市場動向詳細

2022/10/27

バイクの技術 ~風を楽しむモビリティ

バイクは移動手段として、自転車を原型として発展してきました。多くの国々では4輪が普及する過程で、先ずバイクが普及しその後、4輪へ移行しています。一方、趣味としてのバイクも根強い人気があります。また、バイクのモータースポーツも歴史があります。本稿では、まずバイクの歴史、市場規模などを述べます。次に基本構造、主要な技術、エレクトロニクスシステムを概説します。バイクの種類や、クラッチ、トランスミッション、サスペンションなどの各部位を図解します。フレームの構造、ヘルメット関連の法規、最近普及し始めた電動のバイクなどに触れます。最後にバイク開発で使用される計測器を紹介します。今まで主に4輪車で解説してきた連載記事とのリンクもつけました。
《本稿の記述は、筆者の知見による解釈や、主観的な取り上げ方の面もあることをご容赦ください。また、記載されている技術情報は、当社および第三者の知的財産権他の権利に対する保証または実施権を許諾するものではありません。》

バイクの歴史

世界で最初にガソリンエンジンを搭載したバイク「Reitwagen」は1885年にダイムラーによって製作されました。本サイトの記事で紹介した世界初の4輪車とされているダイムラー1号車※1よりも先に製作されたようです。図1は「Reitwagen」です。タイヤ、ホイール、フレームなどは木製です。後輪付近にある円形の部品は補助輪です。日本では1900年初頭に製作されていますが、市販のモデルとしてバイクの普及に貢献したのは、1947年 本田宗一郎が製品化した、自転車に取り付ける構造のキットであると評価されています。その後、現在の大手バイクメーカが市場に参入しましたが、当時、大小合わせて100社近いメーカが存在していたようです。米国では1903年にビル・ハーレーとダビッドソン兄弟が試作車を完成させています。これが、現在のハーレーダビッドソンにつながっています。欧州においては、1900年中盤までに、ドゥカティ(イタリア)、BMW(ドイツ)、トライアンフ(イギリス)などがバイクの生産を始めています。

※1

ダイムラー1号車に関する記事は以下をご覧ください。
2021年8月公開:「自動車の基本~サスペンションの技術

図1 「Reitwagen」
図1 「Reitwagen」

市場の動向

日本国内の販売台数は減少傾向ですが、ここ10年間は減少傾向から横ばいとなっています。図2は国内の販売台数、図3は排気量毎の販売台数比率です。

図2 バイクの販売台数推移
図2 バイクの販売台数推移

出所:一般社団法人 日本自動車工業会の公表資料(2020年)を元に作成
https://www.jama.or.jp/statistics/facts/two_wheeled/index.html

図3 バイクの排気量別販売台数
図3 バイクの排気量別販売台数

出所:一般社団法人 日本自動車工業会の公表資料(2020年)を元に作成
https://www.jama.or.jp/statistics/facts/two_wheeled/index.html

世界の市場は各所の公開情報によると、年間販売台数は約5,700万台です。その内、インドにおいて約2,000万台となっています。二番目は中国ですが、4輪車の普及が急速に進んでいるので減少傾向が強いです。その他、東南アジア地区でも販売台数が多いです。日本の販売台数は世界レベルでは1%未満となっています。

事故分析

公益財団法人 交通事故総合分析センター(ITADRA イタルダと呼称)の研究報告書によると、2輪乗車中の死傷者数は減少傾向を続けています。死者数は減少傾向ですが、2020年は2019年から増加しました。車種別では「小型二輪」の死者数が増加し、年齢別では「45~54歳」と「16~24歳」が増加傾向です。また、事故類型の分類では、「人対人」「車両相互」に比べて「車両単独」の割合が特に高くなっており、増加傾向です。二輪車事故の要因として「人的要因」「車両的要因」「道路環境的要因」「法令違反」が考えられますが、「人的要因」が最大となっています。本稿では限られた分析結果を記述しましたが、上記の報告書では多面的な分析がなされています。ぜひご覧ください。
(出所:二輪車事故の特徴分析による事故・死傷者数の低減研究 https://www.itarda.or.jp/materials/report/free

バイクの種類

バイクには使用目的や用途に応じた多くの種類が販売されています。大きく分けると、スポーツバイクとその他のバイクです。スポーツバイクは舗装路を走ることを想定したロードバイクと不整地などの走行を想定したオフロードバイクに分けられます。図4はバイクのタイプを分類した一例です。代表的なタイプを紹介します。

