計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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発生器(はっせいき)

(generator) 電気的な物理量を出力する機器のこと。計測器としての代表的な発生器としては信号発生器(signal generator)がある。具体的にはパルス発生器(パルス信号発生器)や任意波形発生器、RF信号発生器 、映像信号発生器、ファンクションジェネレータ、白色雑音発生器、デジタル信号発生器、掃引信号発生器、FG、SGなどたくさんの機種群がある。必ずしも「信号発生器」という名称ではない。 信号以外には、圧力発生器や直流電圧電流発生器、SMUなどがある。 電源(計測用電源としての安定化電源)や光源も発生器だが、「源(source)」という漢字を使い発生器とは呼ばれない。信号発生器と電源では信号かそうでないか(電源は電力を発生する源)で区別されるが、圧力は圧力発生器ではなく「圧力源」でもおかしくないが、源でなく発生器と呼ばれている。光通信測定器の光源は「光信号発生器」であるが、あまり「光信号」という表現はせず、光源と呼称されている。使い分けの正確な定義は難しい。電流電圧発生器と安定化電源(CV/CC電源)との違いは、SMUなどの電流電圧発生器は安定化電源より出力精度が高いことで、交流電圧電流発生器は標準器も多い。SMUとCV/CC電源の違いは以下の記事を参照のこと。 参考用語:発信器・・発振器とは違う。

パワースプリッタ(ぱわーすぷりった)

(power splitter) 1つの信号を2つ以上の回路に分配する部品。パワーデバイダとは抵抗を分割するための抵抗の配置が異なる。TVアンテナからの信号を複数台のTVに入力するためのパワースプリッタを分配器と呼んでいる。 計測器情報:「パワースプリッタ」が品名につく製品の例

ひずみ率(ひずみりつ)

(distortion rate) 測定器のカテゴリーによって定義が異なる。たとえば「ひずみ率計」というと、オーディオアナライザなどと同じ、音声信号の測定器である(カテゴリーは「映像・TV・ビデオ関連」、つまりテレビ・オーディオ測定器)。ひずみ率計をdistortion analyzer(ディストーション・アナライザ)というメーカもある。 「電圧・電流・電力測定器」の分野で、現場用の可搬型測定器の老舗メーカである共立電気計器株式会社の用語集には次の解説がある。「ひずみ率:波形のひずみの程度を表すもので、一般には高調波の実効値と基本波の実効値との比のこと」。 「ひずみ率の測定器」と「ひずみ(strain)の測定器(カテゴリーは「物理量測定器」の「ひずみ」)」は違う分野の測定器である。動ひずみ測定器、静ひずみ測定器、ストレインアンプなどがある。計測器メーカとしては共和電業や東京測器研究所がラインアップが多い。 distortionは外見・形・音などのゆがみやねじれの意味。電気(計測器)では「音のゆがみ」のことで、日本語では「ひずみ」と訳した。strainは「緊張、負担、ストレス、引っ張る」など多くの意味があるが、物を引っ張る(応力を加える)と変形する、これを「ひずみ」と呼んだ。つまり物理的な変位のこと。このひずみには動ひずみと静ひずみがあり、ひずみセンサであるひずみゲージの微弱な電圧信号はストレインアンプで増幅されてレコーダなどで記録される。 電気信号(音)と物の変形という、まったく違う物理現象を同じ「ひずみ」という日本語にしたために、計測器の初心者にはわかりにくい。また「ひずみ」と「歪」、「歪み」も、各メーカによって使い分けられているが、これらの表記の違いは明確ではない。 一般社団法人日本計量機器工業連合会の「2022/2023計量計測機器総覧」では、質量測定機器の分類(機種名)として「天びん」がある。「天秤」とは表記されていないので、業界では天秤ではなく天びんが通常の表記と推測される。ひらがなか漢字か、素人には難しい。

ピンクノイズ(ぴんくのいず)

