計測関連用語集

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YHP(わいえっちぴー)

(Yokogawa Hewlett Packard) hp(ヒューレット・パッカード)が日本につくった合弁会社(1963年~1998年)。YHP設立以前は、無線機器を取り扱う商社のセキテクノトロン株式会社(旧関商事株式会社)がhp製品を輸入販売していた。 1939年に、ウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードは米国カリフォルニア州でhp(Hewlett-Packard Company、エイチピーと呼称)を創業し、世界No.1の電子計測器メーカとなった。日本のYEW(横河電機製作所)は1963年にhpと合弁でYHP(横河ヒューレット・パッカード)を設立した。YEWは国産初の電磁オシログラフをつくるなど、日本を代表する老舗計測器メーカだった。高周波(RF)測定器はYHPがつくり、YEWはDC~低周波の記録計などをつくるという棲み分けをした(競合しないように機種群の分担を決めた)。当時のYEWはブリッジをラインアップし、回路素子測定器の要素技術を持っていたが、それらはすべて技術者とともにYHPに移ったと推測される。YHPはhpの日本法人(販売会社)でhp製品を販売したが、国内に開発拠点を持ちYHPとして計測器の開発も行った。回路素子・材料の測定器(LCRメータやネットワークアナライザなど)の開発拠点が神戸にあったと筆者は記憶している。1980年代に筆者は国内大手計測器メーカの技術部門にいたが、各計測器メーカの特許出願情報が回覧された。そこには「横河HP」という会社名でインピーダンス測定の多くの特許が掲載されていた。YEWのブリッジは生産終了し、後継機種となるLCRメータなどはつくられていない。インピーダンス計測器は、YEWではなくYHPが開発を行った。 高周波計測器を手掛けるYHPと、「レコーダ、低周波の電力計(デジタルパワーメータ)、ミドルクラスのオシロスコープ」をつくる横河電機(1986年に社名変更)との差は30年間で大きく開いた(YHPは計測器のトップメーカになっていた)。1995年に横河電機はYHPへの出資比率を下げ、高周波測定器の開発に着手した。時は携帯電話の3Gが商用開始する前夜で、1998年にはYHPから完全に資本を引き揚げ、携帯電話評価用の信号発生器を中心に、次々と通信計測器を発表した。 YHPは会社名を日本HPに変更していたが、2000年にhpがIT機器以外の事業(計測器と科学分析機器、ライフサイエンス事業)を分社し、Agilent Technologiesを設立したので、日本HPもアジレント・テクノロジーとなる。さらに2014年にはAgilent Technologiesは科学分析機器のみとなり、計測器はKeysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)となり、現在に至る。 世界No.1の総合計測器メーカhpは日本では、高度経済成長期に設立したYHPに始まり、1998年以降に日本ヒューレット・パッカード、アジレント・テクノロジー、キーサイト・テクノロジーと社名が変わった。横河電機は2002年に幸運にも通信計測器大手の安藤電気を吸収し、安藤電気がアジレント・テクノロジーとシェアを競った光通信測定器をラインアップに加え、高周波測定器を強化した。ただし、2000年代後半には光通信以外の通信計測器はすべて中止し、2010年には横河メータ&インスツルメンツ(現横河計測)に計測器部門を移管した。これによって横河電機は(計測器をつくらない)計装(工業計器)のメーカに名実ともになり、(メモリレコーダなどの計測器ではない)計装ユースのDAQ(データロガーなど)をラインアップしている(計測器の記録計か、計装の記録計かは素人には判断が難しい)。 マイクロウェーブ展2022(2022年11/30~12/2、パシフィコ横浜)に、キーサイト・テクノロジーはPXIネットワークアナライザM983xA(新製品)を出展した。「Keysight TechnologiesのR&D拠点の1つであるキーサイトの事業所(兵庫・神戸市)で開発した製品である」ことが、展示会を取材した日経誌で報じられている。

ワットメータ(わっとめーた)

(watt meter) アナログ式の電力計の別称。針が振れて測定値を示す指示計器の1種。アナログ式の電流計は文字盤に電流の単位であるA(アンペア)が表記されていて、電流計は英語ではampere meter(アンペア メータ、「アンペアの計測器」という意味)と呼ばれる。電力計の指示板にも電力の単位W(ワット)が表記されていて、「ワットを測定する」のがワットメータである(※)。 (※) 電力の単位にはVA(ボルトアンペア)もある。VA:皮相電力(有効電力+無効電力)、W:有効電力。 電力の英語はelectric power(またはpower)で、電力の測定器は「パワーメータ」と呼ばれる。計測器としては、商用周波数などの低周波の電力測定器はデジタルパワーメータやパワーアナライザ、クランプメータになる。高周波では、無線ならRFパワーメータ(高周波パワーメータ)、有線なら光パワーメータ(OPM:Optical Power Mete)がある。 このように電力を測定する計測器は日本語では一般にパワーメータと呼ばれ、電力計という総称はあるが、品名にはあまり使われない(クランプメータをクランプ電力計、RFパワーメータを高周波電力計、と呼ぶことはある)。そのため電力計(ワットメータ)とは、広義には「電力(パワー)の測定器(メータ)」だが、具体的な製品としては(狭義には)「アナログ式の箱型の電力計」を指している。電力測定器について説明するときは、総称である「電力計」という名称を使い、種類などを解説するが(たとえば「ベンチトップ電力計」など)、これは概念を説明している名称で、具体的な計測器には「○○電力計」というような品名はあまりない(以下の「電力計の基礎と概要」を参照)。 電力測定器を総称して「ワット」と呼称している場合がある。デジタルパワーメータを海外へ販売している計測器メーカである横河計測は、電力測定器(デジタルパワーメータなど)を「ワット」と呼称している(※※)。 (※※) 横河計測のデジタルパワーメータやパワーアナライザの形名(や通称)はWTが多い(WT300、WT1800、WT5000など)。WTはwattが語源(由来)かは定かではない。 計測器情報:ワットメータ(電力計)の製品例

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