計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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バースト信号(ばーすとしんごう)

(burst signal) ある間隔を置いて送出される信号のこと。信号が存在する領域と存在しない領域が時間領域で繰り返される信号を指す。時間領域のごく一部にのみに正弦波、方形波、三角波などの信号が存在し、それ以外の領域には信号が存在しない場合もバースト信号と呼ばれる。 テレビ放送で、映像信号からカラー信号を正しく復調し再現するための基準となる信号として使われている。カラーバースト信号(色同期信号)の周波数は、アナログ放送では3.58MHzである。 burstには「張り裂ける、切れる、沸き起こる、爆発する」などの意味がある。時間領域の一部にのみ信号のエネルギーが集中している → 爆発している、という表現である。バースト信号とは反対に連続している信号をCW(連続波)と呼ぶ。時間領域の波形観測が主眼であるオシロスコープの説明書には「バースト信号の測定は・・」や「パルスバースト(時間が空いて出現したパルス列)」というような表現(解説)がでてくる。 IEC61000-4-4のイミュニティ試験で使われるバーストノイズシミュレータ(障害試験器)は、バーストノイズを発生する。一番上の値が最も時間が短いインパルス状の波形を、短い時間(たとえば1msの間)に100回だしたら、何も波形がない時間を挟んで、繰り返し(たとえば300ms周期で)バースト波形の列を発生させる、これをバーストノイズと呼ぶ。信号がある時とない時があるのでバーストである。バースト信号をノイズとしてEMC(電磁感受性/電磁妨害耐量)の試験をしている例である。メーカは国産のノイズ研究所が有名。

バーストノイズシミュレータ(ばーすとのいずしみゅれーた)

電機製品にバーストノイズを与えて耐性を試験する機器。代表的なEMI試験器の1種。ノイズ研究所がラインアップが多い(というかほぼ唯一の国産計測器メーカ)。

バイコニカルアンテナ(ばいこにかるあんてな)

円錐を頂点で上下につなぎ合わせたような形のアンテナ。

バイポーラ電源(ばいぽーらでんげん)

(bipolar amplifier) 通常の計測用電源はプラスかマイナスのどちらかしか出力できないが、バイポーラ電源はプラスからマイナスまで出力できる。電流・電圧ともにできるため、I-Vグラフ(電流と電圧の関係を示すグラフ)の1象限から4象限まで全領域で動作可能な増幅器である。4象限可能ということは、通常の電源のように出力(source、ソース、供給)するだけでなく吸い込み(sink、シンク)ができるということ。キャパシタやインダクタに流れる交流信号の電圧と電流は同相でないため、瞬時値では電圧と電流が同じ向き(両方ともプラスやマイナス)とは限らない。4象限に対応したバイポーラ電源はキャパシタ(容量性負荷)やインダクタ(誘導性負荷)というリアクタンス成分がある負荷を安定して駆動できる。4象限できることがバイポーラ電源の定義になっている。 bipolarは正・負などの2極(双極)、2つの相反するものの意味。バイポーラ電源の語源は「ソースとシンクの2つがある」や「内部の制御部に検出器が2つある」など諸説あるが不明。 英語ではBipolar Amplifier(アンプ、増幅器)で、電源(Source)ではない。電源は発生源を持っているが、増幅器は発生器を持たず入力と出力のみ(一部のバイポーラ電源には発生源があるモデルがあり、「発生器内蔵」と注釈されている)。バイポーラ電源という名称が定着しているが、最近はバイポーラ増幅器といったり、直流電源ではなく電力増幅器の項目に掲載していることもある。 種類は次の2つが主流。1.大電流(高出力)モデル:大電流の増幅器として車載機器の評価に使われる。2:広帯域モデル:高速バイポーラ電源の名称で、電子部品などの素子の高周波駆動に使用。計測器メーカは、上記の1は菊水電子工業とエヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)、2はエヌエフが長年寡占だったが松正プレシジョンが近年参入した。バイポーラ電源は1980年代にエヌエフが日本では初めて商品化したといわれ、現在も国内トップシェア。計測商社や計測器メーカが海外製品を取り扱っているが、シェアは前述の国産メーカが高いと推定される。

