計測関連用語集

TechEyesOnlineの用語集です。
計測・測定に関連する用語全般が収録されており、初めて計測器を扱う方でも分かりやすく解説しています。
フリーワード検索をはじめ、カテゴリー、索引から簡単にお調べいただけます。

フリーワード検索

検索用語一覧

9

各用語の詳細ページでは関連用語などを確認することができます。
このアイコンが表示されている用語には、詳細ページに図解や数式での説明があります。

随時比較サンプリング(ずいじひかくさんぷりんぐ)

多チャンネルA/Dコンバータで、各チャンネルを1つのサンプリング回路で随時比較してサンプリングする方式。低コストで多チャンネルを構成できるが、各チャンネルのサンプリング時間が異なる為、変化の激しい測定には不向き。(株式会社高砂製作所の用語解説より)

スイッチング電源(すいっちんぐでんげん)

(switching DC power supply) 内部回路にスイッチング方式を採用している直流電源。正式にはスイッチング方式直流電源だが、略して「スイッチング電源」ということが多い。1970年代に登場し、従来のドロッパ方式(シリーズレギュレータ方式)より効率が良く、また小型・軽量にできるため、現在では直流電源の主流となっている。以前はノイズが多かったが最近はノイズ対策がされているため、幅広い分野で利用されている。また、ドロッパ方式直流電源では難しい大容量電源を作ることができるため、電気自動車などの試験に使われている(電力回生型双方向電源)。ただしドロッパ方式のほうが一般にはノイズが少ないので、用途によって使い分けられている(計測用電源メーカは2つの方式のモデルをラインアップしている)。 1990年代に、それまで単一レンジだったスイッチング電源にワイドレンジのモデルが開発され(ズーム電源)、2010年代以降は主要な計測用電源メーカの主力モデルとなっている(ワイドレンジ電源)。つまり、現在の中型DC電源の販売数は、ワイドレンジ(スイッチング電源)とドロッパ方式直流電源が多い。 スイッチング電源はモデルによって品名に「スイッチング」と付いているが、そうでなく単に「直流電源」の場合も多いため、カタログで確認しないとドロッパ方式かスイッチング方式かは判別がつかないことが多い。

スイッチング方式(すいっちんぐほうしき)

直流安定化電源を回路方式で大別すると「シリーズレギュレータ方式(ドロッパ方式)」と「スイッチング方式」の2種類がある。スイッチング方式は半導体をスイッチとして使い、ON/OFFを制御して出力を安定させる。従来のシリーズレギュレータ方式に比べて効率が良く、電源を小型・計量にできるが、スイッチングノイズが発生する。この方式を使った直流電源を一般に「スイッチング電源」と呼んでいる。技術の進歩によってスイッチング電源は多くのメーカが発売し大変普及しているが、従来のドロッパ方式も健在で、両者は用途によって使い分けられている。

スイッチング・レギュレータ(すいっちんぐれぎゅれーた)

連続制御ではなく、制御回路がON/OFF動作する断続制御方式のレギュレータのこと。電力変換効率が極めて良い。(株式会社高砂製作所の用語集より)

ズーム機能(ずーむきのう)

(zooming function) 小野測器の「FFT解析に関する基礎用語集」には次のようにある。通常のFFT解析では、0から周波数レンジまでの範囲をライン数分(例えば800ライン)解析するが、任意の中心周波数で、ある周波数スパンで分析する機能をズーム機能とよぶ。この機能を使うことにより、高い周波数帯域でも高周波数分解能(⊿fが小さい)の分析が可能となる。このときデータの取り込み点数はズーム倍率分必要になるので時間がかかる。 現在、スイッチング方式の直流安定化電源の主力機種群となったワイドレンジ電源は1990年代に高砂製作所が発明した。同社は「ズーム機能がある、広い出力範囲の電源」(ズーム電源)と銘打ってリリースした。同社のワイドレンジ電源の品名はズーム電源(ズーム機能がある電源)である。

ズーム電源(ずーむでんげん)

