計測関連用語集

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周波数領域表示(しゅうはすうりょういきひょうじ)

周波数の関数として、信号のスペクトラム成分のパワーを表示すること。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

信号対雑音比(しんごうたいざつおんひ)

(Signal to Noise Ratio) 「通信の品質」を示す指標として、対象となる情報の信号レベルと雑音レベルとの比率を信号対雑音比といい、これを対数表示でデシベル [dB]で表す。この信号対雑音比(Signal to Noise Ratio)はSNR またはSN比、S/Nなどの略記をされることも多い。

振幅シフト・キーイング(しんぷくしふときーいんぐ)

(Amplitude Shift Keying)デジタル変調の一種で、振幅偏移変調とも呼ばれる。デジタル変調信号により、出力周波数が2 つの振幅間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説」より)。略記である「ASK」という表記が一番多く使われている。

振幅変調(しんぷくへんちょう)

(Amplitude Modulation) 一般に,搬送波の信号は下式のようにあらわせる。ここでA: 振幅,ω: 角速度(=2πf ,f: 周波数),θ: 位相 である。この搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて振幅(A)の大きさを変化させるのが振幅変調である。振幅変調(Amplitude Modulation)の頭文字をとって "AM"と略表記される。

ステップアッテネータ(すてっぷあってねーた)

(step attenuator) キーサイト・テクノロジーの可変抵抗減衰器の品名など、RFの可変抵抗器にこの名称が多い。

スプリアス信号(すぷりあすしんごう)

(Spurious signal) 不要信号と呼ばれ、一般的には目的信号以外の信号を指す。受信機ではイメージ信号や局部発振の高調波によって受信される信号のほか,受信機内部で使用するほかの発振器の周波数やその高調波の信号もスプリアス信号である。また,送信機では目的信号以外に発射される信号をスプリアス信号と呼んでいる。

スペアナ(すぺあな)

スペクトラムアナライザ(spectrum analyzer)の略称。略記:SA。

スペクトラムアナライザ(すぺくとらむあならいざ)

(spectrum analyzer) 信号が持つ成分を周波数毎に分解し、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。主に高周波信号の解析に使用される。略称:スペアナ。RFなどの無線の最も代表的な基本測定器。時間軸(タイムドメイン)の波形を表示する観測器であるオシロスコープ同様に、(無線の世界は周波数軸で評価するため)スペアナは「無線の基本測定器」である。 同じく周波数軸の波形測定器にFFTアナライザがあるが、用途は振動解析など直流~低周波で使われるので、スペアナとはアプリケーションが異なる。周波数を測定する製品としての仕様はFFTアナライザとスペアナで重複する部分もある。 DCから高周波まで幅広いラインアップのキーサイト・テクノロジーは以前はFFTアナライザをつくっていたが、現在はスペアナに注力し、スペアナの世界No.1メーカである。国産のアンリツとドイツのローデ・シュワルツの3社が、スペアナを含む無線の3大計測器メーカといわれる。 デジタルの携帯電話が世界的に普及し(3G以降)、デジタル変調信号の解析に優れたスペアナが多く発売され、現在のスペアナの品名はシグナルアナライザも多くなった。また、EMC用途に特化したスペアナ(電波測定器)をEMIレシーバと呼び、ローデ・シュワルツの代名詞となっている。 スペアナの基本仕様は、まず測定できる周波数範囲で、次が周波数の分解能である分解能帯域幅である。

Spectrum Master(すぺくとらむますた)

通信計測器の専業メーカであるアンリツは、特に無線通信用測定器のラインアップが多く、日本の無線通信インフラの進歩・発展を支え、通信インフラと共に歩んできた。同社のハンドヘルドのスペクトラムアナライザの通称がSpectrum Master。モデル(形名/品名)はMS27xx/スペクトラムマスタである(2022年7月現在)。品名はスペクトラムアナラザではなく「スペクトラムマスタ」である。キーサイト・テクノロジーのハンドヘルドRF製品の通称はField Fox(フィールドフォックス)だが、こちらは品名ではないので、製品自体にはその名前の表記(印刷)はない。

スペクトル(すぺくとる)

