計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
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パッド(ぱっど)

(Pad) RFで使われる減衰器(アッテネータ)のこと。減衰器のことを「ATT(アッテネータ)」や「Pad(パッド)」と表現している。高周波の固定減衰器を「アッテネータパッド」と呼んでいる。高周波の代表的な計測器メーカであるアンリツには「二信号特性測定用パッド Z-164A」という製品がある。この仕様は「2つの信号を混合して1つにする整合器」で、固定減衰器の1種といえる。RFだけでなく音響の分野でもATTやPadという用語が使われている。ATTは少なくともRFだけでなく低周波でも使われる表現だが、パッドは低周波ではほとんど使われない。

パワースプリッタ(ぱわーすぷりった)

(power splitter) 1つの信号を2つ以上の回路に分配する部品。パワーデバイダとは抵抗を分割するための抵抗の配置が異なる。TVアンテナからの信号を複数台のTVに入力するためのパワースプリッタを分配器と呼んでいる。 計測器情報:「パワースプリッタ」が品名につく製品の例

パワーセンサ(ぱわーせんさ)

(power sensor) パワーメータと一緒に使用するセンサのこと。汎用計測器:商用周波数などの低周波用、と通信計測器:無線(RFなどの高周波)や光通信用、の2種類がある。 パワーメータは用途によって「デジタルパワーメータ」、「RFパワーメータ」や「光パワーメータ」などの品名があるが、それぞれのパワーセンサは単に「パワーセンサ」という名称のモデルが多い。そのため、何に使うパワーセンサかは単に品名からは判別がつきにくい。 「通過形パワーセンサ」というとRFパワーメータと併用するモデル、「オプティカルヘッド」というと光パワーメータ用のパワーセンサだが、2つとも特殊な表現で、多くのパワーセンサに使われる名称ではない。Birdの通過型電力計で、周波数や電力のレンジを決めるセンサに相当するアクセサリをエレメントと呼んでいる。横河計測のWT5000用の測定モジュール(パワーセンサをつなぐ機器)の品名はエレメントである。パワーセンサはエレメントと呼称されることがある。

パワーデバイダ(ぱわーでばいだ)

(power dibider) 1つの信号を2つ以上の回路に分配する部品。パワースプリッタとは抵抗を分割するための抵抗の配置が異なる。 計測器情報:「パワーデバイダ」が品名につく製品の例

反射(はんしゃ)

(Reflection)電磁波が伝送路を伝わるとき、媒体が違う面や、特性インピーダンスが異なる箇所では少し反射されて、信号源側に戻る現象が起こる。高周波の基本理論の1つ。反射という現象を応用した測定手法がTDR(Time Domain Reflectometry、時間領域反射法)である。サンプリングオシロスコープによる伝送線路のインピーダンス測定や、光ファイバの破断点検出(OTDR)に応用されている。

反射係数(はんしゃけいすう)

(Reflection coefficient) 伝送線路上のある基準面において、その基準面への入力波に対するその基準面からの反射波の比としてあらわす。通常、反射係数(Γ)は電圧比としてあらわされ、複素数である。下式で、Vi : 入力電圧, Vr : 反射電圧, θ: 入力電圧と反射電圧の間の位相角。|Γ|の取り得る値の範囲は、|Γ|= 0 〜 1 である。

非線形回路網(ひせんけいかいろもう)

(Non-linear network) 入力信号の周波数成分と出力信号の周波数成分とが異なる回路網をいう。即ち、非線形回路網は、非直線性を示す回路要素を含んでいるために入力信号の周波数成分とは異なる周波数が生成されたり(高調波や相互変調波など)、周波数変換された信号が出力されたりする。

VSWR(ぶいえすだぶりゅあーる)

(Voltage Standing Wave Ratio)電圧定在波比の略記だが、VSWRやSWRという表記の方が良く使われている。高周波の伝送に関する基本的な単語。デジタルではなくアナログの基礎用語。

ベクトル電圧計(べくとるでんあつけい)

RF帯の電圧と位相を測定する機器。(=ベクトルボルトメータ)

ベクトルボルトメータ(べくとるぼるとめーた)

RF帯の電圧と位相を測定する機器。(=ベクトル電圧計)

方向性結合器(ほうこうせいけつごうき)

(directional coupler) 信号と信号を結合させる機器。高周波(RF)で使用されるカップラのこと。 マイクロ波などの無線通信の計測器メーカ(キーサイト・テクノロジー、ローデ・シュワルツ、アンリツなど)がつくっている。

マイクロ波(まいくろは)

