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トンネル ~ 自動車にとって重要なインフラ ~

本サイトではこれまで、自動車に関連する交通系の社会基盤、いわゆるインフラとして、道路※1、橋梁※2を紹介しました。その他の重要なインフラとして「トンネル」が挙げられます。トンネルには多くの有益性が期待されます。そのいくつかを列挙すると、例えば、自然環境を克服することによる移動距離と時間の短縮化、渋滞の緩和、地域間のアクセス性向上、道路建設と比較して自然景観や生態系の保護等があります。さらに交通系以外のインフラとして、電力や通信、上下水道などの機能も担っています。

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2023年3月27日公開 道路 ~ 社会インフラの基本

本稿では、主として道路用のトンネルについて解説します。最初にトンネルの定義及び歴史、トンネルに関する各種の情報、日本におけるトンネルの数、総延長、トンネルに関するランキングなどを紹介します。大都市圏で増えている「大深度地下」の活用にも触れます。その後に、トンネルの建設工法について、主要な山岳工法、シールド工法、開削工法、沈埋工法を概説します。地盤を横に掘削する大型機械であるシールドマシンの画像や、掘り進めるやり方を図解します。最後にトンネルに関連した計測器の例を示します。

《本稿の記述は、筆者の知見による解釈や、主観的な取り上げ方の面もあることをご容赦ください。また、記載されている技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。》

トンネルの定義

トンネルとは、「鉄道・道路・水路などを通すため山腹・河底・海底・地下に貫いて設けた道路」(広辞苑)です。一般的には「2地点間の交通と物資の輸送などを目的として建設された地下の空間」で細長い地下空間です。立坑や斜坑、地下発電所などの空間も含むとされていますが、専門家の間では、1970年のOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)トンネル会議での「トンネルとは、計画された位置に所定の断面寸法をもって設けられた地下構造物で、その施工法は問わないが仕上がり断面積が2m2以上のものとする」との定義が一般的に用いられています。一般社団法人日本トンネル技術協会では、上記の定義に加えて、「地中の管路については、仕上がり断面の直径が0.8m以上をトンネルとして扱い調査研究を実施しています。 なお、鉱山における坑道等は含んでいません」としています。

トンネルを新設する際、土地の所有権が関係します。土地の所有権は空中及び地下におよぶ絶対的権利ですが、大都市圏において、浅い地下の利用が進み、鉄道、電気、ガス、電気通信、上下水道等のトンネルや配管が埋設されています。そのため、新たにトンネルを建設する際、既設の構造物を避けざるを得ません。建設する距離や傾斜の影響を抑えて効率的に進める対応策として、通常利用されていない「大深度地下」の活用を促進する法律が制定されました。基本的な考え方は、「公共の利益となる事業のために事前の補償を行うことなく使用権を設定できること」です。この法律は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(略称:大深度法)」として、2000年5月に公布されました。対象地域は政令で定められており、三大都市圏(首都圏、近畿圏、中部圏)の一部区域が指定されています。「大深度地下」とは図1の①(地下40mより深い)または②(支持地盤面から10mより深い)のいずれか深い方以上の深さの地下と定義されています。詳細については、国土交通省が公表しているパンフレットをご覧ください。https://www.mlit.go.jp/common/001187587.pdf

図1 大深度地下の定義
図1 大深度地下の定義

出典:国土交通省の資料を抜粋して作成

トンネルには橋梁と同様に起点と終点が原則的に設定されています※2。起点側が入口、終点側が出口となります。入口と出口にはトンネルの名が「扁額(へんがく)」と言われる額が設置されています。入口側が「漢字」で、出口側が「ひらがな」で表記することが慣例となっているようです。

図2 国道20号 新笹子トンネルの扁額
図2 国道20号 新笹子トンネルの扁額

トンネルの歴史

トンネルの始まりは太古の人類が活用した洞窟であると言えるでしょう。住居や生活の場として使った痕跡は日本に限らず世界中で確認されています。その後、移動等の手段として人工的に作られてきたことを推察できます。古代エジプトのピラミッド建設時代には、トンネルが建設されています。紀元前26世紀ごろの、クフ王のピラミッドの近くには「ボートピット」と呼ばれるトンネルが残っています。