バイポーラ方式(ばいぽーらほうしき)

両極性(bipolar)の意味。一般的な計測用電源は、出力の極性がプラスまたはマイナスの片側が出力される。バイポーラ方式は出力がゼロをよぎり、プラスまたはマイナス双方向の出力が自由に得られる。バイポーラ電源とも呼ばれる。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

ハムフェア(はむふぇあ)

(ham fair) 一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL:The Japan Amateur Radio League)が毎年8月の休日に開催するイベント。アマチュア無線の関係者のお祭りである。主催:JARL、後援:日本アマチュア無線機器工業会(JAIA:Japan Amateur Industries Association)など、協賛:電波新聞社、CQ ham radio(CQ出版のアマチュア無線家向け月刊誌)など。「hamの祭典」なので、「hamフェア」や「hamフェス」だが、カタカナで「ハムフェア」と称している。 2024年のハムフェアは8月24(土)、25(日)の2日間、有明GYM-EX(※1)を会場として開催された。副題に「第46回アマチュア無線フェスティバル」とあるので、もう46回続く祭典である(※2)。4つのコーナ(ブロック)で展示が行われた。Aブロック(JARLコーナ)16コマ、Bブロック(ビジネスコーナ)は19コマ、Dブロック(JAIAコーナ)は7コマ、Cブロック(クラブコーナ)は一番多く159コマが出展している。即売会をしている出展社が多く、催し物の色合いが強い。同人誌の即売会、コミックマーケット(コミケ)のアマチュア無線版といえる。いわゆるニッチでディープ、オタクな趣味の仲間の催し物である。 (※1) 地名(有明)と体操競技場であったこと(Gymnastics:体操)と展示場であること(Exhibition:展示会)からつくった「有明展示場」を示す造語。読み方は「ジメックス」と説明されているが、JECAフェア(ジェカフェア)、IIFES(アイアイフェス)同様に、「関係者以外は読めない略記」だと筆者は思う。 (※2)JARLが1975年に富士宮市朝霧高原グリーンパークで開催した「全日本ハムベンション」が第1回といわれる。「アマチュア無線フェスティバル」などの呼称を経て、現在はハムフェアと呼んでいる。同じく1975年には、後年、世界最大の同人誌即売会となる第1回コミックマーケットも始まっている。つまり、ハムフェアはコミケと同じくらい老舗の「趣味のイベント」である。本用語集ではコミケは取り上げないが、無線は計測と深く密接に関係しているので、本稿で解説する。 DブロックとBブロックは、まずアマチュア無線家が使う機材を販売するメーカが出展している。たとえば無線機なら、JVCケンウッド(KENWOOD)、アイコム株式会社(ICOM)、八重洲無線(YAESU)など。アンテナや電波機器、家でアンテナを立てる時のポールなどを並べて展示&販売を行うメーカが出展している。ジャンク品を均一100円で販売しているコマもあり、年配の男性たちが群がっていた(一昔前の秋葉原の電気街を彷彿させる)。CQ出版は自社の書籍(トランジスタ技術やCQ ham radioなどの月刊誌のバックナンバーや、関連書籍)だけでなく、モールス信号の発生器やTシャツも並べて売っている。展示会というより、即売会を併設した催し物である。2023年からは中華系オシロスコープメーカも出展している(リゴルとOWON、オウオン)。2023年はリゴルが豪華な景品付きで販売をしたらしいが、2024年はOWON(T&Mコーポレーション)がオシロスコープやハンドヘルドのDMM、ポータブルのスペクトラムアナライザを展示&販売した(50% offモデルもあった)。 