  • スクータ:気軽に乗られるバイクとして、クラッチ操作はなく、フロアに足を載せて乗ります。当初は排気量50ccや125ccクラスでしたが、中型以上の大型スクータも販売されています。
  • ビジネスバイク:配達業などの用途を想定しています。荷物の積載性が良く、車体の剛性が高い構造です。耐久性や燃費も考慮されています。
  • ネイキッド:エンジン、フレーム、重量など、バランスが取れた構造です。車体を覆うカウルはありません。ネイキッド(naked:裸の)の意味通り飾りのないむき出しの構造です。
  • オフロードバイク:不整地の走行を想定したバイクです。最低地上高が他のバイクに比べて長く確保されています。また、フェンダなどは転倒しても破損しにくい樹脂製となっています。
  • スーパースポーツ:高性能なエンジンやタイヤ、フレーム、ブレーキで構成されています。また、車体を覆うカウルが装備されています。
  • アメリカンクルーザ:長い距離の走行を想定して、タイヤ間の距離(ホイールベース)や運転姿勢が考慮されています。

図4 タイプ別バイク
図4 タイプ別バイク

その他の移動手段として「電動キックボード」があります。図5は電動キックボードの一例です。電動キックボードに関連する法規は直近では2022年4月に改訂されていますが、今までのルールと混同した認識がされていると懸念されています。例えば、「免許なしで乗られる」「歩道の通行が可能」「ヘルメットの着用無用」などがあります。電動キックボードは道路交通法上の「車両」に該当します。モータ定格出力が0.6kW以下(排気量50cc以下に相当)では原動機付き自転車の免許が必要です。よって、ヘルメットの着用義務があります。車体には、ブレーキ、ヘッドライト、バックミラ、ナンバープレート等が必要です。また、自賠責保険の契約が求められます。電動キックボードに関する判りやすい解説は警視庁のサイトをご覧ください。
警視庁サイト:「電動キックボードについて」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/torikumi/kickboard.html

なお、特例で電動キックボードの実証実験が行われているエリアでは、ヘルメットの着用が任意となっています。その他のルールについては警視庁のサイトをご覧ください。
警視庁サイト:「特例電動キックボードの実証実験の実施について」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/doro/dendosukuta.html

図5 電動キックボード
図5 電動キックボード

バイクの構造

バイクの基本構造は、4輪車と外観形状は大きく異なりますが、ほとんどの部品は構造や原理が似通っています。図6はバイクの基本構成です。バイクにおいて特徴的な仕様について解説します。

図6 バイクの基本構成
図6 バイクの基本構成

1 エンジン

エンジンの構造や原理は4輪と同じですが、気筒数は独特です。シリンダが1個の単気筒エンジン、シリンダがV型に配置されたV型エンジン、複数のシリンダが直列に配置された直列エンジンなどがあります。燃焼行程は4サイクル、2サイクルがありますが、4輪と同じく排気ガス規制に対応するため4サイクルエンジンだけとなっています。過去にはロータリーエンジンを搭載した車種も販売されました。

2 キャブレタ

いわゆる気化器は排ガス規制に対応することが難しいため、電子燃料噴射装置に置き換わっています。

3 動力伝達

エンジンの出力を駆動輪へ伝える機構は1次減速機構、クラッチ、トランスミッション、2次減速機構で構成されています。クランクシャフトの回転を1次減速機構で大きく減速させます。バイクのエンジンは4輪のエンジンに比べて高速で回転するのでクラッチやミッションの負荷を軽減します。1次減速機の機構はギヤ式が主流ですが、チェーン式やギヤ併用式もあります。クラッチの基本原理は4輪と同じですが、バイクでは寸法的な制約があり小型化のため多板クラッチが採用されています。また、クラッチ板がオイルに浸っている「湿式多板クラッチ」とオイルに浸っていない「乾式多板クラッチ」があります。図7は多板クラッチの動作原理です。クラッチハウジングはクランクシャフトからギヤを経由して回転します。クラッチプレートはクラッチハウジングと一緒に回転します。フリクションプレートはクラッチボスと一緒に回転します。図の左側はクラッチが切れている状態を示し、クラッチプレートとフリクションプレートは接合していないため、クラッチボスは回転しません。図の右側はクラッチが接続されている状態です。クラッチプレートとフリクションディスクが接合しているので、クランクシャフトからの入力はトランスミッションへ伝わります。