(pink noise)低周波になるほど大きくなるノイズ。高周波になると小さくなる(パワーが周波数に反比例する)。別名:フリッカ雑音、1/f(えふぶんのいち)ノイズ。ピンクノイズジェネレータは音響機器の周波数特性評価に使われる(通販で購入できる)。雑音にはその他に白色雑音(ホワイトノイズ)などがある。 参考用語:雑音指数測定器、雑音発生器、白色雑音発生器

VGA(ぶいじーえー)

(Video Graphics Array) IBM(※)がパソコン製品に搭載したグラフィック表示システムの名称。同システムで採用された640×480ピクセルの画素数や表示モードはPCの標準となり、PCからモニタ(ディスプレイ機器)へアナログRGB信号を出力する規格(アナログ信号のインタフェース)の名称や、コネクタ(端子)を指すことばとなった。 2000年代以降にシリアル通信による

VUメータ(ぶいゆーめーた)

音響機器で、音量感を指示する測定器。VUは音量の単位であるVolume Unitの略記。1939年にベル研究所などで開発された。VUメータの定義は、「特性インピーダンス600Ωの音声信号が通る伝送路で、音声信号のレベルを、(新設した単位の)VUで指示する音量計。」 定義は計測器だが、単体の機器というより、音響機器に組込まれて表示器として使われていることが多い。たとえばオーディオ機器のテープデッキなどの入出力の音量レベルを表示するのはVUメータである。なので、「VUメータ:音響機器で使われる、音量を示すアナログ表示の指示器の1種。VUという単位で表示している。」とも解説できる。音響スタジオ(ミュージシャンなどが録音をする場所)の機器に搭載されている音量レベルの表示器はほとんどVUメータである。 規格としてはANSI C16.5-1942, British Standards BS 6840やIEC 60268-17がある。 参考用語:指示値

フォーティブ(ふぉーてぃぶ)

(Fortive) 大手計測器メーカのTektronix(テクトロニクス)とFluke(フルーク、グループ会社含む)の持ち株会社。経緯を書くと、両社は別々に米国の投資会社ダナハー・コーポレーションに売却され、その傘下となった。その後、ダナハー・コーポレーションは2つに分かれ(2016年に、ダナハーの25%を占めていた工業機械関連会社がフォーテイブとして独立し、ダナハーには化学・健康機器関連の企業が残った、という説明もできる)、その一方のフォーティブ・コーポレーションの傘下に株式会社フルークと株式会社テクトロニクスは入った。発足当初の日本の社名は「株式会社TFF」で、その下に両社があった。後にフルーク社とテクトロニクス社を内包した社内カンパニー制度をとる「株式会社テクトロニクス&フルーク」となった(2021年)。それ以前は「テクトロニクス社/ケースレー社」と名乗っていた時期もある(Tektronixは2012年に、同じくダナハー傘下のKEITHLEYを吸収している)。 TFFはあくまで日本での会社名で、日本以外ではTFFなる組織は存在しない。日本以外ではテクトロニクス、フルーク、フルーク・キャリブレーション、フルーク・ネットワークスはすべて別会社だが、日本だけTFFがあり、フルーク・キャリブレーションは「TFF社の校正器営業部」、フルーク・ネットワークスは「TFF社のフルーク・ネットワークス営業部」という組織となっている。現在はTFFとは言わないが、フルークグループの各社が、日本では営業部という組織であることは変わらない。全世界にフルークの現地法人があり、フルークジャパンのトップは「株式会社テクトロニクス&フルークの特約店営業部(あのオレンジ色のハンドヘルドの機種群を日本で販売する組織の名前は“特約店営業部”である。日本では直販をほぼしないで商社経由で売っている。)」の営業部長になる。フルークジャパンの社長ではなく、特約店営業部の部長である。 海外ではM&Aが盛んで、大手計測器メーカといえども、キーサイト・テクノロジーやローデ・シュワルツ以外はほとんどが買収・合併されている。テクトロニクとフルーク以外の主要な海外通信計測器メーカはEXFO(エクスフォ)とViavi Solutions(ヴィアヴィ)に集約されている。計測器に限らず、市場原理によって企業は整理統合される。それが当たりまえだが、日本では海外ほど淘汰が進まず、中規模以下の計測器メーカが健在である。これを日本的な風土と評価するか、産業の新陳代謝が進まず水が澱んでいるとするかは意見が分かれる。メーカは技術者が一攫千金を夢見て操業する(ソニーやホンダなど)が、計測器は市場規模が大きくないため、各計測器メーカは独自路線の中小企業になりがちで、同業他社との合弁がなかなか進まない(自社で独立する気概が高い、逆に言えば創業者の名前を大事にしていて、似た技術分野の競合と合弁する気はなくて、頑固に独立を維持する傾向が伺える)。そのため、海外のキーサイト・テクノロジーのような国産の総合計測器メーカが育っていない。 1960年頃までの横河電機はその有望株だったが、その後HP(現キーサイト・テクノロジー)とYHP(横河ヒューレットパッカード)をつくり、高周波の測定器は(YHPと競合するので)つくらない方針となった。ただし、3G(携帯電話のデジタル化)など無線測定器の市場拡大の中で、RF の測定器群に参入し、2000年頃には方針転換して計測の事業を拡大し、安藤電気を吸収した。ところが時すでに遅かったのか、10年やらずにほぼすべての計測関連事業から撤退してしまった。計測器の現在の後継会社である横河計測株式会社は、国内シェアは10%に届かず、光測定器以外は通信計測器がないので、総合計測器メーカではない。 過去に存在した国内外の計測器メーカの例: Wandel&Goltermann(ワンデル・ゴルターマン)、JDSファイテル、Acterna(アクテルナ)、安藤電気、三栄測器

