計測関連用語集

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クロススペクトル(くろすすぺくとる)

(cross spectrum) クロススペクトルは2つの信号のスペクトルの、ある周波数成分どうしを掛合わせたうえで平均したもの。クロススペクトルが、ある周波数で大きな値を示しているということは、その周波数においては2信号の周波数成分どうしの相関が大きい上に、両者の成分の大きさも大きいということを意味している。クロススペクトルは、相互相関関数、伝達関数、コヒーレンス関数の計算に用いられる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。) 参考記事:FFTアナライザの基礎と概要 (第1回)

ゲイン・フェーズ特性(げいんふぇーずとくせい)

正弦波信号を被測定物に与えて、その周波数応答(利得・位相)を測定したグラフ(カーブ)。一般にはFRA(Frequency Response Analyzer、周波数特性分析器)で測定される。FRAのメーカであるエヌエフ回路設計ブロックにはFRA51602ゲイン・フェーズ分析器というモデルがある。つまり、ゲイン・フェーズ分析はFRAの別名ともいえる。

ケプストラム(けぷすとらむ)

(Cepstrum)フーリエ変換によって求められたパワースペクトルの対数値をさらにフーリエ変換したもの。ケプストラムの横軸はケフレンシーと呼ばれる時間の次元の値をとる。ある系に入力される信号が周期性を持ち、その周期が長いとき、その周期が長ケフレンシー部の線ケプストラムになって現れ、基本周期として抽出することができる。また短ケフレンシー部には系の伝達特性を表す情報が集中し、この部分を逆フーリエ変換することにより、対数パワースペクトルのエンベロープ(包絡線)が求まる(リフタードエンベロープ)。このエンベロープは系特有のもので入力信号のスペクトルには依存しない。応用として、音声波、生体波などからの基本周波数およびスペクトルエンベロープの抽出などがある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

校正機能(こうせいきのう)

(Calibration Function)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。別名:EU機能 (EU Function)。測定値は電圧値として読み取られるが、測定対象の加速度、圧力、音、などの信号の基準値が決まっていれば、電圧値を基準値に校正することにより物理量で読み取ることができる。例1:加速度ピックアップの感度が1m/s2 のとき100mVなら0.1V/EU(得られた電圧値を10倍)、単位を m/s2 にする。例2:マイクと音響校正器、騒音計の校正の場合は、パワースペクトルデータでオーバーオール(dB値)を校正値になるようにする。

高速フーリエ変換(こうそくふぃーりえへんかん)

(Fast Fourier Transform) 一般にFFT と表記されることが多い。離散フーリエ変換と逆変換を高速に計算する手法、またはこの手法によりスペクトラムを測定するFFTアナライザを指している(スペクトラムアナライザといっている場合もある)。 信号の中の各周波数成分の含まれている度合を抽出する処理をフーリエ変換という。計測器のFFTアナライザは、入力信号の波形を高速A/Dコンバータにより抽出し、高速フーリエ変換手法により信号処理して、入力信号のスペクトラムを表示する測定器である。 FFTアナライザとスペクトラムアナライザ(スペアナ)は原理の異なる違うカテゴリーの測定器だが、同様に周波数波形(横軸が周波数で縦軸がパワー)を観測できるので、メーカによっては言い方が重複していることがある。一般にスペアナは測定周波数がkHz以上で、RF(MHzやGHzの無線周波数)の測定器である。対してFFTアナライザは振動・ひずみ・音などの解析に使われる、どちらかというと低周波の測定器で、測定周波数はMHz以下のものが多い。両者はともに「周波数スペクトルの測定器」だが、使用される市場やアプリケーションが全く違う。

コクアド線図(こくあどせんず)

(Co-quad plot)周波数応答関数の実数部と虚数部を周波数軸に対して別々にプロットし、これらを上下に並べて表示したもの。固有振動数の推定等に使用される。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

コヒーレンス(こひーれんす)

(coherence) 2つの信号の位相の相関の度合いをコヒーレンスと呼んでいる。 通常、コヒーレンスやコヒーレントはFFTアナライザや、レーザー光などの光通信測定器で使われる用語だが、無線測定器(RF)の代表であるスペクトラムアナライザのオプションに、ローデ・シュワルツには「コヒーレンスユニット」なる製品があった。 参考用語: コヒーレンス関数 計測器情報:品名にコヒーレンスが付く製品の例・・ローデ・シュワルツのFS-Z10コヒーレンスユニットなど

コヒーレンス関数(こひーれんすかんすう)

