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試験用交流電源の基礎と概要 (第2回)

<連載記事一覧>

第1回:「はじめに」「交流電源装置とは」「電力会社から供給される商用交流電源」「商用交流電源の電源品質」「評価や検査で使われる交流電源装置」「【コラム】 古くからあり現在でも使われ続けている交流電源機器」

第2回:「スイッチング方式の試験用交流電源の仕組みとパネル」「試験用交流電源と機器や装置の接続」「試験用交流電源使用上の注意事項」「試験用交流電源の設置上の注意点」「【コラム】 広帯域の交流信号を使うときに使われるリニア電源」

第3回:「試験用交流電源の用途」「おわりに」「【インタビュー】エヌエフ設計ブロックの試験用交流電源事業の取組み」

今回は試験用交流電源を使う上で必要な知識である「電源の仕組み、機能や性能の理解、仕様上の注意点」などについて解説する。

スイッチング方式の試験用交流電源の仕組みとパネル

試験用交流電源で最もよく使われるのがスイッチング方式であるため、エヌエフ回路設計ブロックのDP020ASを事例に解説を進める。

試験用交流電源の構造

評価や検査を目的としている試験用交流電源は電源品質のよい交流を発生させるだけではなく、試験に要求されるさまざまなことに対応できるようになっている。

下図にはエヌエフ回路設計ブロックのDP020ASのブロック図を示す。

図18. スイッチング方式の試験用交流電源(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図18. スイッチング方式の試験用交流電源(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

入力は電力会社から供給される商用交流であり、出力はパネルなどから設定した電圧や周波数などの状態の交流が絶縁(アイソレーション)された形式で出力される。そのほかにも外部信号と連携して動作する仕組みもあり、評価や検査の環境を作るのに便利な機能を持っている。

試験用交流電源の前面パネル

試験用交流電源はさまざまな機能があるため、人が操作を行う前面パネルにはいくつかのキースイッチやダイヤルがある。最新の高機能な試験用交流電源では液晶パネルとソフトキーを使って設定を行うようになっている。

下図はエヌエフ回路設計ブロックのDP020ASの前面パネルを示す。

図19. 試験用交流電源の前面パネル(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図19. 試験用交流電源の前面パネル(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

試験用交流電源の利用で最も基本的な設定は「電圧、電流、周波数」であるので、上記の製品では操作性をよくするために専用の設定キーが用意されている。

試験用交流電源の背面パネル

試験用交流電源の背面パネルには商用交流電源に接続する入力端子と試験対象に接続する出力端子がある。そのほかにも制御用の端子などがある。

図20. 試験用交流電源の背面パネル(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図20. 試験用交流電源の背面パネル(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

背面端子にある電源入力端子および出力端子には感電事故の危険がある高電圧が印加されているので、使用する際には必ず樹脂製の端子カバーを取り付けるようにする。

試験用交流電源の機能

最近の試験用交流電源は多くの機能を持ってさまざまな試験に使えるようになっているが、最もよく使う用途は周波数と電圧を設定してひずみのない正弦波の交流電源を測定対象の機器に供給することである。下図に示すように高機能な試験用交流電源でよく使う機能は実線の範囲のみであるので、高度な使い方でなければ操作は容易である。

図21. 試験用交流電源の基本操作で使う機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図21. 試験用交流電源の基本操作で使う機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

試験用交流電源に搭載されている拡張機能

ここではエヌエフ回路設計ブロックのDP020ASに搭載されている主な拡張機能を説明する。

① 出力波形の選択機能

試験用交流電源では多くの場合は正弦波の交流を使うが、試験によっては正弦波でない交流が必要になる場合がある。下図に示すように最近の試験用交流電源ではPCを使えば任意波形も可能になっている。

本体のみで設定できる波形は正弦波と正弦波の山と谷の部分が平たんになっているクリップ(飽和)正弦波である。クリップ正弦波を選んだ場合はクリップ率もしくはクレストファクタを設定する。

図22. 選択できる波形(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図22. 選択できる波形(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

DP020ASではファンクションジェネレータなどを使って外部から波形信号を入力して出力することができる。

② 計測機能

試験用交流電源には交流出力の状態をモニタする機能がある。この機能は交流電源本体に実装された計測機能であるため、精密な計測が必要な場合は外部に校正されたパワーアナライザなどを接続することが望ましい。

図23. 試験用交流電源の計測機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図23. 試験用交流電源の計測機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

