計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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VHSデータレコーダ(ぶいえっちえすでーたれこーだ)

VHSカセットテープにデータを記録するデータレコーダ。現在はほとんど生産されていない。 VHS(Video Home System)は、日本ビクター(現JVCケンウッド)が1976年に開発した家庭用ビデオ規格で、同社の登録商標。

フォトコーダ(ふぉとこーだ)

(photo corder) 横河電機の電磁オシログラフの名称(品名か通称かは不明)。同社は1920年代に、それまで大型だった電磁オシログラフを小型化した「電磁オッシログラフN-3型」を開発し、1977年には「フォトコーダ 2932型」(24チャネル、紫外線感光紙、高圧水銀灯方式)を発売している(1992年2月「計測と制御」第31巻 第2号 346~347ページ、横河電機 松本栄寿)。 横河電機と並ぶレコーダ(記録計)の老舗、三栄測器の電磁オシログラフはビジグラフと呼ばれた。 電磁オシログラフは1980年代まで使われたが、ペンレコーダやメモリレコーダの普及によって1990年代にほとんど生産を終了している。温度と違い変化のスピードが速い振動などの記録には電磁オシログラフは適していたが、安価ではない感光紙を大量に消耗するためランニングコストがネックだった。横河電機の電磁オシログラフは前述の2932が最後のモデルとなった(1985年頃に生産終了)。 電磁オシログラフの原理は、光源から光を振動子のミラーに照射し、電圧変化に応じて振動子(とミラー)が動くと、ミラーで反射した光がスクリーンに投影されたり、ドラム(感光紙)に記録できたりする。光を使うレコーダなので、光のphotoとレコーダのcoderからフォトコーダと命名している。電磁オシログラフから一部名称をとった高速メモリレコーダとして、横河電機にはオシログラフィックレコーダという品名のモデルが1990年頃にあったが、フォトコーダのコーダというフレーズも好きなようで、現役のメモリレコーダはスコープコーダという名称である(2002年以降より)。計測器メーカによって、オシログラフやコーダなど、メモリレコーダの名称に使うワードは様々である。 1940年代後半にトリガ掃引式のオシロスコープが開発され、1950年代にはアナログオシロスコープが波形観測の主流となった。オシロスコープは高速に変化する信号を捉えることができるが、古くから使われてきた電磁オシログラフは、データレコーダと共に、振動計などとつないで記録を残す手段として使用された。 電磁オシログラフのことを「フォトコーダ」と表記している例を紹介する。 1. 計測器販売サイトの例 商品カテゴリー「フォトコーダ」に以下の商品が掲載されている。 メーカー / 型式 / 内容 YEW / EMO-6 / 2.5~200mm/s、6ch(実装1ch) YEW / 2915 / 5cm/分~200cm/秒、18ch(実装0) 2. 北見工業大学研究報告 「負極性直流沿面放電の電流」(第13巻 第1号 1981年) 42ページに次に記述がある。「直流アンプは三栄測器の6L5で,その周波数特性は出力によりDCから2kHzまたは20kHzまで変わる。電磁オシログラフは横河電機のフォトコーダで直読式であり,使用した振動子の感度一様な(±5%以内)周波数上限は1,000Hzである。」 1970年代の振動計の取扱説明書には、「電磁オシロ、ビジグラフ等」と記載されているものもあり、フォトコーダとビジグラフが当時の電磁オシログラフの代名詞であったことが伺える。つまり、1970年代~1980年代には高速に変化する振動などの記録用に、横河電機のフォトコーダと三栄測器のビジグラフは競っていたと推測される。1980年頃に三栄測器に入社した営業マンから、当時のビジグラフは同社の稼ぎ頭だったと筆者は聞いた。以下の参考記事には横河電機製品が多く紹介されているがフォトコーダということばは一切使われていない。筆者は前述の雑誌「計測と制御」で初めてフォトコーダという名称を知った。このことはフォトコーダが同社の看板製品ではなく、ビジグラフの方が市場シェアが高かったことを示唆しているのかもしれないが、明確なエビデンスはない。 横河電機の電磁オシログラフは、同社の計測器事業部でフォトコーダとなり1985年に生産終了するが、後継機種としてアナライジングレコーダなどを経て2002年にスコープコーダが発売されている。DL708から始まったモデルは4世代目のDL950が横河計測の看板商品として続いている(2024年現在)。1970年代以降の以降のモデル変遷は、以下の参考記事が詳しい。