フリッカ雑音(ふりっかざつおん)

(flicker noise)低周波になるほど大きくなるノイズ。高周波になると小さくなる(パワーが周波数に反比例する)ので、1/f(えふぶんのいち)ノイズや、ピンクノイズと呼ばれる。半導体などの電子部品には必ず発生する雑音で、熱雑音などとともに重要。雑音にはその他に白色雑音(ホワイトノイズ)などがある。 参考用語:雑音指数測定器、雑音発生器、白色雑音発生器

プログラマブルビデオ信号発生器(ぷろぐらまぶるびでおしんごうはっせいき)

ディスプレイ用のビデオ信号をプログラムして発生する測定器。

分配器(ぶんぱいき)

1つのアンテナから複数台のテレビへ電波を分ける機器(部品)。分配する数が多いと信号が弱くなり、TV画面がきれいに映らなくなることがある。そのときはブースター(電波増幅器)が必要になる。高周波の信号を分配する部品をデバイダ(divider)、逆に合成する部品をコンバイナ(conbiner)という。また、TVなどの映像機器では分配器と呼称しているが、一般の高周波回路(RFの世界)ではパワースプリッタといっている。つまりパワースプリッタ、デバイダ、分配器はほぼ同義である。分配器の入出力を逆に使うと2本のアンテナの信号を混合して1台の受信機に入力するコンバイナになる。そこでTV用の分配器は「分配混合器」という名称をしている製品も多い。 地上波のアンテナ(たとえば八木・宇田アンテナ)と衛星放送のアンテナ(パラボラアンテナ)は別なので、室内にはそれぞれのアンテナからの端子がある。ところが最近、2つのアンテナを1本にまとめてケーブルで配線し、部屋には1つの端子しかない場合がある。このとき、混在している2つの信号を分けるのは分配器ではなく分波器になる。分配器と分波器は似ているが機能が違うので購入時には注意がいる。分配器は単に1つの信号を分岐させて分配するが、分波器は(たとえば地上波と衛星放送という)2つの違う信号を分波する機器である。 計測器情報:品名に「分配」がつく製品の例

