計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

15

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

CEマーク(しーいーまーく)

EUの法令(EN規格など)に製品が適合していくことを表すマーク。EU域内での製品の自由な流通を促進する狙いで導入されている。CEの意味は不明。

GMカウンタ(じーえむかうんた)

1928年にガイガーとミュラーが作った簡単な構造の放射線測定器。 (=ガイガーカウンタ)

シールド(しーるど)

(shield) 日本語では「盾」のこと。「隠れた」、「シェルター(shelter)」という意味もある。電気の世界でシールドとは「電磁場、放射線などの影響を遮断する覆いや防御壁」のことで、そのような対策を施してノイズを外に出さない(または外部のノイズの影響を受けない)ようにすることを、電気技術者は「シールド」や「シールドする」という。日本語では「遮蔽(しゃへい)」と表現されるが、電気エンジニアには「シールド」がすでに日本語となっている。EMCの試験設備である電波暗室に入り、部屋の扉を閉めると携帯電話は圏外となり、通話はできなくなる。 一般に金属で回りを囲んで覆うとシールド効果がある。アンフェノールなどのD-subコネクタはピンの回りを金属が囲み、勘合するとシールドされる。同軸ケーブルは通信線の外側を金属の網などで覆っている(アンテナからつながったケーブルをテレビに接続するときに、被覆をむくと内部の構造がそのようになっていることを容易に知ることができる)。2本の通信線をよりあわせたツイストペアケーブルはノイズに強いので電話線やLANなどに多く使われるが、STP(Shielded Twisted Pair)とUTP(Unshielded Twisted Pair)の2種類がある。STPは外側を金属で覆っているが、UTPはその名の通りシールドが施されていない。楽器・音響機器で「シールドケーブル」というとノイズ対策を施した(通常のケーブルより)高価・高機能なケーブルである。プリント基板上でシールドしたい範囲に金属の衝立て(壁)を立てたり、金属の箱を被せたりすることは、高周波の回路ではよく見かける。オシロスコープの入力コネクタの裏側(内部)が1chごとに箱で囲われて、ノイズの侵入やチャンネル間のクロストーク(漏話)を防ぐ対策をしているモデルもある。 電子機器(特に電波を送受信する通信機器)の試験のために使うシールド機材に、シールドボックス(暗箱)やシールドルーム(電波暗室)がある。 土木業界で最近使われるのは、シールドマシン(shield machine)によってトンネルを掘削していくシールド工法である。株式会社シールド(shield)は電気通信設備の工事会社である。 電気や建築などの技術分野ではなく身近なシールドの例として、盾は「防御する物や機能」を意味するので、「風防」や「風除け」に使われる。自動車のフロントガラスを「フロントウインドシールド」、ヘルメットの部品に「バイザーシールド」などがある。2020年からの新型コロナウイルス感染の対策で流行った、顔の前を透明なアクリル板で覆う商品は「フェイスシールド」(顔の盾)という。シールドに似ているが、シードル(cidre)は「りんご果汁からつくった、キリンのスパークリングワイン」である。

シールドルーム(しーるどるーむ)

(shield room) シールドとは「電磁場、放射線などの影響を遮断する」ことで、シールドの機能(特に電磁的な遮蔽)がある施設がシールドルームと呼ばれる。電波を送受信するような電子機器の性能評価をするときにシールドルームが使われる。シールドルーム内ではスペクトラムアナライザやアンテナなどの無線通信の計測器が使用される。暗室は光を遮断した部屋なので、電波を遮断する部屋を電波暗室と呼び、シールドルームと同様の機能の施設である。 EMC関連機器(設備)としてシールドルームやシールドボックスは必須のため、多くの会社がつくっている。マイクロ波などの高周波の展示会であるマイクロウェーブ展には多くのシールドルームの会社が出展している(以下に参考記事あり)。たとえば、日本シールド株式会社はシールドルームの専業メーカである。

JSAP EXPO(じぇいさっぷえきすぽ)