ペーパーレス記録計(ぺーぱーれすきろくけい)

(paperless recorder)紙に印字する機能が無い記録計のこと。1950年代のディジタルマルチメータ(DMM)の登場と同じくしてペーパーレスのデータロガーが計測システム製品として登場した。現在ではグラフィックディスプレイを持った多チャンネル記録計や、すべての設定や測定結果の表示をパソコンで行うものなどさまざまな製品が登場している。横河電機は早い時期からペーパーレスに着眼し、「これからの記録計は紙で残すのではなくメモリに記録し、PCで後処理する」という方針を強く打ち出してきた(同じ時期に同業の計測器メーカである日置電機や三栄測器は印刷機能を主要な特長にしていた)。横河電機はペーパレスモデルを計装、IA分野向けに多くをラインアップしている。横河電機と横河計測の記録計(レコーダ)の違いは用語「記録計」を参照されたい。当サイトの技術情報・レポート/原理・基礎の「記録計・データロガーの基礎と概要」に、他の種類の製品も含めて解説がある。https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-Recorder-01/

ペンレコーダ(ぺんれこーだ)

ペンで紙に記録するタイプのレコーダ。設置型の温度記録計(ロール紙にペンで温度を記録する)にこの形式が残るだけで、レコーダの主流はデジタルメモリを装備した、デジタルデータで記録するメモリレコーダになっている。 環境計測のメーカであるリオンは、レベルレコーダという品名のペンレコーダをつくっている(2022年12月現在、1モデルが現役)。 計測器情報:ペンレコーダの製品例

μR(みゅーあーる)

マイクロプロセッサを搭載した横河電機のペン/打点式のチャートレコーダの通称(※)。μR10000やμR20000などがある。正式な形名は4361xxや4371xx(xxはペン/打点のチャンネル数による)。 同社HPの製品ページでは、データアクイジション/チャートレコーダ(記録計)/工業用チャートレコーダμR10000/μR20000という階層で掲載されている(2022年6月現在)。 (※)横河電機の製品にはまるで形名のような通称があり、形名と混同しやすい。μR1000はまるで形名のようで紛らわしいネーミングである。製品カタログやHPにはこの通称(μR〇〇)が目立つように大きく記載されているが、いざ注文するときは「100mm、4ペンだと、形名436104」となる。μRは仕様を特定できない文字列なので形名ではなく通称(愛称)である(通称ならばもっと通称らしい命名が望ましい)。形名と紛らわしい通称については当用語集の「通称」や「形名」の解説を参照されたい。 参考記事:記録計・データロガーの基礎と概要 (第2回)・・μR10000の内部構造を解説。 計測器情報:μRの製品例

メモリオシログラフ(めもりおしろぐらふ)

(memory oscillograph) データをメモリに記録し、感熱紙に印字するタイプのレコーダ。現在のレコーダの主流。メモリレコーダとも呼ばれ、こちらの表現が一般的。「オシログラフ」という名称は横河電機(現横河計測)が好んで使用していた(用語の「オシログラフィック・レコーダ」の項目を参照)。 印字機能が無い、ペーパーレス製品が増えている(たとえば日置電機のメモリハイコーダなど)。ただし鉄道分野に強いエー・アンド・デイ(旧三栄測器/NECアビオニクス)のオムニエースはA4、A3サイズの印字機能を特長にし続けている。電圧の時間変化を測定し、波形表示する機能はデジタルオシロスコープ(オシロ)と同じ。入力数はオシロより多く(8~32ch)、各入力部は絶縁されている。 サンプリング時間はオシロより遅い(100MS/s以下)が、オシロより長時間の記録ができる。測定器の原理はデジタルオシロと同じだが、アプリケーションは全く異なり、用途によって使い分けられている(以下の記事にメモリオシログラフとオシロスコープの違いを解説)。

メモリハイコーダ(めもりはいこーだ)

(memory hicorder) 日置電機のメモリレコーダの品名。現在、計測器としての記録計(レコーダ)の主流であるメモリレコーダのNo.1(トップブランド)が日置電機のメモリハイコーダ。略称の「メモハイ」は記録計(レコーダ)の代名詞。 日置電機はレコーダとしては後発で参入した(アナログ時代からのレコーダの主要メーカは横河電機、三栄測器、渡辺測器だった)。1983年発売のモデル8801以降に進化を続け、現在はMR88xxやMR6000など多くのラインアップがある。 参考用語:オムニエース、サーマルアレイレコーダ、スコープコーダ

