計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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PMV計(ぴーえむぶいけい)

「暑い」「寒い」といった温熱環境に対する感覚を、数値化した温熱的快適性の指標の1つであるPMVを簡便に測定する機器。 (=平均予想温冷感申告)(PMV=Predicted Mean Vote の略)

Pt100(ぴーてぃーひゃく)

RTD(測温抵抗体)のもっとも代表的なもの。材料は白金(Pt)で、温度が0℃の時の抵抗値が100Ωであることからこの名称がある。JIS で規定されている。JIS規格はIEC規格(国際電気標準規格)との整合を図るために1989年4月1日に改訂された。改訂前の旧JISのものをJPt100、改定後のものをPt100と呼んで区別している。Pt100とJPt100は、温度特性(抵抗値)が若干異なるので、使用時は注意が必要。

光コム(ひかりこむ)

(Optical Comb) 位相が高精度な「くし状」になっている特殊なレーザー光。 通常のレーザーは1波長だが複数の波長が等間隔に並んでいるのが特徴。それで、櫛(comb)にたとえて光コムと命名された。世界で最も精度が高い物差しといわれる。2005年に米国物理学者がノーベル賞を受賞した原理を、株式会社XTIA(クティア、旧社名:株式会社光コム)が非接触・三次元形状測定器として製品化している。

光ファイバ(ひかりふぁいば)

(optical fiber) 現在の有線通信網の主力のケーブル。線材が細いこと、電気でなく光なので電磁ノイズの影響を受けないことから、細い管の中を検査する内視鏡や、強磁場で使う温度計にも使われている。表記は「ファイバ」と「ファイバー」の2つがある。光は屈折率の異なる媒体を通過するとき、境界面で進路がわずかに曲がる性質がある。透明なコップに水と箸を入れ横から見ると、水面の上下で箸はわずかに曲がって見える。これは空気(水面の上)と水(水面の下)の屈折率が違うので光が曲がったためである。曲がり具合は2つの物質の組合せによって決まる固有値になる。光は境界面を通過するとき全て透過せずわずかに反射する。曲がり具合の大きな2つの物質を選ぶと、曲がる角度がだんだん大きくなってついには透過せず、ほとんどが反射するようになる。そのような組合せの2つ物質(ガラス)を筒状にして、一方の筒の外側にもう一方を筒状に被せた2重円筒形構造を作り、内側の筒(物質)に光を入射したら、光は外側の物質に閉じ込められて全反射し続け、遠方まで伝わり光通信を実現できる。この理論を日本人の西澤潤一氏が考案したが、あまりにも先進的な理論であったため、日本では特許は却下されてしまった。光ファイバの実用化はアメリカの大手ガラス会社のコーニング社が行い、現在も光ファイバの世界的なトップメーカである。国産の電線メーカ、住友電気工業、古河電気工業、フジクラがコーニングに続く光ファイバメーカである。内側の筒(物質)をコア、外側をクラッドと呼ぶ。材料がガラス製ではコア径は50(または62.5) μm、クラッド外径は125 μmの細さで、外側を被覆して強度を保つ。光ファイバの接続は融着によって行う。先述の電線メーカは光ファイバ融着器のメーカでもある。光ファイバを曲げるなどの外圧を加えると、通信パワーが減衰する。わずかな外圧による微量のパワー変化を検知できるので、ひずみセンサとしても使われる。山の斜面やトンネルなどに敷設して、地面のずれを検知して防災に役立てている。計測器メーカは横河計測(旧安藤電気、光通信測定器)、 共和電業(ひずみ測定器)、安立計器(温度測定器)などがある。 光ファイバ関連の計測器や機器の解説: OTDR、光パルス試験器、光ファイバアナライザOLTS、光ロステスタ、IDテスタ、光ファイバ心線対照器、光ファイバ温度計、ファイバースコープ、ファイバーレーザー 計測器情報: 横河計測の光測定器、光ファイバアンプ、安立計器の光ファイバ温度計

光ファイバ温度計(ひかりふぁいばおんどけい)

光ファイバを温度センサとして使用した温度計。電磁場の影響を受けないので、強電の環境での温度測定などに利用される。電子レンジ内部の温度測定も光ファイバ式温度計が使われる。温度計測のトップメーカである安立計器の製品は、蛍光の原理を使い温度を算出している。