③ リミッタ設定機能

リミッタ設定機能は試験用交流電源の出力を接続した機器や装置の許容範囲を超える電圧や電流が印加されて破損することを防ぐための機能である。リミッタ設定できる項目は下図のとおりである。

図24. 試験用交流電源にあるリミッタ設定機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図24. 試験用交流電源にあるリミッタ設定機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

④ 外部制御機能

試験用交流電源をPCやPLCなどの外部機器で制御する場合に使う機能である。PCの場合は通信機能を使い、PLCの場合は通信機能もしくはコントロールI/O機能を使う。下図には外部制御機能を示す。

図25. 試験用交流電源の外部制御機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図25. 試験用交流電源の外部制御機能(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

試験用交流電源を使って検査装置などを構築する場合は安全を確保するために、緊急停止機能を動作させる「SHUT DOWN 入力」を組み込むことを推奨する。この機能は無電圧接点があれば実現できるので、装置に緊急停止ボタンを取り付けるだけで実現できる。

図26. SHUT DOWN機能の実現方法(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

図26. SHUT DOWN機能の実現方法(エヌエフ回路設計ブロック DP020AS)

試験用交流電源の主な仕様

ここではエヌエフ回路設計ブロックのDP020ASの主な仕様項目で解説する。

① 電圧・電流・周波数

試験用交流電源は出力電力容量の範囲で仕様にある電圧と電流の上限まで出力することができる。このため電圧値が最大の場合は出力容量の制限があり、仕様にある電流値の上限まで発生させることはできない。また、発生できる電圧値は動作モードや波形によって制限を受けるため注意が必要となる。

発生できる周波数範囲は動作モードによって異なる。DP020ASでは動作モードがACの場合は40Hz~1500Hz、ACHFの場合は40Hz~5000Hz、ACDCモードでは1Hz~1500Hzとなっている。

②ロードレギュレーション/ラインレギュレーション

試験用交流電源の安定性を示す重要な指標である。それぞれの定義は下記のようになっている。

図27. ロードレギュレーションとラインレギュレーションの定義

図27. ロードレギュレーションとラインレギュレーションの定義

DP020ASのロードレギュレーションを示す指標は出力電流変動という表現で示されている。

DC、10 Hz~100 Hz : ±0.1 V(100Vレンジ) / ±0.2 V(200Vレンジ)以内
100.1 Hz~550 Hz : ±0.3 V (100Vレンジ)/ ±0.6 V(200Vレンジ)以内
550.1 Hz~1500 Hz : ±1.0 V (100Vレンジ)/ ±2.0 V(200Vレンジ)以内

DP020ASのラインレギュレーションは入力電圧変動という表現で示されている。

±0.1 %以内 (typ.)

③ 負荷力率

低力率の負荷を接続した場合でも正常に動作することを保証できるかを示す指標である。DP020ASの場合は「0~1」となっているので、負荷の力率に考慮する必要はない。試験用交流電源にコンデンサを負荷として接続した場合の電圧と電流の観測結果を下記に示す。

図28. 負荷力率が0に近いコンデンサ負荷接続時の試験用交流電源の電圧と電流の波形

図28. 負荷力率が0に近いコンデンサ負荷接続時の試験用交流電源の電圧と電流の波形

出典:プログラマブル交流電源 DPシリーズカタログ(エヌエフ回路設計ブロック)

④ 温度係数

電子部品は温度によって特性が変化するため、試験用交流電源の出力も周囲温度に依存する。長時間にわたる試験では周囲温度の変化があるので温度係数を着目する必要がある。

DP020ASでは周波数確度が「±0.01% of set(23 ℃±5 ℃)」となっているため、周囲温度が18℃~28℃の範囲で使う場合は設定時の温度からの出力の変化の範囲を規定できる。

⑤ 保護機能

評価や検査を行う際に異常な状態が検出された場合、試験用交流電源に接続された機器や試験用交流電源を守るために保護機能が搭載されている。下図にはDP020ASに搭載されている保護機能を示す。

図29. DP020ASの保護動作(出力オフとリミット動作のみ詳細表示)

図29. DP020ASの保護動作(出力オフとリミット動作のみ詳細表示)