メモリレコーダ(めもりれこーだ)

(memory recorder) 測定値をデジタルデータにしてメモリに記録する、現在の計測用レコーダの主流の機種群の総称。「メモリオシログラフ」という呼び方をするメーカもある。オシロスコープのように、計測器がアナログからデジタルに進化し、技術革新によって半導体メモリが安価になったことで、レコーダ(記録計)もデジタルオシロスコープのように、メモリを備えたデジタル式になった。 従来、レコーダ(記録計)はその名の通り「紙に印字して残す(記録する)」もので、2000年代頃までは感熱紙に印字できるモデルが多かったが、現在はデジタルオシロスコープ同様にペーパーレス(印字機能が無い)モデルが主流。メモリレコーダのNo1機種であるメモリハイコーダ(日置電機)や、スコープコーダ(横河計測)などは印字機能が無い。オムニエース(エー・アンド・デイ)は印字機能があることを最大の特長としている。 現在の計測器としての記録計は、レコーダの主力機種群はメモリレコーダだが、データ集録機器としてはデータロガーがある。レコーダ(メモリレコーダ)とデータロガーやオシロスコープの違いは以下の記事に解説がある。

横河メータ&インスツルメンツ(よこがわめーたあんどいんすつるめんつ)

(Yokogwa Meter&Instruments) 2005年から2017年に存在した、横河電機の計測機器関連の子会社。横河電機はグループ会社を英字の3文字(大文字)で略記する慣習があり、グループ内ではその略記が流通している(あくまで社内用語)。横河メータ&インスツルメンツはYMIと呼称されていた。余談だが、北辰電機を吸収する以前の横河電機は横河電機製作所でYEW(Yokogawa Electric Works)と製品に印字していたが、横河電機になってからはYHQ(Yokogawa Head Quarters、横河ヘッドクオータ)と呼ばれた。現在でもYJP(横河ソリューションサービス株式会社)、YRL(横河レンタ・リース株式会社)などの略記がある。 横河電機は計測と制御の会社で、電気計測器以外に工業計器(計装の機器)を数多くつくっている(横河には工業計器の記録計としてのデータロガーと、電気計測器の記録計であるメモリレコーダの2種類があり、前者は横河電機が、後者は子会社の横河計測がつくっている)。それらの機器のおおまかな変遷を述べる。 電気工事、保守点検で使う絶縁抵抗計(メガー)などのハンドヘルドのモデルや、PA(プロセスオートメーション)、FA(ファクトリーオートメーション)などの計装用途のプロセスキャリブレータなどを、横河電機では現場測定器という。現場測定器と指示計器(アナログのメータ式の電圧計、電流計、電力計など)は1995年に子会社の横河インスツルメンツ株式会社(1988年設立)に移管された。1996年には、横河エレクトロニクス株式会社から信号変換器(JUXTA)が移管され、横河インスツルメンツは横河エムアンドシー株式会社(YMC)に会社名を変更。1997年には横河電機から温調計などの制御機器が移管される。1990年代は、横河ブランドの計測・制御関連機器の会社は横河電機のT&M事業部(オシロスコープやデジタルパワーメータなどの電気計測器)と横河エムアンドシー(現場測定器)、横河エレクトロニクスの3社だった。 2001年に指示計器をYMCから横河電機に移管、2004年に信号変換器や温調計などの制御機器も横河電機に移管(指示計器と制御機器を親会社に戻した)。ところが、2005年に横河電機からYMCに指示計器がまた移管され、会社名を横河メータ&インスツルメンツ(YMI)に変更(社名のメータとは指示計器のことである)。 2010年に横河電機は電気計測器の事業をYMIに移管。波形測定器(オシロスコープ)、電力測定器(パワーアナライザなど)、圧力測定器(マノメータ)、光測定器(旧安藤電気)などがYMIに統合され、横河ブランドの計測器は1社体制が確立した(ただし前述のように、計装のデータレコーダは、横河電機が温調計や信号変換器などといっしょにつくっているので、「横河のDAQ」は横河電機と子会社の2社がつくる全く異なる設計思想の2系統の製品群があり、両者はユーザ層が異なる)。 2017年にYMIは横河計測株式会社に社名変更し、親会社との間で移管し合ったメータ事業(携帯用指示計器)を2020年に生産中止している。つまりYMIの社名の元になった「メータ」事業をやめ、社名からメータを取り除き、「唯一の横河の計測器の会社である」と表明する会社名となった。 1980年代から2010年代にかけて複数の国内大手計測器メーカは、子会社化と親会社への吸収を行っている(岩通計測など)。他社への売却(他社からの買収)や2社の合併も行われた(安藤電気や目黒電波測器など)。国産計測器メーカのM&Aは海外に比べると少なく、同じような製品群をつくる中堅企業が多く残る。1970年代までの高度経済成長期に、産業のマザーツールとして最先端だった電気計測器は、今世紀には最先端ではなくなった感がある。計測器は必ず必要で無くなることは無いが、ハードウェアとしての計測器の国内の販売額は減っている。EVなど、電動化で活況な自動車市場向けでも、計測器メーカのハードウェア製品の売上は伸びていない。今後計測器メーカの淘汰がさらに進むかは不透明である。 2021年7月にアンリツは高砂製作所を子会社化すると発表した。高砂製作所はNECが大株主の計測用電源メーカで、1950年設立の老舗である。自動車会社などに電池の評価システムを納品している実績がある。アンリツは中期経営計画「GLP2023」で「EVおよび電池測定」を重点開拓分野の一つに掲げた。2022年1月には、NECが保有する高砂製作所の株の取得を完了している。アンリツと高砂製作所の製品カテゴリ―はほぼ重複しないので、この子会社化は横河電機が安藤電気を吸収したケースに似ている。

