自動車ECUのインタフェース~スイッチ信号から無線通信まで多岐にわたる技術を適用
情報系のインタフェース
メディア系では多くのインタフェースが採用されています。既に紹介している規格を含めると以下の通りです。 CAN、CSI、DSI、DisplayPort™、DVI、イーサネット、FPD-Link、HART、HDMI®、I2C、IO-Link、LIN、LVDS、M-LVDS、MSDI、PCI、PCIe、PECL、RS-232、RS-422、RS-485、SAS、SATA、SDI、UART、USB。 個々の規格について解説をしませんが、この中から、カメラ等のメディア系で採用されている代表例を紹介します。
1)LVDS (Low Voltage Differential Signaling 低電圧差動信号)
生い立ちは米国 Apple社が1992年にコンピュータ内のローカルバスとして方案しました。大量のデータ伝送を特徴とします。規格上は655Mbps (ビット/秒) ですが、メーカによっては3Gbpsまで対応しています。技術的には信号の振幅を一般的な電圧レベルの3.5Vではなく、350mvに抑えたこと。また、2線式の差動信号とすることで、外来ノイズの影響を抑制しています。EMIへの影響を小さくできます。さらに、CMOS回路の駆動電流を3.5mAに抑えているので、低消費電力になります。なお、LDVSは信号の電気的特性だけが定義されています。通信プロトコルなどの上位層は規定されていません。色々な通信規格から参照されることを意図した背景があるようです。
2)車載Ethernet
最大1MbpsのCANに対して、車載Ethernetの規格 100Base-T1では100倍以上の100Mbpsでのデータ伝送が行われます。なお、PCなどのネットワーク機器で普及している100Base-TXとは仕様が異なっています。JASPAR※4では制御系への適用を見すえた車載高速通信、高信頼性化を観点にして要件定義等の活動を行っています。
一般社団法人JASPAR (Japan Automotive Software Platform and Architecture) 自動車メーカ、電装品メーカ、半導体メーカなど主要な企業が参画しています。
無線通信
最近の車両では、無線通信によるアプリケーションが多く採用されています。一例は図17の通りです。インタフェースの解説を割愛しますが、ラジオなどの放送系、ETC、GPS、電話などの通信系、スマートキーなどのボディ制御系、ミリ波レーダなどの安心安全システム系などで採用されています。無線の適用は法律によって定められているので、自由な適用は難しいですが、技術進化や色々な機能の実現に向けて採用するシステムは増えていくと推察されます。
車載用途の無線技術で最も普及しているGPSを代表とする測位システムについて紹介します。衛星測位システムはGNSS (Global Navigation Satellite System 全球測位衛星システム) と呼称されます。主要なGNSSは米国のGPS、日本の準天頂衛星 (QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo等があります。
関連計測器の紹介
車両システム開発で使用される計測器の一例を紹介します。
その他の製品や使用については計測器情報ページから検索してください。
おわりに
自動車には、数多くのセンサやアクチュエータ、機能を司るECUが搭載されています。今後、CASE (Connected (コネクティッド) 、Autonomous (自動化) 、Shared (シェアリング) 、Electric (電動化) と言われている新たな方向性の中で、既存の技術がさらに進化し、また、新たな技術の導入が進んでいくでしょう。それらの技術を自動車へ適用するためにはインタフェースは重要な技術です。今後もインタフェース技術の動向を注視することが必要です。
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