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ファンクションジェネレータの基礎と概要 (第1回)

DDS方式ファンクションジェネレータの構造

現在、よく使われているエヌエフ回路設計ブロックのWF1974(図10)を例にとって実際のファンクションジェネレータの構造を説明する。

WF1974は2出力で0.01μHzから30MHzまで任意波形を含むさまざまな波形を発生できるDDS方式のファンクションジェネレータである。変調機能、トリガ機能、スイープ機能だけではなく、波形、周波数、振幅などのパラメータをプログラムして順次出力するシーケンス機能を持っている。

図10. マルチファンクションジェネレータWF1974(2006年)

図10. マルチファンクションジェネレータWF1974(2006年)

提供:エヌエフ回路設計ブロック

WF1974のブロック図は図11の通りである。2出力のファンクションジェネレータであるため、アナログ部は同じ回路が2系統ある。

図11. エヌエフ回路設計ブロックのWF1974のブロック図

図11. エヌエフ回路設計ブロックのWF1974のブロック図

提供:エヌエフ回路設計ブロック

WF1974は大きく分けて波形を発生させるアナログ部、パネルや外部からの制御信号を本体に伝えるシステムコントロール部、電源部に分かれている。

アナログ部

アナログ部は波形発生を行うDDS回路と出力アンプおよび変調入力回路、同期信号出力回路によって構成されている。DDS回路は20MHzから作り出した120MHzの固定周波数クロックで動作している。

アナログ部はCHごとにそれぞれケースから絶縁された状態になっているため、接続される対象物からのコモンモード電流の流れ込みはない。但しケースと出力端子間のコモンモード耐電圧は最大42Vpk(DC+ACpeak)となっているため注意が必要である。

システムコントロール部

システムコントロール部にはマイクロプロセッサが搭載されており、パネルにあるキーボード、通信ポートから得られるコマンド、トリガ信号に従ってファンクションジェネレータ全体を制御している。DDSクロックの基準となる20MHzの源振を持っており、アナログ部に供給している。

電源部

WF1974の電源部はグローバル仕様になっており、90Vから250Vの交流電圧に対応している。

ファンクションジェネレータ利用でよくある疑問点

負荷に出力可能な電流は?

多くのファンクションジェネレータの出力インピーダンスは50Ωとなっている。そのため、仕様には開放時と50Ω終端時の最大出力電圧が書かれている場合が多い。

出力電圧設定が開放電圧基準の場合、図12から判るように終端抵抗を出力インピーダンスに合わせて50Ωとした場合は設定値の半分の電圧が測定される。

図12. ファンクションジェネレータの出力インピーダンス

図12. ファンクションジェネレータの出力インピーダンス

従って、負荷に50Ωより小さなインピーダンスであった場合はより小さな電圧値が測定される。ファンクションジェネレータを用いて、インピーダンスの低いコイルなどの部品を駆動する際には外付けのバイポーラ増幅器が必要となる。

音響機器を対象にした古いファンクションジェネレータでは出力インピーダンスが600Ωの製品があるので注意が必要でなる。

出力をショートした場合はどうなるか?

ファンクションジェネレータの出力インピーダンスは50オームであるため、出力を短絡すると大きな電流が流れて破損する危険がある。また負荷が電位を持っている場合は負荷側からファンクションジェネレータに電流が流れ込み破損する危険がある。

破損の防止が考慮されているファンクションジェネレータでは、出力が上記のような異常な状態を検出したとき、エラーメッセージを画面に表示して、出力がONにならないように制御される。

出力が非絶縁タイプの場合はどんな注意が必要か?

安価なファンクションジェネレータでは波形出力が非絶縁となっている場合がある。非絶縁出力をコモンモード電位に異なる負荷に接続する場合は接地電流が流れるため正しい計測ができない可能性がある。このため安心して使うには出力が絶縁されたモデルを選ぶのがよい。


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