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学び情報詳細

ユニバーサルカウンタの基礎と概要 (第1回)

カウンタが登場して以降の主な時間測定器

エレクトリックカウンタ(周波数カウンタ)

Hewlett-Packard(現在のキーサイト・テクノロジー)が1952年に最初の10MHz周波数カウンタHP 524Aを発売してから、多くの周波数カウンタが作られるようになった。日本ではタケダ理研(現在のアドバンテスト)が1957年に国産初のTR-124Bを発売した。

マイクロ波の周波数を測定するための周波数カウンタをマイクロ波カウンタと呼んでいる。

多機能なユニバーサルカウンタが安価になったため、現在では単機能な周波数カウンタは少なくなっている。

図12. 周波数カウンタ SC-7104

図12. 周波数カウンタ SC-7104(岩崎通信機)

提供:岩崎通信機

エレクトリックカウンタ(ユニバーサルカウンタ)

周波数カウンタの機能を拡張して周波数だけではなく、周期、タイムインターバル、パルス幅など時間に関するさまざまな測定が1台で行えるようにしたのがユニバーサルカウンタである。

多くのユニバーサルカウンタには高い周波数まで測定できるC入力がある。最近のユニバーサルカウンタにはマイクロ波までの周波数を測定できる機種もある。

図13. ユニバーサルカウンタ SC-7217A

図13. ユニバーサルカウンタ SC-7217A(岩崎通信機)

提供:岩崎通信機

エレクトリックカウンタ(タイムインターバルアナライザ)

タイムインターバルアナライザは連続する波形の時間情報の測定と記録を行い、統計処理をした結果やトレンドを本体画面に表示することができる測定器である。

通信、レーダ、光ディスク、レーザプリンタの開発に使われていたが、現在では高性能なユニバーサルカウンタの一部の機能となっている。

図14. タイムインターバルアナライザ TA720

図14. タイムインターバルアナライザ TA720(横河計測)

提供:横河計測

ジッタメータ

レコードプレーヤの回転ムラを検査するためのワウフラッタメータが原点となっている。その後、テープレコーダや光ディスクドライブの生産での検査に使われた時間の揺らぎ(ジッタ)を測る専用測定器となった。現在ではほかの方法で検査されるためジッタメータはあまり使われなくなってきている。

図15. 光ディスクドライブ用ジッタメータ TA120F

図15. 光ディスクドライブ用ジッタメータ TA120F(横河計測)

提供:横河計測

回転計(カウンタ方式)

モータなどの回転機械の回転速度を測るための測定器である。回転センサからパルス信号を周波数カウンタで測定して回転速度として表示するものである。

据置き型からハンディ型までさまざまな製品が存在する。

回転計(FFT方式)

回転信号の波形が歪んでいる場合は通常のカウンタ方式の回転計では測定できないため、波形をFFT(周波数分析)して得られた周波数成分から回転速度を求めるものである。

図16. FFT方式の回転計 FT-7200

図16. FFT方式の回転計 FT-7200(小野測器)

提供:小野測器

注:回転速度とは単位時間当たりに物体が回転する速さ(回数)であり、一般に回毎分(rpm)を単位として測定値が示される。回転速度は回転数と呼ぶ場合もある。

回転計(ストロボ方式)

回転体に連続して点滅する光を当てて、回転速度と点滅する光の周波数が一致した時に止まって見える現象を利用して回転体の周波数を測定する装置である。非接触で測定できる長所がある。

図17. ポータブルストロボ

図17. ポータブルストロボ(菅原研究所)

提供:菅原研究所

ユニバーサルカウンタの主な測定項目

多くの測定機能があるユニバーサルカウンタは現在最も広く使われている時間測定器である。ここではユニバーサルカウンタが持つ測定機能について解説する。

周波数

設定したゲート時間内で入力された信号の平均周波数をHz単位で表示する。測定できる周波数の範囲はA/B入力とC入力では異なるので、用途に合わせて入力を選択する。

大きく歪んだ波形や間欠的に発信する信号の周波数はカウンタでは正しく測定できない場合があるので、測定する前にオシロスコープで信号の波形を確認する必要がある。

周期

周波数の逆数であり、秒単位で表示する。下記には1秒間に50周期ある50Hz交流電源の周波数と周期の関係を示す。

図18. 100V、50Hz交流電源波形の周波数と周期の関係

図18. 100V、50Hz交流電源波形の周波数と周期の関係

デューティ比

パルス波形の周期とOFF(ゼロ)でない期間の比である。パルス幅で制御情報や測定値を伝送する場合があるため、デューティ測定が必要となる。単位はなく%で表示される。例えばLED照明の輝度はデューティ比を変化させて行っているので制御特性を評価する際に使われる。

図19. デューティ比の定義

図19. デューティ比の定義

パルス幅

パルス波の立ち上がりから立ち下りまで、もしくは立ち下りから立ち上りまでの時間をパルス幅という。単位は秒となる。

図20. パルス幅の定義

図20. パルス幅の定義

タイムインターバル

A入力の指定された信号の変化の方向(スロープ)からB入力の指定された信号の変化の方向までの時間を測定する。単位は秒となる。タイムインターバル測定では2つの入力を使うため、それぞれのケーブルによる遅延の差が影響するので、正しい測定をするためには同じ長さのケーブルを使う必要がある。

図21. タイムインターバル時間の定義

図21. タイムインターバル時間の定義

周波数比

2つの入力を使って一方に入力される信号の周波数と他方に入力される信号の周波数の比を%で示す。分周回路や逓倍回路が正しく動作しているかを評価するために使われる。

音階と周波数比

ピアノの鍵盤のドから次のドまでの周波数は2倍になっている。半音上がるたびに、周波数は2の(1/12)乗倍 = 約1.059倍ずつ高くなるように音階は作られている。

図22. ピアノの鍵盤と周波数の関係

図22. ピアノの鍵盤と周波数の関係

位相

2つの端子に入力された同じ周波数の信号の位相差を度(degree)で示す。

図23. 位相の定義

図23. 位相の定義

加算係数(カウント)

時間測定ではないが、カウンタの機能を使って、リセットしてから入力される信号のパルス数を数える機能である。精度の高い容積式流量計で積算流量を測るときに使われる。

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