微差圧計(びさあつけい)

(minute differential pressure gauge) 低圧の圧力計のこと。約500Pa(パスカル)以下の微小な圧力差を測定するマノメータ(圧力計)を指す。圧力計には数百MPa(メガパスカル)を測定する高圧用の物もある。高圧や低圧、微差圧が何Paかは文献によって定義が同じではない。 空気は圧力の高いところから低いところへ流れるため、室内の圧力を外よりも高くすることで、汚れた空気を室内に入れないようにできる。クリーンルームではこのように空気の流れを制御(監視)している。微差圧計はこの制御に使われる。陰圧室は周囲より気圧が低いため、室内の浮遊物は外に流出しないので、病原微生物などの拡散を防止しするときに利用される。2019年末から世界中に感染拡大した新型コロナウイルスの病室は陰圧室である。病室内の空気圧の圧差は2.5Pa以上に維持することを、CDC(米国疾病予防管理センタ)は推奨している。このような数Paオーダーの測定に微差圧計は使われている。 1961年に国産初の微差圧計を開発した山本電機製作所は、2022年に0~10Paレンジの小型製品(サイズ30×30mm)を発売している。同社によれば、「微差圧計:当社では“1000Pa以下の差圧を計測できる計測器”を微差圧計と呼んでいる。元々差圧の中でもごく僅かな圧力の範囲をあらわす“微差圧”という言葉には明確な定義はない。計量法で定められた圧力の基準器から考えると、一般的には100kPa以下の圧力レンジと言われている。」

比湿(ひしつ)

(specific humidity)[水分用語]大気中に含まれる水蒸気量の表現方法の1つ。湿潤空気(水蒸気を含む空気)の質量に対する水蒸気の質量の割合。単位体積の空気中に含まれる水蒸気の質量を水蒸気を含めたその空気全体の質量で割った値。1kg(キログラム)の空気中に含まれる水蒸気のg(グラム)数で表わすことが多い。 「気体中の水分管理」の会社、株式会社テクネ計測の「湿度で良く使われる用語」では次のように説明している。比湿とは、湿潤空気中の単位質量当たりの水蒸気の質量。無次元比として、湿潤気体の質量1kg当たりの水のg数[g/kg]か、または1kg当たりのkg数で表す[kg/kg]。 参考用語:混合比、重量/質量百万分率

ヒストグラム(ひすとぐらむ)

(histogram)統計の用語で、データの分布状態を視覚的に表したグラフの1種。計測器の用語としては、日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」に、次の解説がある。「ヒストグラム:頻度をグラフにするための柱状図表。サーモトレーサでは、感度に対応した幅の頻度を表している。頻度は、全領域またはボックス枠により指定された領域から求める。」

ピストンホン(ぴすとんほん)

マイクロホンの校正をする機器。 (=音響校正器)

ひずみゲージ(ひずみげーじ)

(strain gauge) 荷重、ひずみを測定するための力学的センサ。別名:ストレインゲージ。ひずみゲージに与えられたひずみとひずみゲージの抵抗変化が比例すること(ひずみゲージの直線性)を利用して、ひずみを抵抗値で検出し、外部のブリッジ回路(ブリッジボックス)で電圧に変換する。ブリッジ回路からの信号は微弱なためアンプで受けて記録計やPCにつなぐ。アンプや記録計をひずみ測定器と総称している。ひずみゲージとひずみ測定器のメーカは国内では共和電業と東京測器研究所の2社。アンプはエー・アンド・デイの工業計測機器部門(旧三栄測器、日本アビオニクス)もラインアップが多い。

ひずみゲージ式変換器(ひずみげーじしきへんかんき)

ひずみゲージの抵抗値が変化する原理を応用して、荷重・加速後・変位・圧力を測定する機器。

ひずみ限界(ひずみげんかい)

(strain limit)ある条件のもとで、ひずみゲージが損傷することなく動作し得るひずみの最大値。(株式会社東京測器研究所の「ひずみゲージの基礎知識」より)

ひずみ測定器(ひずみそくていき)

