市場動向詳細

通信測定器の正しい測定・操作を習得していただくために! アンリツが開催する基礎セミナー

【概要】
 アンリツ株式会社は1895年(明治28年)創業。古くは日本電信電話公社(電電公社、現NTT)などに無線機や電話機などの通信装置や、計測器などを納品して日本の通信インフラの普及とともに歩んできました。  
 現在は全世界に測定器を販売するグローバル企業ですが、国内でほぼ唯一の通信計測器メーカとして高いシェアを保持しています。今回は計測事業グループ 計測器営業本部 第1営業推進部長の藤井様をお訪ねし、技術セミナーの状況や展望についてお伺いしました。


スペアナ、ネットアナの使いこなし啓蒙のためにセミナーを定期開催


Q:藤井様の現在のお仕事を教えてください

藤井氏: 無線関連の計測器の設計部門に約20年間在籍しました。その後でマーケティング部門に異動して、8年前からは現在の営業推進部に所属しています。この部署の仕事は大きく2つあります。1つは営業支援・技術サポートです。通信の測定器は簡単ではありませんから、営業と同行してお客さまを訪問し、測定器の説明をします。2つめは計測器の事業部が発売する新製品について、営業に説明して販売活動をしてもらうことです。どんな背景から作られた測定器なのか、どういう市場・お客さまにどんなPRをしたら良いかなどを説明します。いわば事業部(設計部門)と営業の橋渡しをしています。また、技術サポートの一環として、後述する“アンリツ基礎セミナー”という技術セミナーを、お客さま向けに開催しています。

藤井氏

アンリツ株式会社 計測事業グループ 計測器営業本部 第1営業推進部長  藤井 誠 氏  

Q:御社のビジネスの概要を教えてください

藤井氏: 当社は創業120年の歴史がある会社です。国内ではほぼ唯一といえる通信の測定器に特化した老舗の計測器メーカです。マルコーニが無線電信を世界で初めて成功させた1895年に創業し、日本の通信インフラの構築に計測器や通信装置で貢献してきました。2017年上期売上で約65%が計測器です。計測器以外には産業機器の事業があり、現在はPQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)事業として、例えば食品の中に混入する金属片を探知するX線異物検出機などで国内・海外ともに売上を拡大しています。グループ全体の地域別売上では日本はトップですが約33%ですから、日本の老舗計測器メーカではありますが、現在は海外比率の大きい会社です。

Q:計測器の技術セミナーを定期開催している目的・理由は何でしょう?

藤井氏: 第一に技術サポートの一環という位置づけです。スペクトラムアナライザ(スペアナ)やネットワークアナライザ(ネットアナ)といった通信の基本測定器の使いこなしを啓蒙していくことを目的にしています。スペアナやネットアナにはたくさんの機能があり、その機能のほんの一部しか使用されていなかったり、設定しているパラメータの意味を理解されずに使われている方が少なくありません。その使いこなしを啓蒙することを目的として始めました。

実は私が営業推進部に赴任した2010年頃には、スペアナなどの製品の技術セミナーはお客さまからのリクエストベースで実施していましたが、ほぼ定常的に開催していました。そこでこの需要は継続的に存在すると判断して、2011年から定期開催を始めました。このセミナー活動を継続することで、アンリツという会社は通信測定器について、「聞けば答えてくれる、教えてくれる会社なんだ」ということを広く知らしめたいのです。そのため、当社の測定器のユーザだけを対象にしていません。他社のスペアナをお使いの技術者もかなり受講されていらっしゃいますが、“スペアナとは何か?”ということから説明しますから、当社測定器を使っていない方にも十分に聞いていただける内容です。

Q:どんなセミナーを開催されていますか?概要を教えてください

藤井氏: “アンリツ基礎セミナー ベクトルネットワークアナライザ/スペクトラムアナライザ”と題した技術セミナーを開催しています。時間は10時から16時で、午前の2時間半でネットアナ、午後2時間半でスペアナについて話します。時間割は、はじめの1時間半で講義とデモをして、15分休憩後の30分は製品紹介をします。事前の案内にも明記していますが、内容は講義(座学)が中心です(デモは一部お見せしますが)。

講義内容は、まずスペアナとは何か、から始まって原理や測定項目、使用上の注意などを解説します。ネットアナであれば、高周波測定についての最低限の基礎事項を話してから、ネットアナとは何かと進み、校正についても説明します。会場にはプロジェクタを左右に2台用意して、右には講義している内容(原理や基本構造など)を映し、左には測定項目として測定器の表示画面を映して、こんな波形が表示されますと解説します。座学で基本測定器の基礎を学び、測定画面が見られるデモがある90分です。

セミナー風景(提供:アンリツ)

セミナー風景(提供:アンリツ)
(クリックして拡大)

テキスト(スペアナ)

テキスト(スペアナ)
(クリックして拡大)


次ページに続く...