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FFTアナライザの基礎と概要 (第3回)

FFTアナライザの校正

FFTアナライザは周波数、振幅、位相の精度が保証される必要があるため、信頼できる測定を行うには定期的な校正が必要となる。

一般的なFFTアナライザでは下記のような校正項目があり、結果は成績表に記される。

表6. FFTアナライザの校正項目(代表例)
校正項目 条件
信号入力 DCオフセット電圧 無入力(50Ω終端)
ノイズ 無入力(50Ω終端)、最大入力帯域
チャネル間の振幅差 複数の振幅、周波数点
チャネル間の位相差 複数の振幅、周波数点
振幅フラットネス 複数の振幅、周波数点
アンチエリアジングフィルタ効果 振幅固定、複数の周波数点
測定周波数確度 振幅固定、複数の周波数点
2次、3次高調波ひずみ 正弦波の大振幅、小振幅
プリアンプ内蔵型センサ駆動電流源(CCLD)の動作
外部制御 外部トリガ動作
外部サンプリング動作
信号出力 信号出力のDCオフセット設定電圧 信号振幅ゼロ
信号出力の振幅設定電圧 正弦波、周波数固定で評価
信号出力の周波数フラットネス 正弦波、振幅固定で評価
スエプトサイン動作
ランダム信号動作
ピンクフィルタ動作
信号出力の全高調波歪 複数の周波数点

FFTアナライザをよく利用する自動車産業では国際的な取り引きが多いため、国際規格のISO/IEC17025で定められた手順に従って、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の認定センターが第三者として校正の能力を認定した校正事業者での校正が要求される場合がある。一般にこの校正のことをJCSS校正といっている。JCSS校正は一般校正と異なるため、校正された結果は「不確かさ」で表現される。「不確かさ」の考え方については製品評価技術基盤機構(NITE)の認定センターから「不確かさの入門ガイド」という解説書が公開されている。

おわりに

FFTアナライザは振動や音響の測定では必須の測定器である。利用にはFFTアナライザとセンサの知識が必要となる。実際の測定ではセンサの取付け方や測定結果の解釈など経験が必要となる場合があるので、FFTアナライザのメーカや輸入商社が主催するセミナーで知識を習得することが有効である。

今回のFFTアナライザの記事が振動や音響の測定の助けになることを願っている。

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