図7 多板クラッチの動作原理
図7 多板クラッチの動作原理
図8 クラッチを構成する部品例
図8 クラッチを構成する部品例

最近のバイクには「スリッパ―クラッチ slipper clutch」(もしくはスライダークラッチ slider clutch)と呼ばれる機構が組み込まれています。ギヤをシフトダウンした際、エンジンの回転よりも、タイヤの回転が高い場合、タイヤからエンジンへトルクが伝わります。いわゆるエンジンブレーキがかかる状態です。そうすると、タイヤがスリップしたり、チェーンがバタついたりします。この状態を回避するため、クラッチの圧着力を弱くする機構により、クラッチを滑らせてエンジンブレーキを軽減させます。
クラッチの動作原理については、以下の記事をご覧ください。
2022年6月公開:「自動車トランスミッションへの期待~まだまだ進化が続く」

バイクのトランスミッションはシフトペダルで操作する「マニュアルトランスミッション」と「無段階変速機」があります。マニュアルトランスミッションは「常時噛合い式」と呼ばれる構造が主流です。常にいずれかの変速ギヤがかみ合っています。シフトフォークによって所望のギヤが選択されると、「ドッグ」と呼ばれる機構で勘合し動力が伝達されます。なお、動力を伝えない「ニュートラル」状態もできる構造となっています。ライダの変速操作はシフトチェンジレバーを左足で行います。変速の方式は「リターン式」と「ロータリ式」があります。「リターン式」は1速を踏み下げて選択し、速度が上がるにつれて、レバーを上げていきます。変速の位置は4速の場合、1 ↔ ニュートラル ↔ 2 ↔ 3 ↔ 4となっています。バイクの種類によってはシーソー式のペダルとなっています。「ロータリ式」は4速の場合、ニュートラル ↔ 1 ↔ 2 ↔ 3 ↔ 4 ↔ ニュートラルと循環する機構となっています。図9はトランスミッションの構造例です。シフトペダルと直結したシフトドラムが回転すると、ドラムに刻まれた溝によって、シフトフォークが移動しギヤが選択されます。

図9 トランスミッションの構造
図9 トランスミッションの構造

「無段変速機」は4輪のCVTと同様な構造です。トランスミッションの基本構造については前述の記事※2をご覧ください。スクータでは車速に応じ遠心力を利用してプーリーの幅が変化する構造となっています。

2次減速機の方式は4種類の方式があります。「チェーンドライブ式」が一般的です(図10)。チェーンによってトランスミッションの出力を駆動輪へ伝えます。トランスミッション側のギヤと駆動輪のギヤとで変速比の変更が可能です。「ベルトドライブ式」はチェーンの代わりに、歯が付いたベルト(コクドベルトcogged belt)で駆動します(図11)。「シャフトドライブ式」はトランスミッションと駆動輪を、「ベベルギヤ」と「ドライブシャフト」で駆動する構造です(図12)。スクータの無段階変速機では「ギヤ式」が採用されています。

図10 チェーンドライブ
図10 チェーンドライブ
図11 ベルトドライブ
図11 ベルトドライブ
図12 シャフトドライブ
図12 シャフトドライブ

4 フレーム

バイクの骨格をなす部品です。主要な部品を装着する構造となっています。図13は主要なフレームの構造例です。クレードルフレームはゆりかご(cradle)のようなフレームで構成されます。セミダブルクレードルはダウンチューブを途中から2本に分けた構造です。ダイヤモンドフレームはエンジンをフレームの一部として構成しています。トラスフレームはトラス状のパイプで構成されています。

図13 フレームの構造例
図13 フレームの構造例

バイクのフレームはタイプや重量などを考慮した構造が採用されます。鉄製やアルミ製パイプ、プレス成型、ダイキャスト製法に加えて、カーボンファイバー製のフレームも採用されています。

5 サスペンション

バイクのサスペンションはフロントとリヤで構成されます。フロントサスペンションは「テレスコピック式」と「ボトムリンク式」が主流です。「ボトムリンク式」はビジネスバイクなどで採用されています。図14は「ボトムリンク式」の構造です。フォークに取り付けられているボトムリンクが支点を中心に動きます。

図14 ボトムリンク式サスペンション
図14 ボトムリンク式サスペンション

図15はテレスコピック式サスペンションの構造です。アッパーブラケットとアンダーブラケットに取り付けられているアウターチューブとインナーチューブが望遠鏡のように(telescopic テレスコピック)伸縮します。

図15 テレスコピック式サスペンション
図15 テレスコピック式サスペンション

リヤサスペンションはフレームのピボットに接続されるスイングアームとスプリング・ダンパーユニットで構成されます。スイングアームの方式は「両持ち式」と「片持ち式」があります。図16はスイングアームの構造例です。