(spectrum) 2つの意味がある。 1. 光を分光器で分解して波長の順に並べたもの。光スペクトルの略。(虹のように)光が7色に分離されることは良く知られている。 2.複雑な組成を分解し強度(パワー)の順に並べたもの。一般に光学や分析の分野ではスペクトルと呼んで、ある物理量を横軸に、その強度の変化を縦軸に示したグラフを指す。周波数ごとの大きさ(f特)の波形(グラフ)を「周波数スペクトル」と呼ぶ。横軸に波長、縦軸に強度のグラフは「波長スペクトル」という。 ただし、電気計測や通信の分野では「スぺクトラム」と呼んでいる。スペクトルもスペクトラムも英語は同じSPECTRUMである。無線通信測定器で電波の強度を測定し、周波数成分ごとのパワーを表示するのはスペクトラムアナライザといわれる。同様に光通信測定器で、横軸が波長のものに光スペクトラムアナライがある。なぜスペクトルでなくスペクトラムといったのかは不明。日本語の物理用語としてはスペクトラムよりもスペクトルのほうが一般的である。計測器は一般的ではなく特殊な言い方をする例といえる。計測器では横軸は周波数や波長のため、強度の順では並んでいない。周波数や波長の小さい方から大きい方へ(左から右へ)パワーを表示する。 別の角度からの解説を以下に箇条書きで述べる。 ・スペクトルとは電磁波(電気信号や光など)を成分ごとに分解して、成分の大小(強度やパワー)を見やすく配列した図(グラフ)のこと。 ・分光や電気計測では成分(横軸)は波長や周波数で、測定結果(表示画面)のグラフはエンベロープの最大値(連続したスペクトル)が表示される。 ・試料の化学的な組成を調べる(計測して分析する)科学分析計では連続のグラフではなく、元素などが線で表示される(連続スペクトルではなく線スペクトル)。分析装置の画面に表示された大きな縦線を見た使用者は、「これは○○(元素など)が多く含まれていることを表している」と語る(科学分析機器の使用者はその縦線が何を意味するかを理解する知識を持っている)。 ・分光では横軸は波長、縦軸は強度(intensity)である。電波(スペクトラムアナライザ)では横軸は周波数(Hz、ヘルツ)、縦軸はパワー(電力、dB)である。光通信やDVD(光を使った記憶媒体)で使われる光スペクトラムアナライザの横軸は波長で、縦軸はパワー(電力、dB)である。

spectrum(すぺくとる)

スペクトルとは、ある物理量の数値ごとの大きさのこと。たとえば周波数ごとの数値を示したグラフである「周波数スペクトル」はf特(周波数特性)のことである。 無線信号などの周波数スペクトルを表示する測定器は(スペクトルアナライザではなく)スペクトラムアナライザと呼ばれている。日本語のスペクトルもスペクトラムも英語は同じspectrumである。

スペクトログラム(すぺくとろぐらむ)

テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」では「周波数がX軸、時間がY軸で表される周波数対時間対振幅表示。パワー・レベルは色別で表示。」とある。時間軸と周波数軸を持つユニークな測定器としてデジタル変調解析の標準器だったキーサイト・テクノロジーのベクトルシグナルアナライザ(Vector Signal Analyzer、VSA)89600シリーズもスペクトログラム表示ができる。

セミリジットケーブル(せみりじっとけーぶる)

(semi-rigid coaxial cable) マイクロ波などの高周波(RF)で使用される同軸ケーブルの1種。外部導体を金属管にすることにより伝送特性を改善している。外観は金属の棒のようだが、被覆などを剥がすと内部は同軸ケーブルになっている。外部導体に継目のない金属チューブを使用するなど(各メーカによって構造に違いはあるが)、通常の同軸ケーブルよりも特性が良いため、従来の導波管からの置き換えも進んでいる。絶縁体にテフロンを使用して誘電体損失(tanδ)を低減している製品もある。 通常の同軸ケーブルは取扱いがしやすいように、外部導体を編組構造にして柔軟性を持たせている。そのため周波数が高くなると遮蔽効果が弱くなり、伝送損失が増加する。導波管のように金属の菅にして空気を誘電体にすると性能は上がるが取り扱いは簡便ではない。セミリジットケーブルは導波管のメリットを取り入れた同軸ケーブルといえる。 マイクロ波などの高周波部品メーカがつくっている。スペクトラムアナライザと併用するFETプローブなどをつくっているスタック電子もラインアップしている。

線形回路網(せんけいかいろもう)

(Linear network) 入力信号の周波数成分と出力信号の周波数成分とが同じ回路網をいう。ただし、各周波数成分の振幅と位相は、回路網を構成する回路要素によって異なってくる。即ち、非直線性を示す回路要素を含まない回路網をいう。

選択度(せんたくど)

(Selectivity) スペクトラムアナライザの性能を示す1つで、IFフィルタの”3dB帯域幅”と”60dB帯域幅”の比で示される。この比率が大きいほど測定する信号を分離する選択性能が優れていることになる。