図3 クフ王のピラミッドとボートピット
図3 クフ王のピラミッドとボートピット

4,000年以上前のバビロニア(現在のイラク南部)には、宮殿と神殿とをつなぐ、ユーフラテス川の水底トンネルがあったことを記録として残っています。この建築技術は、当時の技術の高さを物語っています。古代では飲料水用や干拓用のトンネルも造られました。

日本においては江戸時代中期、1764年に開通した「青の洞門(あおのどうもん)」が最初の道路トンネルと言われています。場所は現在の大分県中津市耶馬渓町の山国川沿いです。延長は約144mで、禅海和尚が石工職人とともにノミと槌(ツチ)だけで約30年かけて掘ったとようです。トンネルが開通する前は絶壁に鎖だけが結ばれた危険な箇所だったようです。完成後は通行料を徴収したようで、日本で最初の有料道路とも言われています。1906年(明治39年)からの大改修でもとの大部分が失われてしまいましたが、トンネルの一部にノミの跡が残っています。

日本に「トンネル」という言葉を紹介したのは、福沢諭吉とされているようです。福沢諭吉が1861年にイギリスへ渡り、後に発行した「條約十一國記」の中で「ていむすとんねる」と記載しています。ちなみに、原文は以下の通りです。
「又其河下に至り「ていむすとんねる」という珍らしき仕掛あり これは河の両岸より地の底を掘て通抜の洞穴を造り石垣にて其内を疊詰め往來の道となし水底の又其底を徒歩にて行くよふにしたるものなり 故に此洞穴を通抜て向岸に渡るときは固より目には見へざれども川の舟は頭の上を往來するなり」

図4 條約十一國記の抜粋
図4 條約十一國記の抜粋

出典:「條約十一國記」東京大学大学院法学政治学研究科附属
近代日本法政史料センター 明治新聞雑誌文庫所蔵を抜粋して作成
CC BY 4.0 Deed | 表示 4.0 国際 | Creative Commons

福沢諭吉は大分県中津市の出身です。前述の「青の洞門」一帯が木の乱伐によって景観がこわされることを防ぐため、「青の洞門」がある周辺の土地を自身の資金で買収し自治体に寄付しました。

余談1:日本において、近代までトンネル建設が進まなかった背景として、山に対する自然信仰があるとされています。山を数える際は単位として「座」が使われます。「座」の意味は「古来より山頂は神様が座す場所」として捉えられてきたので、単位として一般化されたのでしょう。

余談2:「化粧木(けしょうぎ)」はトンネルを工事する際、トンネルの入り口上部に飾られている木です。トンネル工事の安全を祈願するために設置されています。形状は伊勢神宮御本殿の屋根を模しています。近年は略式の場合が多いようです(参照:国土交通省 東北地方整備局 能代河川国道事務所 「とんねる日和」第5号 2019.9.13)。海外においては、トンネル工事などの危険な作業の安全祈願として、聖バルバラ(St. Barbara)の女神像を祭るようです。背景については各所の情報をご覧ください。

図5 トンネル工事中の「化粧木」
図5 トンネル工事中の「化粧木」

出典:国土交通省 東北地方整備局 能代河川国道事務所 「とんねる日和」第5号 2019.9.13を抜粋して作成

余談3:古くは「隧道」、読みは「すいどう」と言われていたようですが、「水道」と区別するため、「ずいどう」と呼ばれるようになったようです。その後は一般的に「トンネル」と呼ばれています。古いトンネルの「扁額」には「隧道」と表記されています。

余談4:トンネルを掘る時は勾配を付けます。施行中や開通後の排水と排気です。トンネルは地下なので、地山(自然状態で存在する岩や土。読み方:じやま)から水が浸みだすことがあるので、重力を利用して排水ができます。短いトンネルの場合は、基本的に片勾配ですが、長いトンネルの場合は両側から掘り進めるので中央部を高くする勾配をもって掘ります。川底や海底を通るトンネルの場合は、トンネルの中央部に向かって下り勾配(突っ込み勾配)となります。当然のことながら、排水設備が必要となります。地下鉄の場合、意図的に上り勾配と下り勾配とすることもあるようです。上り勾配では停車駅での減速、下り勾配の発車駅から加速に際して省エネに寄与できます。

トンネル関連のデータ

トンネルに関する各種の統計データを紹介します。

1)日本におけるトンネルの数

大分県が1位、北海道が2位、千葉県が3位です。大分県の総面積は全国22位で、全国の約20%を占める北海道の13分の1です。トンネルの数が多い明確な理由はないようです。