無線機メーカのICOMはモニタに製品を映して、女性コンパニオンが解説し、多くの聴衆を集めた。このブースの光景だけが他の一般的な技術展示会のようだった。同じく無線機メーカの八重洲無線はブースの大部分が実機体験コーナで、「並んだ無線機の前に座って陣取り、操作するアマチュア無線家」で賑わっていた。目当てのメーカの無線機を触って操作できることを目的に来場した白髪や禿げ頭のおじさん達である。趣味の電子工作をする愛好家が、昔の秋葉原のラジオデパートで各店舗の電気部品を見て回るようなわくわく感があるのかもしれない。興味のない人には「近寄れない異空間」だが、愛好家にはたまらない楽しい空間で、同好の士が集まる熱気は心地よく、ごった返している会場はまったく気にならないと思われる。 株式会社エーオーアール(AOR)は「AOR Direct」と表示して商品を展示&販売している。同社HPには「受信機・気象観測機器などの通信機を取り扱う専門メーカ」とあるが、ここでいう受信機とはアマチュア無線で使える無線機のことである。アルインコ株式会社(ALINCO)は、仮設機材の製造・販売・レンタルや、住宅関連機器、無線機の製造・販売をする会社だが、「帰ってきたぞ、アナログが。ALINCO、DJ-X82」と大きな看板を掲げ、ホビー用無線機を並べていた。ALINCOのファンも多いようで、ブースは人だかりがしていて、アマチュア無線家ではない筆者は、少し離れて観察するしかできなかった。第一電波工業株式会社(Diamond Antenna)はアンテナや同軸ケーブルなどのアマチュア無線用製品を、アツデン株式会社(AZUDEN)はヘッドセットやアンテナ用機器などを展示。株式会社ルミカ(LUMICA)は高所撮影に使うロッド(ロング ポール)や三脚のメーカだが、アマチュア無線家は自宅にアンテナを設置するのに長いロッド(ロング ポール)を使うので、Bブロックに出展し、商品を並べている。アマチュア無線の関連グッズ(関連機器)が無線機やアンテナだけではなく、こんなにあることに(関係者ではない)筆者は新鮮な驚きがあった。 筆者は開場時刻の10:00 a.m.に会場に着いたが、すでに当日入場券を買う人の長蛇の列だった。10:10には私の後ろに約100人が並び(つまり、時とともに来場者はどんどん増え)、11時頃まで入場者は列をつくった。筆者が入場券を購入できたのは10:30だった(つまり30分かかった)。10:30に会場に入ると、すでに多くの人で(芋を洗うような状態)、各コマをゆっくり見学するような雰囲気ではない。各来場者は目当てのコマがあり、足早に見て回っているように筆者は感じた。 入場料金は、一般:2,000円(前売り1,800円)、JARL会員・女性・障害者は1,000円(※3)、大学生(22歳未満)は無料。プレス(報道機関)への特別な対応はない(※4)。 (※3) 以前は会員や女性などは無料だったらしい。 (※4) 通常の展示会では、報道機関はプレス受付で無料入場できるが、ハムフェアはそのような対応はしない。つまり、主催者は報道機関にPRしてもらう気がない、というかそんなことをしなくても入場者が多く、活況である。身内(アマチュア無線愛好家)のお祭りなので、関係者以外に告知・周知する必要はない。なので報道機関を招き入れることはしない。プレス関係者であっても、「ハムフェアに関心があるなら、一般入場者として2,000円払って入場してください」、というのがJARLのスタンスである。電波新聞社が発行する季刊誌の「電子工作マガジン」秋号はハムフェア2024の会場を撮影して紹介している。同社はハムフェアの協賛で、Bブロックに出展しているので、当然入場は無料だが、コマはCQ出版よりも小さい。

