計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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C/N(しーえぬ)

S/N(Signal/Noise)は変調方式によって値が違うため、放送などではC/N比(Carrier to Noise Ratio)を指標にする。

CQ(しーきゅう)

無線通信で通信可能な全ての無線局を一括して呼び出す符号のこと。19世紀に英国の有線電信用の通信略符号として使われたという記録がある。現在はアマチュア無線 のコールサインで、通信への参加を求める呼びかけ(挨拶)の言葉として使われている。語源はCall to Quarters(※)またはCome Quick(早く来い)の略、という説があるが定かではない。 日本のCQ出版 はアマチュア無線の専門誌「CQ ham radio」やホビー向け電子工作の月刊誌「トランジスタ技術」を刊行している。これらの雑誌は電気・無線の趣味をもつ、高尚(おたく)な人々の愛読書となっている。 横河電機のライフサイエンス機器に、共焦点定量イメージサイトメーター CQ1があり、3次元イメージングで細胞測定をすることができる。形名のCQは、本稿のCQとはまったく無関係である。 (※) quarters(クオーターズ)は住居(home)、宿泊場所、屯所(military station)など複数の意味がある。quarterは「4分の1」で、四半期の意味で良く使われる。複数形のquatersは「複数の住居(営舎、兵舎、宿舎)」から「特定の人のための住居・居住区」の意味がある。Call to Quartersは「特定の人達の住居への呼び出し」、つまり「全無線局への呼び出し」になる。略記のCQが無線通信で応答者を求める「呼び出し」に使われるようになった。ただしこれは諸説の1つである。 Call to quartersは一般には「就寝の合図」である。集団生活の場などで、就寝を促すラッパなどの、就寝の指示を意味している。

CCDF(しーしーでぃーえふ)

(Complementary Cumulative Distribution Function)日本語では「相補累積分布関数 」。スペクトラムアナライザの機能の1つ。

CZTチャープZ変換(しーぜっとてぃーちゃーぷぜっとへんかん)

FFT(フーリエ変換)では、CZT関数が定義されていて周波数応答などに利用される。テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」では「CZTチャープZ変換:DFT(離散フーリエ変換)の計算を行う効率的な演算方式CZTは、従来のFFTに比較して計算量は増加するが、 出力周波数のポイントを選ぶことができる汎用性を持つ。」と解説されている。 リアルタイムスペクトラムアナライザはFFTの機能があることを示唆している。

シールド(しーるど)

(shield) 日本語では「盾」のこと。「隠れた」、「シェルター(shelter)」という意味もある。電気の世界でシールドとは「電磁場、放射線などの影響を遮断する覆いや防御壁」のことで、そのような対策を施してノイズを外に出さない(または外部のノイズの影響を受けない)ようにすることを、電気技術者は「シールド」や「シールドする」という。日本語では「遮蔽(しゃへい)」と表現されるが、電気エンジニアには「シールド」がすでに日本語となっている。EMCの試験設備である電波暗室に入り、部屋の扉を閉めると携帯電話は圏外となり、通話はできなくなる。 一般に金属で回りを囲んで覆うとシールド効果がある。アンフェノールなどのD-subコネクタはピンの回りを金属が囲み、勘合するとシールドされる。同軸ケーブルは通信線の外側を金属の網などで覆っている(アンテナからつながったケーブルをテレビに接続するときに、被覆をむくと内部の構造がそのようになっていることを容易に知ることができる)。2本の通信線をよりあわせたツイストペアケーブルはノイズに強いので電話線やLANなどに多く使われるが、STP(Shielded Twisted Pair)とUTP(Unshielded Twisted Pair)の2種類がある。STPは外側を金属で覆っているが、UTPはその名の通りシールドが施されていない。楽器・音響機器で「シールドケーブル」というとノイズ対策を施した(通常のケーブルより)高価・高機能なケーブルである。プリント基板上でシールドしたい範囲に金属の衝立て(壁)を立てたり、金属の箱を被せたりすることは、高周波の回路ではよく見かける。オシロスコープの入力コネクタの裏側(内部)が1chごとに箱で囲われて、ノイズの侵入やチャンネル間のクロストーク(漏話)を防ぐ対策をしているモデルもある。 電子機器(特に電波を送受信する通信機器)の試験のために使うシールド機材に、シールドボックス(暗箱)やシールドルーム(電波暗室)がある。 土木業界で最近使われるのは、シールドマシン(shield machine)によってトンネルを掘削していくシールド工法である。株式会社シールド(shield)は電気通信設備の工事会社である。 電気や建築などの技術分野ではなく身近なシールドの例として、盾は「防御する物や機能」を意味するので、「風防」や「風除け」に使われる。自動車のフロントガラスを「フロントウインドシールド」、ヘルメットの部品に「バイザーシールド」などがある。2020年からの新型コロナウイルス感染の対策で流行った、顔の前を透明なアクリル板で覆う商品は「フェイスシールド」(顔の盾)という。シールドに似ているが、シードル(cidre)は「りんご果汁からつくった、キリンのスパークリングワイン」である。