試験用交流電源と機器や装置の接続

出力が絶縁されている試験用交流電源を使って単相2線、単相3線、三相3線、単相4線の給電方式を実現する接続を示す。

① 単相2線

単相2線は日本では住宅やビルの100Vコンセントと同じになる。絶縁された単相出力の試験用交流電源と負荷は下図に示すように直接接続することができる。電力会社から供給される商用電源の場合はLo側が安全のために柱上トランスやキュービクル内のトランスで接地されているが、出力が絶縁されている試験用交流電源の場合ではLo側は接地されていない違いがある。

出力が絶縁されている試験用交流電源で単相2線の一端を接地する必要があれば、出力端子の1つと接地されているケース端子を配線で接続する。

図30. 単相2線での試験用交流電源と負荷との接続

図30. 単相2線での試験用交流電源と負荷との接続

負荷の消費電力が試験用交流電源1台で供給できる電力より大きい場合は、試験用交流電源が並列運転できる場合は下記のような配線を行って供給電力を増やすことができる。ただし並列運転できる台数には上限があるので確認する必要がある。また2台の試験用交流電源を同期運転させるための試験用交流電源間の配線と本体の設定が必要となる。

図31. 単相2線での試験用交流電源2台と負荷との接続

図31. 単相2線での試験用交流電源2台と負荷との接続

② 単相3線

単相3線を出力が絶縁されている2台の試験用交流電源を使って構築する場合は下図のようになる。単相3線の場合は2つの試験用交流電源の出力の位相が180度異なるように電源間の配線と設定をしなければならない。電力会社から供給される商用電源の場合はLo側が安全のために柱上トランスやキュービクル内のトランスで接地されているが、出力が絶縁されている試験用交流電源の場合ではLo側は接地されていない違いがある。

図32. 単相3線での試験用交流電源と負荷との接続

図32. 単相3線での試験用交流電源と負荷との接続

③ 三相3線

三相3線の給電を実現するには絶縁された出力を持つ試験用交流電源を3台使用する。それぞれの試験用交流電源の出力の位相が120度ずらすように電源間の配線と設定をしなければならない。電力会社から供給される三相3線の商用電源の場合は3相線のうち1本が安全のために柱上トランスやキュービクル内のトランスで接地されているが、出力が絶縁されている試験用交流電源の場合ではL1からL3までのすべての相が接地されていない違いがある。

図33. 三相3線での試験用交流電源と負荷との接続

図33. 三相3線での試験用交流電源と負荷との接続

④ 三相4線

三相3線と同じで絶縁された出力を持つ試験用交流電源を3台使用する。それぞれの試験用交流電源の出力の位相が120度ずらすように電源間の配線と設定しなければならない。電力会社から供給される三相4線の商用電源の場合は中性線が安全のために柱上トランスやキュービクル内のトランスで接地されているが、出力が絶縁されている試験用交流電源の場合では中性線Nが接地されていない違いがある。

図34. 三相4線での試験用交流電源と負荷との接続

図34. 三相4線での試験用交流電源と負荷との接続

試験用交流電源使用上の注意事項

試験用交流電源を使用する際には注意や事前の確認が必要なことがある。

① 感電防止

試験用交流電源からは大きなエネルギーが出力されるため、人が活線に触れた場合は事故を生じる危険がある。

日本電気協会では50V以上の電圧を「通常の人体状態において接触電圧が加わると、危険性が高い状態」と定めている。試験用交流電源では商用電源と同じ電圧を発生させる場合が多いので、感電事故が起きないようにしなければならない。

試験用交流電源を使う場合は下記の点を考慮する必要がある。

  • 安全のため試験用交流電源と接続した機器や装置のケースは接地を取る
  • 電圧が印加されている金属部分に人が触れないように絶縁物でカバーをする
  • 感電の危険がある作業を行う場合に作業者は絶縁用ゴム手袋などの絶縁用保護具を装着する
  • 感電の恐れのある場所に人が立ち入らないように掲示をする

② 負荷特性の把握

試験用交流電源に接続した機器や装置に電源を投入した時に大きな突入電流が発生して電源の保護機能が動作して電源供給が停止する場合がある。ほかにもモータへの電源供給を停止した時にモータの回転が停止するまでモータが発電機として動作して試験用交流電源に電圧を印加する場合がある。このように負荷の特性を十分理解して電源装置と接続することが求められる。

