計測関連用語集

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空間周波数(くうかんしゅうはすう)

(spatial frequency) 長さ(距離)の逆数の物理量(単位:1/m)。時間の逆数を周波数と呼ぶのに倣い、長さ(空間)の逆数をこのように命名した。空間的な(spatial)周波数(frequency)である。 元来、周波数とは「単位時間当たりの波の数、振動数」や回転体の速さのことで、電気では重要な基本物理量である。計測ではスペクトラムアナライザやFFTアナライザなど周波数ドメインの計測器は、マルチメータ(電圧・電流)、オシロスコープ(時間)と共に、最も使用頻度が高い基本測定器である。数学の手法であるラプラス変換で、時間の関数を変換すると周波数の関数となる(フーリエ変換)。周波数による分析は、時間的な周期がある現象を簡便に解析できて便利である。そのため、時間とともに基本的な概念である空間の逆数(空間周波数)を求めると、「空間的な周期をもつ構造」を解析することができる。空間周波数とは「単位長に含まれる構造の繰り返しの多さ」を表し、メートルあたりの周期といえる。この概念から、各分野で多くの応用がなされている。 画像処理の分野では「ミリメートルあたりの線数」が空間周波数である。画像を扱う光学の用語では、物体が正弦波格子で構成されていると考えたときの強度(振幅)の指標を、単位長あたりの白黒の数(コントラストのペア)、lp/mm(lines pair per millimeter、ラインペア/ミリメータ)で表し、これを空間周波数と呼称する(画像にある「単位長に含まれる明暗の縞模様の波の数」のこと)。画像は位置によって(空間的に見る場所によって)明るさ(信号)が変化する。そのため、「空間周波数:空間的に変化する信号の周波数」という説明もできる。「空間周波数が高い」とは、像にエッジなどの鋭い変化があることを意味する。 半導体の分野では「露光される周期的なパターンの長さの逆数」を空間周波数という。投影光学の解像度に関係する指標である。 時間に対する周波数という概念や分析手法を、空間(長さ)に応用して「空間周波数」なる概念(物理量)を考案することで、画像、光学、半導体などの広い科学技術分野で使われている。

クオーツ温度計(くおーつおんどけい)

水晶振動子をセンサーとした高精度の温度計。(=水晶温度計)

クライオスタット(くらいおすたっと)

試料を低温に保つための装置。物性測定、構造解析、光学測定などで計測器とともに使われる。

繰り返し性(くりかえしせい)

(repeatability) 同一の負荷条件ならびに同一の環境条件において同じ負荷を繰り返した時の出力の最大差。定格負荷において測定し、その値を定格出力に対するパーセンテージで表す(%RO)。(株式会社東京測器研究所の「びずみ測定用の変換器の用語」より)

クリモマスター風速計(くりもますたーふうそくけい)

カノマックスの風速計の品名。略称:クリモマスター。

グローブ温度計(ぐろーぶおんどけい)

直径15cm程度の黒いグローブ球の内部に温度センサーを設置した温度計。

CRONOS compact(くろのすこんぱくと)