シールドルーム(しーるどるーむ)

(shield room) シールドとは「電磁場、放射線などの影響を遮断する」ことで、シールドの機能(特に電磁的な遮蔽)がある施設がシールドルームと呼ばれる。電波を送受信するような電子機器の性能評価をするときにシールドルームが使われる。シールドルーム内ではスペクトラムアナライザやアンテナなどの無線通信の計測器が使用される。暗室は光を遮断した部屋なので、電波を遮断する部屋を電波暗室と呼び、シールドルームと同様の機能の施設である。 EMC関連機器(設備)としてシールドルームやシールドボックスは必須のため、多くの会社がつくっている。マイクロ波などの高周波の展示会であるマイクロウェーブ展には多くのシールドルームの会社が出展している(以下に参考記事あり)。たとえば、日本シールド株式会社はシールドルームの専業メーカである。

シグナルアナライザ(しぐなるあならいざ)

(signal analyzer) スペクトラムアナライザ(スペアナ)の1種。変調信号の解析を主眼にしたスペアナを指す。スペアナの主要メーカであるキーサイト・テクノロジー、アンリツ、ローデ・シュワルツなどの通信計測器各社は、最新のスペアナの品名をシグナルアナライザにしている(2020年現在)。スペアナとシグナルアナライザは通常、区別なく使われているのでほぼ同義だが、厳密には機能に違いがある。スペアナは周波数ごとにパワーを測定・表示するため、周波数ドメイン(横軸が周波数)である。ところが今日主流のスペアナは変調ドメインで、より包括的な信号解析が可能なため、各社がシグナルアナライザ(信号解析器)と呼んでいる。スペアナの主機能である周波数分析に信号解析の機能をもった機種が、現在の主力のスペアナ(シグナルアナライザ)である。機種群名はスペアナで、新しくシグナルアナライザというカテゴリー(機種群の区分)が新設されたわけではない。そのため定義はいささか曖昧で、品名から区別できるとは限らない。 1990年代以降に携帯電話などの移動体通信が普及し、活況を呈している。スペアナの大きなアプリケーションにデジタル変調を使う移動体通信がなったので、単なるスペクトラムの測定器ではない(周波数ドメインだけではない)という各社のアピールである。ただしシグナルアナライザとスペアナが品名で厳格に区別されているかは怪しい(各社がすべてシグナルアナライザの定義を明確にして公開しているわけではない)。そもそも品名は各社が好き勝手に命名するものである。各計測器メーカは「シグナルアナライザ」なる新機軸(新しい名前)を登場させたが、それは「変調解析を主機能にしたスペアナ」のようである、と筆者は理解している。各社の品名は「スペクトラムアナライザ/シグナルアナライザ」のように併記しているモデルもある。 キーサイト・テクノロジーは古くから(1990年頃)時間軸と周波数軸の両方の表示・解析ができるVSA(ベクトルシグナルアナライザ)という製品群があった。従来はシグナルアナライザというともっぱらこのVSAを指したが、いまではオシロスコープにスペアナ機能がつくようになり(MDO)、VSAは生産終了した。現在はシグナルアナライザといえば変調解析ができるスペアナのことである。 時間ドメインの表示ができるスペアナをテクトロニクスはリアルタイムスペクトラムアナライザと呼んでいるが、VSAで古くから「周波数軸、時間軸、変調軸」を解析してきたキーサイト・テクノロジーは以下のように解説している(Keysight Knowledge Center スペクトラム・アナライザとは?)。 ・スペクトラム・アナライザ: 測定器の周波数レンジ全体の入力信号の振幅対周波数を測定します。既知の信号と未知の信号のスペクトラムのパワーの測定が主な用途です。 ・ベクトル・シグナル・アナライザ: 測定器のIF帯域幅内の単一の周波数における入力信号の振幅と位相を測定します。既知の信号のチャネル内測定(エラー・ベクトル振幅、コード・ドメイン・パワー、スペクトラム・フラットネスなど)が主な用途です。 ・シグナル・アナライザ: スペクトラム・アナライザの機能とベクトル・シグナル・アナライザの機能を同時に実行します。 つまり、キーサイト・テクノロジーの解説によれば、シグナルアナライザは時間軸表示もできる。ただし、これは他社も同じとは限らない。シグナルアナライザの定義は計測器メーカによって同じではない。 アンリツの通信計測カンパニーが配信しているメールマガジン2025年8月号のタイトルは「スペアナを超えるシグアナの便利機能 ”CCDF” とは?」である。スペアナのように、略記の「シグアナ」というワードが使われている。

シグナルレベルメータ(しぐなるれべるめーた)