③ 配線ケーブルの選択

試験用交流電源出力に機器や装置を接続する場合は配線による電圧降下の影響を少なくするために適切な電線を選ぶ必要がある。

下図に示すように試験用交流電源と接続する機器や装置までの距離および出力電流によってケーブルを選択することが必要である。

図35. JIS C3307規格「より線IVケーブル」での電圧降下が0.5Vに収まるケーブル長

図35. JIS C3307規格「より線IVケーブル」での電圧降下が0.5Vに収まるケーブル長

10kHz以上の交流を取り扱う場合は表皮効果や近接効果の影響を少なくするために細い絶縁電線を複数撚り合わせたリッツ電線を使用する。

配線の引き回しや機器の配置

試験用交流電源と測定器を用いて機器や装置の試験や検査を行う環境を構築する場合は誘導、伝導、放射のノイズの影響を受けること考慮する必要がある。下図にどのように影響を受けるかを示す。

図36. 交流電源装置と電力計を使って消費電力を測定する際のノイズの混入の可能性

図36. 交流電源装置と電力計を使って消費電力を測定する際のノイズの混入の可能性

試験用交流電源を使う場合のノイズ対策はインバータ装置のノイズ対策と同じである。日本電機工業会が2011年に発行した「インバータの上手な使い方 電気ノイズ予防対策について」の一部を下記に抜粋する。

表7. 試験用交流電源装置のノイズ対策
ノイズ障害の防止方法 対策のねらい 伝搬経路
ノイズを受けにくくする ノイズの伝達を断つ ノイズを封じ込める ノイズレベルを下げる 伝導ノイズ 誘導ノイズ 放射ノイズ
配線及び設置 主回路、制御回路の配線分離
最短配線距離
平行配線,束線の回避
適切な接地
シールド線 、ツイストシールド線の採用
主回路シールドケーブルの採用
金属配線管の使用
ノイズ対策用機器 ラインフィルタ
絶縁変圧器
ノイズを受ける側の処置 信号回路の入出力端子部にパスコンの採用
信号回路にフェライトコアなどの採用
ラインフィルタ
その他 電源系統の分離

出典:インバータの上手な使い方 電気ノイズ予防対策について (日本電機工業会 2021年9月15日)をもとに作成
https://www.jema-net.or.jp/randb-archives/DS5202_202109.pdf

試験用交流電源の設置上の注意点

試験用交流電源は人が持って運べる大きさから、ラックに組み込んだ大型の製品まで存在するため設置する際の注意点がある。

接地の確保

試験用交流電源を使った測定環境を構築する場合は安全やノイズ低減を目的として接地を取る必要がある。

大容量の試験用交流電源装置の場合は他の測定器が使う接地とは別に電源専用の接地を取った方がよい場合がある。

図37. 大容量試験用交流電源装置を使う場合の電源や接地の配線例

図37. 大容量試験用交流電源装置を使う場合の電源や接地の配線例

搬入作業

重量があるラックに実装された試験用交流電源を搬入する場合は下記の点についてあらかじめ検討して準備が必要である。

表8. 試験用交流電源装置の搬入時の注意点
搬入前 現地調査
  • 搬入経路(通路幅、高さ制限、カーブ、段差、障害物)を詳細に確認する
  • 分電盤から受電できる容量を確認する
  • 設置場所の床の耐荷重、平坦性、電源・配管位置を確認する
  • クレーン設置場所の地盤強度や揚程、電線等の障害物を確認する
  • 警察署への道路使用許可申請の必要の有無を確認する
安全・環境対策
  • 壁・床・エレベーターなどの養生を徹底する
  • 近隣住民や関係部署への説明・許可を得る
  • 作業エリアの障害物を事前に片付ける
機材・人員
  • 重量、バランス、特性に合った搬入機材(台車、クレーン等)を選定・準備する
  • 人員と安全装備(軍手、安全靴等)を確保する
搬入中 安全確保
  • 搬入経路の整理整頓状況、通路の状況、養生や保護の状況を確認する
  • 作業員の保護具(ヘルメット、手袋、安全靴等)の装着を確認する
  • 作業員や関係者への作業手順が周知されていることを確認する
  • 事故などの緊急時の対応ができることを確認する
衝撃・振動・結露
  • 段差がある場合は搬入機材に衝撃や振動が伝わらないようにする
  • 振動によって台車から搬入機材が落下しないように固定する
  • 搬入機材に結露しないように大きな温度差が急激に生じないようにする
搬入後 確認と固定
  • 搬入機材にキズやへこみがないことを確認する
  • 搬入機材を固定して水平に設置されていることを確認する
  • 指定された配線や配管の接続を行う
動作の確認
  • 絶縁などの安全が確認されたのちに手順に従って試運転を行う
  • 搬入機材に異常な発熱や異音がないこと確認する
作業終了の確認
  • 搬入作業に使った機材や梱包材などを撤去する
  • 搬入経路に破損や異常がないかとを確認する
  • 関係者に作業の終了を伝えて承認を得る