図16 スイングアームの構造例
図16 スイングアームの構造例

スプリング・ショックアブソーバの構造は2本(ツインサスペンション)もしくは1本(モノサスペンション)が採用されています。図17、18はリヤサスペンションの構造例です。

図17 ツインサスペンションの構造例
図17 ツインサスペンションの構造例
図18 モノサスペンションの構造例
図18 モノサスペンションの構造例

6 ブレーキ

バイクは通常、前輪と後輪で独立したブレーキが備えられています。ブレーキレバやブレーキペダルを操作することで、個々のブレーキが作動します。バイクを停車させる際の速度や路面の状況、狙いとする停止距離に応じて、前輪と後輪とのブレーキ力をライダの操作によって行います。そのため、安全にブレーキを操作するためには、ライダのテクニックが求められます。近年のバイクでは前輪もしくは後輪のブレーキを作動させると前後輪を自動的に作動させるシステム(コンバインドブレーキ)が導入されています。制動時の操縦安定性や転倒防止の向上につながります。スクータでも採用されています。後述するABS(アンチロックブレーキシステム)と協調した電子制御システムも導入されています。ブレーキの構造や原理については過去の記事をご覧ください。
2021年5月公開:「自動車のブレーキ ~ますます高まる重要性」

7 ヘルメット

バイクの構造ではないですが、運転時に着用が必要なヘルメットについて解説します。ヘルメットの着用は道路交通法で定められています。該当する条項をまとめると、以下の通りです。
第九条の五 法第七十一条の四第一項及び第二項の乗車用ヘルメットの基準は、次の各号に定めるとおりとする。

  1. 一 左右、上下の視野が十分とれること。
  2. 二 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
  3. 三 著しく聴力を損ねない構造であること。
  4. 四 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
  5. 五 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
  6. 六 重量が二キログラム以下であること。
  7. 七 人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。

以上の要件を満足するヘルメットであれば法令に違反しませんが、販売されている商品は安全性を高めるための認定を取得していいます。代表的な認定や規格を紹介します。

  • SGマーク:財団法人 製品安全協会が認定します。国内で販売されている国産のヘルメットにほぼSGマークが張られています。輸入されたヘルメットにはSGマークが張られていないものもあります。
  • JIS規格(JIS T8133):SGマークより厳しいと言われています。1種(125cc以下用)、2種(無制限)
  • SNELL規格:「スネル記念財団」によって設定された基準です。バイク用だけでなく、カート用や自転車用も定められています。
  • ECE規格:欧州で使われている規格です。
  • MFJ規格:一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会(Motorcycle Federation of Japan)が規定した規格です。MFJが主催する大会では認定品を着用しないと出走できません。図19はヘルメットの代表的な種類です。バイクの種類に応じて使い分けられています。

図19 ヘルメットの種類
図19 ヘルメットの種類

エレクトロニクスシステム

近年のバイクには4輪で適用された多くのシステムが採用されています。主要なシステムを紹介します。

1 燃料噴射

電子制御によりエンジンに燃料を噴射します。スロットル角度センサ、O2センサ、吸入空気圧センサ、吸入空気温センサ、冷却水温センサ、カム角度センサなどで構成されています。

2 バルブタイミング

吸気排気バルブの開閉時期を制御します。クランク角センサ、カム角度センサ、スロットルポジションセンサ、ギヤポジションセンサなどの信号から最適なタイミングを制御します。

3 点火時期

点火タイミングを制御します。クランク角センサ、カム角度センサ、スロットルポジションセンサ、ギヤポジションセンサなどの信号から最適なタイミングを制御します。

4 電子制御スロットル

スロットル弁をモータによって電子制御します。スロットルポジションセンサ、スロットル開閉用のアクチュエータ、ECUとで構成されています。

5 エンジンマネジメントシステム

燃料制御、点火時期制御、スロットル制御などを統合したシステムも採用されています。ライダの好みを設定できる車種もあります。

6 通信

各種の電子制御が導入され、センサやデータの共有化が進み、信号や情報の送受信をCAN通信で行っています。

7 ABS

4輪のシステムと同様に、タイヤのロックを防止します。前輪と後輪に装着されたホイールのスピードを検出するセンサとECUとで構成されています。

8 前後輪連動ブレーキ

前後いずれかのブレーキが作動した時にもう一方のブレーキにも制動力を発生させるシステム。ABSと協調することで、タイヤのロックを防ぎながら効率的な制動力を発生させることができます。スクータでも採用されています。

