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東陽テクニカ 自動運転を見据えたDMTS(Driving&Motion Test System)ステアリングが切れるシャシダイナモメータを披露

屋内のテストラボで限りなく実走行に近い状態を再現


 カメラやミリ波レーダを装着したプローブカーで公道を走行して収録した画像を使い、ラボで再現走行を行う。運転席前面には3枚のモニターがある(図3)。動画は、撮影した生の画像ではなく、車の運動を計算して振動を補正して取り除いた揺れのないものだ。些細なことだが、振動計測の老舗である同社の技術が、リアルな実車感の実現に活かされている。「将来は車速やステアリングに連動した走行動画にする計画だ」(東陽テクニカ 技術研究所 副主幹 木村 尚史氏)。

 エンジンを始動してアクセルを踏むと、車速や回転数、トルクなどのグラフがモニターに現れる(図4)。ライトをON/OFFした際にどれ位の消費電力が変わるかも表示される。車の前方にはファンがあり車速(160kmまで)に連動した風を当てている(図5)。

toyo木村氏

生画像と補正画像を説明する木村 尚史氏

図3 助手席から見た風景

図3 助手席から見た風景

図4 速度160km/h走行時のモニター画面

図4 速度160km/h走行時のモニター画面

図5 モニター画面側から見たラボ。車の前方からファンで風を当てている

図5 モニター画面側から見たラボ。車の前方からファンで風を当てている


従来品より工数軽減で新規分野へも拡販


 ハブ式ダイナモメータの価格は、一式2.5~3.5億円で、従来のローラ式と工事費用も含めればぼぼ同額だが、地下を掘って設備を作るより工数は大幅に軽減できる(図5)。

 「シャシダイナモメータの国内需要は、老朽更新と新設を合わせて年間100式と見込んでいる。すでにCDMとして2式を販売したが、来年度はDMTSで5式+αの販売を計画している。2020年の売上目標100億円の内、半分の50億円はDMTSで稼ぐ」(東陽テクニカ 機械制御計測部 統括部長 袋 晴夫氏)。

 従来のダイナモメータは、エンジン開発部門が主に設備していたが、今後は車体開発部門の需要も期待しているようだ。また自動運転は、センサとECUのリンクなど、まだ試験方法が確立していないブルーオーシャンである。来年度の販売目標の5式も「営業責任者としての控えめな数値」(木内 健雄氏)との発言が印象的だった。

図5 従来のダイナモメータとの比較イメージ

図5 従来のダイナモメータとの比較イメージ

toyo木内氏と袋氏

木内 健雄氏(右)と袋 晴夫氏


TechEyesOnline取材班
 
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