(DC power supply with zoom function) 広い出力範囲を持つ計測用DC電源の名称。主に高砂製作所の製品の品名になっている。 一般的な直流安定化電源は単一のレンジを持ち、出力できる範囲を電流と電圧で規定している。たとえば高砂製作所のGPシリーズの「GP035-5」は「出力電圧0~35V、出力電流0~5A」で、電圧/電流を最大35V/5Aまでの範囲で自由に設定できる。つまり35V/5Aレンジの製品である。ユーザが望む(使いたい)電圧と電流の組み合わせは多様なので、計測用電源メーカは同じシリーズ(たとえばGPシリーズ)でも多くのモデル(電圧/電流の組み合わせ)をラインアップしている。これは大きなレンジのモデルが小さなレンジのモデルの代わりにはならない(大は小を兼ねない)ことを意味する。ユーザは何種類もの電源を用意するため、電気エンジニアの実験室には多くのDC電源が保有されている。 最新の計測用電源を率先して開発・リリースしてきた高砂製作所は「一定範囲の中で焦点を合わせられるカメラのズーム機能のように、ある程度の電圧・電流範囲を1台でカバーする広い出力の電源があれば、従来の単一レンジの複数台を1台にでき、資産がスリム化され顧客に喜ばれる」と考えた。電圧・電流の最大値でなく電力(容量)で仕様を規定した、新しいコンセプトの「ズーム電源」EXシリーズを1991年に発売した。機能を進化したエンハンスド・モデルやシリーズ化を進めて、EX Ⅱ、HX、ZXなどを発売し、現在はZX-S、KX-Sの2シリーズをラインアップしている(2023年6月現在)。 ズーム電源の登場によって、同業の菊水電子工業やテクシオ・テクノロジーなどが同しコンセプトの電源を「ワイドレンジ電源」の名称で発売した。「電力で規定したスイッチング方式の直流安定化電源」は2010年代には各社の主力製品となった。「ワイドレンジ」(キーサイトは「オートレンジ」と呼称)はDC電源の新しいカテゴリーとして確立した(ズームと呼称しているのは高砂製作所だけで他社はワイドレンジが多いため、当サイトでは「ワイドレンジ」と呼ぶ)。 計測器情報:ズーム電源の例

スライダック(すらいだっく)

(slidac) 単巻きトランスを応用した変圧器製品(電圧調整器)。出力電圧を変換できるため、電圧調整に使われる。外観は円筒形で、上部に回せるダイヤルがあり、右回転すると出力電圧を高くできる。たとえば、照明装置の入力電圧側につないで、舞台照明の明るさを可変する。電子機器の入力(駆動)電圧と商用電源の電圧が異なるときに、ACコンセントと電子機器の間に入れて電圧を調整することも可能。 「スライダック」は株式会社東芝の商標という説があるが、現在同社HPを検索してもその名前は無い。同社はすでにスライダックを生産中止で、中古販売サイトには「東芝 スライダック モデル〇〇」というような表記が多くある。同社と同じ形状・仕様の製品一般を指す機器の用語として定着している。電源の周辺機器(カテゴリー電源の中の1製品群)である。 電源機器の総合メーカである山菱電機株式会社の「電圧調整器」として、摺動方式のV/S/S3Pシリーズなどがあり、形状・仕様はスライダックである。同社HPではボルトスライダー(リング状鉄芯の外周一列に絶縁銅線を巻きその上端面をカーボンブラシで摺動させることにより 任意の出力電圧を取り出すことができる、山菱電機の「摺動型単巻変圧器」の登録商標 )とある。産業用電源装置の株式会社松永製作所は「摺動電圧調整器(商品名:SLIDE REGULATORS/スライドレギュレーター)」があり、ケース入り製品はここでいうスライダックとほぼ同じである。 volt-sliderは電圧(volt)を摺動(slid)式に調整するもの、slid regulatorsは摺動式の制御/調整の機器(regulator)、というネーミングと推定されるので、スライダック(slidac)は摺動(slid)式の交流(ac)電圧調整器、が語源かもしれない(あくまで推測なので正解かは不明)。

スルーレート(するーれーと)

(slew rate) 電気・電子工学の用語としては「アンプの最大応答速度を表す指標の1つ」であるが、計測用電源の用語解説としては、「電圧または電流の立ち上がり/立ち下がりの単位あたりの変化量を示す値。単位はV/μsやA/μsなどが用いられる。(菊水電子工業の製品総合カタログ・用語集より)」

スルーレート可変機能(するーれーとかへんきのう)

負荷ON/OFF時の電流変化を(A/μs)で設定可能な機能。配線が長い場合や、コンデンサ、超伝導コイルなど瞬時ON/OFFするとダメージや逆起電力などで問題が発生する場合など、過渡的な電圧変動や負荷電流のオーバシュートなどの防止に効果がある。(株式会社高砂製作所の「電子負荷」用語解説より)

  • 1