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デジタルマルチメータの基礎と概要 Part2 (第3回)

デジタルマルチメータの校正

信頼性の高い測定結果を得るためには、トレーサビリティが保障された標準器を使って定期的に校正を行う必要がある。

ここではキーサイト・テクノロジーが公開している34401Aの校正体系で説明する。校正体系の最上位は産業技術総合研究所が管理している国家標準となっており、測定器メーカが保有する一次標準器は国家標準によって値付けされる。製品は測定器メーカが保有する一次標準器によって値付けされた作業用標準器を使って校正作業を行う。

下記の図は直流電圧のトレーサビリティを示す図になっているが、マルチメータには交流電圧、直流電流、交流電流、抵抗などさまざまな測定項目について校正を行う必要がある。

図41. デジタルマルチメータ34401Aの校正体系

図41. デジタルマルチメータ34401Aの校正体系

校正作業を利用者自身が行う場合は専用の発生器を使って校正を行う。発生器は対象とするデジタルマルチメータの性能によって異なるので注意が必要である。

正確な校正を行うには23℃の環境が必要となるため、温度管理がされた部屋が必要となる。

図42. デジタルマルチメータの校正に使う標準発生器(フルークの例)

図42. デジタルマルチメータの校正に使う標準発生器(フルークの例)

デジタルマルチメータの具体的な校正方法については「Guidelines on the Calibration of Digital Multimeters(デジタルマルチメータの校正のガイドライン)」がEURAMET(欧州国立計量研究所連合)から発行されており、日本語版は日本適合性認定協会のホームページに公開されている。

おわりに

デジタルマルチメータは最も基本的な測定器であり、最も早くデジタル化した測定器である。用途に応じたデジタルマルチメータの選定と安全で正しい測定を行うことにこの記事が役立てば幸いである。

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