(The Japan Society of Applied Physics Exposition) 公益社団法人 応用物理学会(JSAP)の春と秋の学術講演会における展示会。JSAP EXPOを直訳すると「日本の応用物理学会(Society of Applied Physics)の博覧会」である。JSAPの学術講演会は2回/年、開催されている。学会HPには「毎年、春と秋に学術講演会を開催。春季は約7000名、秋季は約6000名が参加し、4000件におよぶ講演と活発な討論が行なわれる」とある(2025年3月現在)。JSAPは規模が大きい学会で、講演会は3~4日間の日程で年に2回も行われ、併設する展示会は大規模で、約150団体が参加している(企業が中心だが、大学のパネル展示もある)。 JSAP EXPOの会場は大学キャンパスのホールや体育館などを使い、広さが約1畳程度のコマに企業展示が並ぶ(数コマを使う企業もある)。出展は理化学機器メーカが多く、科学分析機器(堀場製作所、島津製作所、ブルカーなど)や顕微鏡(レーザーテック、エビデント ※)などが展示されている。 東陽テクニカは物理計測(低温や磁気)のグループが毎年展示している。2019年には横河計測(光通信測定器)、2025年にはリゴル(オシロスコープやAWGなど)やテクトロニクス(旧ケースレーインスツルメンのDMMなどを展示)が参加している。テレダイン・ジャパンは計測器(オシロスコープ)ではなくカメラ部門の社内カンパニーが毎年出展している。santec(サンテック)やソーラボ、アルネアなどの光測定器メーカも出展。2023年から日本人スタッフを採用したZurich Instruments ※※(ロックインアンプやインピーダンス計測器)も、大学向けに需要があるので出展を始めた。輸入商社のハイソル株式会社は半導体の後工程で使う複数の海外製機器を数コマの広さに並べている(毎年出展している)。 つまり半導体の製造工程の機器が並び、光などの物性の分野の研究者が見学する展示会である。半導体製造装置に使われる産業用ポンプメーカなども展示をしている。半導体の材料や製造装置の展示会であるSEMICON Japanは出展社の多い大規模なイベントで、2024年は累計10万人の参加者があった。半導体関連の学会の展示会がJSAP EXPOといえる(なので、他の学会の定期大会・講演会で併設する展示会とは桁違いに参加企業が多い)。出展企業の募集は株式会社日刊工業コミュニケーションズがしている。 ※ 株式会社エビデントはオリンパス株式会社の顕微鏡(デジタルマイクロスコープ含む)や非破壊検査機器、工業用内視鏡などの科学事業が2022年4月1日に分社化した会社。社名は「鮮明な」「明白な」を意味するラテン語のevidentemから命名。 ※※ Zurich Instruments(チューリッヒ・インスツルメンツ)はスイスの計測器メーカ。オプトサイエンスなどの商社が取り扱っていたが、2023年頃から西新宿のローデ・シュワルツ・ジャパンの本社内に日本人エンジニアなどのスタッフが駐在するようになった。LCRメータなどのインピーダンス計測や、超電導の量子コンピュータの制御機器などのラインアップがある。 JSAP EXPO Spring 2019は以下の参考記事で取材している。JSAP EXPO Spring 2023は3月15日(水)~18日(土)、上智大学 四谷キャンパス 第3体育館(PA)・アクティブコモンズ(PB)で開催。JSAP EXPO Spring 2024は3月22日(金)~25日(月)、東京都市大学 世田谷キャンパス 9号館2階メインアリーナで開催。JSAP EXPO Spring 2025(第72回 応用物理学会 春季学術講演会)は、2025年 3月14日(金)~17日(月)に東京理科大学 野田キャンパス 森戸記念体育館で開催された。計測器メーカとしては、テクトロニクス、リゴル、Zurich Instrumentsは2025年春がほぼ初参加のようである。テクトロニクスは半導体業界に強いケースレーを、Zurich Instrumentsは大学研究室にロックインアンプをPRしている。リゴルは市場ポテンシャルの大きい計測器であるオシロスコープなど、基本測定器を並べて、学校に知名度アップを狙っている(2025年の電気学会や電子情報通信学会の展示会にも出展している)。 JSAPをジェイサップと読めるのは業界関係者だけだが、JECA FAIR(ジェカ フェア)やIIFES(アイアイ フェス)など、計測器が関連する展示会名には、読み方が強引なものもあり、JSAPのことをとやかくいうことはできない。似た略称にJASPAがある(ジャスパ、「日本福祉用具・生活支援用具協会」や「一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会」など)。筆者はJSAPをジェイサップとは読めず、JASPと書き間違うこと多々。