応力により物体に生ずる変形(ひずみ)を測定する機器。動ひずみ測定器と静ひずみ測定器がある。 ひずみ測定器メーカである株式会社東京測器研究所は以下のように解説している。ひずみゲージの抵抗変化は極めて小さいため、それを測定するために電気的な手段が必要となる。ひずみ測定器はその目的のために用意されたもので、ひずみゲージの抵抗変化を電圧の変化に置き換え、それを増幅してデジタルまたはアナログデータとして取り出すことができる。また荷重計、変位計など、内部にひずみゲージを用いた変換器も同様にひずみ測定器に接続して測定を行う。ひずみ測定器の多くの機種は、電圧測定や、熱電対および白金測温抵抗体による温度測定も行える。時間の経過に対して変化が少ないひずみを「静ひずみ」、速いひずみを「動ひずみ」と呼ぶ。ひずみ測定器には、静ひずみ測定を目的とした静ひずみ測定器と、動ひずみ測定を目的とした動ひずみ測定器がある。当社データロガーは、静ひずみ測定器の代表的なもの。ただし、近年では静ひずみ測定器でも比較的速い現象をとらえるデータロガーも登場している。動ひずみ測定器としては、標準的なアナログタイプのほか、デジタル式の測定器もある。また、ヒストグラムレコーダのように、動的現象のヒストグラムすなわち頻度分布を測定する測定器もある(同社の「測定器の概要と主な用語」より)。 当サイトでは「ひずみ測定器」を電気計測器の中の物理量測定器(温度、振動、騒音、ひずみなどの物理量の測定器)に分類しているが、他の資料(計測器の機種一覧を掲載したガイドブックなど)では「ネットワークアナライザ・回路素子測定器・材料測定器・測定用補助機器」の項目に「ひずみ測定器」が掲載されていたり、「応力・ひずみ」測定の項目が無く、共和電業や東京測器製品は掲載されていない、という例もある。ひずみ計測に使用される、NDIコネクタは(電気計測器ではなく)超音波探傷機などの非破壊検査協会が規格を策定している。つまり、ひずみ測定器は電気計測器だけの範疇には収まっていない製品群と言える。共和電業が定期開催しているひずみゲージ基礎講習会は非破壊検査協会の資格試験の内容に準拠している。

ひずみデータロガー(ひずみでーたろがー)

運送機器(自動車、鉄道車両、飛行機など)は多チャンネルで動ひずみを測定するため、ひずみ計測に特化したデータロガーが使われる。自動車の車載用には小型のモデル(16~32ch程度)が使われる。鉄道車両では計測器を車両ごとに1台置き、複数車両で同期して使うこともある。飛行機は最も測定点数が多く128chの場合も珍しくはない。 国産のひずみ計測器メーカの共和電業や東京測器研究所だけでなく、データロガーのメーカもつくっている。自動車業界では海外メーカのDEWETRON(デュートロン)、DEWEsoft(デューソフト)が、鉄道車両向けではドイツimc社のCRONOS(クロノス、CRONOS PLやCRONOS compact)が有名。国産のデイシー社のモデルは建設機械メーカが使っている。 ひずみデータロガーは、メインフレームと測定ユニットの構成のものが多い。ユニットの選択で多くのセンサに対応する。測定ユニットはセンサの微弱な電圧を増幅するアンプで、計測器本体で測定値の記憶ができ、直接PCに測定データを転送できるモデルが多い。車載用に計測器本体と測定ユニットを一体化して小型・軽量にしている機種もある。DEWEsoftやCRONOSという海外製品は計測後のデータ解析ソフトウェアが充実している。DEWEsoftはその名の通りアプリケーションソフトの名前でもある。CRONOSはimc社の有名なOSであるFAMOS(ファモス)が活用できる。ハードウェア構成や解析ソフトウェアなど、各社は顧客の需要にマッチした製品群をラインアップしている。 従来、この市場はデータレコーダ(テープに長時間の記録ができ、再生もできるレコーダ)が利用されてきたが、記録媒体であるテープが生産終了して、データレコーダの計測器メーカ2社(SONY関連会社とTEAC)はデータレコーダを製造中止にした(※)。それによってひずみデータロガーに置き換わりつつある。 ひずみデータロガーは多チャンネルひずみ測定が主眼だが、温度、電圧、振動などに対応したアンプ(やセンサ)が用意されているモデルもあり、ユーザが望む物理量測定を1台で済ませることができる。ただしひずみ測定が必要ない場合は、高額になりコストパフォーマンスが悪いので、使い方には注意がいる。 各社の製品名称は「ひずみデータロガー」ではなく、データロガー、レコーダ、動ひずみ測定器、などなので、素人には判別が難しい。国産のひずみ計測メーカ(共和電業、東京測器研究所)は動ひずみ測定器、海外メーカ(imcやDEWEsoftなど)はデータロガーと称しているが、両社製品は同じアプリケーションで使われるため、「動ひずみに特化したデータロガー」ということで「ひずみデータロガー」と筆者は呼称した。ただしこの呼称はまだ広く認知はされていない。小型でチャンネル数が少ないモデルにこの品名を付けているメーカもある(たとえばテック技販のPDL-06超小型データロガーは「ひずみデータロガー」と称している)。 (※)SONY関連会社は計測器(データレコーダ)から撤退し、会社も無くなったが、TEACは2012年に新製品WX-7000シリーズを発売してデータレコーダを継続している。

