計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
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D級パワーアンプ方式(でぃーきゅうぱわーあんぷほうしき)

交流電源でのスイッチング方式で、原理的には半導体のONとOFFの状態を高速で行い電圧調整する。半導体のリニア領域で抵抗値分圧し電圧調整する方式(リニア方式)に比べエネルギー損失が少なく効率が高いが、リニア方式に比べ応答速度やノイズの点では多少劣る。(株式会社高砂製作所の「交流電源」用語解説より)

DC確度(でぃーしーかくど)

設定電圧と実際の出力電圧との差(テクトロニクスの冊子「信号発生器のすべて」の用語解説より)。信号源は出力値として設定した値が極力、実際の出力値になるように設計されているが、その精度がどれくらいあるかをいっている。たとえば信号源(電源や発振器)の出力設定を3Vにしても、信号源の出力端子が3Vとは限らないということ。また、計測器の出力値が、信号を受ける機器の入力値と同じかどうかは接続の仕方によって異なる。たとえば信号源の出力端子が3Vでも、信号を受ける機器の入力端子は3Vより低い電圧になることもある。DC電源の例が用語

DC電源(でぃーしーでんげん)

(DC source) 直流電源の略記。 直流(DC)の電圧・電流を発生する測定器。

TP-BUS(てぃーぴーばす)

(TwistPair BUS)菊水電子工業の独自インタフェースの略称。国内計測器メーカの安定化電源は制御用のインタフェースを持たない製品が主流だった。これは、計測用電源のアプリケーションは圧倒的にスタンドアロンが多く、自動計測をするユーザが(全体の販売台数から見れば)少ないこと、インタフェースを標準装備すると価格が高くなることなどの理由による。ただし、自動制御したいユーザに応えるために、電源にオプションボードを装着することで対応しようと、菊水電子工業は考えた。パワーサプライコントローラという製品を作り、電源とこの製品の間は独自規格のTP-BUSで繋ぎ、パワーサプライコントローラとPCは標準規格であるGPIBやRS232、USBで接続する。単体の安価な電源を多種類のインタフェースに対応させるために、この仕組み(パワーサプライコントローラとTP-BUS)を考案した。ただし最近の同社の電源は安価なモデルでもインタフェースを標準装備しているものが主流となり、パワーサプライコントローラは旧モデルを使用しているユーザ向けとして販売を継続している。

定格出力(ていかくしゅつりょく)

(Rated Output) 機器が安定して出力できる値。仕様で規定している出力値。計測器では電圧のことが多い(機種によっては電流や電力なども規定されている)。 計測器である安定化電源の仕様には、電圧、電流、電力の定格出力が明記されている。電源に接続されて駆動される(電源から電力を供給される)電機機器の消費電力(負荷の消費する電力)が定格出力を超えると、電気機器は安定な動作をしなくなる。 計測器以外の電気機器(モータや発電機など)にも定格出力がある。 ひずみ測定器に関する2社の解説を紹介する。 株式会社東京測器研究所 の「びずみ測定用の変換器の用語」には「定格出力:容量を負荷したときの出力から、無負荷の時の出力を差し引いた値で、通常は印加電圧(変換器に加える電圧)1V当たりで表す(mV/V)。略記:RO。」とある。 日本アビオニクス 株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」では「定格出力:定格負荷出力から無負荷出力を差し引いた値で、通常印加電圧1V当りの出力(mV/V)で表わす」とある。 2社の解説は「ひずみ測定では、ヒステリシスや非直線性を勘案して定格出力と定格負荷が表される」ことを述べている。 計測用電源のメーカ(高砂製作所や菊水電子工業)の用語解説には定格出力はない。あまりにも当たり前すぎるためと筆者は推測する。

定格容量(ていかくようりょう)

計測器の用語としては「容量」は電力を指していることが多い。たとえば電験三種(国家資格の「第三種電気主任技術者試験」)などでは「定格とはその電気機器が最も効率よく、最大限の力を発揮する状態」とある。つまり「定格容量とは電気機器が最大限の力を発揮しているときの電力」のこと。計測用電源では出力可能な最大の電力を定格容量と表現している。日本アビオニクス株式会社の「赤外線や工業計測器に関する用語」では、ひずみ測定関連の用語として「定格容量:荷重変換器がその仕様を保って測定しうる最大負荷のこと」という説明がある。 参考用語:定格出力

