計測関連用語集

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自動ロードオフ機能(じどうろーどおふきのう)

電子負荷が、事前の設定値に達すると自動的にLOAD OFFする機能。電圧低下、電流低下、電流増加、経過時間、積算電流、積算電力に対応したLOAD OFFができる(設定可能項目は機種により異なる)。完放電(過放電)すると電極にダメージを与える蓄電池や特定の電力量まで低下させ試験する場合に便利。(株式会社高砂製作所の「電子負荷」用語解説より)

周波数変換器(しゅうはすうへんかんき)

電源周波数を50Hz⇔60Hzに変換する機器。機能としてはAC電源が同等。

充放電バッテリテスタ(じゅうほうでんばってりてすた)

電池(バッテリ)の充放電を試験する機器。電流・電圧発生器と電流・電圧・抵抗測定の機能を合わせた測定器。

出力極性(しゅつりょくきょくせい)

直流電源の出力は正(+)、負(-)の極性を持っていて、この両極が電源装置のフレーム・グランドに対して絶縁されている場合、この一方をグランドに任意に接地することにより、正(+)電源あるいは負(-)電源としても使用できる。通常、高圧直流電源の場合は、このような出力がグランドに対して浮いた形式ではなく、一方が設置された、固定極性出力となる場合もある。(株式会社高砂製作所の用語集より)

出力周波数安定度(しゅつりょくしゅうはすうあんていど)

交流電源や周波数変換器で、入力の電圧や周波数の変動及び接続された負荷の変動に対して、出力周波数の変化分の値。(株式会社高砂製作所の用語集より)

出力スイープ(しゅつりょくすいーぷ)

電圧や周波数を同時に連続的に可変設定できるようにした機能。(株式会社高砂製作所の「交流電源」用語解説より)

出力電圧安定度(しゅつりょくでんあつあんていど)

入力電源(電源装置の入力側)の電圧変動が出力に影響する度合い(ラインレギュレーション)に、電源装置に接続された負荷側の負荷電流変動により出力が影響される度合い(ロードレギュレーション)を加えて算出した安定度。定電圧動作時の出力電圧の安定度を指す。近年は正確に表すため、ラインレギュレーションとロードレギュレーションを個別に表記する傾向にある。(株式会社高砂製作所の用語集より)

出力電圧応答速度(しゅつりょくでんあつおうとうそくど)

主に交流電源の仕様で、出力電圧を変化させる時、ある値から次の値に変化するまでの時間。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

出力電圧波形歪み(しゅつりょくでんあつはけいひずみ)

波形のひずみの程度を表すもので、歪率ともいう。その波形に含まれる全高調波を基本波の実効値で割った値。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

出力電圧リップル(しゅつりょくでんあつりっぷる)

直流出力電圧の上に重畳された脈動分のこと。その周波数成分は入力AC電源の周波数もしくはその整数倍の成分が主で、その他に数10Hz~数MHzの雑音を含む場合もある。一般にRMS(実効値)で示す場合が多いが、p-p(ピーク値)で表すこともある。(株式会社高砂製作所の用語集より)

出力電流安定度(しゅつりょくでんりゅうあんていど)

入力電源(電源装置の入力側)の電圧変動(ラインレギュレーション)に対し負荷抵抗を0から定格電力を出力する値まで変化(ロードレギュレーション)を加えて定電流特性の安定度を表す。近年は正確に表すため、ラインレギュレーションとロードレギュレーションを個別に表記する傾向にある。ライン側の変動(定電流特性のラインレギュレーション)は、入力及び負荷の変動に対して、入力電圧・負荷電流・動作温度の変動要素に対して、出力電流の変化分を表す。入力変動は通常、入力電圧がAC100V系であれば90V~110V、AC200V系であれば180V~220V変動したときの出力電流の変化分を示す。負荷側の変動(定電流特性のロードレギュレーション)は、出力ショートから最大定格出力電圧まで負荷抵抗を変化した場合の出力電流の変化分を示す。(株式会社高砂製作所の用語集より)

出力電流リップル(しゅつりょくでんりゅうりっぷる)

定電流出力時のリップル電圧を負荷インピーダンスで割った値(周波数成分は出力電圧リップルと同じ)。(株式会社高砂製作所の用語集より)

シリーズレギュレータ方式(しりーずれぎゅれーたほうしき)

直流安定化電源を回路方式で大別したときの1種。負荷に対して制御用の半導体(トランジスター、FETなど)が直列に接続された直列制御方式のもの。別名ドロッパ方式ともいう。 応答速度、低ノイズを優先するときに使用する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

シンク電流(しんくでんりゅう)

(sink current) 日本語では「吸い込み電流」。電源の用語。通常、計測用電源は電流を出すが、負荷から電流を受け取る(吸い込む)機能がある電源がある。代表はバイポーラ電源である。そのため、通常の電源の動作をsource(ソース)、マイナス方向の動作をshink(シンク)と呼ぶ。ソース電流、シンク電流などの表現がある。sink(シンク)は台所にある流し台、シンクと同じ。 株式会社高砂製作所の用語集では以下の説明がある。 シンク電流:通常の電源装置の場合、出力設定電圧を下げた時や出力OFF時に、出力電圧をすみやかに制御するために、負荷に電圧安定用のコンデンサなどがあることを考慮して、僅かながら電源装置が電流を吸収することができるように設計されている。その電源が吸収できる最大電流のことを指す。電源装置にバッテリや大きな容量のコンデンサなどを接続する場合は、保護のために出力部に逆流防止ダイオードなどを入れることが望ましい。

随時比較サンプリング(ずいじひかくさんぷりんぐ)

