2024/02/22
オシロスコープはトリガを使って電子回路の挙動を測定する「波形の観測器」から、「信号の良否判定」、「デバッグによる不具合解決」、「通信規格のデコード表示によるバス解析」と、用途が拡大した。用途に合わせてトリガ機能も改良・強化した。本稿ではミドルクラスの代表的なモデルのトリガ機能を調べ、基本的な順番に整理して図表で概説し、用途や用語解説を添えた。各メーカによって名称が異なるトリガの種類を一覧表にしたので、具体的なトリガ機能の入門書となった。エッジトリガ、パルス幅(Pulse Width)トリガ、ラント(Runt)トリガ、ロジック(Pattern)トリガなどから、最近のシーケンストリガ(遅延トリガ、Bトリガ)、ウィンドウ(Window)トリガ、ゾーントリガ、シリアルトリガまでマニュアル掲載順に従い、基本的なトリガ機能から順番に解説した。
2023/07/14
計測器は商品なので、形名 (かためい) 、品名などの名称があります。本稿は「計測器の形名」について考察する連載コラムです。前回はTDS3000シリーズ以降にオシロスコープの形名に基本仕様を示す数字が使われるようになったことを述べました。2000年代以降は形名の頭に、オシロスコープの機能を示す英字3文字が使われるようになります。DSO (Digital Storage Oscilloscope) 、DPO (Digital Phosphor Oscilloscope) 、DSA (Digital Signal/Serial Analyzer) 、MSO (Mixed Signal Oscilloscope) 、MDO (Mixed Domain Oscilloscope) などの文字列です。マイクロプロセッサの普及やデジタル通信の高速化を背景に、デジタルオシロスコープがロジックアナライザやスペクトラムアナライザなどの機能を吸収して、これらの形名は出現します。どんな由来がオシロスコープの形名 (シリーズ名) にあるのか、今回もアナログオシロスコープ時代から話します。
2023/07/07
計測器は商品なので、形名(かためい)、品名などの名称があります。本稿は「計測器の形名」について考察する連載コラムです。前回は形名の定義から始まり、2つの種類を具体例で示しました。今回はオシロスコープの形名の変遷をアナログオシロスコープ時代から話します。現在のオシロスコープは、ほとんどの計測器メーカが全世界共通の命名法則に従う珍しい形名で、2000年代からそうなりました。高速A/D変換器が進歩してオシロスコープに搭載された1990年代は、各社の形名に統一感はありません。画像処理DSPの採用によってデジタルオシロスコープの波形表示がアナログオシロスコープと遜色がなくなったTDS3000以降に発売されたモデルから、次第に各社の形名に共通の法則が広がりました。デジタルオシロスコープの歴史が形名に表れています。
2021/05/31
電気エンジニアが使用するミドルクラスのオシロスコープは数百MHzの周波数帯域が多かったが、近年のシリアル伝送の高速化などで1GHz〜2GHz位までカバーする機種が増えた。また、時間軸だけでなく電圧も精度よく測定したいという需要によって高分解能モデル(ADコンバータを従来の8ビットでなく10ビットや12ビットに性能アップ)が登場した。さらに2019年〜2020年にかけては各社が多チャンネルモデルを発表した。8chオシロスコープは1993年の登場以降、横河計測のオンリーワンモデルであったが、ここにきて自動車市場の需要などもあり主要オシロスコープメーカが参入した。TechEyesOnline編集部では現役8chモデル5機種の主な仕様の比較表を作成した。オシロスコープの最新動向として各社の8chモデルの概要を紹介する。
2017/12/19
キーサイト・テクノロジー合同会社 (以下、キーサイト・テクノロジー) から、オシロスコープをベースにした電源ノイズの観測・解析に最適化されたソリューションが提供されている。これは、主に回路基板上の電源ノイズ測定に着目をあてたもので、電源ノイズアナライザと名を打っている。今回は、キーサイト・テクノロジーでアジアパシフィック統括マーケティング部門のマネージャーである堀部勝義氏に電源ノイズアナライザの特長や問題解決事例について話をきいた。