定抵抗モード(ていていこうもーど)

電子負荷で、供給電圧源に対して一定の抵抗負荷として動作するモードのこと。(株式会社高砂製作所の用語集より)

定電圧源(ていでんあつげん)

(constant voltage source)電源の内部抵抗が(理想的には)0Ωで、接続される負荷によらず常に一定の電圧を出力する電源(電圧源)を定電圧源(または定電圧電源)という。電源には定電流源もある。一般的に、計測用電源は定電圧源の安定化電源である。負荷の状態が変化しても(設定された)一定の電圧を出し続けるのが、電源の基本的な設計思想と考えられている。 ただし、EVなどのパワエレ市場で日進月歩なインバータやバッテリを評価する最近流行りの電力回生型双方向電源は、定電圧型と定電流型があり、メーカによって設計ポリシーが異なる。 菊水電子工業や高砂製作所などの計測用電源メーカがつくるほとんどの安定化電源はCCCV電源と呼ばれる。CC(Constant Current、定電流)動作モードとCV(Constant Voltage、定電圧)動作モードを備えているためである。その意味では「電源は定電圧源である」ことが基本だが、ほとんどの計測用電源は定電流源として動作する機能も備えている。 参考記事(会員専用): 【展示会レポート】TECHNO-FRONTIER2021(東京ビッグサイト青海展示棟) ・・定電圧源と定電流源についての記述がある。 計測器情報:定電圧が品名に付く製品例

定電圧動作(ていでんあつどうさ)

計測用電源で、入力電圧・負荷電流・温度などの変化に対して、負荷に供給する出力電圧が一定に保たれている状態を定電圧(CV)動作という。同様に定電流(CC)動作もある。定電圧・定電流方式の場合、定電流設定値より負荷電流が少ない場合は、定電圧動作で定電圧設定値の電圧になり、定電流設定値より負荷電流が多く流れようとすると定電流設定値に負荷電流が制限され定電圧設定した電圧より出力電圧が低下する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

定電流源(ていでんりゅうげん)

(constant current source)電源には、電圧源と電流源がある。負荷の大きさに関係なく出力電流が一定なものを定電流源(または定電流電源)、出力電圧が一定のものを定電圧源という。一般の計測用電源にはCV(Constant Voltage、定電圧)動作モードとCC(Constant Current、定電流)動作モードがあり、定電圧源と定電流源のどちらかを選択できる。ただし通常、電源は定電圧源として使用される場合が多い。定電流源は、出力電流を常に一定に制御する電源回路(またはその回路を持った電源)、という説明もできる。 定電流源は、LED照明の電源や、二次電池(最近のスマホなどに使われているリチウムイオン2次電池など)の充電に使われる。LEDの輝度は電流値で決まるため、電流値が変動すると明るさが変化して安定しないので都合が悪い。二次電池は電圧と電流が比例しないという特性を持つ。そのため電池に印加する電圧の値に関わらず一定の電流が供給されるように、定電流源を使って充電する。バッテリの内部抵抗などを測定するバッテリ試験器には、定電流源の機能がある充放電バッテリテスタがある。 参考記事(会員専用): 【展示会レポート】TECHNO-FRONTIER2021(東京ビッグサイト青海展示棟) ・・定電圧源と定電流源についての記述がある。 計測器情報:定電流が品名に付く製品例

定電流動作(ていでんりゅうどうさ)

計測用電源で、入力電圧・負荷電流・温度などの変化に対して、負荷に供給する出力電流が一定に保たれている状態を定電流(CC)動作という。同様に定電圧(CV)動作もある。定電圧・定電流方式の場合、定電流設定値より負荷電流が少ない場合は、定電圧動作で定電圧設定値の電圧になり、定電流設定値より負荷電流が多く流れようとすると定電流設定値に負荷電流が制限され定電圧設定した電圧より出力電圧が低下する。(株式会社高砂製作所の用語集より)