掃引(そういん)

(sweep) 測定値を画面にグラフ表示する計測器では、波形を描画していくこと。掃引信号発生器は周波数をある範囲で下から上に一定時間で変えていく可変信号発生器で、周波数を安定的に可変することを掃引と呼んでいる。RFやマイクロ波、ミリ波では可変信号発生器をスイーパというが、波長の測定器である光スペクトラムアナライザ(光スペアナ)と併用される波長可変光源は別名 チューナブルレーザー光源といい、スイーパではない。sweepでなくtunableというのは、光源の発信波長(LDの中心波長)を調整できる、という意味である。実態は波長を下から上へ可変(掃引)して、光スペアナで波長特性を測定するので、無線通信のスイーパ(掃引信号発生器)と同じ使い方である。「それならtunableといわずに無線と同じくsweeperといってほしい」と計測器初心者の声が聞こえてくるが、機種群(カテゴリー)によって(同じことでも)異なる表現や用語を使うことが多い(まったく計測器は知っている人達だけのニッチな世界である)。 テクトロニクスの冊子「オシロスコープのすべて」(2017年発行)では「掃引:オシロスコープの電子ビームが、CRTディスプレイ上を水平方向に左から右へ移動すること」と解説されている。オシロスコープ(オシロ)も水平軸(時間軸)を掃引していて、最近のモデルは波形更新レートや波形取込レートなどの性能をPRしている。掃引時間と波形更新(取込)レートは定義が異なる。 現在のオシロはCRTを使っていないので、上記の説明はアナログオシロスコープについてである。掃引の説明として「電位を時間に対して振ることにより波形を描画していくこと。一定速度で上昇する電圧によって輝点を左から右へ移動させること。」などがあるが、これは老舗の計測器であるオシロをイメージした解説といえる。掃引の意味には「図形(グラフ)を描画する、輝点を移動する」ことも含まれるが、それは時間とは限らないし、掃引信号発生器は描画していない。 sweepの意味は「掃く」。ほうきで掃くように左から右に波形が現れたり、 周波数が下から上に変化したりすることをsweepと呼称し、日本語では「掃引」という熟語をあてた。

掃引時間(そういんじかん)

オシロスコープ(オシロ)やスペクトラムアナライザ(スペアナ)などの波形表示をする計測器で、表示画面を1回表示しきる時間(表示画面を1回、描画する時間)。掃引速度とも呼ぶ。計測器の表示では「SWP」と表記されることが多い。 スペアナの説明で「掃引時間は、スタート周波数からストップ周波数まで掃引するのに必要な秒数で、指定できる」と記載されているモデルがある(スタートは画面の左端でストップは右端になるので、画面を1回描画する時間である)。このように掃引時間は可変(設定)できることが多い(遅延掃引の機能があるオシロには主掃引、遅延掃引の2つがある)。 またオシロの説明で「掃引時間とは、ブラウン管面上で輝点を水平方向に1div(division、ディビジョン)移動させる時間のこと」という説明を発見した。1divは横軸の1目盛り(約1cm)で、たとえば水平軸を20ns(ナノ秒)に設定すると、1divが20nsで波形表示する。通常のベンチトップのオシロは横軸が10divあるので、「掃引時間は1divを描画する時間」ならば、画面の左から右まで1回表示するのに掃引時間の10倍かかることになる。前述の掃引時間とは「1divを何秒に設定するか」、つまり横軸の表示時間の設定のことをいっていると推測される。メーカによって「掃引時間」の定義が違っている例といえるが、通常は前述のスペアナの例のように画面を1回描画する時間のことである。

掃引速度(そういんそくど)

測定値を画面にグラフ表示する計測器で、横軸の描画速度のこと。オシロスコープでは時間軸、スペクトラムアナライザでは周波数、光スペクトラムアナライザでは波長。 別名:掃引時間。略記:SWP

相互変調歪み(そうごへんちょうひずみ)

(Inter-modulation distortion) 周波数の多重化に伴い、デバイスや通信システムに近接した基本波を通すことが多くなってきた。この場合デバイスや通信システムにおける非直線性により、近接する基本波同士あるいは基本波の高調波と基本波の間で高調波歪みが発生し、これを相互変調歪みという。特に、2つの近接した基本波を通した場合に一方の基本波と他方の基本波の2次高調波との間で発生する高調波歪みを「3次相互変調歪み」といい、基本波の近傍に現れるためにフィルタで除去できず、デバイスや通信システムを評価する重要なパラメータとなる。「歪」は「ひずみ」と表記されることもあるが、この用語では「歪み」と記載されることが多い。