多チャンネルA/Dコンバータで、各チャンネルを1つのサンプリング回路で随時比較してサンプリングする方式。低コストで多チャンネルを構成できるが、各チャンネルのサンプリング時間が異なる為、変化の激しい測定には不向き。(株式会社高砂製作所の用語解説より)

スイッチング電源(すいっちんぐでんげん)

(switching DC power supply) 内部回路にスイッチング方式を採用している直流電源。正式にはスイッチング方式直流電源だが、略して「スイッチング電源」ということが多い。1970年代に登場し、従来のドロッパ方式(シリーズレギュレータ方式)より効率が良く、また小型・軽量にできるため、現在では直流電源の主流となっている。以前はノイズが多かったが最近はノイズ対策がされているため、幅広い分野で利用されている。また、ドロッパ方式直流電源では難しい大容量電源を作ることができるため、電気自動車などの試験に使われている(電力回生型双方向電源)。ただしドロッパ方式のほうが一般にはノイズが少ないので、用途によって使い分けられている(計測用電源メーカは2つの方式のモデルをラインアップしている)。 1990年代に、それまで単一レンジだったスイッチング電源にワイドレンジのモデルが開発され(ズーム電源)、2010年代以降は主要な計測用電源メーカの主力モデルとなっている(ワイドレンジ電源)。つまり、現在の中型DC電源の販売数は、ワイドレンジ(スイッチング電源)とドロッパ方式直流電源が多い。 スイッチング電源はモデルによって品名に「スイッチング」と付いているが、そうでなく単に「直流電源」の場合も多いため、カタログで確認しないとドロッパ方式かスイッチング方式かは判別がつかないことが多い。

スイッチング方式(すいっちんぐほうしき)

直流安定化電源を回路方式で大別すると「シリーズレギュレータ方式(ドロッパ方式)」と「スイッチング方式」の2種類がある。スイッチング方式は半導体をスイッチとして使い、ON/OFFを制御して出力を安定させる。従来のシリーズレギュレータ方式に比べて効率が良く、電源を小型・計量にできるが、スイッチングノイズが発生する。この方式を使った直流電源を一般に「スイッチング電源」と呼んでいる。技術の進歩によってスイッチング電源は多くのメーカが発売し大変普及しているが、従来のドロッパ方式も健在で、両者は用途によって使い分けられている。

スイッチング・レギュレータ(すいっちんぐれぎゅれーた)

連続制御ではなく、制御回路がON/OFF動作する断続制御方式のレギュレータのこと。電力変換効率が極めて良い。(株式会社高砂製作所の用語集より)

ズーム機能(ずーむきのう)

(zooming function) 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。通常のFFT解析では、0から周波数レンジまでの範囲をライン数分(例えば800ライン)解析するが、任意の中心周波数で、ある周波数スパンで分析する機能をズーム機能とよぶ。この機能を使うことにより、高い周波数帯域でも高周波数分解能(⊿fが小さい)の分析が可能となる。このときデータの取り込み点数はズーム倍率分必要になるので時間がかかる。 現在、スイッチング方式の直流安定化電源の主力機種群となったワイドレンジ電源は1990年代に高砂製作所が発明した。同社は「ズーム機能がある、広い出力範囲の電源」(ズーム電源)と銘打ってリリースした。同社のワイドレンジ電源の品名はズーム電源(ズーム機能がある電源)である。

ズーム電源(ずーむでんげん)

(DC power supply with zoom function) 広い出力範囲を持つ計測用DC電源の名称。主に高砂製作所の製品の品名になっている。 一般的な直流安定化電源は単一のレンジを持ち、出力できる範囲を電流と電圧で規定している。たとえば高砂製作所のGPシリーズの「GP035-5」は「出力電圧0~35V、出力電流0~5A」で、電圧/電流を最大35V/5Aまでの範囲で自由に設定できる。つまり35V/5Aレンジの製品である。ユーザが望む(使いたい)電圧と電流の組み合わせは多様なので、計測用電源メーカは同じシリーズ(たとえばGPシリーズ)でも多くのモデル(電圧/電流の組み合わせ)をラインアップしている。これは大きなレンジのモデルが小さなレンジのモデルの代わりにはならない(大は小を兼ねない)ことを意味する。ユーザは何種類もの電源を用意するため、電気エンジニアの実験室には多くのDC電源が保有されている。 最新の計測用電源を率先して開発・リリースしてきた高砂製作所は「一定範囲の中で焦点を合わせられるカメラのズーム機能のように、ある程度の電圧・電流範囲を1台でカバーする広い出力の電源があれば、従来の単一レンジの複数台を1台にでき、資産がスリム化され顧客に喜ばれる」と考えた。電圧・電流の最大値でなく電力(容量)で仕様を規定した、新しいコンセプトの「ズーム電源」EXシリーズを1991年に発売した。機能を進化したエンハンスド・モデルやシリーズ化を進めて、EX Ⅱ、HX、ZXなどを発売し、現在はZX-S、KX-Sの2シリーズをラインアップしている(2023年6月現在)。 ズーム電源の登場によって、同業の菊水電子工業やテクシオ・テクノロジーなどが同しコンセプトの電源を「ワイドレンジ電源」の名称で発売した。「電力で規定したスイッチング方式の直流安定化電源」は2010年代には各社の主力製品となった。「ワイドレンジ」(キーサイトは「オートレンジ」と呼称)はDC電源の新しいカテゴリーとして確立した(ズームと呼称しているのは高砂製作所だけで他社はワイドレンジが多いため、当サイトでは「ワイドレンジ」と呼ぶ)。 計測器情報:ズーム電源の例