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2022/04/12

初めて使うデジタルマルチメータ・・・第1回 「デジタルマルチメータが届いたら最初にすること」

連載記事一覧
第1回:デジタルマルチメータが届いたら最初にすること
「はじめに」「6.5桁ベンチトップ型のデジタルマルチメータのパネル」「パネルに書かれた警告表示」「テストリード」「電源の投入と日付時刻の設定」
第2回:デジタルマルチメータの基礎知識
「直流電圧を正確に測る歴史」「現在のデジタルマルチメータの構造と機能」「デジタルマルチメータの選定」「【ミニ解説】測定カテゴリーとは」
第3回:直流電圧の測定と仕様の見方
「直流電圧を測定するための結線」「デジタルマルチメータの直流電圧測定の仕様表現」「直流電圧を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「直流測定で発生する誤差要因」「1000Vを越える直流高電圧の測定」「微小な直流電圧の測定」「【ミニ解説】デジタルマルチメータで採用されている安全端子」
第4回:交流電圧の測定と仕様の見方
「交流電圧を測定するための結線」「平均値検波と実効値検波の違い」「交流電圧測定での周波数帯域」「デジタルマルチメータの交流電圧測定の仕様表現」「交流電圧を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「歪んだ波形を測る際の注意点」「750Vrmsを越える交流高電圧の測定」
第5回:抵抗の測定と仕様の見方
「抵抗を測定するための結線」「デジタルマルチメータの抵抗測定の仕様表現」「抵抗を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの2端子測定での抵抗測定の操作手順」「4端子式測定を行う場合の注意事項」「高抵抗を測定する際の注意事項」「【ミニ解説】直流による抵抗測定と交流による抵抗測定」
第6回:直流/交流の電流測定と仕様の見方
「直流電流を測定するための結線」「デジタルマルチメータの直流電流測定の仕様表現」「直流電流を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの3Aレンジ以下の直流電流測定の操作手順」「電流入力端子に実装されている保護用ヒューズの断線を防ぐ」「直流電流測定時の注意事項」「10Aを越える直流電流の測定」「交流電流を測定するための結線」「デジタルマルチメータの交流電流測定の仕様表現」「交流電流を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの3Aレンジ以下の交流電流測定の操作手順」「10Aを越える交流電流の測定」
第7回:周波数測定と仕様の見方
「周波数を測定するための結線」「34461Aで採用されているレシプロカル・カウント方式」「34461Aで設定可能なゲート時間」「34461Aの周波数測定の仕様表現」「周波数/周期を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの周波数/周期測定の操作手順」「【ミニ解説】ユニバーサル・カウンタとの違い」
第8回:温度測定と仕様の見方
「温度を測定するための結線」「【ミニ解説】さまざまな温度センサ」「34461Aの温度測定の仕様表現」「温度を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの温度測定の操作手順」「【ミニ解説】温度測定で使われる多点温度計」
第9回:導通/ダイオード試験、容量測定
「導通/ダイオード試験をするための結線」「34461Aでの導通試験の操作手順」「34461Aでのダイオード試験の操作手順」「コンデンサの容量を測定するための結線」「34461Aの容量測定の仕様表現」「容量を測定するためのデジタルマルチメータの操作」「34461Aでの容量測定での操作手順」「【ミニ解説】正確にコンデンサの容量を測定するときはLCRメータを使う」
第10回:デジタルマルチメータをシステムで使う
「デジタルマルチメータをシステムで使う」「外部トリガ入力と測定完了出力端子」「外部トリガ機能の設定」「34461Aに搭載されている通信インタフェース」「ラックを選定する際の注意点」「測定システムのノイズ対策」
第11回:デジタルマルチメータの周辺アクセサリ
「測定器メーカが用意しているアクセサリ」「DC結合電流プローブ」「30A電流シャント抵抗」「ターミナル・コネクタ」「34401Aから34461Aへの置き換え」
第12回:キーサイトの新しい教育向け汎用測定器
「【インタビュー】キーサイト・テクノロジーが考える教育向け汎用測定器」

はじめに

現在市場で使われている測定器の多くはデジタル化されて測定結果が数字で表現されることは当たり前になっている。長い測定器の歴史の中でデジタル化が最初にされたのは周波数カウンタとデジタル電圧計である。デジタル電圧計は電圧以外の測定もできるデジタルマルチメータと進化して広く使われている。今回はキーサイト・テクノロジーの協力を得て最新のベンチトップ型の6.5桁デジタルマルチメータの基礎的な使い方について解説する。記事で使った製品は現在でも世界中で多く使われているキーサイト・テクノロジーの6.5桁デジタルマルチメータ34401Aの後継機種として登場した34461Aである。なお今回の記事に使った34461Aのファームウェア・バージョンは「A.03.03-03.15-03.03-00.52-04-03」であるので、ファームウェア・バージョンが異なるモデルの場合は機能や操作が多少異なる可能性はある。

図1. 今回の記事で使い方を解説するキーサイト・テクノロジーの34461A

図1. 今回の記事で使い方を解説するキーサイト・テクノロジーの34461A

現在のマルチメータは高機能でさまざまな用途に便利に使えるようになっているが、今回の解説記事では基本的な使い方を判り易く表現することを重視した。

34461Aを含むTruevoltシリーズすべての概要や仕様はキーサイト・テクノロジーのカタログ(https://www.keysight.com/jp/ja/assets/7018-03846/data-sheets/5991-1983.pdf)から知ることができる。34461Aのすべての機能の詳細について知りたい場合は日本語取扱説明書がキーサイト・テクノロジーのホームページから無料でダウンロードして利用することができる。