表1 トンネルの数ランキング
都道府県 箇所 延長(m)
大分県575161,736
北海道478364,845
千葉県42461,051
高知県400162,924
和歌山県368157,402
岩手県366229,004
長野県364184,127
新潟県353199,162
岐阜県350239,819
広島県349146,785

2)日本におけるトンネルの延長距離

トンネルの総延長は北海道が1位、岐阜県が2位、岩手県が3位です。

表2 トンネルの総延長ランキング
都道府県 延長(m) 箇所
北海道364,845478
岐阜県239,819350
岩手県229,004366
新潟県199,162353
長野県184,127364
兵庫県165,012281
高知県162,924400
大分県161,736575
愛媛県157,622312
和歌山県157,402368

道路統計年報は毎年公表されています。データは次のURLをご覧ください。https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/tokei-nen/index.html

なお、道路統計年報におけるトンネルの定義は「山腹、台地、地下、水底等、自然の障害物を通過するために設けられたもので、人および車の通行の用に供しうる内空断面を有する道路構造物である。ただし、地下横断歩道、ボックスカルバート(図6)、ロックシェッド(図7)、スノーシェッド(図8)等は含まない」となっています。

図6 地中に埋設された箱形のコンクリートなどで作られた構造物
図6 地中に埋設された箱形のコンクリートなどで作られた構造物
図7 斜面の落石から道路を保護するロックシェッド
図7 斜面の落石から道路を保護するロックシェッド
図8 雪崩から道路を防ぐスノーシェッド
図8 こ雪崩から道路を防ぐスノーシェッド

3)トンネルの老朽化

鉄筋コンクリート造の道路トンネルの耐用年数は75年となっています。これは減価償却資産としての耐用年数であり、設計の耐用年数とは異なります。実態の耐用年数は用途や環境条件によって変わりますが、おおむね50年から100年と言われています。かと言って、耐用年数を過ぎたことにより再建することは難しく、維持するための補修によって寿命を延ばしています。トンネルに限らず道路や橋梁についても老朽化対策が急務となっています。図9に示す通り2040年には約53%のトンネルが築50年以上となります。老朽化対応として、「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」が策定され、各種の事業を推進しています。

図9 トンネルの劣化状況
図9 トンネルの劣化状況

出典:国土交通白書2023を元に作成

4)トンネルに関する一番

以下に紹介するトンネルの長さは2024年6月時点の筆者の情報収集によるものです。

① 日本の道路トンネル長さランキング

首都高の山手トンネルが1位です。上位は近年に建設された高速道路のトンネルが占めています。

表3 日本の道路トンネル長さ トップ10
順位 トンネル名 長さ(km) 備考
1山手18.6首都高
2関越10.9関越道
3飛騨10.7東海北陸道
4東京湾アクアライン9.6国道409号
5栗子9.0東北中央道
6恵那山8.6中央道
7第二新神戸7.2阪神高速
8大沼7.0道央道
9新神戸6.9阪神高速
10雁坂6.6国道140号

② 日本の鉄道トンネル長さランキング

青函トンネルが1位です。新幹線のトンネルが上位となっています。

表4 日本の鉄道トンネル長さ トップ10
順位 トンネル名 長さ(km) 備考
1青函53.9北海道新幹線
2八甲田26.5東北新幹線
3岩手一戸25.8東北新幹線
4飯山22.3北陸新幹線
5大清水22.2上越新幹線
6新北陸20.0北陸新幹線
7新関門18.7山陽新幹線
8六甲16.3山陽新幹線
9榛名15.4上越新幹線
10五里ヶ峯15.2北陸新幹線

③ 世界の道路トンネル長さランキング

ノルウェーのラルダールトンネルが1位です。

表5 世界の道路トンネル長さ トップ10
順位 トンネル名 長さ(km) 備考
1ラルダール24.5ノルウェー
2山手18.2日本
3秦岭终南山公路18.0中国
4锦屏山隧道17.5中国
5ゴッタルド道路16.9スイス
6アールベルク道路14.0オーストリア
7錫山13.7中国
8虹梯关13.1中国
9雪山12.9台湾
10フレジュス道路12.9フランス-イタリア

