計測関連用語集

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エネルギースペクトル密度(えねるぎーすぺくとるみつど)

(Energy Spectral Density)打撃法などによるインパルス状の有限なエネルギーに対し、これをエネルギーで規格化して表示したもの。 エネルギースペクトル密度はパワースペクトル密度に取り込み時間(ウィンドウ長、T=1/⊿f)をかけることにより求められる。(小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」より)

FRA(えふあーるえー)

(Frequency Response Analyzer) 日本語では「周波数特性分析器」。その略号。正弦波信号を被測定物に与えて、その周波数応答(利得・位相)を、ノイズ除去特性に優れたディジタルフーリエ演算方式により高精度に測定する装置。正弦波の発振器とオシロスコープで行うゲインーフェーズ特性が1台で測定できる。正弦波周波数を可変(自動的にスイープ)させてゲインーフェーズ特性のグラフ(カーブ)を得る。特長は広いダイナミックレンジによる高精度な測定と、超低周波数の測定が可能であること。「低周波のネットワークアナライザ」と称されることもある。電源やモータ・サーボ回路の評価に使われる。フィードバック技術を応用した測定器で、エヌエフ回路設計ブロック(エヌエフ)の製品がほぼ独占状態である。複数のモデルをラインアップしている。形名はその名のとおり、FRA50xxやFRA516xx。最近は「インピーダンス/ゲイン・フェーズアナライザ」などインピーダンスアナライザを称したモデルも発売している。余談だが、同社は古くからLCRメータを製品化している。インピーダンス測定に多くのノウハウがあり、インピーダンス計測のセミナーを活発に開催している(2020年現在)。LCRメータは低周波から高周波まで業界標準はキーサイト・テクノロジー(キーサイト)である。1980年頃に国産メーカが参入(たとえば安藤電気のAG-4000シリーズなど)したが、測定周波数は数百kHzまでの製品しかなく、MHzモデルはキーサイトの牙城が守られた。ただし、2010年代以降、電子部品メーカの生産ライン向けLCRメータでシェアを伸ばした日置電機がラインアップを増やし、現在はMHzオーダの製品も同社がメインプレーヤになった。つまり現在の国内LCRメータ/インピーダンスアナライザ市場は、標準器はキーサイト、汎用器は日置電機、の2社に収斂した。そんな中、エヌエフはずっとLCRメータを作り続け撤退しなかった。2019年5月に発売されたインピーダンスアナライザZA57630は最高測定周波数36MHzである。

FFT(えふえふてぃー)

(Fast Fourier Transform) ・フーリエ変換 数学では、複雑な周期関数は(単純な周期関数である)正弦関数(サイン関数、正弦波)や余弦関数(コサイン関数)の和として表されることが知られている(フーリエ級数)。複雑な物理現象(関数f)を正弦波と余弦波に変換すると計算がしやすくなり、物理現象を簡便に解析できる。この変換をフーリエ変換と呼ぶ。工学では時間領域の現象(時間の関数)をフーリエ変換して周波数領域(周波数の関数)にして、色々な解析を行う。解析結果を逆フーリエ変換で時間関数に戻すと、時間領域の現象(現実の物理現象)がどうなるかがシミュレーションできる。フーリエ変換は数学、物理、工学で使われる代表的な解析手法である。 ・DFT フーリエ変換をデジタルデータで行うのが離散フーリエ変換(DFT:discrete Fourier transform)である。現実世界の物理現象はアナログ(連続して起こっている)だが、計測器はサンプリングによってデジタルデータをつくり、各種の処理や解析を行う。そのため、DFTの理論が確立した。 ・FFT DFTを高速に計算する手法がFFT(高速フーリエ変換)である。この手法を使った周波数分析器がFFTアナライザである。振動や音などの周波数測定に使われる。表示される波形はスペクトラムアナライザ(スペアナ)と同じで、横軸が周波数、縦軸がパワー(電力)だが、DC(直流)から低周波で使われ、スペアナとはアプリケーションや周波数帯が異なる。 FFTはFFTアナライザだけでなくオシロスコープの解析オプションにもあり、測定データを周波数領域に変換してスペアナのような表示を出すことができる。FFTアナライザは日本では小野測器が有名だが、環境計測のリオンもラインアップがある(両社ともに最近は「多チャンネル分析器」や「音響振動解析システム」などの品名で、FFTアナライザというよりデータ集録&解析器である)。海外メーカでは東陽テクニカの取り扱うオロス社がFFTアナライザでは名が通っている。

