2021/12/02
校正トピックス「計測機器の精度の表し方と意味」
計測機器の精度の表記
● 計測機器の精度の表記は、主にF.S.とrdgがあります。
表示タイプ | 精度の表記 |
---|---|
主にアナログタイプ | ±2.0%F.S. |
主にデジタルタイプ | ±(2.0%rdg+1dig) |
アナログタイプの精度の表し方と意味
「F.S.」とは何か…
-
F.S.とは「full scale」の略で、「全測定範囲」を示します。
-
「full scale」の表記は、「F.S.」の他にもあります。
「f・s」「of fs」「span」など
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「full scale」の表記は、「F.S.」の他にもあります。
「F.S.」表記の意味
- 例えば、「精度:±2.0%F.S.」と表記されていたら、計測機器が保有している精度は、『全測定範囲(フルスケール)×2.0%』 の意味。
- 測定値に関わらず、全測定範囲(フルスケール)に於ける許容差(精度幅)は同じ。

デジタルタイプの精度の表し方と意味
「rdg」「dig」とは何か…
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rdgとは「reading」の略で、「読み取り値(測定値)」を示します。
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「reading」の表記は、「rdg」の他にもあります。
「of rdg」「R.D.」など
-
「reading」の表記は、「rdg」の他にもあります。
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digとは、「digit」の略で、「分解能(最小単位)」を示します。
- 「digit」の表記は、「dig」の他に「dgt」「digits」があります。
「rdg」表記の意味
- 例えば「精度:±2.0%rdg」と表記されていたら、計測機器が保有している精度は『測定値(読み取り値)×2.0%』 の意味。
- 測定値(読み取り値)によって許容差(精度幅)が異なります。[図2参照]
「dig」表記の意味
- デジタル機器の特有(分解能)上から、付加されます。
- 例えば「±1dig」と表記されていたら、測定値(読み取り値)の最小桁が0.1の位の場合、「±0.1」の許容差(精度幅)になります。

検査成績書から見た、アナログタイプとデジタルタイプの違い
アナログタイプの成績書の例
-
[例]温度計(アナログタイプ)
測定レンジ:0.0~100.0℃ 精度:±2.0%F.S.基準値 ℃ 測定値 ℃ 誤差 ℃ 許容値 ±℃ 0.0 0.0 0.0 2.0 10.0 9.9 -0.1 2.0 100.0 99.9 -0.1 2.0
デジタルタイプの成績書の例
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[例]温度計(デジタルタイプ)
測定レンジ:0.0~100.0℃ 精度:±(2.0%rdg+1dig)基準値 ℃ 測定値 ℃ 誤差 ℃ 許容値 ±℃ 0.0 0.0 0.0 0.1 10.0 9.9 -0.1 0.3 100.0 99.9 -0.1 2.1
タイプ別の成績書の例から分かったこと
- 許容差を比較すると、デジタルタイプの方が最小測定範囲(この場合0.0℃)に近づく程小さくなり、測定機器の保有精度が高くなる事が分かりました。
- 精度の数値が同じであっても、精度の表し方(F.S.とrdg)によって、実質的(絶対値)な許容差は異なっているのです。
- 計測機器の精度の表し方と意味の違いを、ご理解戴けましたでしょうか。
転載元「エヌケイエス株式会社」のホームページは こちらから