ベクトルスコープ(べくとるすこーぷ)

テレビ信号において、有線または無線の伝送系から受ける副搬送波の振幅ひずみと位相ひずみを測定する機器。

MER(まー)

(Modulation Error Rate) 変調誤り率。TV関連測定器の測定項目にある。

マイクロLED(まいくろえるいーでー)

R(赤)・G(緑)・B(青)がそれぞれ独立したLEDを使った新しいディスプレイ。液晶や有機ELより高精細が実現できる。 参考用語:OLED

松下通信工業(まつしたつうしんこうぎょう)

(Matsushita Communication Industrial Co., Ltd.) パナソニック(松下)ブランドの計測器をつくっていたメーカ。1958年に松下電器から通信/音響/計測機器などの産業向け電気機器を分離して設立された(つまり家電ではなく、通信などの工業・産業機器の子会社)。会社名は松下通信工業株式会社(本社は神奈川県横浜市)。「松下通工」の略称で呼ばれた。2003年1月に社名をパナソニックモバイルコミュニケーションズ株式会社に変更。パナソニックグループの再編で2022年に会社は解散。オシロスコープ(オシロ)などの基本測定器と、テレビ・オーディオ測定器のラインアップが豊富な、老舗計測器メーカだった。オシロの日立電子とFM/AM信号発生器の目黒電波測器が合わさったようなラインアップだったと筆者は思っている。 2003年以降の会社名(最終の社名)でわかるように、会社の主力事業は無線通信機器である。1995年にNTTドコモから、従来よりも大変小型な携帯電話4機種が発売され(mova、ムーバ)、後のガラケーのはしりとなったが、そのうちの1機種は松下通工がつくっている。端末だけでなく(無線に限らず有線も含む)通信機器全般をラインアップしていた。ネットには「松下通信物語」など、松下通工の概要や変遷、どのような「ものつくり」だったか、詳細な記述があるが、通信機器(電話機や移動体通信)のことばかりで、計測器についてはほとんど記録が残っていない。各カテゴリーの主要な計測器のモデルを以下に示す。計測器の形名はVP-xxxx(xは数字)。 電圧・電流・電力測定器:VP-2660B デジタルマルチメータ カウンタ:VP-4545Aエレクトロニックカウンタ オシロスコープ:VP-55xxシリーズ アナログオシロスコープ 信号発生器:VP-7201A RC発振器、VP-7402A ファンクションジェネレータ、VP-8132A標準信号発生器、VP-8253A AMステレオ信号発生器 テレビ・オーディオ測定器:VP-77xxシリーズ オーディオアナライザ、VP-8400A NTSC/PALシグナルジェネレータ、VP-8480A ISDB-Tアナライザ、VP-9680Aソフォメーター ラインアップはオーディオアナライザやステレオ信号発生器などのテレビ・オーディオ関連のラインアップが多く、TVの地上波が2000年代にデジタル化する際にはISDB-Tアナライザを発売している。デジタルオシロスコープも発売したオシロの老舗ではあるが、2000年以降のラインアップは最先端のオンリーワンモデルがほとんどなかったように思われる。たとえば横河電機(現横河計測)ならデジタルオシロスコープのDLシリーズ、アンリツなら携帯電話の測定器、安藤電気なら光測定器、というように「松下通工なら○○測定器」という、時代の先端を象徴するモデルが(ISDB-Tアナライザ以外は)みあたらない。テレビ・オーディオ測定器は地デジ以降に市場規模が縮小し、テクトロニクスやシバソクは撤退し、目黒電波測器は計測技研に吸収され、松下通工も計測器から撤退した。 松下ブランドのオシロスコープを知っている技術者はもう少ないと思われるが、当サイトが2023年1月に読者に行ったアンケートで、オシロメーカとして松下通工をあげた人が(少数ながら)いる。いまでも「使ったことがあるオシロのメーカはパナソニック」という人がいることは、同社オシロがそれなりに普及していたことを物語っている。 みんなの投票 第2弾 結果発表