レコーダ(れこーだ)

(recorder) 電圧信号の変化を紙やメモリに記録する測定器。カタログ上の測定項目だけを見ると、電圧の時間変化の波形を観測するオシロスコープ(オシロ)とほぼ同じだが、アプリケーションと仕様(測定範囲)がまったく違う。オシロと比較すると、長時間記録できるが周波数帯域は低く、サンプリングレートは遅い。また、入力数(チャンネル数)は最低4(~8)だが、16chくらいまで増設可能(多チャンネル)で、入力は絶縁されている。「記録」の名前は紙に書いていた名残で、現在はペーパーレスの機種が圧倒的に多い。LANや公衆回線などのネットワークを介して制御・データ収集するモデルもある。別名:記録計。 レコーダ(記録計)とデータロガーの違いは難しく、メーカや書籍によって異なる。当サイトは両者を別のカテゴリー(「レコーダ・記録装置」と「データ集録機器」の2分類)にしている。レコーダの代表的な老舗メーカは横河電機と三栄測器で、電磁オシログラフや工業用記録計(チャートレコーダ)がある。横河電機はIA(インダストリーオートメーション)のセンサからの記録用にレコーダをラインアップし、ペーパーレス、遠隔操作、拡張型など、データロガーまで揃えている。三栄測器は(NECの資本参加など紆余曲折はあったが)オムニエースのブランドで、現在のレコーダの主流であるメモリレコーダで、日置電機のメモリハイコーダと競っている(三栄測器の計測器は現在ではエー・アンド・デイ社の工業計測機器部門となっている)。 長時間記録と再生が特長のデータレコーダはティアックとソニー(グループ会社)の2社がつくっていたが、現在はティアック1社が続けている。記録媒体としてのテープはすでに生産終了しているため、SSDなどを搭載している。データレコーダの需要は海外製のimc社CRONOS(クロノス)やDEWEsof(デューソフト)社などのひずみデータロガーに置き換わりつつあるが、一部の顧客(市場)で熱良い人気がある。ティアックは航空機搭載用記録再生機器もつくっていて、運輸機器やタービンなどの応力測定用途でデータレコーダを納入している。

YEW(わいいーだぶりゅ)

