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ユニバーサルカウンタの基礎と概要 (第3回)

ユニバーサルカウンタの校正

ユニバーサルカウンタの精度を維持するためには定期的な校正が必要となる。周波数の基準としてユニバーサルカウンタに内蔵されている水晶発振器の周波数校正と、その他のアナログ回路の経年変化を測定器メーカが定めた校正手順で行いトレーサビリティを確保する。

電波法における較正

電波法では無線設備の点検に使う「周波数計、スペクトル分析器、電界強度測定器、高周波電力計、電圧電流計、標準信号発生器」は法律に従った較正(校正+調整)を行うことが要求している。実際の運用では、周波数計に内蔵されたクロック発振器が周波数調整できるものであれば校正用標準器を使って再調整されるが、クロック発振器の周波数調整ができない製品では製品仕様を満たしていることのみを確認している。

ユニバーサルカウンタは周波数計に該当するため、無線設備の点検に利用する場合は電波法に従った較正を定期的に行うことが必要となる。

遠隔校正

ユニバーサルカウンタの校正作業に使われる信号発生器の周波数は国家標準にトレーサブルであることが求められる。過去には校正事業者や企業内の標準器室にある周波数標準器は校正機関に持ち込んでいたが、現在ではGSP衛星を用いて国家標準と遠隔校正ができる仕組みがある。これを用いると校正事業者や企業内の標準器室にある周波数標準器は移動させずにトレーサビリティを確立できる。

図51. 遠隔校正の仕組み

図51. 遠隔校正の仕組み

出典:今どきの高周波測定技術と測定器管理の基礎知識(電波技術協会報FORN 2015年11月号)

ただし、遠隔校正は持込校正に比べて校正の不確かさが若干劣るため必要な精度が高い場合は持込校正が必要となる。

表6. 持込校正と遠隔校正の違い
種 類 校正の形態 校正範囲 校正・測定能力(k=2)
周波数 持ち込み校正 1, 5, 10, 100 MHz 周波数測定法 2 ×10-13
5, 10 MHz 時間間隔測定法 1 ×10-13
遠隔校正 5, 10 MHz シングルチャネル
GPS受信機の場合
基線長50km 1.7×10-13
基線長500km 2.4×10-13
基線長1600km 9.3×10-13
マルチチャネル
GPS受信機の場合
基線長50km 1.1×10-13
基線長500km 1.4×10-13
基線長1600km 4.9×10-13

出典:周波数標準の校正法とその不確かさ(産総研計量標準報告 Vol. 5, No. 4 2007年1月)

おわりに

デジタルオシロスコープなど最近の測定器は水晶発振器が搭載されているため、カウンタを用いなくても精度の高い周波数などができるようになった。このためユニバーサルカウンタの利用は減少したが、時間はほかの測定パラメータより桁数が多く正確な測定が行えるため、まだ多くの分野で使われている。

今回の解説がユニバーサルカウンタの利用拡大につながることを期待するとともに、ユニバーサルカウンタを利用される方の一助となることを期待する。

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