また、キーサイト・テクノロジーでは測定器について学ぶための英語サイト「KEYSIGHT UNIVERSITY(https://www.keysight.com/jp/ja/resources/keysight-university.html)」があり、ここにはデジタルマルチメータについての解説もある。

6.5桁ベンチトップ型のデジタルマルチメータのパネル

デジタルマルチメータが届いたら、操作する前に本体のパネルをよく見ることが必要である。本体の前面パネルには操作するための多くのキースイッチと液晶パネルがある。背面には交流電源コネクタ、外部制御入力端子、背面パネル入力端子、通信インタフェースなどがある。

図2. デジタルマルチメータの前面パネルと背面パネル

図2. デジタルマルチメータの前面パネルと背面パネル

前面パネルの中央上部にはデジタルマルチメータで測定できる機能を選択するキーかある。このキーを使って基本的な設定を行っていく。

図3. 前面パネルにある測定機能を選択するキー

図3. 前面パネルにある測定機能を選択するキー

ベンチトップ型のデジタルマルチメータはラックに組み込んで測定システムの測定コンポーネントとして利用することがある。このため本体背面から信号を入力する場合を考慮して、入力端子が前面と背面に用意されている製品がある。34461Aでは前面パネルに入力端子を切り替えるスイッチがある。

図4. 入力端子の切り替えスイッチ

図4. 入力端子の切り替えスイッチ

パネルに書かれた警告表示

デジタルマルチメータの測定対象には感電すると危険な電圧が含まれているので、利用者に安全に測定するための警告表示がパネルに書かれている。記載された利用の範囲を守って使うことが利用者に求められる。

図5. パネルに書かれた警告表示

図5. パネルに書かれた警告表示

テストリード

デジタルマルチメータを購入すると本体とテストリードが同梱されてくる。テストリードはデジタルマルチメータの入力端子と測定対象を接続するためのケーブルで、先端は測定対象の種類によって交換可能となっている。そのため本体に添付される小物は多くなる。

図6. デジタルマルチメータ34461Aに同梱されているテストリードセット

図6. デジタルマルチメータ34461Aに同梱されているテストリードセット

デジタルマルチメータが出荷されたときにはテストリードセットは袋詰めされているが、利用者は小物を紛失しないように管理することが必要となる。デジタルマルチメータには下記のような別売のアクセサリポーチがあり、アクセサリポーチをデジタルマルチメータに取り付けて電源ケーブルやテストリードなどの紛失を防ぐことができる。

図7. デジタルマルチメータに取り付けられるアクセサリポーチ 34162A(キーサイト・テクノロジー)

図7. デジタルマルチメータに取り付けられるアクセサリポーチ 34162A(キーサイト・テクノロジー)

電源の投入と日付時刻の設定

デジタルマルチメータに電源ケーブルを接続して利用する準備を行う。デジタルマルチメータを安全に使うためには本体のケース電位を接地電位にする必要がある。このため電源ケーブルは3ピンのものを利用して接地が確実にされるようにする。ケースが安定した接地電位になっていれば外部のノイズなどの影響も受けにくくなる。

日本では接地端子が付いている3ピンのコンセントではなく、接地端子がない2ピンのコンセントがよく使われている。低電圧の測定では感電による危険はないので接地を取らないで利用しても安全上問題はないが、高電圧の測定をする場合は安全のため接地が取れる3ピンコンセントからの給電が必要となる。

本体の電源スイッチをオンにすると自己診断や初期設定が始まり、液晶パネルには下記のような表示がされる。画面下のバーグラフが処理の進捗を示す。

図8. 電源スイッチをオンにしたときに表示される画面

図8. 電源スイッチをオンにしたときに表示される画面

電源オン時の処理が終わると最初にする操作はデジタルマルチメータ内部にある時計を設定することである。USBメモリに測定結果を保存する際にはデジタルマルチメータ内部の時計の日付時刻が記録される。デジタルマルチメータ内に電池があるため、本体の電源を切っても時計は動作しているので購入した時点および電池を交換した時だけ時計を設定する。

日付時刻を設定するためにデジタルマルチメータの前面パネルから「Shift」キーを押してから「Utility」キーを押す操作を行ってUtility画面を呼び出すと下記のような表示となる。

図9. 34461AでのUtility画面の表示

図9. 34461AでのUtility画面の表示

この中に「System Setup」キーがあり、さまざまな設定が可能となっている。「System Setup」の設定は下記のような構造になっている。この中に日付時刻を設定する機能がある。

図10. 34461AでのSystem Setupの設定構造

図10. 34461AでのSystem Setupの設定構造

下図に示すように「System Setup」画面を経由して「Date/Time」画面を呼出して、日付時刻の設定を行う。

図11. 34461Aでの日付時刻の設定画面

図11. 34461Aでの日付時刻の設定画面

これでデジタルマルチメータを使うための準備が完了する。


執筆:横河レンタ・リース株式会社 事業統括本部 魚住 智彦

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