【展示会レポート】SEMICON Japan 2024
半導体製造用途の最新の液中パーティクルカウンタ
製品名 | 液中パーティクルセンサ KS-20F |
会社名 | リオン株式会社 |
説明者 | 微粒子計測器事業部 営業部 販売課 担当課長 本田 尚氏 |
本田氏当社は1944年設立で、補聴器、医用検査機器、計測器などの事業を展開しています。計測器は環境保全や産業分野で使われる騒音計、振動計などの音響・振動計測と、半導体、プリント基板、精密工業などの製造工程の清浄度管理に使う微粒子計測器(パーティクルカウンタ※1)があります。1977年に国内で初めて気中パーティクルカウンタを開発・製造し、その後に液中パーティクルカウンタも発売しました。気中パーティクルカウンタはクリーンルームなどの空気清浄度の管理に、液中パーティクルカウンタは純水や化学薬品など、液体の清浄度管理に使われます。たとえば半導体製造の洗浄工程では、100nm以下の粒子をほとんど含まない高清浄度の液体を使うため、液中パーティクルカウンタは品質管理に欠かせません。
(particle counter) パーティクルは「粒子」、「微量」の意味。気体や液体中の微粒子数を測定するのがパーティクルカウンタ(パーティクル数のカウンタ)。粒子径と粒子数を計測して、どのくらいきれいな状態かを把握する。
TEO主要なパーティクルカウンタが展示されている中で、注目のモデルはどれですか?
本田氏今回の一推しは、液中パーティクルセンサKS-20Fです。20nm~80nmの粒子を測定でき、最先端の半導体の生産ラインで使われます。薬品の粒子数測定や純水のインライン監視などの品質管理に採用されています。当社の液中パーティクルカウンタの中では最も小さな粒子を測定できるセンサとして、2022年2月に発売しました。
TEO液中パーティクルカウンタのラインアップを教えてください
本田氏測定できる粒子径の範囲や用途によって15モデルあります。測定を行うセンサ部と操作/表示部を別筐体にしたモデルが多く、KS-20Fなどのパーティクルセンサをコントローラ KE-40B1で制御します。パーティクルセンサはKS-19Fが30nm~130nm、KS-18Fが50nm~200nmと、測定粒子径によってモデルが違います。アプリケーションによって測定したい粒子径が異なるので複数のセンサを用意しています。KS-42Dは2µm~100µmと、最も大きな粒子に対応したモデルで、半導体以外の分野でも使用されています。また、最大5000cP※2の液体を通液できる高粘度試料用センサも特注で用意しています。
(centi poise) センチポイズ(または、ポアズ)。粘度の単位で、国際単位(SI単位)ではPa・s(パスカル秒)
TEO御社の微粒子計測器の特長は何ですか?
本田氏液中パーティクルカウンタの粒子径が20nmから100µmまで広範なことは述べましたが、気中パーティクルカウンタも80nmから100µmをカバーしています。気中、液中ともに数十nmから100µmまで揃うのが当社の強みです。気中パーティクルカウンタだけなら国内外に多くのメーカがありますが、液中も同様にラインアップが豊富なメーカは少ないです。また、当社の液中パーティクルカウンタは少量のサンプルで高い検出率の測定ができます。高価な薬品を測定するときに少量で済み、繰り返しの計数精度も高いため、お客さまには好評です。
TEO最新のKS-20F(20nmモデル)は最先端の半導体製造で使うとのことですが、もっと小さい粒子径の需要はないのですか?
本田氏あります。半導体の線幅※3は3nmから数十nmが量産されていますが、これから開発される最先端品はもっと小さいサイズです。たとえばインテルは2027年に線幅1.4nmを量産目標といわれています※4。ですから、20nmといわずもっと小さい粒子を測定したい、というのがお客さまの要望です。
半導体の線幅とは、デバイスの回路パターンの幅(回路線幅)の寸法。小さいほど集積度が上がりチップを小型にできるため、半導体のレベルを示す指標にされる。2022年発売のiPhone14には4nmの最先端チップが使われているといわれる。
インテルは2024年2月に開催した自社イベント「IFS Direct Connect 2024」で1.4nmまでのロードマップを示した。その資料から2027年頃の量産開始を目標にしていると推測されている。2022年に設立した国産のRapidus(ラピダス)も2027年に2nm以下の量産化を目指している。
TEO20nmよりも小さいモデルを検討中ですか?
本田氏あまり詳しくは話せませんが、半導体の進歩によって測定したい粒子径がより小さくなるのは確実ですから、それに応える技術開発を進めています。ただし、価格も含めて実現するのはそう簡単ではありません。
TEO半導体向けの液中パーティクルカウンタでは御社が世界トップですか?
本田氏米国に液中と気中の両方を手掛ける数少ないメーカが1社あり、当社と顧客が重なることが多い一番の競合です。半導体向けの液中パーティクルカウンタに限れば、2社が世界を舞台に競っています。
TEO半導体以外の微粒子計測について教えてください
本田氏当社の微粒子計測の売上を業種別に分けると半導体業界向けが大半を占めますが、医薬業界にも実績があります。注射剤などの品質管理や再生医療の分野で使われます。フラットパネルディスプレイ、ハードディスクドライブ、ロケットなどの精密工業や、塗装工程で異物を嫌う自動車工場でも使用されます。世界的に電気自動車の需要が増えたので、リチウムイオン電池の製造工程でも実績が増えています。
TEOありがとうございました
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