(signal level meter) 電波の強さを測定する計測器。電界強度計、電測計などの名称もあり、計測器メーカによって名称はさまざま。新しい無線通信方式が導入されるときには、それに対応した電界強度計が開発・発売される。アンリツ (※)などのRF測定器メーカやリーダー電子などの映像(TV放送)測定器メーカがつくっている。リーダー電子の電界強度計(LF9xxシリーズなど)はシグナルレベルメータという名称が多い。「シグナルレベルメータ:リーダー電子の電界強度計の品名」という説明もできる。 (※) アンリツにはML524Bなどのメジャリングレシーバと呼ばれる製品群があった。PHSが普及する時は「PHSメジャリングレシーバ ML5661A」が活躍した。現在はメジャリングレシーバというモデルはないが、かっては同社の電界強度計を象徴する特長的な呼称だった。

CISPR(しすぷる)

フランス語のComite international Special des Perturbations Radioelectriquesの略記。英語ではInternational Special Committee on Radio Interference。日本語では「国際無線障害特別委員会」。EMI(エミッション)の分野でCISPR規格があり、それに準拠した計測器がノイズ研究所などにある。総務省・電波利用ホームページでは次のように説明されている。「CISPR:無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)に関し、その許容値と測定法を国際的に合意することによって国際貿易を促進することを目的として1934年に設立されたIEC(国際電気標準会議)の特別委員会。ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)やICAO(国際民間航空機関)の要請に応じて無線妨害に関する特別研究を引き受けるなど、他の国際機関との密接な協力体制がとられている。」

周波数シフト・キーイング(しゅうはすうしふときーいんぐ)

(Frequency Shift Keying)デジタル変調の一種で、周波数偏移変調とも呼ばれる。搬送波が2 つの周波数(中心周波数とオフセット周波数)間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。略記である「FSK」という表記が一番多く使われている。

周波数スパン(しゅうはすうすぱん)

当サイトの記事、「スペクトラムアナライザの基礎と概要」(2021年3月公開)には「表示画面上で一度に掃引して観測できる周波数幅」と解説されている(https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-SpectrumAnalyzer-01/)。2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」では「周波数スパン:2つの周波数間の周波数範囲。 マーカー波形トレース上の視覚的に識別できるポイント。そのポイントで表される領域やレンジの値を読み取るために使用される。」とある。

周波数ドリフト(しゅうはすうどりふと)

(frequency drift) 一定時間内における周波数の緩やかなシフトまたは変化で、単位は[Hz/s]で表される(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)。 「ドリフト」を和訳すると「漂う、流される」。スペクトラムアナライザなどで周波数を観測していると、周波数が揺らいで、一定に定まっていないことがある。これを周波数がドリフトしているという。原因は色々あり、周波数ドリフトが良いことか悪いことかは一義的には決められない。

周波数分析器(しゅうはすうぶんせきき)

周波数を分析する機器の総称。スペクトラムアナライザ・FFTアナライザなどがある。

周波数変調(しゅうはすうへんちょう)

(Frequency Modulation) 変調方式の一つで搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて周波数(f)の大きさを変化させるのが周波数変調である。周波数変調(Frequency Modulation) の頭文字をとって "FM"と略表記される。

周波数マスク・トリガ(しゅうはすうますくとりが)

(Frequency Mask Trigger) リアルタイムスペクトラムアナライザにあるトリガ機能。周波数スペクトル の形状とユーザ定義のマスクを比較してトリガをかける。別名、周波数領域トリガとも呼ばれる。オシロスコープでは時間領域で信号を捕捉する機能であるトリガは標準装備されている。また、アイパターンなどの通信規格にマスクオプションがある。周波数マスク・トリガは、周波数領域でトリガやマスクの機能を装備したものである。 周波数マスク・トリガ:周波数領域で発生する特定のイベントでトリガをかけることができるリアルタイム・トリガ。トリガ・パラメータは画面のマスクで定義する。 略記:FMT。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

周波数領域表示(しゅうはすうりょういきひょうじ)

周波数の関数として、信号のスペクトラム成分のパワーを表示すること。(2009年9月発行のテクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて」より)

受信機(じゅしんき)

(receiver)信号を受信する機器のこと。部品から装置まで多様。アンテナは受信機と送信機の両方に使われる。別名:レシーバ

信号対雑音比(しんごうたいざつおんひ)

(Signal to Noise Ratio) 「通信の品質」を示す指標として、対象となる情報の信号レベルと雑音レベルとの比率を信号対雑音比といい、これを対数表示でデシベル [dB]で表す。この信号対雑音比(Signal to Noise Ratio)はSNR またはSN比、S/Nなどの略記をされることも多い。

振幅シフト・キーイング(しんぷくしふときーいんぐ)

(Amplitude Shift Keying)デジタル変調の一種で、振幅偏移変調とも呼ばれる。デジタル変調信号により、出力周波数が2 つの振幅間で切り替わる(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説」より)。略記である「ASK」という表記が一番多く使われている。

振幅変調(しんぷくへんちょう)

(Amplitude Modulation) 一般に,搬送波の信号は下式のようにあらわせる。ここでA: 振幅,ω: 角速度(=2πf ,f: 周波数),θ: 位相 である。この搬送波に対して、変調信号の変化に合わせて振幅(A)の大きさを変化させるのが振幅変調である。振幅変調(Amplitude Modulation)の頭文字をとって "AM"と略表記される。

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