時間計(じかんけい)

保護リレーの動作時間や復帰時間を測定する機器。

シグナルレベルメータ(しぐなるれべるめーた)

(signal level meter) 電波の強さを測定する計測器。電界強度計、電測計などの名称もあり、計測器メーカによって名称はさまざま。新しい無線通信方式が導入されるときには、それに対応した電界強度計が開発・発売される。アンリツ (※)などのRF測定器メーカやリーダー電子などの映像(TV放送)測定器メーカがつくっている。リーダー電子の電界強度計(LF9xxシリーズなど)はシグナルレベルメータという名称が多い。「シグナルレベルメータ:リーダー電子の電界強度計の品名」という説明もできる。 (※) アンリツにはML524Bなどのメジャリングレシーバと呼ばれる製品群があった。PHSが普及する時は「PHSメジャリングレシーバ ML5661A」が活躍した。現在はメジャリングレシーバというモデルはないが、かっては同社の電界強度計を象徴する特長的な呼称だった。

指向性(しこうせい)

(directivity) 電波などの物理現象には進行方向がある。たとえばアンテナの送受信する方向のことを「アンテナの指向性」という。アンテナは全方位の360°に均一な性能を持つ訳ではなく、電波を送受信する向きは限られている場合が多い。たとえばTV用のアンテナ(棒状のもの)は屋根の上に設置するときに方向を合わせないと受信できない。衛星放送(CS/BS)の丸いアンテナもベランダに設置するときに方向が決まっている。ものによって全方向に送受信できるアンテナもある。そのためそれと区分するために「指向性アンテナ」といういい方をする。ホーンアナテはラッパの形をしていて指向性の方向が一目瞭然。EMS (イミュニティ 試験)ではダブルリジットガイドアンテナなど大型の指向性アンテナが使用される。アンテナだけでなくスピーカも指向性がある。アンテナは一般には計測器でなく通信機器だが、計測器と併用される計測用アンテナもあり、計測器の範疇(アクセサリ)といえる。 スピーカに指向性があるのと同じく、音の計測で重要なセンサであるマイクロホンにも指向性がある。

CISPR(しすぷる)

フランス語のComite international Special des Perturbations Radioelectriquesの略記。英語ではInternational Special Committee on Radio Interference。日本語では「国際無線障害特別委員会」。EMI(エミッション)の分野でCISPR規格があり、それに準拠した計測器がノイズ研究所などにある。総務省・電波利用ホームページでは次のように説明されている。「CISPR:無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)に関し、その許容値と測定法を国際的に合意することによって国際貿易を促進することを目的として1934年に設立されたIEC(国際電気標準会議)の特別委員会。ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)やICAO(国際民間航空機関)の要請に応じて無線妨害に関する特別研究を引き受けるなど、他の国際機関との密接な協力体制がとられている。」

シュミットハンマー(しゅみっとはんまー)

岩盤強度の試験に使用する計測用ハンマー。

瞬断(しゅんだん)

(momentary interruption、power flicker) 電力の供給や、通信の信号が、一瞬途切れる現象。「瞬間的に途絶えるので、断線状態と同じ」という意味。本当に断線するわけではない。瞬停や瞬電とも呼ばれる。瞬断は電子機器にダメージを与えるので、大切な機器はUPS(無停電電源)によって保護されている。 似た現象の瞬低は、「電力系統のある地点における1/2周期から数秒の期間(1分を越えない)、継続する突然の電圧低下」で、「電圧ディップ」と呼んでいる(JIS、日本産業規格)。dipは「下がる」という意味がある。

瞬断瞬低試験器(しゅんだんしゅんていしけんき)