(coherence function) 別名:関連度関数。系の入力と出力の因果関係の度合を示す周波数関数で、0から1の間の値をとる。1の場合はその周波数において系の出力がすべて測定入力に起因していることを示していて、1の場合はその周波数については、系の出力は測定入力にまったく関係ない。 0や1でない場合(0以上〜1以下)は、測定とは無関係な信号、系内部で発生しているノイズ、系の非直線性または系の時間遅延などがあると考えられる。コヒーレンス関数を測定する場合は必ず平均化を行う必要がある。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。) 参考用語:コヒーレント、コヒーレンスブランク機能

コヒーレンスブランク機能(こひーれんすぶらんくきのう)

(coherence blanking function) 測定した2チャンネル間の結果の参考用語:コヒーレンス関数が小さいということは、測定結果が不正確であることを示している。こうした不正確な部分は表示せず、 コヒーレンス関数の大きい部分のみを表示する機能のこと。 コヒーレンス関数の値は任意に設定でき、値がそれ以下の周波数では伝達関数が表示されない。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より) 参考用語:コヒーレント

コヒーレント(こひーれんと)

(coherent) 日本語では「可干渉」、「干渉的」。波の干渉についての特性を示すことば。レーザーの光はコヒーレントの代表である。干渉とは、複数の波が重なるとき、波が打ち消し合ったり強め合ったりすること。2つの波の位相や振幅に一定の関係があると、干渉を鮮明に観測することができる。 コヒーレントの正確な説明は難しい。説明の例、「強度の等しい二つの波が重なり干渉するとき、干渉縞(じま)の強度の極小値がゼロだと、二つの波はコヒーレントである」。 2つの波の位相の揃い具合、干渉縞の鮮明さをコヒーレンス(coherence)という。光のコヒーレンスを説明すると、レーザー光は非常にコヒーレンスの高い光である。そこで「レーザー光はコヒーレントである」と表現される。自然にある太陽光や、従来の光源(電球、蛍光灯)の光はコヒーレンスが低いので「インコヒーレント(コヒーレントでないという意味)に近い光である」と説明される。完全なコヒーレントやインコヒーレントは無くて、干渉性が高いとコヒーレント、低いとインコヒーレントと表現される。この指標によって多くの事象を実験などで確認できるため、物理学の重要なことばだが、平明に説明することは大変難しい。 FFTアナライザでは、関連度関数をコヒーレンス関数と呼んでいる。ここでいう「コヒーレンス」は入力と出力の「関連性」という意味である。他にもコヒーレントアウトプットパワーなどの用語がある。また、FFTアナライザにはコヒーレンスブランク機能がある。 計測器情報:品名にコヒーレントが付く製品の例

コヒーレントアウトプットパワー(こひーれんとあうとぷっとぱわー)

(Coherence Output Power) コヒーレンス関数と出力側のオートパワースペクトルとの積をコヒーレントアウトプットパワー(C.O.P.)と呼ぶ。C.O.Pは、出力のオートパワースペクトルのうち測定入力に起因するオートパワースペクトルを表している。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。数式は小野測器HPを参照。) 参考用語:コヒーレント、コヒーレンスブランク機能

サーボアナライザ(さーぼあならいざ)

信号波形を高速フーリエ変換(FFT)し、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。(=FFTアナライザ)主に音響・振動などの低周波数信号の解析に使用される。

サンプリング定理(さんぷりんぐていり)

(sampling theorem) サンプリングはアナログ情報をデジタル化する手法である。サンプリング定理は「アナログ信号をデジタル信号に正確に変換するには、元の信号の最大周波数の2倍のサンプリング周波数が必要」という理論。別名:標本化定理(物理・数学の世界ではサンプリングのことを「標本化」といっているが、計測器の世界ではもっぱら「サンプリング」という表現が使われる)。サンプリング周波数が高いほうが、精度良く元のアナログ波形を記録できるが、サンプリング後のデータ量は増える。どの程度のサンプリング周波数が適切かをサンプリング定理は示している。 サンプリング周波数の半分の値をナイキスト周波数(nyquist frequency)という。サンプリングでデジタル化された情報から元のアナログ情報を復元しようとするとサンプリング周波数の半分の周波数までしか正確に復元できない。つまり、再現可能な最大周波数がナイキスト周波数である(サンプリング定理は再現の限界を示している)。 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には以下の解説がある。 サンプリング間隔を⊿t秒(⊿t秒に一回サンプリング)とすると、サンプリング周波数は1/⊿t(1秒間に1/⊿t点サンプリング)になる。サンプリング定理は時間的に連続な信号とそれをサンプリングする速さの関係について情報が保たれる限界を示すもので、「信号に含まれる最高周波数成分の2倍以上の周波数でサンプルしなければならない」と定められている。サンプリング周波数が信号の周波数の2倍より低くなると、エリアシング(折返しひずみ)が生じる。

