計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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帯域幅(たいいきはば)

(Band Width) 電気信号が回路要素(フィルタ等)を通過する時に、下図のようにその最大レベルから3 dB下がった点(電力レベルで半分)の下限周波数と上限周波数の間の周波数範囲(f1 〜f2 )をいう。単位としては周波数[Hz]が用いられる。スペクトラムアナライザ(スペアナ)などの周波数分析機器で使われる基本用語。信号の帯域幅は、そのパラメータ(振幅や位相)が時間と共に変化する速さの尺度である。従って、帯域幅が広いほど回路要素を通過する信号は速く応答する。スペアナの仕様では「BW」と略記されることが多い。 「帯域幅」はいわなくても周波数のことであるが、「周波数帯域幅」という表現もみられる。「馬から落馬する」の類の表記と言えなくもないが、オシロスコープの用語で周波数帯域がある。帯域と聞いて周波数のことだとイメージしにくい素人には周波数帯域幅や周波数帯域と表記されているほうがわかりやすい。

ダイナミックレンジ(だいなみっくれんじ)

(Dynamic range) 信号の再現能力を表す数値で、最小値と最大値の比率を[dB]単位で表したもの。スペクトラムアナライザ(スペアナ)などの測定可能なレベル範囲を指す。デジタル信号のダイナミックレンジはビット数で表現される場合もある。IECの用語の定義によると「スペアナにレベル差のある2つの信号を同時に加えたとき、規定された確度でそれらを測定できる振幅レベルの最大値」。要するに、小さい信号から大きい信号までどれだけの幅で測定できるかという入力(測定可能)範囲をdBで示したもの。数値が大きいほど性能が良い。直訳したら「動的(力強い)レンジ」。レンジの広さ(幅)を示すことば。計測器ではスペアナの基本性能の1つとして良く使われている。オーディオ機器でも良く使われる(録音可能な信号レベルなどを示す)。映像機器では明暗のコントラストの幅をダイナミックレンジと呼び、SDRやHDRなどの単語がある(表現できる強弱の幅を示したもの)。「レンジ幅」と言わずにわざわざダイナミックと呼ぶのは理由があるはずだが、明確な理由(背景・由来)は不明。「ダイナミックレンジ」は初めて聞いたら(英語に堪能な人でも)わからない用語。「ダイナミックレンジが広い」と聞くと「レンジが広い」ことを言っているのかな、となんとなく理解できるかもしれない。計測器&オーディオ・映像機器のニッチな特殊用語の代表例ともいえる。余談だが、計測器とオーディオ機器に共通の用語は多い。

tinySA(たいにーえすえー)

2020年頃からネット通販などで流行の小型RF測定器の1種(tinySAやnanoVNAなど)。tinySAは手のひらサイズで価格1万円程度という、超小型・激安スペクトラムアナライザ。モデルにも寄るがおおよその仕様は、測定周波数範囲100k~960MHz、分解能帯域幅3k~600kHz、サイズは約6×10cm、厚み約20mmでバッテリ駆動する。tiny(とても小さい、smallよりもさらに小さい)SA(Spectrum Analyzer)というネーミング。 tinySAは「オランダの技術者Erik Kaashoek氏が設計し、中国のHugen氏が製造した小型の簡易スペアナ」といわれ、ネット上にはtinySA Basic(画面サイズ2.8インチ)やtinySA Ultra(画面サイズ4インチ)などの製品が紹介されている。購入経路によっては純正でない粗悪品もあるらしい(ECサイトでの購入が主流のため仕方がない)。nanoVNAと比べると種類(モデル数)は少ない(2023年6月現在)。 アマチュア無線の専門誌を発行するなど、趣味の電子工作ユーザに人気のCQ出版社は、2021年1月発売の「RFワールド No.53」や2023年7月発売の「トランジスタ技術 8月号」などに、マニアがtinySAを性能評価した記事を掲載している。 2010年代後半にキーサイト・テクノロジーやテクトロニクスなどが従来のベンチトップのRF測定器ではなくUSBタイプの小型モデルの発売を始めた(キーサイトのStreamlineなどのUSB計測器)。電子部品の小型化、性能向上、コストダウン、USB規格の普及など、技術の進歩によっていまやUSB計測器は1つのジャンル(カテゴリー)になろうとしている。手のひらサイズのポケット計測器もその流れの中で、アマチュア電子工作ユーザに広がっている。オシロスコープはポケットサイズなら約5000円、ハンディ(テスタ・サイズ)は1万円以内、タブレット型(2ch)は2万円以内で数社が販売している(いずれも従来の計測器メーカではない)。ベンチトップでもリゴルやOWON(オウオン)などの中華系オシロスコープメーカは50M~100MHz、4chで5万円以内のモデルをつくっている。前述のトランジスタ技術(2023年8月号)のタイトルは「研究!1万円級ポケット測定器」である。 個人でオシロスコープを持っている(家にオシロを保有する)技術者はまれではないが、スペクトラムアナライザまで持っているとなると数が限られる(ネットワークアナライザはほとんどいない)。tinySAはアマチュア電子工作を趣味にするマニアの夢だった「家でスペアナ」を実現した。nanoVNAは「家でネットアナ」を可能にした。

ダイポールアンテナ(だいぽーるあんてな)

(dipole antenna) 導線をT型にしたアンテナ。ケーブルの先の給電点からT字に2本の直線状の導線(エレメント)を左右対称に伸ばした形状をしている。 線状アンテナの基本となる、最も構造が簡単なアンテナ。送受信したい電波の波長の1/2の長さの導線を垂直に設置した時に、水平方向の電波の送受信ができる。ダイポールアンテナを複数本組み合わせて利得を高めているのが、TV放送受信用に使われる八木・宇田アンテナである。 計測器情報:品名に「ダイポール」がつく製品の例

ダウンコンバータ(だうんこんばーた)

(down converter) スペクトラムアナライザ(スペアナ)の周辺機器の1つ。次世代の無線通信の研究やレーダの設計ではミリ波(30GHz~300GHz)の信号を取り扱うため、現在の携帯電話などの周波数帯で普及しているスペアナで測定するには周波数を変換するダウンコンバータが必要となる。ダウンコンバータによって低い周波数に変換された信号をスペアナで測定する。

ダブルリジッドガイドアンテナ(だぶるりじっどがいどあんてな)

(double rigid guide antenna) ラッパのような形状をしているアンテナ。主にEMI測定で使用される。メーカとしては海外のETS-LINDGRENが専業として有名。「ダブル・リッジ・ガイドアンテナ」という表記も見かける。 計測器情報:ETS-LINDGRENの製品例

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