(instantaneous voltage drop tester、power supply voltage fluctuation tester) 電圧の瞬断・瞬低を試験する機器。別名:電源電圧変動試験器や瞬間断線試験器、電源瞬断試験器など、メーカによって品名は異なる。直流対応と交流対応がある。 ハーネス検査機器のトップベンダ、株式会社ナックコーポレーションは神奈川県綾瀬市の国産メーカで、瞬間断線試験器/アナライザ NMシリーズをラインアアップしている。NMM01Aは導通検査、抵抗検査、耐圧検査、絶縁検査などの各種のケーブル、ハーネスの検査を1台でできる。EMC関連の計測器で有名なノイズ研究所の電源電圧変動試験器 VDS-2002は、国際規格IEC61000-4-11を含む、電子機器に対する電圧変動や瞬断による耐性評価に使われている。株式会社昭和電業社の電源瞬断試験装置 KENTACシリーズの主な仕様は、瞬停開始位相の設定0~359度(1度単位で設定)、瞬停開始位相誤差3度以内、瞬停時間の設定1ms~1秒(1ms単位で設定)、瞬停開始時間誤差0.2秒以内である。 瞬断や瞬低は電力系統(電力ネットワーク)の送電線や変電所などに落雷があると発生する。瞬断瞬低試験器は、自然災害や事故などによるAC電源の変動をシミュレーションする計測器といえる。 測定対象が電気機器ではなく、電源の品質(変動状態)を測定するのが電源品質アナライザで、クランプ電力計のトップベンダ、日置電機が有名である。

瞬低(しゅんてい)

(Instantaneous drop) 「瞬時電圧低下」のこと。瞬間的に電圧が低下する現象で、JIS(日本産業規格)では、「瞬低」のことを「電圧ディップ」と呼び、「電力供給システムのある地点において発生し、短時間で復帰する突然の電圧低下」と説明している。ACコンセント(電力系統)から電源供給されて駆動している電子機器には電源変動の許容値があり、仕様を越える瞬低があると機器の動作が不安定になり、電源を落として(power off)停止する場合もある。 電圧低下の定量的な規定(何ボルト下がったら、何秒間続いたら、瞬低か)はない。 dipは「下がる」の意味。 電圧がゼロになる(停電する)と「瞬停」や「瞬断」と呼ばれ、瞬低とは区別されている。

瞬停(しゅんてい)

(momentary interruption、power flicker) 熟語が示す通り、ごく短時間、「瞬間的に停電する」こと。短時間の定量的な定義はないが、電力会社ではおおむね1分未満の停電を指している。「瞬停」は「短時間停電」とも表現される。「短時間停電」はJIS(日本産業規格)で、「1分を超えない供給電圧の消失」と規定されている。 瞬停が起きると系統(ACコンセント)から電力を受けて動作している電気機器は影響を受けるので、データセンタや工場などはUPS(無停電電源)を常設している。送電線などの電力系統に雷が落ちると瞬停が発生し、家庭で使用しているPCなどは、バッテリの性能が劣化によって低下しているとpower offしてしまい、作成中のデータが消失することもある。 発音が同じ「瞬低」は意味が異なる。 「停」は多くの熟語に使われる。「途中で一時動かなくなる」の意味で、停止、停車、停電・停留・停滞など。「途中でやめさせる、やめる」ことでは、停学、停職、停年(定年で退官すること)、調停などがある。電車の停留所を「電停」と呼称するようで、電停という漢字を見ると「電気の停電」を連想して、「電停とは、瞬停と何が違うのか?」と思いを巡らせてしまうのは、職業病といえる。 「113年も使用された電停が廃止へ 岡山の路面電車」(2025年3月24日) 以前、筆者は車窓から風景を眺めていて「トラック バスの○○」という看板から、「トラックバス」とは一体いかなるバス(複数本の信号線路)か、どの業界で使うバスか、いつ規格化されたのか、知らないので最近のバス規格か・・などなど考察してしまった。この看板はトラックやバスなどの自動車メーカの広告だった。まさに職業病である。

障害試験器(しょうがいしけんき)

(disability tester) 電気製品に擬似的に障害を与えて耐性を試験する機器。ノイズを障害として与える、ノイズシミュレータ(ノイズ試験器)が代表的だが、耐電圧試験をする耐電圧試験器(耐圧試験器)や雷サージ試験器などがある。アース導通試験器などの安全規格の測定器も含まれる。広義には保護リレー試験器、絶縁抵抗計、電源品質アナライザなども障害関連の計測器といえる。

  • 1