非接触温度計(ひせっしょくおんどけい)

放射温度計やサーモグラフィなどの、接触式の温度センサ(熱電対、測温抵抗体など)を使わない温度計の総称。一般に温度計は接触式が多いが、用途によって非接触式が使われる。サーモグラフィを放射温度計の1種に分類している計測器メーカもある(両者は原理が同じため)。以下の記事の冒頭に温度測定器についての概説がある。参考記事:トレーサブルな体表面温度測定~チノーThermoview赤外線サーモグラフィカメラ

非接触式振動センサ(ひせっしょくしきしんどうせんさ)

主に変位や速度の測定に使用され、用途により多種多様のものがある。 参考用語:接触式振動センサ 参考記事(会員専用):【展示会レポート】JIMA2018 第9回総合検査機器展の3ページ目 ・・非接触式振動計測の代表製品であるポリテック社のレーザドップラ振動計を取材。

ピックアップ(ぴっくあっぷ)

(pickup) 振動や加速度のセンサのことを振動ピックアップ、加速度ピックアップと呼ぶ。pickupは「選び出す」、「拾う」という意味。振動や加速度の値を拾い上げる、ということ。センサと言ったり、ピックアップと言ったり、計測の世界は独特の用語がたくさんある。初心者にとっては、なぜ同じことを2つの言い方で使い分けるのか?どんなときセンサで、どんなときがピックアップなのか、さっぱりわからないし、関心も興味もないことである。計測の世界に浸り、その用語の背景を知ることに知的好奇心がある計測器マニアでないと、このような違いは煩わしいだけである。 参考用語:接触式振動センサ、非接触式振動センサ 計測器情報:ピックアップと品名に付く製品の例

引っ張り試験器(ひっぱりしけんき)

糸やワイヤの張力を測定する機器。

ピトー管(ぴとーかん)

流体の流れの速さを測定する機器。

非破壊検査(ひはかいけんさ)

(non destructive inspection) 物を壊さずに内部の状態を検査すること。たとえばジェットエンジンのタービンブレードは金属でできているが、内部に傷などがあると良品とはならない。そのため工場の生産ラインの最終工程で入念に非破壊検査が行われる。略記:NDI 検査機器は、検査対象物に当てる電磁波によって、大きく超音波とX線がある。両者はそれぞれ長短(特長)があり、用途によって使われている。傷を探るということで、探傷とも呼ばれる(「超音波探傷」などのことばがある)。物の内部だけでなく、金属表面の状態の検査も非破壊検査に含まれる。たとえば渦流探傷(渦電流探傷)は、ベヤリングなどの検査に使われる。 非破壊試験(NDT:Non Distractive Testing)の世界3大サプライヤは、Waygate Technologies(旧GE:General Electric、米国)、EVIDENT(エビデント、日本のオリンパスの科学機器事業が2022年に分社)、Sonatest(ソナテスト、英国)ともいわれる。