(microwave) 周波数3×10(8乗~11乗)(つまり数十MHz~数十GHz程度)の電波の総称。文献によっては「周波数300MHzから30GHz(波長1m~1cm)程度の電磁波」と説明される。携帯電話やテレビ放送(地上波デジタル、BS/CS衛星放送)、無線LAN、レーダー(気象や船舶)、電子レンジなど、幅広い用途に使われている。マイクロ波の波長はμm(マイクロメータ)ではない。電波は周波数が高くなるほど波長が短くなる。技術の進歩によって従来より高い周波数が使えるようになると、波長が小さいという意味で「マイクロ」と呼んだのではないかと想像される。さらに高周波の30GHz〜300GHz(波長1cm〜1mm)は波長の長さから、ミリ波と呼ばれる(下の周波数をマイクロ、といってしまったのに、さらに上の周波数が使えるようになると波長の長さで命名したと推定)。電波の分類ではマイクロ波よりミリ波のほうが波長が短い。波長が短いマイクロ波やミリ波は、もはや電線のような導体を伝搬することができず、導波管という筒状の導体で伝送される。 総務省HPの「周波数帯ごとの主な電波の用途と特徴」によれば、マイクロ波は3GHz〜30GHz(10cm〜1cm)で略記はSHF(Super High Frequency)。その下が極超短波(300MHz〜3GHz、1m〜10cm、略記UHF:Ultra High Frequency)で、携帯電話やテレビ放送、電子レンジに使われる、とある。さらに下が超短波(30MHz〜300MHz、10m〜1m、略記VHF:Very High Frequency)で、業務用移動通信(列車無線や防災無線)やラジオのFM放送に使われる。たとえばラジオ放送のFM東京は80.0MHzである。

マイクロ波増幅器(まいくろはぞうふくき)

数十GHzまで対応する増幅器(アンプ)。

マイクロウェーブ展(まうくろうぇーぶてん)

(Microwave Exhibition) 電子情報通信学会のAPMC国内委員会が主催する、マイクロ波技術関連イベントの展示会を指す。正式にはMicrowave Workshop&Exhibitionで、略記のMWEという記述を多く見かける。学会が開催するワークショップと併設する展示があり、毎年11月末にパシフィコ横浜を会場として展示会は開催される。RFに関係する計測器メーカはほとんど出展する。 一般法人などの業界団体ではなく学会が主催していることが特長。無線通信の新しい技術などが展示される(たとえば2018年には自動車に無線給電する展示があった)。コロナ禍で2020年~2022年はオンライン開催となった。2023年にはCeyear社(中国山東省青島)やSiglent Technologies(シグレント)などの中華系計測器メーカがネットワークアナライザなどの高周波のモデルを出展している。EMCアンテナやシールドボックス(電波暗箱)などの計測器周辺機器(計測用途で使われる機材)や導波管、高周波プローバなどの部品を、国内、海外メーカが出展している。 展示会の出展品目は(展示会の案内によると) ①材料・基板、➁半導体素子、➂通信用モジュール、部品、④電子部品、 ➄測定装置・加工装置(オシロスコープ、スペクトラムアナライザ、デジタル信号発生器、ネットワークアナライザ、RFパワーメータ、テストフィクスチャ、自動測定システムなど) ⑥ソフトウェア・シミュレータ(高周波の電磁界解析、高周波回路シミュレータ、フェージングシミュレータ、ノイズ解析など) ➆エンジニアリング・製造委託(フィルタ・アンテナ等各種マイクロ波回路設計・製造、材料評価、EMC評価 など)

ミキサ(みきさ)

(mixer) 入力された2つの電気信号を混合する回路素子あるいは電子機器。混合器あるいは周波数変換器ともいう。ダイオード等のもつ非直線性を利用して、2つの電気信号(周波数を f1 と f2 とする。ただしf2 > f1 とする)からそれらの”和( f1 + f2)”や”差(f2 - f1)”の信号を作り出す。実際には必要な片方の一つの信号(一般に受信機等では上記の差信号)を取り出す場合が多い。この差信号を中間周波数(IF: Intermediate Frequency)ということがある。またこの周波数変換するために加える一方の信号を局部周波数、その発振器を局部発振器という。 スペクトラムアナライザ内部にも使われている。

ミリ波(みりは)

(Millimeter wave) 現在の携帯電話やテレビ放送で使われるマイクロ波より高い周波数の30GHz〜300GHz(波長1cm〜1mm)の電磁波。波長がミリメートルであることが語源。5G(第5世代移動通信システム)で使われるFR2という帯域はミリ波である。総務省HPの「周波数帯ごとの主な電波の用途と特徴」では、EHF(Extra High Frequency)と略記されている。

UWB(ゆーだぶりゅびー)

(Ultra Wide Band) 日本語にすると「超広帯域無線通信」だが、UWBという表現が一般的に広く使われている。数百MHz〜数GHzの広い周波数帯域を使用し、障害物による影響が少ないため、電子機器や自動車への実用化で研究が進んでいる。IEEE802.15.4aでは中心周波数:約3.5GHz〜約9.5GHzと規定されている。位置測定、レーダー、無線通信の3つの機能を合わせ持っているため、単なる無線通信方式の1つということではなく、特殊な無線応用技術といえる。2019年からスマートフォンに搭載したモデルが発売された。自動車への採用でも注目されている。

ランダム誤差(らんだむごさ)

(Random error) 偶然誤差とも呼ばれ、測定ごとにばらつく誤差をいう。この誤差は毎回ランダムな値をとるので測定後に取り除くことができない。

リターンロス(りたーんろす)

(Return Loss) 反射係数をデシベル[dB]で表したもの。ただし反射係数は |Γ|≦1 であるからデシベルで表現すると「-(負表示)」なるので、左式のようにあらわす。これをVSWR(ρ)で表すと、右式のようになる。

ロードマッチング(ろーどまっちんぐ)

(Load matching) 負荷(ロード)と伝送線路とのインピーダンス整合をとること。