④ 世界の鉄道トンネル長さランキング

スイスにあるゴタルドベーストンネルが1位です。アルプス山脈を貫通するために長い距離となっています。

表6 世界の鉄道トンネル長さ トップ10
順位 トンネル名 長さ(km) 備考
1ゴッタルドベース57.1スイス
2青函53.9日本
3英仏海峡50.5ドーバー海峡
4栗峴トンネル50.3韓国
5レッチュベルクベース34.6スイス
6新关角隧道36.8中国
7グアダラマトンネル28.4スペイン
8太行山隧道27.8中国
9八甲田26.5日本
10岩手一戸25.8日本

⑤ 番外編1(日本で一番短い鉄道トンネル)

JR東日本 吾妻線の岩島駅―川湯温泉駅間の旧線上に位置する全長7.2mの樽沢トンネルです。八ッ場ダム(やんばダム)の建設に伴い、この区間が付け替えられたため、現在はアトラクション施設として活用されています。現存する鉄道トンネルとして最も短いのはJR西日本 呉線の川尻トンネル(全長8.7m)です。

図10 樽沢トンネル
図10 樽沢トンネル

"Tarusawa-tunnel" by Shinkansen is licensed under CC BY-SA 3.0.

⑥ 番外編2(あらゆるトンネルで世界一長い)

ギネスブックによると、あらゆる種類のトンネルの中で最も長いトンネルは、ニューヨーク(米国)にある「ウエストデラウエア水道トンネル」と記載されています。長さは169kmです。

⑦ 番外編3(一番深い道路トンネル)

ギネスブックによると、ノルウェーにある「エイクスンドトンネル」は海面下287mを通っています。最深部から出口までの勾配は9.6%です。欧州連合(EU)の基準を2倍近く上回っているようです。

トンネルの工法

トンネルを造る場所や用途、土質等の条件により使い分けられます。代表的な工法は大きく分けると4種類あります。

  • 山岳トンネル工法
  • シールドトンネル工法
  • 開削トンネル工法
  • 沈埋(ちんまい)トンネル工法

それぞれの工法について解説します。

1)山岳トンネル工法

道路のトンネルで広く採用されている山岳トンネル工法には、矢板工法とNATM工法(New Austrian Tunneling Method、ナトムと呼称)があります。1980年代までは矢板工法が採用されていましたが、トンネルの大断面化や長大化が進み、安全面や品質が向上するNATM工法が主流になっています。

① 矢板(やいた)工法

木製もしくは鋼製の矢板をアーチ状に連続して打ち込み、鋼製の支保工(しほこう)※3で支えます。その後、矢板の壁側をコンクリートで固める工法です。掘削は建設機械や爆薬等で行います。近年はNATM工法へ移行しています。

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トンネルなどの工事で、掘削してから覆工(ふっこう)するまで、上または横からの土圧を支持しておくための仮設構造物。覆工とは、地山(じやま)に合わせた材料、例えば鋼材やコンクリートで補強し安定させること。

図11 矢板工法
図11 矢板工法

② NATM工法

現在の標準的な山岳トンネルの工法です。オーストラリアのラブセビッツ氏が中心となって開発しました。掘削した地山の保持力(アーチ効果)※4を活かします。NATM工法の基本的な手順は、a)掘削、b)ずり出し、c)コンクリート吹き付け、d)ロックボルト打ち込み、e)覆工コンクリート打設、を繰り返して掘り進めます。図12はNTAM工法によるトンネルの断面イメージです。

  1. 掘削
    ダイナマイトを用いたり、削岩機を使ったりして掘り進めます。
  2. ずり出し
    「ずり」とは掘削した土砂のことです。ダンプなどで運び出します。
  3. コンクリート吹き付け
    掘削した後の地山を補強し安定化させるために、コンクリートを吹き付けます。一次覆工となります。
  4. ロックボルト打ち込み
    地山の強度を活かすためにロックボルトを打ち込みます。地山の特徴に合わせて、長さや打ち込み方が検討されます。
  5. 履行コンクリート打設
    ロックボルトを打ち込んだら、覆工コンクリートを打設します。浸水を防ぐための防水シートを張ることがあります。
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地山の圧力によりトンネルは崩れようとしますが、アーチ状に掘ると地山からの圧力を互いに押し合い、自らを支えます。