CRONOSはドイツimc社のひずみデータロガーの名称。2002年発売で日本の鉄道車両(特に新幹線)の試験で使われたモデルCRONOS PLの、後継機種として2010年代に発売されたモデルがCRONOS compact。CRONOS PLは中止品で、CRONOS compactは現役(2022年12月現在)のため、鉄道車両の試験ではPLかcompactが使われる。ユーザはJR東海や鉄道車両メーカで、設備としての購入とレンタルが活用されている。 製品はメインフレームと測定モジュール(アンプ)で構成される。新幹線などの車両の試験には、32ch程度の入力ができる構成にしたCRONOSを1車両に1台乗せ、場合によっては数台をつないで同期させて試験を行う。32ch構成では概算価格は約1千万円になる、大変高額なデータロガーである。ユーザがレンタルを活用するのは、製品が高額でかつ、短期間に複数台が必要で、使用期間が事前にわかるので調達しやすいからである。携帯電話のメーカが日本に数多くあったガラケー時代に、無線機テスタやシグナリングテスタなどの数百万円~1千万円/台する高額な通信測定器が複数台、定期的に携帯電話メーカにレンタルされた。通信の専用器にはこのような事例があるが、データロガーは(一般的には)安価な低周波の基本測定器である。ところが運輸機器(特に飛行機、鉄道)向けの多チャンネルのひずみ測定には、高額な専用器であるひずみデータロガーが使われる(一般のデータロガーとは違うので筆者は特別に「ひずみデータロガー」と呼称している)。専用器というのは、ここで示した特別なアプリケーション以外には使わない、という意味である。たとえば1千万円のデータロガーで温度測定をすることはない。 CRONOSとよく似たひずみデータロガーにDEWETRON(デュートロン)やDEWEsoft(デューソフト)がある。JR東海がCRONOS PLを採用する以前に、新幹線車両を製造する日立製作所や日本車両などのメーカはCRONOSやDEWETRONを評価している。CRONOSよりDEWETRONが優れているという認識だった車両メーカもあったようだが、JRがCRONOSを設備導入後は、各車両メーカの試験機材はCRONOSに統一された。2000年代の早い時期に(JRより早く)CRONOS PLを使って実際の車両で試験をしたのは日立製作所といわれている。

CRONOS PL(くろのすぴーえる)

CRONOSはドイツimc社のひずみデータロガーの名称。CRONOS-PLは日本の鉄道車両の試験で使われているモデル。JRが新幹線の走行試験で多チャンネル(16~32ch)モデルを設備導入していて、民間の車両製造会社(川崎重工、日本車輌、日立製作所などの新幹線車両のメーカ)も同じ機材を試験で使用している(imc社の日本での販売は東陽テクニカ)。同様のひずみデータロガーとして自動車車体の試験にはDEWETRON(デユートロン)やDEWEsoft(デューソフト)が良く使われている。 CRONOS PLは2002年にリリースされ、2010年代に後継モデルCRONOS compact(コンパクト)が発売されている。メインフレームはPL-4、PL-8、PL-16がある(数字が大きいほどモジュール用のスロット数が多いので、測定できる入力chを多くできるが、寸法は大きくなる)。測定モジュール(アンプ)はSC2-32やBR-4などがある。たとえばバンドル形名CRONOS-PL-8(/BR-4x8/OFA/GPS/ONKL)は、アンプモジュールBR-4を8枚、メインフレームのPL-8に挿入し、OFAやGPS、ONKLというオプションが付いている(BR-4は入力2chなので、この構成は32ch入力になる)。SC2-32は32ch入力できるが、サイズが大きく4スロットを占有する。測定モジュールは仕様によって数種類あり、選択できる。 鉄道車両の試験ではPL-8にBR-4かSC2-32を装着して16~32chにする構成で使われた(概算価格で約1千万円程度になる、高額な多チャンネルデータロガーである)。ユーザは自社資産とレンタルを組合わせて上手に利用した。JR東海やJR東日本が新型の新幹線車両を継続して開発し、北陸新幹線などの整備新幹線が新設された2000年~2010年代に、JR及び各車両メーカはCRONOS PLで盛んに試験を行った。 imc(正式にはimc Test & Measurement GmbH)社はドイツのベルリンに本社がある、ひずみ計測を主体にしたメーカ。センサから計測器まで幅広いソリューションがあり、自動車の通信規格であるCANバスに対応したCANSAS(カンサス)などの製品もある。自動車は2~8ch程度のチャンネル数が少ないモデルも使われる(鉄道は16~32点/1車両で、数車両を測定するので、32chタイプのCRONOSを複数台同期させることもある)。 またimc社のデータ解析ソフトウェアFAMOSはバックエンドとしての波形解析に優れているので、ハードウェアとしてのデータロガーはCRONOS(つまりimc)を使わないが、解析用途ではFAMOS(つまりimc)を使っている技術者もいる。ひずみだけでなく振動などの物理量測定では、データ収集後の解析が重要で、DEWEsoftは元々、DEWETRONの解析ソフトウェアの名称である。ソフトウェアの世界では日本は弱く、欧米企業が世界標準になることはMicrosoftに限らず計測器業界も同じである。

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