FFTアナライザ(えふえふてぃーあならいざ)

(FFT analyzer) 信号波形を高速フーリエ変換(FFT)の手法で、横軸を周波数、縦軸をレベルとして表示する測定器。フーリエ変換は時間の関数を周波数の関数に変換する数学の理論。デジタルの演算手法であるFFTを使いスペクトラムアナライザ(スペアナ)の様な周波数ドメイン(周波数軸での分布を測定する)の計測器。日本では小野測器が有名で1980年頃から製品化された。主に音響・振動などの低周波数信号の解析に使用される。周波数成分ごとのパワーを測定する測定器だが、スペアナとは原理も用途も異なる。FFTアナライザはDC~100kHz程度の周波数解析が得意。スペアナはDCから測定可能な機種はほとんど無く低周波は苦手、RF帯域の周波数測定に使われる。 FFTアナライザはベンチトップやポータブルのモデル(いわゆるスタンドアロン)だけでなく、最近はPC接続型の多機能計測器、データ収集&解析器のモデルも増えている。そのようなモデルでは振動測定など環境計測のリオンや、音響計測器のHBK(旧Bruel&Kjaer、B&K、ブリュエルケアー)もデータ集録機能に特長を持ったFFTアナライザ製品をつくっている。つまりFFTアナライザのアプリである振動解析に、振動計のリオンや、音響測定器のB&Kが、データ集録機器として小野測器のFFTアナライザと競合する製品群をつくっている。FFTアナライザ、振動計測、騒音計、音響測定器、データ集録機器(たとえばデータロガー)などは似た位置関係にあるカテゴリー(機種群)といえる。 自動車の評価機器をラインアップするエー・アンド・デイには「車載用振動・騒音解析測定器」があり、実態はFFTアナライザである。

エリアシング(えりあしんぐ)

(aliasing) アナログ値(連続した信号)である物理現象を測定した後で、コンピュータ処理に適したデジタル値(離散データ)にする手法にサンプリング(標本化)があり、計測器を含む多くのデジタル電子機器で使われている。サンプリング周波数(fs)(※)は測定する信号の周波数(fm)の2倍以上である必要がある(サンプリング定理)。つまりfs>fm x 2(fsはfmの2倍以上)。fs/2(サンプリング周波数の1/2の周波数)よりも高い周波数成分は周波数fs/2を中心にして、低周波側に折り返したように見える。この現象をエリアシングという。エリアシングは「折り返し雑音(folding noise)」や「エリアシングノイズ」とも呼ばれる(表記は「エイリアシング」もある)。つまりサンプリング周波数が低いと、ノイズによって正確な結果が得られない(サンプリングで得られたデータは正しくない)。 サンプリングとは連続して変化している値を一定間隔(時間)で間引いて、デジタルデータをつくること。間引く間隔が長い(ゆっくりした間隔でサンプリングする=サンプリング周波数が低い)と、急な変化には対応できないので、できたデジタルデータは不正確で、元のアナログデータ(測定信号)を正確に反映できない。元の信号が急な変化をしているのは高い周波数成分を含んでいるからで、その周波数の2倍の周波数でサンプリングする、という目安がサンプリング定理である。 エリアシングはFFTアナライザなどのFFT解析で使われる用語だが、オシロスコープ(もちろんデジタルオシロスコープ)の使い方として、測定したい信号の周波数成分からエリアシングを考慮してサンプリングレートを設定することがあげられる。エリアシングを防止するには、fs/2の周波数以上をカットするLPF(Low Pass Filter、低域通過フィルタ)を使用する。 そのため、このLPFをアンチエリアシング・フィルタという(LPFについては用語「フィルタ」に図解がある)。fs/2は「ナイキスト周波数」と呼ばれる。 実際の測定信号にはどれだけ高い周波数成分が含まれているかわからない。そこでLPFによって高い周波数をカットすれば、最大周波数からサンプリング周波数を決められるのでエリアシングを防止できる、ということである。 (※)周波数は英語のfrequencyから「f」で略記される。何の周波数かを区別するためfの後に略記を続ける。サンプリング周波数は、英語samplingのsをとって「fs」と表記している(あくまで一例であり、必ずfsでないといけないというわけではない)。数学(物理)では、このような表記を良く使う。fsでなくてf(s)でも良さそうだが、f(s)と書かれたら「sという物理量によって変化するfという物理量」という意味で、関数を表記する書き方、と数学上の決まり事になっている。f(s)のsは関数fの引数(いんすう)と呼ばれる。

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