パラボラアンテナ(ぱらぼらあんてな)

(parabola antenna) 放物線の曲面をした反射器を持つ凹型のアンテナ。曲面に入ってきた電波が1点の焦点に集まるように曲面の形状が設計されている。波長が短いセンチメートル程度の電波を受信するため、衛星通信や天文観測に使われる。BS/CS放送を受信するアンテナもパラボラアンテナの1種である。

パルス耐圧試験器(ぱるすたいあつしけんき)

機器にパルス高電圧を与えて耐性を試験する機器。

パワーアンプ(ぱわーあんぷ)

(power amplifier) 高電圧・大電流を供給できるアンプ。「電力増幅器」ともいわれる。意味や種類は広範で、計測器の分野でも2種類ある。バイポーラ電源や交流電源を電力増幅器やパワーアンプと呼んでいる。また、無線通信などに使われるRF帯域の増幅器にRFパワーアンプがある。 オーディオ機器で、コンポーネントの中心となるアンプには、プリアンプとパワーアンプの2種類があり、両方の機能があるアンプを「プリメインアンプ」と呼ぶ(つまりパワーアンプはメインアンプとも呼ばれ、一般にオーディオ機器では、アンプはプリメインアンプをさしている)。 このように使われる分野によって多くの意味がある。

パワーマルチメータ(ぱわーまるちめーた)

(power multimeter) 保護リレー試験器の代表的なメーカであるエヌエフ回路設計ブロックの2721の品名。3相のデジタルパワーメータで、位相測定の機能がある。同等品に近計システムのPHAシリーズ デジタル電圧電流位相差計がある。これらは、保護リレーの試験に使われる特殊なデジタルパワーメータであるが、品名からそれを理解することは素人にはむずかしい。品名の「光パルス試験器」と「光ファイバアナライザ」が同じ製品(OTDR)であることが素人にはわからないことと同じように、品名からその測定器の実態を知るのが難しい一例といえる。 パワーマルチメータやデジタル電圧電流位相差計は、保護リレー用電力・位相測定器である。

パワーラインモニタ(ぱわーらいんもにた)

電源電圧の変動を観測する測定器。

パワエレフォーラム(ぱわえれふぉーらむ)

(power electronics forum) 日本パワーエレクトロニクス協会(PWEL)が主催する、パワエレ技術者向けのイベント。単なる講演会ではなく、技術者が集まって意見交換、交流する場を目指している。講演会の後には意見交換会(立食パーティー)がある。2020年以降(コロナウイルスの蔓延後)はオンライン(Web参加)になったが、2024年から会場への参加者を増やし、2025年2月の第17回パワエレフォーラムでは約50人が会場で聴講している(以下の参考記事で併設展示会を取材)。 毎回テーマがあり、2023年頃から「最先端技術」、「先進電源技術」、「開発ツールの最前線」、「技術者の育成」などを取り上げている。パワエレ関連の大学教授が司会をして、パワー半導体メーカ、自動車関連メーカ(OEMやTier1)やエアコンメーカなどのインバータ関連企業が講演するので、パワーデバイスの作り手、ユーザ、教育関係者、というパワエレ業界の民間企業・大学関係者が集う「ザ・パワエレ」のイベントである。計測器メーカなどのパワエレ関連ツールメーカも講演を行い、2024年10月からは併設展示も復活している。 2017年10月にプレスタートしたフォーラムは、2019年10月には約700人が集まり、計測器メーカ約20社が展示をしたが、2020年のコロナ禍でリアル参加が中止されてオンラインとなり、2021年まで1回/年で開催され(第1回~第5回)、2022年からは3~4か月間隔の開催になり、現在は4回/年 行われている。 長岡技術科学大学のパワーエレクトロニクス関連6研究室は、パワーエレ関連の研究をしている高等専門学校と連携して、毎年3月の電気学 会全国大会と8月の電気学会 産業応用部門大会に合わせて「高専パワエレフォーラム」を開催している。同大学の同フォーラムページには「本会は、高専生による研究発表会や、教員によるパワーエレ教育方法に関する研究会を実施し、パワエレ人材の育成を促進することを目的に運営している」旨が記載されている。第19回 高専パワエレフォーラムは、2024年3月13日の午後に徳島大学 常三島キャンパス(徳島県徳島市)で開催され、アワード(award、賞)として大阪公立大 工業高等専門学校に最優秀発表賞が、沼津工業高等専門学校に優秀発表賞が、電気学会 東京支部新潟支所より授与されている。 高専パワエレフォーラムは2014年に第1回が開催され、2021年からアワードの記録がある。PWELのパワエレフォーラムよりも早い時期に始まり、日経エレクトロニクス同様に毎年パワエレ関連のアワードがあるので、長岡技術科学大学はパワエレ分野の研究を先導する1校である。2025年3月の電気学会 全国大会 附設展示会には、同大学発のベンチャー企業として2013年4月に起業した長岡パワーエレクトロニクス株式会社(NPE)がモデルベース開発用のシミュレーションボードやパワエレ教材などの製品を展示している。2017年の計測展では、大学コーナで「日産自動車と共同開発した急速充電器」について展示している(以下の参考記事が詳しい)。

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