(Yokogawa Electric Works) 横河電機製作所(現横河電機)の略号。1986年頃まではYEWがCI(コーポレート・アイデンティティ)だった。 横河電機は1915年に電気計器の研究所として設立し、1920年に「株式会社横河電機製作所」になった。1986年に横河電機株式会社に社名変更し現在に至る(同社ホームページより)。1983年頃までは「YEW」が企業ロゴとして表記されている製品が多かった。同社の指示計器(針が振れるアナログ式の電圧計、電流計、電力計)は黒い箱型で、弁当箱の愛称があった。最上部には接続端子、その下の約半分くらいが(針が振れる)表示窓で、下半分の何もない黒い箇所に大きく「YEW」と刻印してあった。大学・専門学校などの工学系の学生は黒いYEWを使い実験を行ったので、YEWは電気測定器の代表と広く認識された。 YEWは1963年(昭和38年)9月にhp(ヒューレット・パッカード、現キーサイト・テクノロジー)との合弁企業、YHP(横河ヒューレット・パッカード株式会社)を設立するなど、日本の計測器のトップブランドであった。ただし1975年に世界初のDCS(分散形制御システム/総合計装制御システム「CENTUM」)を発表するなど、横河電機はFA/IA/PAメーカ(工業計器の会社)である。1988年にはYHPから資本を引き上げ、高周波測定器(移動体通信など)に参入し、2002年には(NTTに測定器を納入する)大手通信計測器メーカの安藤電気を100%出資のグループ会社とし、有線通信計測器や半導体テスタをラインアップに加えるなど電気計測分野を拡充したが、現在はそれら全部から撤退している。2010年には測定器ビジネスを分社化し、横河メータ&インスツルメンツ(現横河計測)に統合するなど、今の横河電機のコアコンピタンスに従来の「電気計測」は感じられない。 余談だが、現在の計測器としての記録計の主流であるメモリレコーダではなく、計装の記録計としてのデータロガーは横河電機の主力機種の1つである。ただしこれは電気計測器というより工業計器の一部である(電気計測器の総覧などにはこのデータロガーも掲載されているが、メモリレーダとは用途や顧客が全く異なる計装の記録計である)。計測器の記録計か、計装の記録計かは素人には判別が難しいので、やっかいである。 計装の国内トップベンダーとなったYEWは、同業の北辰電機製作所を1983年に吸収して会社名を横河北辰電機とし、1986年には現在の横河電機株式会社(Yokogawa Electric Corporation)になり、YOKOGAWAを新しいCIとし、YEW時代は終わった。現在の横河電機は、工業計器・プロセス制御システム専業の国内大手電機メーカである。この分野では世界6大メーカ(グローバル・ビッグ6)の一つといわれ、売上の70%が海外事業、従業員の70%が外国籍のグローバル企業である。メーンバンクはみずほで、芙蓉クループの代表企業といえる。 一方で、横河の計測器を継承する子会社の横河計測は、電気計測器の日本市場シェアとしては10%以下(推定)。横河計測は大手計測器メーカの1社ではあるが、「横河」は現在では計測器のトップブランドではなくなった。「横河」と聞いて一目置くのは、YEWを知っている高齢の電気技術者だけである。 計測器情報:YEWの指示計器(電圧計、電流計)の製品例

渡辺測器(わたなべそっき)

小形のデータロガーをラインアップしているグラフテック株式会社の以前の社名が渡辺測器株式会社。通称「ナベソク」。1949年設立の老舗計測器メーカである。横河電機(現横河計測株式会社)や三栄測器(現株式会社エー・アンド・デイの工業計測機器)と並ぶ主要なレコーダ(記録計)メーカだが、2社とは違いレコーダとともにプロッタに注力し、プリンタ(印字ではなく印刷する出力機器)のラインアップが充実していた。グラフテックとして、計測器(データロガー)だけでなく情報関連機器(イメージング入出力機器など)をつくる会社として存続している。1958年に日本初のX-Yレコーダ、1961年に日本初のX-Yプロッタを開発。1979年10月に「レコーダひとすじ三十年:渡辺測器三十年史(渡辺測器30年史編集委員会編)」という本を出版している。1983にグラフテックに社名変更。2004年に発売開始したデータロガー「GLシリーズ」は、キーエンスの小型データロガーのシェアを取ったと噂され、現在もラインアップは健在である。現在のレコーダの主流であるメモリレコーダからは撤退してしまったが、1980年~1990年代のメモリレコーダの3強はメモリハイコーダ(日置電機)、オムニエース(NEC三栄)、サーマルアレイレコーダ(グラフテック)だった(横河電機は計装向けのレコーダにも注力していて、計測器としてのレコーダは当時はオシログラフィックレコーダやアナライジングレコーダで、上記3社とは若干、設計ポリシーが異なる)。