図12 NATM工法トンネルの断面
図12 NATM工法トンネルの断面
図13 アーチ効果のイメージ
図13 アーチ効果のイメージ

2)シールド工法

シールド工法は1818年にブルネル技師(フランス)によって考案され、1825年のロンドン(英国)のテムズ河を横断する約360mの水底トンネルで採用されました。工事そのものは難工事だったようで、浸水等により7年間の中断を経て1840年に完成しました。シールド工法の標準的な手順は、a)シールドマシンの設置、b)掘削、c)セグメントの組み立て、d)掘進、を繰り返して掘り進めます。

a) シールドマシンの設置

地面を掘り下げて立坑を造り、シールドマシンや付帯設備を投入します。図13はシールドマシンの例です。図14は東京湾アクアライン(海ほたる)に設置されているシールドマシンの先端部です。

図14 シールドマシンの例
図14 シールドマシンの例
図15 東京湾アクアライン(海ほたる)に設置されているシールドマシンの先端部
図15 東京湾アクアライン(海ほたる)に設置されているシールドマシンの先端部

b) 掘削

シールドマシンの先端にあるカッタを回転させて掘り進めます。

図16 掘削
図16 掘削

c) セグメントの組み立て

トンネルの壁となるセグメントを、コレクタを呼ばれる機械で組み立てます。図17はセグメントと組み立てられた状態です。

図17 セグメントとセグメントが組み立てられた状態
図17 セグメントとセグメントが組み立てられた状態
d) 掘進

シールドマシンに装備されているシールドジャッキをセグメントに突き当ててジャッキを伸ばし、その力で掘り進めます。

図18 シールドマシンの掘進
図18 シールドマシンの掘進

シールド工法は主として軟弱な地盤にトンネルを構築する工法ですが、類型の機械を使用するTBM(Tunnel Boring Machine)工法があります。主に適用するのは地山が岩盤で構成される山岳トンネルです。シールド工法との違いは掘進する機構です。シールド工法ではセグメントにジャッキを当て、延ばす力により掘進しますが、TBM工法はマシーンの外側に向かって、「グリッパ」と呼ばれる突出する部分で地山に押し付けて固定し前進します。シールド工法と同様に、コンクリートの吹き付け、ロックボルトの打ち込み、コンクリートの覆工を行います。TBM工法はシールド工法の範疇として扱うこともあります。両方の機能を備えたものもあります。軟弱な地山ではTBMが使えないのでシール工法として機能させます。シールドマシンとTBMにはもう一つの違いがあります。シールドマシンは軟弱な土質を掘削するため、作業側へ土砂が崩れること可能性があります。防ぐために隔壁が設けられています。隔壁とカッタの間に泥水を流し、掘削面の切羽(きりは)の崩壊を防ぎます。

図19 シールド工法とTBM工法との違い
図19 シールド工法とTBM工法との違い

3)開削(かいさく)工法

比較的浅い場所で距離化短いトンネルを造る工法です。トンネルを建設する位置の土地を地上から取り除いて、トンネルを構築した後に埋め戻して完成させます。最初の地下鉄である銀座線はこの工法が採用されました。近年では都市部のトンネルで採用される代表的な工法です。都市部では道路等が既に設置されており、開削状態では道路環境に影響を与えるため、開削後に鉄板を被せて、昼間は道路として使用させ、影響の少ない夜間に工事を行うようにしています。

図20 開削工法
図20 開削工法

4)沈埋(ちんまい)工法

トンネルを建設するために、山や地下を掘るだけでなく、川や海の底にもトンネルを造る方法が考案されました。その工法が沈埋工法です。トンネルとなる沈埋函(ちんまいかん)を予め造船所などで分割して製作し、現地まで曳航し作業船で所定の場所に設置します。全ての設置が完了したら沈埋函周辺を埋め戻して工事は完成します。実施例としては首都高の多摩川トンネルがあります。トルコのボスポラス海峡横断鉄道では日本の企業連合などが請け負って開通させました。

図21 沈埋工法
図21 沈埋工法

関連計測器の紹介

トンネル技術に関連した計測器の一例を紹介します。

図22 トンネル技術に関連した計測器の例
図22 トンネル技術に関連した計測器の例
その他の製品や仕様については計測器情報ページ から検索してください。

おわりに

トンネルは交通系に限らず社会生活にとって重要なインフラです。今後も道路整備の一環として、さらに、既存の路線をより安全で道路環境の効率化を図る施策として推進されるでしょう。一方、トンネルの工法については、既存技術をさらに進化させ、労働人口の減少等、社会情勢の変化に対応した工事期間や工事費用の抑制につながる技術が創出されることを期待しましょう。

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