ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第2回)
ファンクションジェネレータの拡張機能
ファンクションジェネレータの基本機能はアナログ方式ファンクションジェネレータからある機能である。DDS方式ファンクションジェネレータになってからは新たに自由に波形を作ることができる任意発生機能や、複数の波形をリアルタイムに接続して複雑な波形を発生するシーケンス発振機能が実現できるようになった。
任意波形発生機能
関数で定義できる波形やオシロスコープや記録計など波形測定器で得た波形を再現させて実験や検査などを行う場合に使う機能である。
簡単な任意波形の作成であればファンクションジェネレータ本体で行えるが、複雑な波形の作成は、測定器メーカから提供されるパソコン上で動作する任意波形作成プログラムを使うことになる。作成した波形はUSBメモリなどの記録媒体や通信経由でファンクションジェネレータ本体にダウンロードして使用する。
DDS方式ファンクションジェネレータは波形メモリに記録された波形の読み出し方を制御して周波数を変化させる構造であるため、周波数を上げていくと波形メモリに記録された波形データを読み飛ばしていくため、波形の再現性には限界がある。このため利用するには発生波形の再現性をオシロスコープなどによって事前に確認する必要がある。
シーケンス発振機能
シーケンス発振機能は波形、波形パラメータを複数定義して、発生する手順を決めていくことができる機能である。シンプルな波形の組み合わせで作られている試験波形を作成するときに利用する。
提供:エヌエフ回路設計ブロック
図27のような波形はステップ0からステップ4までシンプルな波形で構成されている。
- ステップ0 0Vの直流電圧、発生時間は100mS
- ステップ1 50Hz、3Vp-pの正弦波(連続)、発生時間は100mS
- ステップ2 100Hz、8Vp-pの正弦波(連続)、発生時間は50mS
- ステップ3 100Hz、1Vp-pの正弦波(連続)、発生時間は100mS
- ステップ4 50Hz、1Vp-p~10Vp-p正弦波(振幅スイープ)、発生時間100mS
これらの波形を本体のパネルから表1のように定義してシーケンスを完成させる。
制御パラメータ | チャネルパラメータ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ステップ | ステップ 時間[ms] |
Step Term |
波形 | 周波数 [Hz] |
Action | 振幅 [Vp-p] |
Action |
0 | 100 | DC | Const | 0 | Const | ||
1 | 100 | Sine | 50 | Const | 3 | Const | |
2 | 50 | Sine | 100 | Const | 8 | Const | |
3 | 100 | Sine | 50 | Const | 1 | Const | |
4 | 100 | End | Sine | 50 | Const | 10 | Sweep |
ファンクションジェネレータの周辺機器
多くのファンクションジェネレータの出力は50Ωインピーダンスの出力で、最大振幅は20Vp-p(開放時)となっている。電子回路を評価する場合は、ファンクションジェネレータの出力をそのまま評価対象の回路に接続して利用できる場合は多いが、評価対象を駆動するのに多くのエネルギーが必要な場合は増幅器が必要になる場合がある。また信号のひずみ率をよくしたい場合などは、高調波を除去するために外部にフィルタが必要になる。
ここではファンクションジェネレータと合わせて使われる増幅器やフィルタを紹介する。
高速バイポーラ電源
ファンクションジェネレータからの信号をコイルやコンデンサに加える時には4象限動作が可能なバイポーラ電源を用いる。高速バイポーラ電源は直流からMHz帯域の広帯域な波形まで駆動することができるので、さまざまな実験や試験を行うために使われる。バイポーラ電源の出力インピーダンスは低いためエネルギーを供給する用途に使える。
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周波数可変フィルタ
A/D変換器や音響機器の評価には超低ひずみの信号が必要になる。ファンクションジェネレータから出力される正弦波のひずみを低減させるために、外部にアナログフィルタを出力に接続することが有効である。実験や試験に使う超低ひずみの正弦波の周波数が複数ある場合は周波数可変フィルタを利用すると便利である。
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