MIDI(みでぃ)

(Musical Instruments Digital Interface) 1981年につくられた電子楽器同士を接続するための世界共通規格。YAMAHA(ヤマハ)、KAWAI(カワイ)、Roland(ローランド)、KOLG(コルグ)の日本メーカ4社(※)と米国メーカ2社(計6社)の合意で策定された。現在ではこの規格名はあまり聞かないが、MIDI書式のファイルやMIDIシーケンサは現在も使われている。現在の電子楽器のインタフェースの基礎になっている規格。 計測器で良く出てくる似た名前の規格にMIPI(Mobile Industry Processor Interface、ミピー)がある。こちらはカメラやディスプレイなどのモバイル機器とそれにつながる機器に採用されている。最近のオシロスコープはシリアル通信の解析機能(オプションソフトウェア)が充実していて、MIPIに対応しているモデルもある。 (※)いずれもミュージシャンなら知っている楽器の世界的なメーカ。ヤマハ株式会社(1887年に山葉氏が創業)、株式会社河合楽器製作所(1927年、河合氏が創設)はピアノを代表とする楽器メーカ。ローランド株式会社(1972年設立)は世界中の音楽家が愛用する電子楽器メーカ。1980年発売のリズムマシンTR-808はラップミュージックをつくったといわれ、生産終了している現在でも、世界中の音楽家が愛用している(日本では通称「やおや」と呼ばれ、2023年にはNHKの音楽番組で著名な音楽家が取り上げている)。株式会社コルグ(1963年創業)はシンセサイザー、チューナー、DJ/ダンス関連製品、エフェクターなど、演奏をするミュージシャンが使う電子機器を幅広くラインアップしている。楽器メーカは世界に知れた日本メーカが複数ある。ヤマハ、カワイ、ローランドの3社が静岡県浜松市に本社があるので、浜松は楽器の町である。

目黒電波測器(めぐろでんぱそっき)

1944年に設立し、2016年まであった映像関連測定器(FM放送などの信号発生器、オーディオアナライザ、ジッタメータなど)のメーカ。正式名称:株式会社目黒電波測器。2016年3月31日に解散し、4月1日付で株式会社計測技術研究所(計測用電源と映像機器)と合併し、現在は計測技研の目黒電波事業部で、同社の電子計測器事業と位置付けられている(従来の計測技研の製品群である電源は、パワエレ事業部と称している)。目黒電波事業部はGNSS(全地球航法衛星システム)、VICS(道路交通情報通信システム)、ETC(高度道路交通システム)などの評価・検査機器をつくっている。GPS関連計測器では有名。たとえば人工衛星関連会社には同社のGPS測定器が多く採用されている。RF分野のスペクトラムアナライザもラインアップにある。 通信装置メーカである松下通信工業(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)は計測器もラインアップしていた。panasonic(松下)の計測器といえば、目黒電波測器と同じく、オーディオ&ビデオ(映像)用の計測器が多かったが、アナログオシロスコープもあり、低周波の基本測定器から通信測定器まで幅広くラインアップしていた。ただし、松下電器のグループ再編の中で、計測器は撤退してしまったので、現在ではその全容(どんな製品群の歴史があったかや、ラインアップなど)はほとんどわからない。それに比べると目黒電波は今でも「目黒」の名前も残り、通信計測器をつくり続け、健在といえる。 海外メーカはM&Aが盛んで、EXFO(エクスフォ)やViavi Solutions(ヴィアヴィ)だけでなくキーサイト・テクノロジーも昔から他の計測器メーカを吸収してラインアップを広げている(古くはLAN/WANプロアナ、最近ではIXIAなど)。目黒電波は国産計測器メーカ2社が1社になった格好の例である。Baker Hughes(ベーカー・ヒューズ)社は圧力測定器(Druck、ドラック社)や流量計(Panametrics、パナメトリクス社)や非破壊試験機(旧GE)などの計測器群をラインアップする会社だが、(会社はもう存続せず、ベーカー・ヒューズ社なのに)ブランドとして旧社名(DruckやPanametrics)を今も全面に出してPRしている。目黒電波も(会社は無くなったが)ブランドとして健在である。 計測器はニッチな世界で、特定のユーザに長く使用されるので、古くからの会社名を使うことが営業的に有利に働く。ただし、三栄測器やタケダ理研工業のように、会社が計測器を主力事業としなくなった場合は、老舗計測器メーカといえども、社名は無くなる。計測器の「三栄(サンエイ)」や「タケダ」を知る人はいまでは高齢者だけである。 計測器情報:目黒電波測器の製品例

