計測関連用語集

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ファブリペロー共振器(ふぁぶりぺろーきょうしんき)

(Fabry-Perot resonator) ファブリペロー干渉計ともいう。反射板・透明板・半透鏡などで構成され、通信、レーザー、光学分野で使われる。電波の共振波長から誘電率などが測定できる。 シャルル・ファブリとアルフレッド・ペローから命名された。

FieldFox(ふぃーるどふぉっくす)

キーサイト・テクノロジーのハンドヘルドRF製品群の通称。SA(スペクトラムアナライザ、略称:スペアナ)にNA(ネットワークアナライザ)機能などを付加した、マイクロ波/ミリ波のハンドヘルド製品群である。 スペアナの形状による分類で(以下の参考記事が分類に詳しい)、ポータブル型/画面一体型の1種ともいえる。ただし、Field Foxは横型ではなく縦型で、上部に表示画面、下部が操作部という、ハンドヘルド型のオシロスコープに似た形状をしている。そのためポータブルというよりハンドヘルドである。メーカHPでは「小型のアンテナ付きハンドヘルド・アナライザ FieldFoxは、VNA、RF/マイクロ波アナライザ、スペクトラム・アナライザなどの設定オプションがある」と説明している。製品タイトルはスペアナのページでは「FieldFoxハンドヘルド・スペクトラム・アナライザ」、ネットワークアナライザのページでは「FieldFox 小型 RF/マイクロ波/スペクトラムアナライザ」となっている。 FieldFoxは通信計測器の中の現場測定器に分類される。電気工事などの技術員が無線通信用途で使用する。電波干渉などのフィールドでのRFの高精度なテストを行うことができる。日常の保守業務から複雑なトラブルシューティングまで対応できるように、20を超えるモデルがある(2024年8月現在)。キャリア周波数 最大54GHzのパルス発生に対応したパルスジェネレータのオプションもある。シンプルなスペクトラム解析、ケーブル/アンテナのテスト、ベクトルネットワーク解析などの用途に使われる。 RF測定器のメーカはベンチトップのスペアナや電波測定器を小型にした屋外用途のモデルをラインアップしている。形状を小型にしただけで性能はベンチトップとほとんど変わらないため、決して安価ではない。アンリツにはサイトマスタと呼ばれる製品群がある。 海外の通信計測器メーカであるVeEX(ビーエックス)やViavi(ビアビ)、EXFO(エクスフォ)なども同等のハンドヘルド製品をリリースしている。毎年5月に東京ビッグサイトで開催される移動体通信のイベント、ワイヤレスジャパンではFieldFoxその他の各メーカのモデルが勢揃いする。有線通信が第一の展示会であるCOMNEXTやInteropにも一部のモデルが展示されている。 FieldFoxやサイトマスタとは機能・性能が異なるが、安価で小型の計測器を中心にラインアップしているOWON(オウオン、中国)はフィールド用途のスペアナもつくっている。HSA1016(9k~1.6GHz)はメーカ価格193,000円(20万円以下)のため、キーサイト・テクノロジーやアンリツなどの高価なモデルを買えないアマチュア無線 愛好家が購入するケースがある。2023年と20234年のハムフェア(アマチュア無線のお祭り、催し物)では、OWONブースで特別値引の即売会が開催された。

VSWR(ぶいえすだぶりゅあーる)

(Voltage Standing Wave Ratio)電圧定在波比の略記だが、VSWRやSWRという表記の方が良く使われている。高周波の伝送に関する基本的な単語。デジタルではなくアナログの基礎用語。

VNA(ぶいえぬえー)

Vector Network Analyzerの略記。ネットワークアナライザ(NA)の現在主流の略称。 ネットワークアナライザには従来、スカラー(※)型とベクトル型(VNA)があり、前者は下位モデルで安価、後者は上位で高額だった。最近はスカラー型が減り、ほとんどのNAがVNAになり、特別にいわないでもNAといえばVNAが多くなった。現在ではあえてVNAという必要性はないように思えるが、キーサイト・テクノロジーなどの計測器メーカは好んでVNAの表記を使っている(※※)。同社にはUSB計測器のStreamlineシリーズがあるが、VNAのラインアップが一番多い。2020年頃からnanoVNA なる計測器がamazonなどの通販で販売されている。約1万円でGHzオーダの測定ができる、カードサイズの小型・激安VNAである。ホビー向け電子工作の記事を満載している月刊誌、トランジスタ技術などにnanoVNAで実測した例が掲載されている。 (※) (scalar) 大きさのみを持つ量を指し、ベクトルに対比して使われる用語。ベクトルは大きさと向きを持っている物理量。圧力、加速度などの多くの自然界の計測量がベクトルである。特に電気信号はベクトルで表現される(電子回路理論では、数学の複素数を使った表記をされる)。VNAは大きさ(dB、デシベル)と向き(位相など)のベクトル量(実数部と虚数部の2つがある複素数)で測定できる。dBだけを測定する安価なモデルがスカラー型NAだった。昔のNAは高価な測定器だったが、技術革新によって安価なVNAが流通するようになった。 (※※) オシロスコープは1980年代にデジタル方式が開発され、従来モデルは「オシロスコープ」から「アナログオシロスコープ」に名称変更され、現在ではほとんど生産中止している。アナログモデルがなくなったのでわざわざ「デジタルオシロスコープ」といわずに「オシロスコープ」といわれることも多い。逆にいうと「オシロスコープといえばほぼデジタルオシロスコープ」を指している。NAはベクトルネットワークアナライザが主流になった現在でもあえてVNAという表記が多い。計測器は、進化の変遷(機種の歴史)を知らないと良くわからない、ニッチな世界である。なぜオシロスコープとネットワークアナライザの機種名称の表現方法が同じではないのか?正確に回答できる計測器のプロはなかなかいないと筆者は思う。