定電流モード(ていでんりゅうもーど)

電子負荷で、供給電圧源が変動しても常に一定電流を流す動作をするモードのこと。(株式会社高砂製作所の用語集より)

定電力モード(ていでんりょくもーど)

電子負荷で、供給電圧源が変動しても常に一定電力を消費する動作をするモードのこと。(株式会社高砂製作所の用語集より)

TECHNO-FRONTIER(てくのふろんてぃあ)

一般社団法人日本能率協会が主催する、電源に特化した展示会。毎年、4~5月に開催されてきたが、2020年はコロナウイルス対策で中止になり、2021年は6月開催、2022年からは7月開催している。 約10の展示会で構成されている。2023年の構成は、第41回 モータ技術展、第38回 電源システム展、第36回 EMC・ノイズ対策技術展、第32回 モーション・エンジニアリング展、第25回 熱設計・対策技術展、第16回 メカトロニクス技術展、第2回 パワーエレクトロニクス技術展、第5回 部品設計技術展、第4回 電子部品の材料展、第1回 部品加工技術展。 当サイトは2017年8月に開設し、2018年と2021年を取材し、展示会レポートを公開した(以下、参考記事)。電源システム展には国内、海外のほとんどの計測用電源が出展する。近年は回生型のDC電源や、ワイドレンジ電源(スイッチング電源の最近の流行り)の新製品出展が続いている(回生型は毎年、新メーカが出展している)。モータ技術展にはデジタルパワーメータやパワーアナライザをラインアップする横河計測、日置電機、HBK(旧HBM)などが出展、EMC・ノイズ対策技術展には、ノイズ研究所、電研精機研究所、東洋メディック(Narda、ナルダ)などが出展している。 2023年の電源システム展(7/26~28開催)には、近年、光絶縁プローブやFRA機能など、電源解析のアプリケーションがあるテクトロニクスが出展した(テクトロニクスの裏側にはリゴルが出展)。キーサイト・テクノロジーも多チャンネルの小型(薄型)SMUなどの新製品を展示。リゴルと同じく中華系オシロスコープメーカのSiglent Technology(シグレント)が、国内展示会に初めて出展し、キーサイトやテクトロニクスと同等の大きさのブースに12ビット高分解能オシロスコープなどを展示した。テクシオ・テクノロジーやクロマは台湾コーナで出展。パワエレに注力している岩崎通信機やテレダイン・レクロイは2022年から新設されたパワーエレクトロニクス技術展に出展。つまり、2023年は計測用の安定化電源だけでなく、主要メーカのオシロスコープも展示され、計測器の展示は大変盛況だったといえる。 2023年のTECHNO-FRONTIERは東京ビッグサイト東1~3ホールで開催され、東4~6にはメンテナンスレジエンスTOKYO(プラントメンテナンスショーなど)が出展した。プラントメンテナンスショーには計測器として、アドバンテスト(無線データロガー)、東陽テクニカ(振動センサ、振動解析)、フリアーシステムズ(産業音響カメラ)、フルーク(音響イメージャー)、マキシメータ・フィールド・テクノロジーズ(Aditel社の圧力測定器)などが出展した。

デジタルAVR(でじたるえーぶいあーる)

AVR(Automatic Voltage Regulator)は自動電圧調整装置のこと。交流電源も、入力電圧が変動しても安定した出力電圧のためにAVRと呼ばれる。計測用電源メーカにはAVRという品名の製品がある。代表的な計測用電源メーカの高砂製作所の用語解説には次のようにある。デジタルAVR:負荷ラインの電圧ドロップをセンシング端で補正し、正確な電圧を供給する。補正動作はDSPによる1サイクルごとに実行され、実効値を安定化するように動作する。

デジパン(でじぱん)