下記に示すように大型の試験用交流電源の場合は重量があるので、搬入経路や設置場所の床荷重を超えないことを確認する必要がある。

表9. 試験用交流電源の質量(DPシリーズ、エヌエフ回路設計ブロック)
型名 DP015S DP030S DP045S DP060S DP075S DP090S DP105S DP120S DP160LS DP240S DP360S DP420LS DP480LS
電力容量
(kVA)
1.5 3 4.5 6 7.5 9 10.5 12 16 24 36 42 48
質量
(kg)
38 50 70 82 110 125 140 155 230 345 510 600 650

地震対策

重量がある試験用交流電源は地震によって転倒した場合や机や棚から落下した場合は大きな被害が発生する可能性があるので地震対策が必要である。ラックに実装された試験用交流電源は転倒防止金具やキャスタを固定する道具を使うことを勧める。また机の上に置いて使う小型の試験用交流電源は机や棚からの落下を防ぐためにバンドで固定することが望ましい。

分電盤からの商用電源の配線

中型から大型の試験用交流電源では分電盤から商用電源の供給を受けることになるため、分電盤の容量を超えないことをあらかじめ確認する必要がある。また分電盤から試験用交流電源装置までの配線作業には電気工事士の資格が必要なので資格を持った作業者の確保も搬入前に行う必要がある。

【コラム】 広帯域の交流信号を使うときに使われるリニア電源

試験用交流電源は商用電源と同じ周波数で利用する場合が多いが、圧電素子や高周波リアクトルなどの部品の評価をする場合は1kHz以上の周波数の交流が必要となる。

スイッチング方式の試験用交流電源は効率がよいが、直流から広帯域までの信号を取り扱うことはできない。そのためリニア方式のバイポーラ増幅器を使った交流電源が利用される。

表10. 広帯域の交流の発生に使うバイポーラ電源(エヌエフ回路設計ブロック)

型名 HSAシリーズ
HSA42011 HSA42012 HSA42014 HSA42051 HSA42052
周波数帯域 DC~1MHz DC~500kHz
出力電圧 150Vp-p 300Vp-p
出力電流 AC 3Ap-p
1.06Arms
6Ap-p
2.12Arms
12Ap-p
4.24Arms
2.83Ap-p
1Arms
5.66Ap-p
2Arms
DC ±1A ±2A ±4A ±1A ±2A
型名 BPシリーズ
BP4610 BP4620 BP4630 BP4640 BP4650 BP4660 BP4670 BP4680 BP4690 BP46100
周波数帯域 DC~200kHz(CV、出力振幅12Vp-p)
DC~70kHz(CC、出力振幅12Vp-p)
DC~170kHz(CV、出力振幅12Vp-p)
DC~70kHz(CC、出力振幅12Vp-p)
出力電圧 ±60V、120Vp-p
リミッタ設定により-5V~+115V、-115V~+5Vまで出力範囲をシフト可能
出力電流 AC ±15A ±30A ±45A ±60A ±75A ±90A ±105A ±120A ±135A ±150A
DC ±10A ±20A ±30A ±40A ±50A ±60A ±70A ±80A ±90A ±100A
型名 4500シリーズ
4502 4505 4510 4520A
周波数帯域 DC~20kHz
出力電圧 ±170V(DC)、120Vrms
出力電流 AC 2.1Arms 4.2Arms 8.3Arms 16.7Arms
DC ±1.9A ±3.8A ±7.5A ±15.0A

電波法では10kHz以上の周波数を利用する通信設備や医療や工業などで利用する通信以外の設備を利用する場合は総務省総合通信局への設置許可申請と許可が必須である。違反した場合は罰則があるため、高周波利用設備に該当するかを事前に確認する必要がある。

図38. 電波法で設置許可が必要な高周波利用設備

図38. 電波法で設置許可が必要な高周波利用設備

詳しくは総務省の下記のホームページに書かれている。

高周波利用設備(総務省)
https://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/other/koshuha/index.html

執筆協力:株式会社エヌエフ回路設計ブロック ホームページは こちら

執筆:魚住 智彦 測定器メーカに長年勤務して、現在は測定器の解説記事を執筆している

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