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三興コントロールの考える “計測結果の信頼性”

Q:計測の信頼性を確立するために必要なことはなんでしょうか?

計器の使用目的

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まず、計測とは、数値化することです。誰が見ても明らかな数字です。また、計器の使用目的を大きく2つに分けると、1つ目は「意識的に作り上げたものを客観視化、数値化したい」ということ。2つ目は「無意識に起こる現象を客観視化、数値化したい」ということです。

例えば、自動車の環境試験をする場合、雨を降らせたり直射日光を当てたりする試験を行います。計測(数値を得る)には、センサをどこかに設置する必要があります。そのセンサの設置場所はどのように決まっているのでしょうか。自動車業界の場合は、試験を専門に行う部門があるのが一般的です。試験は、設計・開発部門ではなく、試験を担当する部門が経験を生かして 試験をしていることが多いようです。しかし、車のデザインの理解、車が走ったときにどういうデータが欲しいかを理解して設置するのは容易なことではないと思います。

私が、MRJ(Mitsubishi Regional Jet)用の温度と圧力の試験装置の設計、製作と試用実験に携わったときのことをお話しますと、MRJを飛行させた時にどういうデータが本当に欲しいかを理解しているのは設計者でした。実際に試験を行うのは試験技術者ですが、設計者が試験内容に立ち入り試験内容について突き詰めている光景を何度も目の当たりにしました。ここで申し上げたいことは、本当に欲しいデータを突き詰める必要があるということです。モノづくり環境の変化の話にもつながりますが、設計、組み立て、検査・試験と独立してしまっているところが多いと感じます。設計者がもう少し立ち入って、本当にその“方法”でよいのかを検討して欲しいと思います。

計測結果の信頼性を確立するのは、“メソッド(方法)”を確立することと言って良いと思います。私の経験上、信頼性はメソッドで80~90%が決まってきます。仮に間違った方法でも正しいような数値が出てしまうことも良くあるので、常にその方法を見直すことも大切です。またそのメソッドが確立したら、適格性のある技術者が決められた合理的な手順(SOP:Standard Operating Procedure)に従って作業を進め、「期待された結果」を生み出せる様な文書も必要です。

Q:三興コントロールの校正事業の強みと実績を教えてください。

現場用標準器の品質管理

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メーカとユーザを科学的、技術的に結びつけるために、多くの社内標準を有機的に確立していることです。例えば、地震動、低周波騒音等の信頼性ある計測、校正には標準出力信号として10Hz以下の交流電圧標準が必要です。その為、当社は、民間企業で唯一10Hz以下の校正標準を実現し保有しております。また一つの製品は様々な物理量、化学量が組み合わさり複合的に目的の品質を達成しております。その為に出来るだけ多くの標準を確保しようと努力しております。

また、使っている状態での品質管理が重要だとお話したとおり、生産現場により近い、出張校正サービスに強みを持っています。これも例を挙げると、温度校正ではマイナス190℃まで国内では唯一出張校正が可能です。その他にも様々な「One & Only」な計測、校正サービスを行っております。

Q:若手技術者に向けて一言お願いします。

選り好みをしないで、与えられたジョブに対して色々なことに興味を持ってもらいたいです。自社活動を理解するにも最低5年はかかりますので、今の仕事を一生懸命がんばって欲しい。少し余裕が出来、周りが見えるようになったら、火中の栗を拾うようなことも行って欲しいですね。その後でその栗を良く味わえば大変に美味しかったと分るときが絶対に訪れます。

Q:最後に今後の取り組みなどございましたら、お話ください。

今も昔も考えは変わっていませんが、出来るだけ生産現場に近いところで信頼性の高い数値を提供することに努力を続けていきたいと思います。何度も申しますが、信頼性の高い数値は、科学的・技術的に裏づけされたものでなければなりません。

それと、信頼性の高い、フレキシブルなサービスで世界各国のレギュレーションに対応できるようにしていきたいと考えています。


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