菊水電子工業が2019年10月に発売した直流電源PAN-Eシリーズの愛称。同社のDC電源であるPAN(パン)シリーズ(形名PAN-x-yA:xは最大出力電圧[V]、yは最大出力電流[A])はドロッパ方式(シリーズレギュレータ方式)の高信頼性モデルとしてロングセラーである。最近流行りのデジタルインタフェース(LAN、USB、RS-232C)を標準装備した姉妹モデルがPAN-Eシリーズ(形名はPAN-x-yE)。デジタルインタフェース装備のPANなので「デジパン」。製品カタログの表紙には「ドロッパ方式Xデジタルインタフェース、デジパン誕生、PAN-Eシリーズ」のキャッチコピーがある。 PAN-Eの発売により従来のPANはPAN-Aシリーズと呼称し区別している。2者は外観も違う(PAN-Aの全面パネルは灰色だが、PAN-Eは白色にブルーのライン)。ベンチトップのDC電源はスタンドアロンでの使用がほとんどで、価格面からもインタフェースはあまり標準装備していない。ただし最近の計測器はUSBの搭載が増えている。デジパンはそのような市場動向に対応した製品といえる。

デュアルトラッキング方式(でゅあるとらっきんぐほうしき)

計測用電源が2つの出力電圧を同時に出力するとき、どちらか一方の出力(例えばA)を設定すれば、設定したAの電圧値を基準として片方(例えばB)も同時に設定できる。Bの設定割合は常にAの設定電圧値に対して同比率である。この方式をデュアルトラッキング方式、または追従式2出力設定といわれる。(株式会社高砂製作所の用語集より)

電源(でんげん)

(power supply、power source) 計測器では「商用電源を、必要な安定した電圧・電流に変換する装置」、つまり安定化電源のことを略して「電源」という。「計測用電源」とも呼称される。直流安定化電源(DC電源)と交流安定化電源(AC電源)がある。 計測器のガイドブックでは各機種群の中で一番始めに、「電圧・電流・電力測定器」(デジタルマルチメータなど)か、電源が掲載されることが多い。それくらい計測器の中で基本のカテゴリー。このカテゴリー「電源」の種類は、直流電源、交流電源、電子負荷装置など。インバータや耐電圧試験機器をこのカテゴリーに含める場合もある。 特殊な電源としては「電子負荷の機能があるDC電源」である回生電源が2010年頃から各社が発売始めて、最近の流行りである。 国産では菊水電子工業や高砂製作所、海外メーカではキーサイト・テクノロジーがラインアップが多いが、零細メーカも多い。ケンウッドティー・エム・アイ(旧トリオ)は老舗計測器メーカとして多くのDC電源があったが、現在は中華系資本の傘下になり、日本ではテクシオ・テクノロジーがTEXIO(テクシオ)ブランドで販売をしている。Mywayプラスやヘッドスプリングなど、計測用電源メーカ以外の異業種(たとえばインバータなどのパワーエレクトロニクス機器の開発企業など)が回生電源に参入している。電気自動車などに使うバッテリやモータの評価には大型(大電流/高電圧)の回生電源が必須である。

電源変動(でんげんへんどう)

計測用電源で、交流入力電圧の±10%(AC90~110V)の変動に対する、出力電圧(または電流)の変動値。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)

電子負荷装置(でんしふかそうち)

(electronic load) 負荷の代わりとなる測定器。略称:電子負荷。電源を評価する目的で登場した機器だが、いまや電子機器を使ったシステムの中に重要な機器となっている。代表的な負荷である抵抗のように電力を熱にして消費せず、電源側に電力を返す(回生)ことができる。電子負荷は主に計測用電源メーカがつくっているが、電子負荷の機能を持った電源が回生型電源と呼ばれる。電力回生型双方向電源はいまやEV(電気自動車)の開発には必須の計測器である。種類は直流電子負荷装置と交流電子負荷装置に大別される。 メーカは計測技術研究所がラインアップが豊富。富士通テレコムネットワークス(旧富士通電装)は有名だったが2015年頃に株式会社アクレーテク・パワトロシステム(旧:株式会社富士通テレコムネットワークス福島)に電子負荷製品を移管し、現在はすべて生産中止である(2020年)。直流電子負荷のドロッパ方式の物は国内・海外の多くの電源メーカがつくっている。