八木・宇田アンテナ(やぎうだあんてな)

(Yagi-Uda Antenna) アレイアンテナの一種。ダイポールアンテナを素子(エレメント)として、3本以上の複数の素子があるアンテナで、指向性が高く、ダイポールやホイップアンテナに比べ利得が高い。主にテレビやFM放送の受信、アマチュア無線や業務無線の基地局などに使われている。日本人の宇田新太郎が研究し、八木秀次と共同発明した。Yagi-Uda Antennaは世界で通用する名前である。八木アンテナと呼称されることも多い。 1952年(昭和27年)に、近未来のTV放送時代を見据え、八木アンテナの技術を製品化し、アンテナの製造・販売を目的とした八木アンテナ株式会社を八木博士は設立し社長に就任している。会社は、日立系の国際電気に2000年代に吸収され、現在は日立国際電気グループの株式会社HYSエンジニアリングサービスになっている。 計測器情報:品名に八木が付く製品の例

4K(よんけー)

映像における画面解像度(細かい部分まで精細に表示できる度合)で、4Kテレビの画面は横に3840画素、縦に2160画素あり、従来のテレビより高精細である(4Kはフルハイビジョンの4倍の画素数)。4Kを正確に記載すれば「3840x2160」だが、横の画素数が約4000であることから4Kと呼称される(4Kの出現によってフルハイビジョンは2Kと呼ばれるようになった)。2021年の東京オリンピックを契機に4Kテレビ導入が促進された。4Kの次世代といわれるのが8Kで、4Kのさらに4倍、2Kの16倍の画素を持つ、8000×4000=3200万画素級の超高精細映像である。 参考記事:~8Kで目覚める、新しい世界~映像機器の開発を支えるアストロデザインのビデオ信号発生器 参考記事(会員専用):市場動向レポート「テレビ放送の最前線と計測器」2014年9月号 TechEyes Vol.07

ラスタライザ(らすたらいざ)

映像関連測定器の波形モニタ(TV信号の波形表示測定器)で、表示部分が無く外部のモニタに接続して使用するモデルのこと。表示画面がないため、ラスタライザは波形モニタよりも小型で、外観は操作部のみがある箱である。いわゆる波形モニタの1種だが、最近は大型ディスプレイが豊富なため、波形モニタには表示部分を無くして小型にしたラスタライザが、リーダ電子などから多く発売されている。波形モニタの最近のトレンドといえる。同社HPには波形モニタと同数以上のラスタライザのモデルが掲載されている(2021年9月現在)。同社の製品ページでは「波形モニター:映像信号や音声信号の品質を確認する液晶モニター一体型の計測器。ラスタライザー:映像信号や音声信号の品質を確認する計測器。薄型のラックマウントタイプで計測結果は外付けのモニターに表示。」とある。Rasterize(ラスタライズ)はコンピュータの画像データに関する用語。

ワンセグ(わんせぐ)

モバイル機器向けデジタル放送。地上デジタル放送の1つのチャンネルの中の1セグメントのみを使用する。