電子負荷と直流電源が一体型の回生電源 Mywayプラス pCUBE
Mywayプラス株式会社(以下、Mywayプラス)から、回生型直流電源が提供されている。2012年に発売以来、現在も販売が好調なpCUBEについて、Mywayプラスの東日本営業所長の平元氏に製品特長やアプリケーションなどを聞いた。

電子負荷と直流電源が一体型の回生電源 pCUBE
pCUBEは、「直流電源」と「電子負荷」を一体型にした回生型直流電源である。まず特長は小型であることだ。直流電源と電子負荷が別々のハードウェア構成の場合はそれぞれに部品が必要になるが、pCUBEは一体型であるため必要部品も最小限度で製品化ができる。
一般的な電子負荷のように回生を行なえない製品の場合には、吸収するエネルギーを熱として消費するため、放熱部品や冷却機構が必要になり大型化しやすい。一方、pCUBE は電力の大半を入力電源(系統側)に戻す「回生」を行なうことができるため、熱消費に必要な部品が不要となり小型化を実現できる。また、回生効率も最大86%と高い。

回生効率の高い直流電源
もうひとつの特長は、電池のように自由に直列・並列に接続ができることだ。並列で直流電源を接続することは他社でも出来る場合もあるが、直列接続ができるものはほとんど無い。直列・並列接続をユーザーが自由に構成できることで、電源運用の自由度が大幅に高まる。
例えば、電気自動車のモータ駆動には100 kWくらい必要とされることがあるが、実験で100 kWの電力を1年中使うかといえば、実際はその出力が必要なのは年間で1ヶ月間程度だろう。このようなとき、日頃ほとんど使用しない出力条件であったとしても、それを満たす大型電源やシステム電源を調達する必要があり、投資効率が悪くなる。

直列・並列接続が自由に構成できる
pCUBEでは、普段は数台単位で使ってもらいながら、年に数回、100 kWの出力を使う必要が発生したときには、直列・並列に接続をしてもらい、所望の電力装置を作り出すことができる。最小で10kW、最大で240kWまで対応可能なので、直列・並列接続を駆使して効率的な設備投資を行うことができる。また、一時的にpCUBEの台数が足りなくなった場合は、計測器レンタル会社への納入実績が豊富なために、スポットで借りることで早期、低コストで対応することができる。

pCUBEについて解説をしてくれたMywayプラス株式会社 東日本営業所長の平元氏
インバータ、モータからバッテリ充放電まで幅広いアプリケーションに対応
Mywayプラスによると、pCUBEはもともとインバータやモータ分野のお客さまが多く、pCUBEはこれらのお客さまから採用が増えていったそうだ。その後、東日本大震災を契機とした分散型電源への関心の高さや自動車の電動化の流れからバッテリ開発のお客さまが多くなったとのこと。インバータ、モータの評価では、pCUBEに多くの台数を必要としないが、バッテリの場合は一度に十数台を要望されることもあり、出荷台数も増えているとのこと。

pCUBEの幅広い対応アプリケーション
pCUBEは80Vモデルと500Vモデルの2つが基本ラインナップとなっている。80Vモデルは低電圧・大電流モデル(80 V,±250 A,±10 kW)で、500Vモデルは大電圧・小電流モデル(500 V,±35 A,±11.5 kW)となる。例えば、2直8並列で構成し、1000 V,±280 A,±207 kWを実現、などだ。バッテリの充放電評価などでは、20台近くを接続して構成するお客さまもいるそうだ。
お客さまによってはさらに大規模なものを求めることがあり、こうした要望に応えるために、より大容量の600Vモデル(600 V,±400 A,±100 kW)と750Vモデル(750 V,±400 A,±100 kW)の大容量回生型直流電源も提供している。
シリーズ | 回生型直流電源 | 大容量回生型直流電源 | |||
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型名 | MWBFP3-1008-J02 (80 Vモデル) |
MWBFP3-1250-J02 (500 Vモデル) |
MWBFP5-060-040A1 (600 Vモデル) |
MWBFP5-075-040A1 (750 Vモデル) |
|
定格出力 | 電圧 | -1 ~ 80 V | -2 ~ 500 V | 0 ~ 600 V | 0 ~ 750 V |
電流 | ±250 A | ±35 A | ±400 A (重畳機能含む) |
±400 A | |
電力 | ±10 kW | ±11.5 kW | ±100 kW | ±100 kW | |
出力精度 | 電圧 | ±0.1 % of F.S. | ±0.1 % of F.S. | ||
電流 | ±0.2 % of F.S. | ±0.3 % of F.S. | |||
電力 | ±0.3 % of F.S. | ±0.4 % of F.S. | |||
回生効率 | 86 % | 80 % | 80 % | 80 % | |
電源定格容量 | 12.5 kVA | 14.5 kVA | 125 kVA | 125 kVA | |
電源電圧 | AC 200 V ± 10%(三相三線式) | AC 420 V ± 10%(三相三線式) | |||
外部通信IF | LAN、CAN | LAN、CAN | |||
外形寸法(mm) | 430(W)×440(H)×750(D) | 1495(W)×1820(H)×1100(D) | |||
質量 | 約125 kg | 約900 kg | ※その他詳細な仕様はメーカカタログをご参照ください |
通常、pCUBEは正極側しか出力をすることができないが、カスタマイズによって負極側を出力しバイポーラ電源として使用することも出来る。この対応の理由には、電池の強制放電試験で負極側まで出力ができる電源が求められていることが挙げられるそうだ。

カスタマイズ対応でバイポーラ電源としても利用が出来る
ソフトウェアオプションで様々な条件を模擬
pCUBEは別途オプションのソフトウェアで、さまざまな電源出力を模擬することができる。例えば、PV模擬ソフトウェア(型式:MWBFP3-PVS)は、日照条件を考慮した太陽電池の特性を模擬することができる。温度の最小値と最大値、日射強度の最小値と最大値を設定すれば、自動的にソフトウェアが補間してIVカーブを作成することができる。また、バッテリ模擬ソフトウェア(型式:MWBFP3-BTS)は、充電率(SOC)と呼ばれるバッテリ特性などを設定すれば、バッテリを模擬することができる。DC-DCコンバータやパワーコンディショナなどの試験に有用だ。この他には、バッテリの充放電アプリケーション(型式:MWBFP3-CDA)もあり、二次電池を評価する際に最適なパターン運転・サイクル試験を行うことができる。

(左上)PV模擬ソフトウェア IV特性グラフやPV特性の表示画面
(右上)充放電アプリケーション pCUBE出力の電圧、電流、電力の監視画面
(下)バッテリ模擬ソフトウェア pCUBE出力の時間経過とバッテリの各データの遷移状態の表示画面
pCUBEは、システム構成の拡張性だけでなく、このようなアプリケーションに適した試験を効率的に行なえるソフトウェアが充実している。各ソフトウェアにはサンプルプログラムが用意されており、ユーザーが自由に所望の模擬条件などをプログラミングして使うことができるようになっている。
pCUBE、拡張性の高さが好評
pCUBEは、必要な容量の電源を素早く構築することができる。回生機能もさることながら、並列接続だけでなく直列接続もできるのが発売以来、好評である理由の1つだろう。最初は数台から始め、あとからシステム規模に応じてpCUBEを追加すれば、ユーザーの開発状況や評価規模に適した電源システムを常に構築できる。今後もMywayプラスの電源ソリューションに注目したい。
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