CZTチャープZ変換(しーぜっとてぃーちゃーぷぜっとへんかん)

FFT(フーリエ変換)では、CZT関数が定義されていて周波数応答などに利用される。テクトロニクスの冊子「リアルタイム・スペクトラム解析のすべて(2009年9月発行)」では「CZTチャープZ変換:DFT(離散フーリエ変換)の計算を行う効率的な演算方式CZTは、従来のFFTに比較して計算量は増加するが、 出力周波数のポイントを選ぶことができる汎用性を持つ。」と解説されている。 リアルタイムスペクトラムアナライザはFFTの機能があることを示唆している。

時間軸波形(じかんじくはけい)

(Time-Axis Waveform)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。パネルの入力コネクタから入力された信号の瞬時波形を表示する。1フレーム分が表示される。このときX軸はフレームの始点を0とする時間(秒)、Y軸は瞬時値で表示される。X軸のフルスケールは設定された周波数レンジに連動して設定される。

時間軸微積分(じかんじくびせきぶん)

(Time-Axis Differential/Integral)小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。1階微分値、2階微分値の演算は、5次ラグランジェの内挿公式を利用し、その点の前後を含んだ5点の値から1点のデータを求める。1重積分値、2重積分値の演算は台形公式を使用し求める。(詳しい数式は小野測器HPを参照)

時間波形統計計算(じかんはけいとうけいけいさん)

(Time Waveform Statistical Calculation) 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある(詳しい数式は小野測器HPを参照)。 (1)平均値(Mean value、MEAN)と(2)実効値(RMS value、RMS)以外に次の(3)〜(6)がある。 (3)標準偏差(S.D.):平均値のまわりの2次モーメントは分散といわれ、分散の平方根を標準偏差という。直流成分を除く信号の実効値と標準偏差は同一。(1)、(2)、(3)の関係式は、「標準偏差の二乗」と「平均値の二乗」の和は「実効値の二乗」に等しい。 (4)スキューネス(SKEWNESS):平均値のまわりの3次モーメントをσ3で正規化したもので、平均値のまわりの非対称性を示す指標として用いられている。 (5)クルトシス(KURTOSIS):平均値のまわりの4次モーメントをσ4で正規化したもので、波形の尖鋭度を表す指標。正規分布(ガウス分布)の時間信号でのクルトシスの値は3となるので、数式から3を引いた値をクルトシスとすることもある。 (6)クレストファクタ(CREST FACTOR):ピーク値(最大値)/実効値。

自己相関関数(じこそうかんかんすう)

(Autocorrelation Function) 自己相関関数は、波形x(t)とそれをτ時間だけずらした波形x(t+τ)を用いたずらし量τの関数として定義される。波形の周期を調べるのに有効で、τ=0で最大値となり、波形が周期的ならば、自己相関関数も同じ周期でピークを示す。また、不規則信号では、変動がゆっくりならば τが大きいところで高い値となり、細かく変動するときはτが小さいところで高い値を示して、τは変動の時間的な目安となる。パワースペクトルの逆フーリエ変換により自己相関関数を求めている。 (小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

周波数応答関数(しゅうはすうおうとうかんすう)

(Frequency Response Function) 周波数応答関数(伝達関数)は、電気系や、構造物の振動伝達系などの入力と出力との関係を表したもので、入力のフーリエスペクトルと出力のフーリエスペクトルの比で表される。周波数応答関数は、ゲイン特性と位相特性で表される。ゲイン特性は、系を信号が通過することによって振幅がどう変化するかを表すもので、X軸は周波数、Y軸は入力に対する出力の振幅比(デシベル)で表示される。また、位相特性は入力信号と出力信号との間での位相の進み、遅れを表すもので、X軸は周波数、Y軸は度またはラジアンで表示される。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

周波数軸微積分(しゅうはすうじくびせきぶん)

(Frequency-Axis Differential/Integral)周波数軸での微分演算は、パワースペクトルでは(ω)nを、周波数応答関数では(jω)nを乗算することにより行われる(j は虚数単位、ω=2πf)。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より。詳しい数式は小野測器HPを参照。)