号源解析ソフトウェア(オプション)を搭載すると、対数目盛りの周波数(横軸)に単位周波数当たりの値に正規化した雑音レベル(dBc/Hz)を表示できる。高速フーリエ変換(FFT)の手法を使い、位相雑音の測定を実現している(RSA3000Aは生産中止。現在の同社はスタンドアロンではなくPC接続型の小型のリアルタイムスペアナにラインアップをシフトしている)。 SSAの機種群(カテゴリー)の分類は難しい。キーサイト・テクノロジーの製品ページには、機種分類としてオシロ&アナライザ、信号源&電源、ワイヤレスなどと並列に「測定器」なる表記があり、その下の分類にDMM、LCRメータ、位相雑音測定などがある(2023年11月同社ホームページ)。位相雑音測定をクリックするとSSAが現れる。ローデ・シュワルツはEMC測定機器、アナライザ、オシロなどの分類があり、アナライザの下にスペアナや位相雑音アナライザがあり、位相雑音アナライザをクリックすると「位相雑音アナライザ/VCOテスタ」(モデルはFSWPやFSPM)が掲載されている(2023年11月同社ホームページ)。キーサイト・テクノロジーは「SSAはワイヤレスなどの無線通信ではなく基本測定器の1種」という主張かもしれない。 当サイトではSSAをノイズフィギュアメータ(雑音指数測定器)とともにカテゴリー「ネットワークアナライザ」(ネットアナ)に分類している。その他という分類をつくらず、既存のどこかのカテゴリーに入れたいため、高周波の部品の総合評価という範疇でネットアナに登録している(これが最も適切な分類ということではない)。

振幅変調(しんぷくへんちょう)

(Amplitude Modulation) 一般に,搬送波の信号は下式のようにあらわせる。ここでA: 振幅,ω: 角速度(=2πf ,f: 周波数),θ: 位相 である。この搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて振幅(A)の大きさを変化させるのが振幅変調である。振幅変調(Amplitude Modulation)の頭文字をとって "AM"と略表記される。