フィクスチャ(ふぃくすちゃ)

(fixture) 測定対象(DUT:Device Under Test)を計測器につなぐ器具(接続具、接続装置)。ネットワークアナライザや、光デバイス計測の偏波測定システムなどでは、調芯(アライメント)ステージを備えた複雑な機構のフィクスチャもある(以下の参考記事「Keysight World 2023」が詳しい)。パワー半導体の動特性を評価するキーサイト・テクノロジーのダブル・パルス・テスター PD1500Aでは、電圧・電流センサやDUTを装着するセンサの機構をDPT Fixtureと表記している(DPT:Double Pulse Tester、以下の「Keysight World 2024」に写真がある)。 fixtureは元々、部品を加工するときに機械に取り付ける装置(取付具)のこと。Fixtureの日本語訳は「治具(じぐ)」、「備え付け具」、「取り付け具」など。 LCRメータでは測定器の入力端子に勘合し、電子部品の端子を差し込んで接触する器具をテストフィクスチャ(test fixture)と呼ぶ。先端にクリップがあり、DUTの端子を挟むことができる測定ケーブルをDMMなどではテストリード(test lead)と呼称している。LCRメータも同様にアクセサリとしてテストリードがある。LCRメータやインピーダンスアナライザでは、テストリード(測定用のケーブル)に合わせて、DUTを接続する機構を「テストフィクスチャ」(測定用の治具)と命名したと思われる。 AI開発などで使われるプログラム言語のPython(パイソン)では、フィクスチャは「テストの実行前後で行う前処理/後処理を記述する関数」のこと。IT分野でフィクスチャというと、「コンテンツを含むファイルのコレクション」を指していて、フィクスチャはユニークな名前を持ち、アプリケーションやディレクトリに関連する。このようにフィクスチャは広範につかわれるが、計測器ではDUTとの接続具(接続装置)を指している。 半導体検査装置ではDUTとの接続機構をフィクスチャではなくプローバと呼んでいる。プローバというとオシロスコープなどのプローブ(探針)と似た呼称である。計測器は分野(カテゴリーや機種群、機器)によって呼称が異なっているので、初心者には大変わかりにくい。

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

複素平面(ふくそへいめん)

電子回路理論では、インピーダンスを複素数(実数部と虚数部の和)で表す。実数部を横軸、虚数部を縦軸にしてインピーダンスを記載したものを複素平面と呼んでいる。複素平面の原点から、インピーダンスの値をプロットした点に線を引いたものをベクトルといい、その長さ(インピーダンスの絶対値、振幅)と、横軸(実軸)との角度(位相)によって交流信号を数式で表現できる。複素平面の横軸(実軸)は周波数によらないR(抵抗)成分で、縦軸(虚軸)はリアクタンス(コンデンサやコイルなど、静電容量やインダクタ)成分による。複素平面に実部が一定、また虚部が一定の値の軌跡を描くと円になる。円が書かれた図をスミスチャートという。周波数やリアクタンスを変化させたときにスミスチャート上でどのような軌跡(グラフ)になるかを、ネットワークアナライザは測定して表示する機能がある。

浮遊容量(ふゆうようりょう)

(stray capacitance、stray capacity)電子部品のコンデンサなどの静電容量(キャパシタ)は2つの導体間の電荷である。そのため、機器内で近接する2枚の金属があると、その間には静電容量が発生する。この静電容量は設計では意図しない成分で、浮遊容量(または寄生容量)と呼ばれる。わざわざコンデンサなどの電子部品によって回路上に静電容量をつくるわけではなく、不要なキャパシタ成分である。 電子部品のリード線や、接続ケーブルにも浮遊容量があり、交流信号を扱うときは周波数によっては、意図しない浮遊容量が影響して、測定が正しくできない場合がある。たとえばLCRメータやネットワークアナライザで、DUTまでの2本の接続ケーブルが平行して並んでいると、2本のケーブルの間にはキャパシタが発生する。これは測定の邪魔になる意図しない静電容量、つまり浮遊容量である。

分布定数回路(ぶんぷじょうすうかいろ)

(distributed constant circuit) 回路素子の物理的寸法がその回路で対象とする信号の波長に対して無視できず、インダクタ(コイルL)、キャパシタ(静電容量C)、抵抗(R、G)を独立した回路素子として取り扱うことができない回路。分布定数回路では、伝送線路上における基本構成として下図のような等価回路が単位長あたりに存在するとして取り扱う。 集中定数なのか分布定数なのかは、その線路を伝わる信号の変化の速さ(立ち上がり/立ち下がり時間)で決まるので、画一的な数値でその境界線は示しにくい。一般的には高周波になると分布定数で評価している。目安としては、信号の周波数がGHz(おおよそマイクロ波)以上なら分布定数回路で、未満だと集中定数回路の事が多い(あくまで目安)。ネットワークアナライザは高周波でインピーダンスを測定するが、分布定数回路なためSパラメータで回路の特性を規定している。LCRメータやインピーダンスアナライザなどの回路素子測定器 は集中定数回路のL、C、Rを測定し、等価回路で表示している。

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