9 トラクション

4輪のシステムと同様に駆動力を制御してタイヤのスリップを軽減します。ECUが前後のホイールに設けられが回転速度を検出するセンサやスロットル開度、エンジン回転数などの情報を元に、点火時期や燃料噴射量を制御してスリップを抑えます。最近のシステムはABSと統合した制御システムとなっています。また、ライダの好みに合わせて、スリップ量の設定が可能な車種もあります。更に進化したシステムでは、車体の動的な情報(ピッチ・ロール・ヨー角速度、前後・左右・上下加速度)に基づいてエンジン制御やブレーキ制御を最適化しています。

10 ローンチ制御

バイクは車体の重量に対して高出力の機種では発進時のスリップを抑えるために、クラッチの制御やエンジン制御を行うシステムです。レース用の車両で導入され市販車にも展開されています。

11 電子制御サスペンション

各種のセンサ信号に基づいてダンパーの減衰力を制御します。

12 灯火器関連

ランプの光源は4輪車と同様にLED(発光ダイオード)化が進んでいます。バイクのヘッドライトで特徴的なことは常時点灯させることです。海外の基準であるデイタイムランニングランプ(略語 DRL)が2020年9月から認可されました。昼間時に他の車両からの視認性が高まります。DRLとヘッドライトの同時点灯は禁止されています。明るさに応じて自動でヘッドライトが点灯します。DRLの認可によりヘッドライト周りのデザイン性が向上したと評価されています。今後の改定として2023年9月から車幅灯と側方反射器が義務化されます。DRLと同様に世界基準に合わせた保安基準の改定です。

13 アダプティブクルーズコントロール(ACC)

ライダが設定した速度を維持しつつ、先行車との車間距離を適切に保つ機能です。ECUがミリ波レーダの信号を元にエンジン制御、ブレーキ制御などのシステムと協調して最適な速度や車間距離を制御します。

14 デュアルクラッチシステム

4輪で普及しているDCT(デュアルクラッチトランスミッション)がバイクでも採用されています。オートマティックトランスミッションではないですが、変速を自動で行う機構を装備した車種が増えています。クイックシフターと呼称されています。レース用マシンの技術が展開されました。エレクトロニクス技術によりクラッチ操作を行わずに変速ができます。車種によってはシフトアップだけの機能となっています。なお、ギヤをニュートラルにする際はクラッチ操作が必要です。

15 盗難防止

バイクは自動車に比べて小型軽量であることから盗難されやすいです。防止策として、盗難抑制装置の導入が進んでいます。一例では、ライダが携行するカードキーとバイク側に装着されたECUと相互に通信し認証を行うことでハンドルロックの解除やエンジン制御の動作などを可能にするシステムです。駐車中のバイクの振動を検知して警告音を発する装置やバイクの位置をGPSの情報で特定できる装置も採用されています。

16 電動車

バイクにおいてもカーボンニュートラルへ向けて電動車の販売が始まっています。2000年前半に市販化されましたが伸び悩みました。2010年になるとバイクメーカ各社が販売を開始し、いよいよ普及が始まりました。システムの基本構成は、ブラシレスDCモータ、リチウムイオンバッテリ、ECUです。また、家庭用のコンセントで充電が可能な車載充電器も装着されています。モータとエンジンを併用するハイブリッド車も市販されています。バッテリは車体固定型や可搬型があります。可搬型のバッテリに関する規格を統一し、相互に利用できるようにする活動が開始されています。さらに、2022年4月 ENEOS、Honda、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機の5社によって、電動二輪車の共通仕様バッテリのシェアリングサービス提供などを目的とした法人 株式会社Gachaco(ガチャコと呼称)が設立されました。詳細は株式会社Gachacoのサイトをご覧ください。

電動バイクにも免許が必要です。エンジン車では排気量に応じた免許の区分となっていますが、電動バイクではモータの定格出力(モータが連続して安定的な出力)によって分けられています。免許の区分は以下の記事をご覧ください。
2022年7月公開:「自動車をとりまくルール~安心安全の基本」

関連計測器の紹介

バイク開発で使用される計測器の一例を紹介します。

図20 バイク開発で使用される計測器の例
図20 バイク開発で使用される計測器の例

その他の製品や仕様については 計測器情報ページ から検索してください。

おわりに

1989年に総務庁(現在の内閣府)がバイクの交通事故撲滅を目指し、毎年8月19日をバイクの日と制定しました。バイクは移動手段としてだけでなく、ライダがバイクと一体となって、景色や空気を直接感じることができますが、4輪とは違った安全面の意識や行動が必要です。これからも、バイクの楽しさや便利性を求めつつ、バイク業界がさらに発展することを期待します。


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