計測関連用語集

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PC直結型記録計(ぴーしーちょっけつがたきろくけい)

高速CPUや大容量DRAMなどの半導体の進歩と、通信技術の発達による高速・大容量の実現により、各種の分野でPCと直結したデータアクイジション機器への要求が高まり、2000年代に入ると、新しい技術を使ったPC直結型やペーパーレスの記録計が多く発売された。1950年代に国産初の自動平衡式記録計を製品化して、記録計のリーディングカンパニーを自負していた横河電機は、ペーパーレス化とともに、“新技術を使用した最新記録計”として「PC直結型レコーダ」を200年代に強力にPRしていた。モデルとしては、最大1600チャンネルが可能な拡張型のモデルDA100や、高速タイプのMX100で、現在に続く横河電機のデータロガーの源流の製品群である。ただし「PC直結型」という名称は2022年現在は死語で、ほとんど聞かない。現在は横河電機以外のメーカも含めて、PC直結型が当たり前になったからである。

ビジグラフ(びじぐらふ)

(visigraph) 三栄測器の電磁オシログラフの名称(品名か通称かは不明。現在は製造中止)。古い研究論文では「電磁オシログラフ」と記載されているが、日本電気三栄(1983年~2006年)製で、「5Lxxビジグラフ」という製品がある。電磁オシロフラフは1980年代まで使われたが、それ以降はメモリレコーダ(メモリを内蔵し、サンプリングしたデータを保存する、デジタル式のレコーダ)がレコーダの主流になった。ビジグラフ(5L42などのモデル)は、グラフテックのサーマルアレイコーダのような、チャートレコーダが記録計の主流になっていく1980年代に、併存していた三栄測器の電磁オシログラフである。1980年頃には大変売れていて、同社の稼ぎ頭の計測器だったという話があるが、三栄測器という会社はなくなり、中止になった過去のモデルについての資料がほとんどないので詳細はわからない。 中古計測器の販売サイトには以下のような製品が出展されている。 メーカ名:日本電気三栄、品名/形名:ビジグラフ/5L42 機能:電圧、電流の高速記録が可能。主な仕様:チャート最大速度4m/s、12チャンネル、記録紙幅203mm。銘板:VISIGRAPH、Type:5L42、NEC San-ei Instruments,Ltd Tokyo Japan 製品前面にはVISIGRAPH-5Lと表記されている。右側には1枚で3ch入力できるユニットが縦に3枚、実装されているように見える。背面にはひずみ計測で標準的に使われる多治見コネクタ(丸形3ピン)が9個ある。つまり9ch入力と思われる。モデル5Lは実装する入力モジュールの構成により種類があり、5L42は9ch入力仕様と思われるが、上記の主な仕様では12チャンネルとある。なお、計測部(ユニット)はユーザで自由に抜き差しできるわけではなく、メーカ出荷時につくり込んでいると推測される。 ユーザが公開している自社資産情報に5L42があり、以下の記述がある。 名称(カテゴリー):多点式記録計、商品名:電磁オシログラフ、形名:ビジグラフ5L42、仕様:電圧・電流の高速記録、入力12ch、チャート最大速度4m/s、記録紙幅203mm、メーカ名:日本電気三栄、購入日:1986年11月26日。 上記の記述でわかることは、5L42は1986年に販売されていた、仕様に「高速記録」とあるのは、メーカの仕様書などのトップに特長として記載されているためと想像される。商品名(品名)は電磁オシログラフで、ビジグラフは形名と書いてある。ただし品名や形名ではなく通称というのが適切と思われる。 日本電気三栄の6U01(電磁オシログラフ用抵抗箱)の製品カタログには以下の記述がある。 6U01形は電磁オシログラフの測定範囲を拡大するために設計された。電圧測定のときはガルバノメータへ直列に、電流測定の時には並列に電気抵抗を挿入し、ガルバノメータに流れる電流を制限する。6U01形は、日本電気三栄のP形ガルバノメータを使用する、直記式電磁オシログラフ(ビジグラフ5L40形、ビジライト5M20形)と組み合わせて使用する。6U01は6ユニットが金属ケースに組み込まれている。各ユニットには電圧、電流抵抗体とそれらの調整ダイヤル、切替スイッチ及び入力、出力端子等がある。 この説明で、ビジグラフには姉妹機のビジライトという製品群があったことがわかる。 各研究機関の論文で、使用した測定器について、以下のような記述がある。 ・ひずみ増幅器および記録計:三栄測器(株)製6M52形 ひずみ増幅器および5L形ビジグラフ(電磁オッシログラフ)。 ・ビジグラフ(三栄測器社 5L-32)とデータレコーダ(ソニー社)にデータを格納する。 ・記録は三栄測器製ビジグラフPR-101型(6素子)を使用。 上記の記述は「三栄測器」なので、1983年以前の購入品である。三栄測器はひずみアンプなどの老舗なので、ひずみ測定の記録用のレコーダとしてビジグラフが使われる例があったと思われる。また、データレコーダと併用するのは、振動、音、ひずみなどをアナログデータで保存し、バックエンドの解析に使用する場合で、2000年以前のデータレコーダ全盛時代の測定手法といえる。同社がひずみ計測用のレコーダの需要に対応してきたことを伺わせる。 月刊「トランジスタ技術」創刊号(1964年9月)の、「三栄測器、DA-842/DA-422オシロ用直流増幅器」の紹介文には「インク書きオシログラフ、電磁オシログラフまたはビジグラフと組み合わせて使う」と書かれている。この頃に三栄測器がつくっていたビジグラフは、まさに電磁オシログラフだったと思われる。 株式会社エー・アンド・デイの工業計測機器(旧三栄測器の製品群)ページには「メンテナンス終了および予定製品」一覧があり、ビジグラフについて以下の記載がある(2023年11月)。 製品名 / 製品形式 / 生産・販売終了(年月) / 保守終了年月 ビジグラフ / 5L40シリーズ / 1993年 / 2000年3月 ビジグラフ / 5L30シリーズ / 1982年 / 1991年12月 ビジグラフ / 5L16/17 / 1978年 / 1991年11月 ビジライト / 5M26/27/28 / 1991年3月 / 1999年3月 三栄測器は記録計の老舗だが、親会社の変遷、社名変更などがあり、過去のモデルも含めて、記録がきちんと残っていない。以下の参考記事のように横河電機の電磁オシロ開発史はあるが、同様にレコーダの歴史をつくってきた三栄測器の記録は、上記のトランジスタ技術の広告などで、断片的にしか知ることができない。

非接触電圧プローブ(ひせっしょくぷろーぶ)

メモリレコーダでもオシロスコープのような10:1や100:1の減衰機能付きの広帯域絶縁プローブが必要な場合がある。2017年頃から非接触電圧プローブが販売され、被覆したケーブルの上から交流電圧波形が観測できるようになった。防水加工などがされていて容易に電圧を測定できない部分の波形観測に便利である。参考用語:光絶縁プローブ 参考記事:メモリレコーダの基礎と概要 (第2回)の2ページ目・・メモリレコーダの周辺機器として非接触電圧プローブが紹介されている。 計測器情報:日置電機のSP3000 AC非接触電圧プローブ

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